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2020年5月30日 (土)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(113)工学院 アップデートするオンライン説明会 ライブ感もいい(補説)

★本日(5月30日)の工学院大学附属中学校のオンライン説明会を見て、いろいろ感想を書きましたが、シンプルに生徒は知性・感性・創造性をどこまで学んでいるのか、オンラインPBL授業の進化ステージのポジショニングはどうなるのか、ぜひ参加された保護者の方も考えみませんか。

★中学入試市場のメガネで見ますから、知性・感性・創造性の観点は、首都圏模試センターの「思考コード」を活用しましょう。晶文社の「中学受験案内」でも活用されているし、その市場の重鎮森上教育研究所の森上代表や教育ジャーナリストのおおたとしまささんも活用したり言及したりしていますから、中学入試市場では市民権を得ているからです。

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★また、オンライン授業進化ステージは、デバイスやアプリを活用する点において、それほど異論はないはずです。IT機器の機能をベースに作りましたから、わかりやすいと思います。

★ただ、課題プリントの問いの深さが、思考コードでいうA軸レベルなのか、B軸レベルなのか、C軸レベルなのかは、わかりにくいのですが、実は、IT機器の機能の活用によって問いの深さがわかるのです。

★たとえば、ドリル型で課題学習の単純なマル付けをして返すだけなら、ステージ1.0や2.0で十分です。わざわざ対面型双方向オンラインPBL授業をやる必要はないのです。

★要約や200字から800字の論述や小論文になると、3.0は必要になります。慶応大学の学部の授業はこのステージです。

★しかし、そうはいっても、対面双方向型オンラインの方が、小論文あたりだと、対話したほうが気づきが多いし、ブレイクアウトルームなどで共同編集をすると、クラス全体の学びのシナジー効果が生まれます。

★東大や早稲田大学はこのステージです。欧米のエスタブリッシュスクールもこのレベルは当然です。

★工学院の場合は、知識の活用も反転授業もエッセイライティングもスピーチも行うということが説明会で語られています。またグローバルプロジェクトのリサーチ、議論、レポートやPPT、スピーチなどのアウトプットもなされていることが説明されています。

★日ごろから、PBL授業をやっているのですが、パンデミックが起きる前は、PBLで大学合格実績が出るのかという学歴社会に加担している見識者も多く、目に見えないがゆえに、余計不安がっていましたが、オンラインPBL授業はその様子が丸見えですから、世界同時的にオンライン授業の質の差が取りざたされてくるので、認めざるを得なくなってきています。

★世界同時的に地球市民みんなが、ドリル型学習でいいのだと思っている人はほとんどいません。この世界リスクを乗り越えるには戦略的思考と創造的思考がカップリングされていないとどうしようもないでしょう。

★人は経験から多くを学びます。今回のパンデミック経験から、ドリル学習がマストだなんて思っているとしたら、およそ学習能力が低いとしかいいようがありません。

★それはともかく、工学院の思考の深さは、A軸思考、B軸思考、C軸思考のすべての軸領域をカバーしていますし、そうするためには、ステージ5.0のオンラインPBL授業を実施しないわけにはいかないのです。

★というわけで、工学院の思考コードのカバー領域は全領域で、オンラインPBL授業進化ステージは5.0です。この段階の学校は、全国で1%もない希少価値かもしれません。

★さて、参加されたみなさんは、どう評価されましたか?本間は甘いという方もいるでしょうし、激しく同意という方もいるでしょうし、すべての教師がそうなのだろうか?などなど疑問は大いに結構です。評価ってそういうものですから。ただ、グローバルプロジェクトの話を聞き逃さなかった方は、どう考えますか?一握りの生徒ではなく、全員があそこまで取り組むのです。教師一人一人の力量は違いがありますが、学内研修もやっています。その話が今回はありませんでしたが、オンラインPBL研修をやったという話がでていました。IT機器の使い方だけではないのですね。

★工学院の思考コードに合わせた学びをするには?どうするかということをやっているわけです。でなければブレイクアウトルームやプラットフォームで日誌や記述のやりとりの技術を研修するひつようないでしょう。

★しかも、非常勤の先生方も行っていて、わらなかったり、トラブルがあれば、それに対応するセンターがプラットフォームにあるというのは、以前私は書きました。それは、同校のサイトで小まめにアップされている「工学院のオンライン」を読めばわかると思います。

★でもねと思うでしょう。そうです。オンラインとリアルでは、私たちはまだまだリアルでないと信頼できないんです。ですから、リアルな説明会がはやくできる状況がくることを祈っています。

★しかしながら、ポストコロナは、そんな信頼をオンラインでもできるようにするにはいかにしたら可能かを追究し続けます。テレワークになってハンコが電子決済になっていくというのは、その兆しですね。

★私たちのIDは、今まで資産価値に計上されてこなかった自分が何をやってきたのか何がでっきるのか、どんな貢献ができるのかまで、計上されるようになり、信頼はトークンやコードでマッチングされる世の中がすぐそこまで来ています。

★そんなこと考える必要あるのだろうか?そう思われるかもしれません。2013年に21世紀型教育の話を保護者にしていたとき、真っ二つにわかれました。そんなと思う方とやはりそうだと思う方と。今では、21世紀型教育はあたり前です。

★さて、みなさんは近未来、そう15年先の話ではないのです。5年先ぐらいの話ですが、その近未来をどう見定めますか?未来脅威論は勘弁してくださいか、未来への希望を実現したいと思うかは、私事の自己決定にお任せします。

★ともあれ、オンライン説明会、Web配信説明会を視聴して、学校選びの評価をする場合、以上の思考コードとオンライン授業進化ステージも加えて複眼思考してみてはいかがですか。受験生の保護者がみなそういう教育の質の視点で見るようになると、私立中学校の教育の質は、みなさまの視点ニーズによって向上します。

★日本の教育を善き状況にするのは、教師も大切ですが、学校選択の意志を持っている受験生・保護者の見識にかかっているといっても過言ではありません。もちろん、大学合格実績は大事です。質のよい教育をやっていて実績がでないということはないのですから。工学院の実績が年々成果をだしているところからもそれは明らかです。でも、質が悪くても実績はでるということは大いにあるのです。実績も質もよい学校、実績はよいが質の悪い学校。さあ、みなさんはどちらを選択しますか?もちろん、どちらでも選択は自由です。私事の自己決定ですから。

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