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2020年5月 9日 (土)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(77)工学院のオンライン学校説明会 シンプルに丁寧に、高共感と高次元の発信。

★変わる工学院。驚愕。学校説明会がグッとくる。そんな感じのオンライン学校説明会でした。内容はたしかに、今ままでと変わってはいないのですが、表現がリアル時空からオンライン時空に変わることで、簡にして要を得た説明になっていたのです。事前に申し込みがなされていますから、どのような志向性の方が参加しているのか互いに了解しているので、明らかに参加者に合わせて説明のPPTやキーノートをデザインしていると了解できました。

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(左上:中川先生 左下:水川先生 右上:平方校長 右下:鐘ヶ江先生)

★田中教務主任によると、70人弱の参加者だったようですが、海外からも参加されてるということです。リアル空間で大人数集める学校説明会も勢いがあってよいのですが、50人くらいで小まめに実施するのもよいなあと感じました。というのも、ある程度参加する方々の志向性を正確に読めるので、説明内容と参加者の意識のマッチングがしやすいのです。

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★ですから、平方校長先生は、2021年から2027年くらいまでに工学院はどう進化し、自己変容を果たしているのか、ロードマップに集中してかたり、英語科主任の中川先生は、工学院のグローバルネットワークとオンライン授業になってどう変わったのか、いまここでの教育活動について集中して語りました。垂直軸と水平軸のロールプレイが明快で、それがゆえに、座標軸がはっきり伝わりました。

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★しかも、そのロードマップデザインの過程ですでに今年海外大学など成果もでてしまっています。今回の新型コロナウィルスがもたらすafter/withコロナの時代は、グローバルな連帯とその反動のせめぎ合い、GAFA型産業の拡大と縮小する産業のせめぎ合い、PBLやオンライン学習など実践している21世紀型教育と黒板トーク&プリント学習の従来型教育とのせめぎ合いになります。さて、その中で、どの道を選択するのか。

★しかも、生き方は、3つのSが求められるようになってくることも明らかになる時代です。すなわち貢献・奉仕という意味でのserveと生き残るという意味でのsurviveです。自分ひとり生き残ることはできないのです。たがいに協働しなくてはなりません。しかも、誰かに依存してではなく、自律/自立した学習者として変化に対応できる自己変容という意味でのSelf-tramsformationも必要です。

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★今回参加した受験生・保護者は、そのような未来の変化に敏感な方々だったのでしょう。そのような情況をきっちり見据え、それに対応できる学びの環境ができているところを探していると思われます。ですからそこに焦点をあてた丁寧な説明がなされたのです。

★平方校長は、ロードマップの6つのゴールを語りました。そこにむかってすでに学びの環境は準備できたとも。海外大学合格実績の躍進もその一つです。

★英語科主任の中川先生も、海外からの参加者に向けて、インターナショナルクラスの話もしましたが、驚いたことに、そうでないクラスも、習熟度的な内容は違いますが、共通の環境を備えていることをまず説明しました。このメッセージはすばらしいものです。おそらく、帰国生を受け入れる多くの学校では、そうでないクラスと帰国生クラスの学びの環境をきっちりわけるか、混合して差異をなくすかのどちらかです。

★しかし、工学院は、そこは3F感覚なのです。フェア(公平)、フリー(自由)、フラタニティ(博愛)という感覚ですね。フラットというのもありますが、それは工学院ではフラタニティの方を優占するでしょうね。

★いずれにしても、ケンブリッジイングリッシュスクールでありマクロソフトスクールだと中川先生は説明されました。インタークラスの生徒はC1C2まで学んでしまいます。そういう才能をのばせばよいからです。では、サイエンスや薬学、法律、経済、医学に関心や才能がある生徒はというと、そこまで英語はやりませんが、ケンブリッジイングリッシュスクールとしての環境を活用できるのです。

★そして、今回オンライン学習になっても、マイクロソフトスクールの恩恵に全員が浴せるのです。よく1人も残さず学びを保障するという話が話題になりますが、そう言っている学校でも、できるところからやりましょうとなるところが意外と多いですね。しかし、工学院の場合は、全員がオンライン環境が普段から整っているので、まさに誰ひとりも残さず学びを続けることができるのです。

★3Sには十分な学びの環境だということが非常にわかりやすく伝わってきました。

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★また、中川先生は、2019年のPBL授業と2020年のオンラインPBLの授業などについて比較して違いを語っていました。有効な授業がさらにパワフルになっているというのが現状であることも伝わってきました。もちろん、これは英語の授業の例で、他の授業でもそうなのだろうという推理は簡単にできました。すでに、同校サイトで詳しいオンライン授業の様子も頻繁に更新されています。

★オンライン学校説明会に参加される方々は、SNS上の情報をゲットするのは得意です。かなり瞬間的に情報をゲットでき、ある程度俯瞰できる目を持ちながら参加してきます。

★リアルな空間だと、席によってプロジェクターから映し出される映像が不鮮明だったりしますが、オンラインだと参加者1人ひとりにきっちり映し出されるので、より丁寧な内容を伝えられやすいというメリットも実感できました。

★逆にいえば、たくさんPPTを使っておいて、時間に合わせてページを飛ばしながら説明するようなことは、オンラインでは効果が半減します。きっちり作りこみをしなくてはならないので、学校説明会運営者側は大変です。バックヤードの縁の下の力持ちが極めて重要になるでしょう。

★広報部長の水川先生は、チャットで質問された内容に丁寧に回答していきました。これもオンラインならではのリアルアイムのやりとりです。ちょっとした記者会見です。

★そして全体の司会は進路指導主任の鐘ヶ江先生です。名司会ぶりが説明会の魅力に花をそえますが、今回、女性の先生が2人、男性の先生が2人という出演だったのです。

★今回の新型コロナウイルスの感染防止の政策判断のリーダーで大活躍しているのは、多くの女性の大統領であることはメディアで頻繁に報道されています。同校もSDGsの取り組みを行っています。他の学校も行っています。しかし、女性と男性の比率が1:1という説明会は意外と少ないのです。

★未来は女性の活躍の場の広がりでもあります。そのメッセージを今回工学院は見事にやってのけました。

★参加者との情報共有のためのマッチング目配り、バックヤードのがんばり、女性の先生の活躍への気配り、大きな破格な強烈なビジョンときめ細かい配慮が随所に行き届いた説明会だったのです。共感的かつ戦略的コミュニケーションの合力に魅せられました。

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