ポスト・コロナショック時代の私立学校(94)富士見丘のグローバルオンライン
★今春、富士見丘はグローバル教育市場で注目を浴び続けてきた成果が出ました。少人数規模なので、これ以上増えるのは痛し痒しなのですが、生徒が集まり、大学合格実績も当然出ました。その両者の理由は、グローバル教育の徹底でした。少人数教育なので、たくさんの帰国生の入学が続いたので、富士見丘全体がインターナショナル級の学びの場となったのです。
★SGH認定校の機会を生かし、5年間の間に、生徒1人ひとりが、世界的視野をもち、世界を舞台に学びの活躍をしたのです。帰国生だけが特別なのではありません。分け隔てなくチームになってPBLを英語を使って実践していきました。PBLですから、英語の教科の学びではなく、教科横断的で教養主義的で学問的な探究活動が広がり深まっていったのです。
★それが、今回オンライン授業にもそのまま生かされました。というのも、SGHの活動は、すでに海外とのオンライン授業で、そのときから全員がなんらかのプロジェクトをつくって活動していました。
★そこに慶応大学や上智大学の教授陣や大学院生(外国の学生が当然多いのです)が協働しました。当然彼らもネットワークとリアルのハイブリッドでコミュニケーションをとります。
★したがって、富士見丘に関しては、実はオンライン授業自体はすでに世間のいうニューノーマルだったのです。
★英語科の田中裕樹先生から、先日こんなメールを頂きました。現場の様子がダイレクトにわかるので、一部ご紹介します。
「本校では、Microsoft Teamsを使用してすべてのオンライン活動を実施しています。私は高3のアドバンストクラスの担任をしていますが、HRや授業ではどんどん生徒たちに質問を投げて双方向になるように心掛けています。また、「オンライン学級日誌」では、改めて気づきも多いです。
生徒からは「朝礼や終礼のHRで楽しそうに話す仲間の顔を見ると気分転換になるし、短い時間だけどそういう時間も大切にしたい。」といった感想も寄せてもらえます。感動しつつ、はやく終息して、学校で共に学びたいという思いがつのります。とにもかくにもやりがいをより一層感じているところです。
模擬国連部の今日の活動では、高校2年生の部員に「自分がその国の大統領(総理大臣)であったら、その国や世界全体の新型コロナウイルス感染症終息に向けてどんな策を打つか」といった観点で考える問いを投げてみました。3~4人ずつのグループになり、1グループに1人の高3部活動幹部生徒をつけて、ファシリテーターの協力をしてもらいました。生徒たちは数値に基づくデータも含め、期待以上によく考えをまとめていました。感動しました。
今回の活動は、まもなく引退する高3生を前に、高2生に議論を自分の手でリードするような気概を持ってほしいという思いもありました。もちろん、また模擬国連大会が実施できるような社会情勢になれば、世界の保健衛生事情や経済事情に関してリサーチを重ねたことが強みになることも間違いないであろうと期待しています。
本校はWWLに認定されました。模擬国連部はSGH時代以上に学校を牽引する役割を果たしてくれることと思います。その使命を引き受け自己錬磨して、仲間と協力して世界を舞台に活躍する時代を夢見て、私も日々学ばなければいけないな、と感じているところでございます。」
★田中裕樹先生の、ミッションと生徒の希望を見守る優しい眼差しがすてきです。オンライン授業が展開していく中、先生方の心の物語がドラマティックになっていくそんな瞬間もあるのだなあと思うと羨ましいですね。
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