ポスト・コロナショック時代の私立学校(80)工学院平方校長のスーパー構想。21世紀私学人の凄さ。②
★平方校長のスーパー構想力=<ミッション×ビジョン×実装スキル×ドメイン知の構築×フィールド創発>の総合力だと前回お話ししました。ミッションについては、語りました。実装スキルも昨日のオンライン学校説明会で概略を話していましたから、実際にオンライン説明会で聞くことができるでしょう。
★教育におけるドメイン知の構築はまさにオンライン授業そのもののシステムです。実践されているし、実装スキルが反映しています。同校サイトでも頻繁に紹介されています。フィールド創発は全私学の広報と21世紀型教育の広報となんといっても工学院の広報の三位一体で考えています。ここはいずれまた話すとして、ここでは、ビジョンの創り方ですね。あまり語られていない部分ですから、少し紹介します。
★平方校長は、出会った20世紀末のころから、「時代精神」や「時代の要請」についてリサーチしたり見聞を広めたりしていました。それは今も変わりません。海外の教育の視察をしながら、独自の帰国生入試を編み出していったのもフィールドワークの成果の1つでしょう。
★しかし、何より世界がどう変わるのかそこに注力することは忘れません。ですから、1989年ベルリンの壁崩壊をインターナショナリゼーションからグローバリゼーションの転回で、日本もその例外ではないというか、グローバリゼーションという言葉は、日本人が最初に使ったといわれているぐらいです。昔から、日本は逆輸入が好きですね。日本の文化、産業開発、今回の一連の新型コロナウイルスの処方箋の薬もそうです。
★それはともかく、世の中、国際理解教育からグローバル教育に舵を大きくきったのも平方先生の発想が影響しています。というのも、平方先生は日本中高連合会と連携している一般財団法人日本私学教育研究所の理事で、全国の私学の研修会のプロデューサーの1人です。プログラムをつくったり、講師を招いたり、総合的なデザインにかかわっています。
★ですから、グローバル、21世紀型教育、STEAMといったビジョンをリサーチして次々立ち上げています。そのリサーチの一環の中で、私も平方先生に出会いました。もしかしたら、私の発想も受け入れてくれている部分もあるかもしれません。
★一方で、文科省のワーキンググループのメンバーでもありますから、教育の制度設計に関してもデザインしています。もちろん、そのデザインが通ることはないのですが、一つでも通ればというおもいでやっているようです。そして、未来の教育の制度設計の実現は工学院や21世紀型教育機構コミュニティで行っています。
★国家規模の教育の制度設計と自分の学校やコミュニティでの制度設計の複眼思考を回転させながらビジョンを生み出していくのです。
★市場の自由も、実は市場の制度設計があって担保されます。意外とそこは見ないで、市場の自由だけ論じる人がいますが、そこは制度設計をチェックしないと実は権力者の思うつぼです。
★平方先生は21世紀私学人として、国家レベルの制度設計と学校やコミュニティの制度設計の動的平衡を生み出しているということです。ですから、国家レベルの制度設計がうまくいかないとき、学校やコミュニティはどう動くか機を見るに敏なのです。かなり柔軟な包括的なビジョンです。月は直視できますが、太陽はできませんね。平方先生のビジョンは人によっては太陽光線で直視することができない場合もあります。
★それから、データ収集分析です。国家レベルのデータ、日本私立教育研究所の制作ししているデータ、市場のデータ、学校のデータなど複雑系ですが、オンライン学習を通して、これはますます強烈になっています。話を聞きながら、あっ!ハイブリッド・データ・プラットフォームの発想だなと感じました。
★それと、私のような一民間人ともよくミーティングをされますね。多くのネットワークを持っています。そこはフラットだし、いやフラタニティです。
★それと、これは特別かもしれませんが、美術を中心とする芸術史の知識と生物の学問史の知識が豊かです。これらは、スクランブルするので、バイオテクノロジーやAIの行方をよく語っています。そこから、ソサイエティ5.0を超えるビジョンをすでにセミナーなどで語っています。まだ、そこのフィールドはできていないので、聞いている方々はまだヒピンときていないみたいです。
★それは、ハワード・ガードナー教授を受け入れる教育関係者の感覚と同様です。ガードナー教授の教育や学習理論についてはうけいれるのですが、ガードナー教授がその理論をつくりさすときに、文化人類学や心理学、バイオテクノロジー、脳科学などの広いドメインをつないで語っているその背景については興味と関心を示さない人が多いですね。欧米では、そこも含めてガードナー教授は受け入れられていて、20世紀の社会にインパクトを与えた学者の1人として、高い評価を得ています。
★しかし、オンライン学習によって、そこはこじ開けられられるでしょう。
★いずれにしても、世の中には、まだ共感される一歩前ぐらいですが、工学院で、以上のような背景をもったSDGsの探究の試みが、グローバル・プロジェクトに結実しています。平方校長は、先生方のその仕事ぶりをグッドワークとして高い評価をしています。うちの先生方は凄いと。もちろん、それは学内ではあまりいっていないのでしょうが。
★でも、セミナーや昨日のオンライン学校説明会でも必ず紹介するし、その意味を他と比べ少し多めに話しますね。
★グッドワークかどうか平方校長が判断する場合、思考コードや先生方のリフレクション行為をみるだけではなく、ビジョンに対照して総合的に判断しています。
★フィールドワークなどのリサーチは十分か、時代の要請にこたえているか、プロジェクトの制度設計は効果的になされているか、リフレクションデータは収集分析しているか、生徒、保護者との対話は十分に行われているか、もちろん、グローバル・プロジェクトも構想力によって生まれてきているので、ミッション、実装スキル、知のドメイン、フィールド創発力などのモニタリングも加わります。
★工学院の強みは、この平方先生の構想力の制作方法を引き受ける先生方が増えてきたことです。実装スキルはむしろ若い先生方の方が優れているかもしれません。
★いずれにしても、平方先生は、この複雑な構想力づくりが、オンライン学習を通して、時間効率、コンテンツの深さと広さを創り出すのに強烈なエネルギーであり武器であると実感したというのです。(つづく)
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