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2020年5月22日 (金)

オンライン授業進化論(05)東大・早稲田・慶応義塾のオンライン授業の進化ステージ格差の意味

Business Insider Japan(May. 22, 2020, 05:00 AM)に「【徹底比較】東大・早稲田・慶應、大学間比較で見えてきたオンライン講義の真の実力 戸田 彩香 [編集部インターン] and 三ツ村 崇志 [編集部]」という記事が掲載されています。あくまでも、この記事にある情報に基づいた限定的な話ですが、3者の大学のオンライン授業の進化ステージのポジショニングを、「オンライン授業進化論(02)オンライン授業進化論リーダーの登場」で公表した図で見てみます。

Onlinestage

★東大は、Zoomも使い、対面双方向型オンライン授業を行っています。デバイスやプラットフォームは、その使い方をチャットbotでサポートさせているので当然使っているでしょう。どんな課題が配信されているかわりませんが、専門的なアカデミック教科でしょうから、専門知識と論理的に思考する講義や問いが中心でしょう。ステージ4.0まで行っていますね。

★早稲田大学も、ZoomとWaseda Moodleを活用しているので、東大と同様のステージにいるでしょう。東大との違いは、通信環境サポートに関して、金は出すけど、丁寧なサポートがないということでしょうか。トラブルはありそうだということですが、まずはステージ4.0に位置します。

★慶応義塾大学は、意外でしたが、オンディマンドで対面双方型オンライン授業はしないということのようです。知り合いの大学院生はZoomでやっているので、大学と大学院との差はなんでしょう。これは実は、課題の次元の違いです。大学院は、専門知識やそれを活用した論理的思考は当たり前で、その先の批判的思考や創造的思考の高次思考を活用します。修士論文や博士論文を創り上げることが目標なので当然です。

★そういう意味では、明快に慶応義塾大学のオンライン授業は、ステージ3.0に位置します。オンライン授業準備の補助金も支給されていますが、プラットフォームで配信するだけなので、特別な使い方の説明はなさそうです。

★意外にもといいましたが、実は、知識・理解・論理の思考次元だと、ステージ3.0までで十分だという慶應義塾大学の経済合理性がどうも理に適っているかもしれません。

★個々の講師のITスキルや環境の格差はいろいろあるでしょうが、慶應義塾大学当局のスキルや環境は、東大や早稲田に劣っているわけではありません。議論やゼミをやるのでなければ、大騒ぎしてステージ4.0や5.0をやる必要はないという合理的な考え方でしょう。

★これに対して中高一貫校の中には、ステージ5.0を軽やかに実施している学校があるわけです。

★そのような学校からは、多くの卒業生が海外の大学に行っています。しかも世界大学ランキング200位以内にです。海外の大学は、当然思考次元は批判的思考と創造的思考は大前提です。中高時代にトレーニングしてくることを求めています。そういえば、早稲田や慶応大学は世界大学ランキング200位内にははいっていません。たかがグローバルランキングですが、されどグローバルランキングというのが明らかになりますね。

★今回、小中高大とオンライン授業を行うことによって、実はオンライン授業の通信環境やデバイス環境、スキルの状態などの違いよりも、どこまでの思考次元を学ぶ環境を持っているかという学びの思考次元の違いが明快になったということなのでしょう。

★海外の何がいいかわるいかではなく、どこまで高次思考を学ぶかどうかを日本の教育は議論したほうがよいですね。端的に言うと、海外との思考次元のギャップは放置しておいてよいかということです。

★もはや大学のブランドではなく、思考の次元をみたほうがよいですね。それは小中高のカリキュラムポリシーも同じことが言えます。ポストコロナ時代、今までの知識暗記中心でちょっと論理的思考も学ぶで果たしてよいかどうか。考えればすぐに了解できそうなものですが。

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