ポスト・コロナショック時代の私立学校(95)ノートルダム女学院 人間力を育てる思考型教育
★ノートルダム女学院は、3月2日から対面型あるいは双方向型のオンライン授業を行い、Web配信オープンスクールも実施しています。5月30日に再びオープンスクールがWeb配信されます。前回私も視聴させていただきましたが、栗本校長が語るように、いかなる困難に直面しても、臆することなく知恵を出し合い新しい思ったこともない発見や経験を生み出す教育を行っていることが了解できます。5月30日は、さらに新たな内容も加わるでしょうから、ぜひ参加して子供の未来の価値をどのように生み出していくのかいっしょに考えましょう。
★内容もさることながら、スピーカーのプレゼンエーション能力の高さに魅了されます。ノートルダムの世界に巻き込む魅せる力があるなあと感じました。そして、これだけの撮影やシナリオを編集するには、相当打ち合わせやリハーサルを重なていなければできません。広報部を中心とした先生方のチームワークの良さが見え隠れします。
★在校生のメッセージもすてきです。テレビ会議の画面越しの向こうで、多くの在校生がいかに自分の学校に誇りを持っているかを語っていました。共感的コミュニケーション能力が高い学校ですね。
★それから驚いたことに、ウェルカム演奏です。吹奏楽部ではなく、オーケストラクラブの演奏でした。弦楽器も演奏するオーケストラクラブがあるということ自体、中高では非常に珍しいからです。そして、実に癒されます。感動しました。
★広報部副部長の中先生の指揮及び指導が優れているということは、そのあとの中先生によるコースのプレゼンテーションの能力の高さからわかりました。コースの詳しい内容は5月30日の日に聴いていただきたいのですが、なぜそのようなコースなのか、どのように学んでいくのかだけではなく、成果をデータできっちり説明するところもすばらしいなあと。それにしても中3卒業までに英検2級以上が50%もいるなんて、たしなに効果的な教育が行われている証拠でしょう。
★それを受けて広報部部長の小早川先生が、進路実績や入試要項などの話をされましたが、なるほど京大2名をはじめ多くの実績も出るはずです。
★さて、このようなアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマポリシーのストーリーを豊かに表現し、データも提示しながら説明がなされたわけですから、それで十分でしたが、一般には表現されない内容のプレゼンもありました。
★高谷副校長からは、このような目が覚めるような深い教育を行う理由を、時代の要請と未来を見据えた視野でスピーチがありました。ここは、他の説明会でも語られるところではあるのですが、世界と建学の精神と学びが結びつく深い話はなかなかされません。というか、世界と建学の精神と日々の生徒の学びが結びつく話は、普通はできないのです。
★なぜなら、建学の精神を話す経営陣は日々の授業の創意工夫をあまりみていないし、建学の精神の歴史的世界的な意味まで深くリサーチしていないからです。また現場の先生方も微積の問題を通して建学の精神や世界精神を語ることはあまりないでしょう。
★ところが、ノートルダムは経営陣も現場の教師もその接点をいつも対話して視野を広め考えを深めています。
★ですから、ノートルダム教育開発センター長の霜田先生は「人間力を育てる思考型教育」という世界精神と建学の精神と日々の思考型授業のシナジー効果をスピーチしたのです。東大や京大の推薦入試のような正解が1つではないあるいは解なき問題を生徒といっしょにどう考えて生徒がどう成長していくかという学びのシステムをわかりやすく説いたのです。
★一般には、授業の時間数、こんな教材を使っている、補習時間はこれくらいという知識を憶えるためのインフラを話すことが多いですね。量的な勉強の話が中心です。しかし、霜田先生は学びの質、思考の質がどのように生徒の内側から生まれてくるのかその知のシステムを語ったのです。さらにいうと、深い問題を考える時、具体的に各教科と結びついていることをさらりと具体的に説明しています。教科横断という話は抽象的には語られることはありますが、ここまで具体的に話されることはほとんどありません。このようなスピーチができる学校は、実はほとんどないと言っても過言ではありません。
★なぜなら、国際バカロレアのTOKや米国のAPコース、イギリスのAレベルのような世界標準の教育でなければ語る必要がないのです。しかし、ポスト・コロナの時代に入って、日本の教育は変わらなければならないというのは、日々のニュースやメディアの記事をみていて、そして休校中のオンライン授業がなされているなされていないの格差を実際に体験して、身に染みて理解しているのではないでしょうか。
★でも、すぐには変わらないといわれるかもしれません。確かに国や教育行政の制度設計がすぐには変わりません。しかし、日々の授業はいまここですぐに変わることができるのです。ここがノートルダム女学院の真骨頂です。
★授業の質の時代。そう感じている方も実際多いのではないでしょうか。授業の質って何?ノートルダム女学院にヒントがあります。
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