ポスト・コロナショック時代の私立学校(73)ノートルダムのオンライン学習 未来はブラックボックスかパンドラの箱か宝箱か? Zoom雑談で③。
★今回のZoom雑談は、実はオンライン茶室でもありました。もちろん、リアルな茶室ではなくて、あくまで知の茶室というメタファーです。ノートルダム学院小学校もノートルダム女学院も茶道が大切にされています。とくに、中高は、この茶室は校舎の中ではなく、キャンパス内の日本庭園の中にあります。
★この庭園と茶室がセットになって、19世紀末以来欧米に日本の文化の象徴としてインパクトを与えています。ソサイエティ5.0のスマートシティはもともとコンパクトシティとかエコシティとか、クリエイティブシティとかの流れですが、その根っこは日本庭園に影響を受けたといわれているイギリスのレッチワースの田園都市です。それ以外にもドイツのユートピア都市などにも日本庭園は影響を与えているといわれています。
★今では、GAFAのマインドフルネスに影響しています。建築家のあのコルビジェの終の棲家も四畳半の茶室の原型の広さにヒントを得ていたと言われていいます。そういえば、松山の正岡子規の書斎も四畳半くらいでしたか。
★そんなわけで、知の庭園と知の茶室をデザインしたわけです。この記事は①と②と③に分かれていますが、①は、いわば庭園内の外路地と内路地と躙り口をくぐるところまでの話です。知の作庭をしたつもりです。
★②では、知の茶室という空間づくりですが、それが上記の知の座標です。茶室というのは、巧妙に仕掛けが組み込まれています。すだれがおちてきて、外の風の音を演出したり、茶釜で湯が沸くボコボコという音によって静けさの響きを演出したり、障子によって光の演出をしたりします。躙り口をくぐりぬけたときに、そこに非日常空間が出現する心の動きを生み出す演出ですね。
★これを建築設計に生かしたのが、フランク・ロイド・ライトです。ライトは日本の茶室やテキスタイルに影響を受けていましたから。精神的には岡倉天心の「茶の本」によってもいます。
★知の茶室空間というのは、知の座標として体現しました。ノートルダムの先生方は、ピラミッド型のタキソノミーの考え方は当たり前になっていますから、三角のイメージを四角のイメージに変換することにしました。ピラミッドの形は、階層構造や氷山モデルに重なるので、座標にして、グルグル眩暈のイメージに変えてみようという仕掛けです。隠れた部分をロゴス化してしまおうということですね。
★先生方はオンライン学習の外部情報や自身のオンラインPBL授業プランを茶菓子や抹茶として持ち込んでくれますから、それを茶器に配置し、意味づけをしたり、茶筅で泡立て変容させる茶室同様、いっぱい知の茶道具を用意しました。それが20のアクティビティタイプ(ATs)と20のパターンランゲージ(PLs)です。
★40個もの視点を用意するなんて多すぎると思われるかもしれません。しかし、茶室というのは多数の茶道具で満ちています。思いつくまま列挙してみますと、「茶碗、釜、炭十能、火起こし、風炉先屏風、柄杓、盆、水指、水注薬缶、茶筅、茶巾、茶器、茶入、棗、抹茶篩、袱紗挟み、帛紗、扇子、香合、掛物、花入・・・・」といtった感じでしょうか。
★ですから、知の茶道具としての視点もたくさんあってもよいのです。いや多い方がよいのです。
★そして、茶室に欠かせないものは、亭主の精神です。この精神が作庭から始まり茶室のデザイン、そして茶道具をそろえるわけです。亭主とは、たとえば、利休だったり、信長だったり、秀吉だったりしたわけですが、ノートルダムでは、マリア・テレジア・ゲルハルティンガー(ノートルダム教育修道女会の創設者)の精神(ガイスト)です。
★そして、茶室の真髄はわびとかさびです。しかし、遠州の作庭や茶室のようにきれいさびもあります。いろいろあります。今回集まったノートルダムの先生方のオンラインPBL授業は、結構派手でずしっともしていますから、きれいさび派でしょうか(笑)。
★しかし、いずれにしても、多様な知の茶道具(デバイス・アプリ・プラットフォーム)を使いながらも一回シンプルに知の世界制作方法論を通過して再び豊穣な学びの世界を生徒と共につくっていくというのが、知の茶室で行われたZoom雑談ミーティングで生まれた対話だったと思います。かくして、デザイン発想は、シンプルに、現実態としての学びは豊かで、生徒の才能が豊穣に花開くという仕掛けづくりが未来への扉を開くヒントになりましょう。欧米の教育から学ぶだけでなく、欧米と日本の教育が互いに学び合うようになっていくでしょう。HTH自身が日本にそう誘っていますよ。私たち及び未来の子供たちは、グローバル世界の中でサイードの論じたオリエンタリズムから解放され、協働インパクトを世界の人びとと生みだせるようになる未来を期待しています。
★知の茶室には、サイードが信奉したグレン・グールドのBachが似合うかもしれません。それを聴きながら知の茶室からチェックアウトしようと思います。おやすみなさい。(了)
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