オンライン授業進化論(01)コロナ禍からポスト・コロナのイメージ
★緊急事態宣言がでて一斉休校が続く中、あるいは解かれても完全に元に戻ることができない中、オンライン授業だとか遠隔授業だとかリモート授業だとかいろいろな呼び名でメディアや学校、教育関係者は語っています。SNSでも多様な発信があります。それだけ関心があることは、教育や学び、何より生徒に対する熱い思いがある現れですから、大いに語り合えばよいと思います。その中の1人として私もブログに書き込んでいるわけですが、そろそろオンライン授業を整理するシンクタンクやメディアもでてくると思います。そのような考え方と私自身の考えを対照してズレをリフレクションしていくためにも、「オンライン授業進化論」を徒然なるままに書き込んでいこうと思います。
★いろいろな方と話していると、やはりWebやWifi、デバイス、プラットフォームの種類や使い方の話が多いですが、少しずつ通常の授業とオンライン授業のデザインの違いや質の違いについての議論も多くなっています。
★不足しているのは、そのオンライン授業で生まれる生徒の能力が何に結びつくのかという話ですね。大学受験に結びつくでもいいのですが、その大学受験の学びが将来何に結びつくのかという話です。
★良し悪しは別にして、文科省が大学入試改革のヒヤリングに高校生の参加を求める時代です。高校卒業させればそれでよいという時代では少なくともないでしょう。
★欧米はキャリアガイダンスとかキャリアデザインというと、高校から社会で働くまで、いやその先の生涯学習までの制度設計の話になりますが、日本は、高校卒業までの話がほとんどです。高校から社会で働くときに、すぐに役立つスキルを、今ままではあまり考えなくてよかったですね。大学に進学する場合も、受験に合格するまでのスキルで、それがその先のどんなスキルに結びつくのかほとんど考えられてこなかった。スキル悪玉論が支配していたと言っても過言ではないでしょう。
★しかし、今の高校生は、世界同時的コロナ禍にあって、目の前で社会の中から無くなる仕事があることを見てしまっているのです。30%前後はなくなると言われてきましたが、それが現実のものになっているのです。今学んでいることが何かわからないけれど役に立つだろうという根性論的な学びが、もはや役だたないかもしれないのです。
★かりにオンディマンド授業を行っても、その教科書知識をドリル的にトレーニングをして何になるのだろう?という現実的な疑問がわかないほうがおかしいですよね。もちろん、教科的知識を通して何を学ぶのかという話とその知識を暗記するという話は全く別次元の話です。
★ともあれ、そんなオンディマンド授業やるぐらいなら、麻布のように世界を考える時間に読書でもして費やした方がよほどよいわけです。アクティブラーニング的なオンライン授業をやろうが、探究をやろうが、今目の前で傾きかかっている社会を修繕するスキルを学ぶというのもなんだかなあとなります。なぜ崩れるのかそのシステムやメカニズムを知るスキルが今必要でしょう。
★しかし、多くの場合、授業がなければ、そんなことはしない。でも授業をしても役に立つのか?役に立つかではなくて価値が大事だ!でもそういわれてもそれは生きていける価値なの?不安に不安を乗せて不安の屋上屋を重ねていくのはあまりに酷すぎます。
★そこで、対面型のオンライン授業にしようとしても、なかなかモチベーションがあがらない。何になるのかわからないことをやるのは同じだからです。わからないこと解明するのが学びなんだと、このコロナ禍で言えますかね。リスクが何であるかは今はわからなくてよいのだと言えますかね。
★結局オンライン授業で学ぶスキルやアビリティやナレッジが一体何に結びつくのか明快に論じられないのがコロナ禍です。そこで、ポスト・コロナの新社会構想を考え実装する新しいスキルやアビリティやナレッジを創りだすオンラインPBL授業を創るのなら、希望が見えてくるのではないでしょうか。今後しばらくリアルとオンラインのハイブリッドになります。
★根源的な問題や本質的な問題ではないかもしれません。しかし、現実欧米は、すでにそういう教育と仕事と社会と自然の循環を具体的に構想し始めています。制度設計を試行錯誤しています。欧米がやっているから我が国もやらなければならないとは何事かあ!と言われる方もいらっしゃるでしょう。私は少なくとも自分の子どもや孫、そのまた孫、そのまた孫の孫・・・・をあなたといっしょに沈ませたくないと断固思います。
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