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2020年5月12日 (火)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(82)和洋九段女子 見事なオンラインPBL授業ができるわけ

★和洋九段女子のオンラインPBL授業は、セオリーと実践が統合されたすばらしいシステムになっています。新型コロナウィルス感染拡大の終息/収束後も、リアルとサイバー上の授業がハイブリッド授業として新たに展開していきます。子供たちが思春期を悩み謳歌し大いに学び未来を創る才能を生み出していくスーパーモデルです。

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★同校では、オンライン授業の様子を毎日のように更新しているのですが、5月11日全国の学校でオンライン授業を行うぞどうなるんだあとメディアも巻き込んで騒然となったこの日、「新オンライン授業の様子」というタイトルで、だいぶ先まで進んでいることを発信しました。

★世の中、新中1や新高1の授業は、まだ入学式もきちんとできていないので、顔もお互いに知らない。そんな段階でどうやってというため息もいっぱいでているわけですが、和洋九段女子は新中1の授業が、いきなりオンラインPBL授業でスタートできているのです。まずは5月11日の新中1の地理のオンラインPBL授業の記事をお読みいただきたいと思います。

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★すると、驚くと思います。オンライン授業って一方通行的に授業動画を見て、配信された課題プリントを勉強すると思っていたとしたら、全く違うシーンが広がっているからです。

★同校がふだんから行っているPBLが行われているのですから。記事から読み取れる範囲で、アクティビティタイプの分析をしてみました。意識を発見する領域、知識を活用して論理的に構成したり推理したりする領域、根源的な問題の現れるクリティカルシンキングを活用する領域、新しい知識やアイデアを創造する領域という思考座標(想いと考えの複眼座標)すべての領域でアクティビティが行われています。

★オンラインPBL授業とリアルPBL授業の大きな違いは、やはり創造的な領域ですね。リアルな授業では、それほど気遣わなくても表情やボディーランゲージが伝わりますが、オンラインではそこは制限があります。

★したがって、表情や拍手のパフォーマンスをいつもより誇張しなくてはなりません。表現創造の意識を高めるロールプレイがちゃんと同校では配慮されています。

★また、ディスカッションはブレイクアウトルームで頻繁に行われています。時間という制限があります。インプロ学習になるので、創発的な学びがリアルな場面より刺激的です。非情にも時間管理はオンラインは厳しいのです。その制限や制約が創造性を育むというッデザイン思考で使われているスキルが、自然とオンライン授業では展開していくのです。

★世の中、ぎゃあぎゃあオンライン授業の是非を問う発信が多いですが、ぜひ和洋九段女子のオンラインPBL授業を参考にしてほしいものです。よく、ディスカッションしてもきちんと行われていないどうするのだあ!と声を荒げる見識者もいますが、和洋九段女子の場合は、ルーブリックができていてそれを教師と生徒が共有しています。どこまで広げ深めていくか<Tの字意識>(井庭教授の学びのパターンランゲージで、Tの横線を広げる感覚、縦の線を深堀する感覚という意味で活用されています)を共有できるようにロゴス化されています。

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★新中1の今回の地理の授業では、A1、A2、A3が中心となって思考がフル回転していますが、B2やC3にも飛ぶ時があります。ここはグラデーションになっているのですが、実は中高6年間を通じて、このルーブリックの領域のどこに力点をおくのかも設計されているのです。

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★また、各回の授業の中で生徒がどのように自己変容していくのか、PBL授業の物語の構造も共有されています。もちろん、この型があるので、生徒は<Do Now>という学びの見通しを立てながら臨めるのです。学びのスタンバイが出来た状態なんですね。そして、この型があるので、守破離となります。先生方はあえて型を破る瞬間がでてきます。そのとき生徒がサプライズを感じるのも、先生方は経験済みです。

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★普段の授業で黒板トーク&プリント学習をやっていた場合、オンライン授業になっても和洋九段女子のようにはいかないのです。和洋九段女子がオンラインPBL授業を巧みに行えるのは、6年間積み上げてきたこととその過程で、「PBLの物語の構造を構成できたこと」及び「想いと考える両軸をルーブリックにできたこと」が大きいですね。

★そして、「6年間の生徒の自己変容の成長過程」までもできあがったということも大切です。

★この壮大なPBLの足場づくりがあって、そこをベースに多様なアクティビティを授業で展開して生徒1人ひとりの才能を教師と生徒がいっしょに見出し開花する学びが繰り広げられているのが和洋九段女子です。

★今回のオンライン授業を通して、ますますクオリティを磨きパワフルになっていくでしょう。

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