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2020年5月

2020年5月31日 (日)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(116)ノートルダム女学院 Web配信説明会のインパクト!広さと深さ③

★ノートルダム女学院のオープンスクールのサイトには、生徒が大活躍している動画もたくさんあります。

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★前回のオープンスクールの時にも紹介しましたが、オーケストラ部のテレワークコンサート「コロナに負けるな!」は感動的です。オーケストラの響き、つまりストリングスは、物理学者の発想の源泉ですね。アインシュタインもバイオリンはなかなかの名手だったそうです。ストリングス!もちろんあの超弦理論です。

★量子の世界は宇宙の起源に迫る仮説を生み出すのですが、超弦理論も今のところ永遠仮説のようですが、世界が響きで成り立っているなんて物語の世界でも魅力的です。教科横断とか越境とかよくいわれますが、音楽の響きがサイエンスの世界のプロトタイプになるとはすばらしすぎますね。同校にはSTEAMというコースがありますが、まさにアートはサイエンスやテクノロジー、エンジニアリング、マスには欠かせません。

★HTHが、ガーデンニングだというとき、彼らはアートとして、茶の道やZENの心の響きにクリエイティビティを生み出す源泉を見出しているのでしょう。NDには、その響きがあふれています。

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(肖像権の問題があるので、ぼかしました)

★放送局の生徒による、学院紹介がまたすばらしいのです。イエール大学のデモンストレーションビデオさながら、ミュージカル風に編集してあります。歌いながら走りながらダンスをしながら紹介していきます。動画の編集技術も高いですね。彼女たちにとっては、すでにリアルとデジタル上のハイブリッド空間は当たり前の日常だったのですね。

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★生徒会の生徒が、在宅からみたオンライン授業と自分たちの新しい日常生活のドキュメンタリータッチの動画も作成しています。これはNDのオンラインHRやオンライン授業の優秀性を示すとともに、中高生の外出自粛下における貴重な歴史的な資料になるでしょう。

★生徒の自律した学びの新しい経験が見事に展開しています。Web配信オープンスクールは、惜しげもなく教育の豊かさや質を全公開するにはもってこいのメディアミックス戦略であると感じ入りました。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(115)ノートルダム女学院 Web配信説明会のインパクト!広さと深さ②

★ノートルダム女学院は、その説明会で教育の質の豊かさを存分に表現しています。Web配信オープンスクールならではの圧巻の表現です。栗本校長の挨拶は、今回は図書室から眺望できる同校の日本庭園と茶室を紹介するおもてなしから始まりました。毎回Web配信を行っても、栗本校長が紹介するキャンパスは多様な空間なので、毎回変わります。

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★同校ではナレッジカフェというノートルダム(ND)の教育や世界の教育の動向などについて自由に対話する場があります。ND教育開発センター長の霜田先生が、仕事から離れてマスターの役を果たし、先生方を知のもてなしで迎えています。ちょうどオンライン学習に入る直前に、学内でHTHのドキュメンタリー映画<Most likely to succeed>を見て、いろいろな気づきを分かち合っていたところです。

★まさか、自分たちがこれほどハイテクを活用した授業を行うというのはそのときは思ってもいなかったでしょう。そのときは、HTHのボスがエンジニアリングの次はガーデニングなんだと語ったフレーズの意味をかみしめていました。

★シリコンバレーのGAFAが近くにあり、当然その恩恵に浴しているHTHが、ガー^ディニングなんだというとき、もちろん実際にHTHのキャンパスに作庭を持ち込もうと言うわけではありません。それはエンジニアリングにはZENや茶室の精神が結びつくマインドフルネスの発想が必要なんだということでしょう。

★実は、ノートルダムは、その精神に満ちています。栗本校長は、ついこの間までシリコンバレーとノートルダムが結びつくとは思っていなかたtでしょう。しかし、今回のオンラインPBL授業の実施を通して、世界がガラリと変わったと語ります。

★難局に立ち臨む教師と生徒が、いきなりイノベーションを習得して学びを止めない偉業を成し遂げているのです。6月から分散登校が始まりますが、確実に新しい学びの経験が生まれるに違いないし、それが世界が必要とするものであるならば、教師と生徒と保護者と一丸となって挑戦していきますと前向きな姿勢でスピーチをされていました。日本庭園や茶室という伝統が教育イノベーションとどう結びつくのかワクワクしながら視聴していました。

★二人のOGによる校舎探訪という動画もありました。本当に自然豊かな静かなキャンパスですが、PBLルームもあり、伝統と革新の並行進化を感じることができます。それにしても校長もOGです。同校の精神が脈々と麗しく継承されている様子が感動的でした。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(114)ノートルダム女学院 Web配信説明会のインパクト!広さと深さ①

★5月30日(土)、ノートルダム女学院中高は、中学と高校のオープンスクール(学校説明会)をWeb配信で開催しました。同校のオンライン授業進化ステージはすでに4.0以上です。したがって、オンライン学校説明会を行うことはできるのですが、まずはWeb配信説明会からスタートして、徐々にオンラインにシフトしていくのでしょう。

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★というのも、今回Web配信オープンスクールを視聴して、これだけの広範囲の説明、トーク、パフォーマンスは、短い時間のオンラインでは難しいし、深さもあるパーツもあり、これは一般の説明会では難しいからといって、わかりやすさを優先し、さけられるところです。しかし、細かくパーツごとに動画を分けていますから、興味と関心のあるところを参加者が選択すればよいので、逆にノートルダムの全貌の広さと奥行き全部を見せてしまおうという戦略だと思います。

★「本編」「内容別」「特別編」と分かれていて、通してみたい参加者は「本編」を選択してパスワードを入れて視聴することができるし、「内容別」に見ようとすれば、パスワードをいれて、選択して見ることができます。「特別編」は、生徒会、放送局など生徒が中心となって作成した動画がたくさん並んでいます。「特別編」は、パスワードなしで見ることができます。すでに公開されているものもあるからです。

★「内容別」と「特別編」のプログラムを次にご紹介しておきます。Web配信オープンスクールの圧倒的なインパクトを感じます。このオープンスクールのページには、参加を申し込むと入れます。今後もチャンスがあります。ぜひ申し込まれてはいかがでしょう。

≪内容別≫

① 学校長からのご挨拶
学校長・栗本 嘉子 よりご挨拶いたします。

② これからの社会と必要なスキル
これからの社会を生きる生徒たちに必要な「教育」とは…。世界の多くの大学では、正解のない問題を出題しています。それはなぜでしょうか?

③ 本校がめざす「思考型」教育について
なぜ「思考型」の学習をするのでしょうか?ご家族や友達と話し合って「思考型」の問題にチャレンジしてみよう!

④ ノートルダム校舎探訪!
本校の卒業生が校舎を案内します。ノートルダム女学院の校舎を探険しましょう!

⑤ 在校生からのメッセージ
本校在校生(オーケストラクラブ員)にビデオ会議システム「Zoom」で集まっていただきました。在校生からのメッセージをお届けします。

⑥ 学校説明 コース説明
学校の環境・アクセス・3つのコース(STE@M探究コース・グローバル英語コース・プレップ総合コース)についての説明をします。

⑦ 学校説明 入試について
最新(2020年3月卒業生)の進路実績と2021年度入試に向けての説明です。入試までの流れをしっかり確認しましょう!

⑧ 学校紹介 部活・課外レッスン編
本校の卒業生が、クラブ活動や課外レッスンについて説明します。皆さんはどのクラブ活動・課外レッスンに興味がありますか?

⑨ 副校長 あいさつ
副校長・高谷 憲弘 よりご挨拶いたします。

≪特別編≫(本編には含まれない特別映像/パスワードは不要です)

◆ みんなでがんばろう!コロナに負けるな<生徒会作成>
本校高校生徒会の生徒がテレワークで作成した動画です。コロナに負けるな!!

◆ 学校紹介(ソング&ダンス編)<放送局作成>
本校放送局の生徒が作成した学校紹介動画です。生徒の学校生活の様子をご覧ください。

◆ オーケストラクラブ 第24回定期演奏会ダイジェスト
2019年3月21日(祝)に開催いたしました、オーケストラクラブ「第24回定期演奏会」のダイジェスト動画です。2時間の演奏会を約12分にまとめました。

◆ いまスグに友達に話したくなる数学(運動部必見!!)
いまスグに友達に話したくなる数学(運動部必見!!)コピー用紙1枚とペンを用意してご視聴ください。(数学科・北島先生)

◆ はじめてのヨガ
「簡単ヨガ」に挑戦!体の中にある関節をいろいろな方向に動かして全身の血液やエネルギーの流れを良くしていきます。おうちで体を動かしてみましょう! (保健体育科・三井先生)

◆ 学校紹介動画「未来を生きるノートルダム教育」
将来が予測不可能な今では、これまでのように1つの正解を求める教育では対応できません。「未来に生きるノートルダム教育」をお確かめください。

◆ これからの社会と必要なスキル①
これからの社会を生きる生徒たちに必要な「教育」とは…。世界の多くの大学では、正解のない問題を出題しています。それはなぜでしょうか?

◆ 現在のオンライン授業
「休校でも、ノートルダム教育は休まない!」現在、オンラインホームルーム&授業を実施中です。

◆ 「花たより」(女学院に咲く草花)
ノートルダムの校舎を彩る草花たちは、なにも変わらずいつもどおり、綺麗に伸びやかに成長しています。今、ノートルダムに咲く草花と花言葉を味わってください。 

★内容別、特別編とパーツごとにあるので、途中で中断しても大丈夫だし、10分前後のものが多く、さくさく見ることができ、結局全部見てしまうのです。これぞ、ヴィゴツキーの最近接発達領域の広報応用版です!視聴モチベーションがアップします。とにかく、それぞれ実に趣があり。まさにいとおかしなのですから!

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2020年5月30日 (土)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(113)工学院 アップデートするオンライン説明会 ライブ感もいい(補説)

★本日(5月30日)の工学院大学附属中学校のオンライン説明会を見て、いろいろ感想を書きましたが、シンプルに生徒は知性・感性・創造性をどこまで学んでいるのか、オンラインPBL授業の進化ステージのポジショニングはどうなるのか、ぜひ参加された保護者の方も考えみませんか。

★中学入試市場のメガネで見ますから、知性・感性・創造性の観点は、首都圏模試センターの「思考コード」を活用しましょう。晶文社の「中学受験案内」でも活用されているし、その市場の重鎮森上教育研究所の森上代表や教育ジャーナリストのおおたとしまささんも活用したり言及したりしていますから、中学入試市場では市民権を得ているからです。

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★また、オンライン授業進化ステージは、デバイスやアプリを活用する点において、それほど異論はないはずです。IT機器の機能をベースに作りましたから、わかりやすいと思います。

★ただ、課題プリントの問いの深さが、思考コードでいうA軸レベルなのか、B軸レベルなのか、C軸レベルなのかは、わかりにくいのですが、実は、IT機器の機能の活用によって問いの深さがわかるのです。

★たとえば、ドリル型で課題学習の単純なマル付けをして返すだけなら、ステージ1.0や2.0で十分です。わざわざ対面型双方向オンラインPBL授業をやる必要はないのです。

★要約や200字から800字の論述や小論文になると、3.0は必要になります。慶応大学の学部の授業はこのステージです。

★しかし、そうはいっても、対面双方向型オンラインの方が、小論文あたりだと、対話したほうが気づきが多いし、ブレイクアウトルームなどで共同編集をすると、クラス全体の学びのシナジー効果が生まれます。

★東大や早稲田大学はこのステージです。欧米のエスタブリッシュスクールもこのレベルは当然です。

★工学院の場合は、知識の活用も反転授業もエッセイライティングもスピーチも行うということが説明会で語られています。またグローバルプロジェクトのリサーチ、議論、レポートやPPT、スピーチなどのアウトプットもなされていることが説明されています。

★日ごろから、PBL授業をやっているのですが、パンデミックが起きる前は、PBLで大学合格実績が出るのかという学歴社会に加担している見識者も多く、目に見えないがゆえに、余計不安がっていましたが、オンラインPBL授業はその様子が丸見えですから、世界同時的にオンライン授業の質の差が取りざたされてくるので、認めざるを得なくなってきています。

★世界同時的に地球市民みんなが、ドリル型学習でいいのだと思っている人はほとんどいません。この世界リスクを乗り越えるには戦略的思考と創造的思考がカップリングされていないとどうしようもないでしょう。

★人は経験から多くを学びます。今回のパンデミック経験から、ドリル学習がマストだなんて思っているとしたら、およそ学習能力が低いとしかいいようがありません。

★それはともかく、工学院の思考の深さは、A軸思考、B軸思考、C軸思考のすべての軸領域をカバーしていますし、そうするためには、ステージ5.0のオンラインPBL授業を実施しないわけにはいかないのです。

★というわけで、工学院の思考コードのカバー領域は全領域で、オンラインPBL授業進化ステージは5.0です。この段階の学校は、全国で1%もない希少価値かもしれません。

★さて、参加されたみなさんは、どう評価されましたか?本間は甘いという方もいるでしょうし、激しく同意という方もいるでしょうし、すべての教師がそうなのだろうか?などなど疑問は大いに結構です。評価ってそういうものですから。ただ、グローバルプロジェクトの話を聞き逃さなかった方は、どう考えますか?一握りの生徒ではなく、全員があそこまで取り組むのです。教師一人一人の力量は違いがありますが、学内研修もやっています。その話が今回はありませんでしたが、オンラインPBL研修をやったという話がでていました。IT機器の使い方だけではないのですね。

★工学院の思考コードに合わせた学びをするには?どうするかということをやっているわけです。でなければブレイクアウトルームやプラットフォームで日誌や記述のやりとりの技術を研修するひつようないでしょう。

★しかも、非常勤の先生方も行っていて、わらなかったり、トラブルがあれば、それに対応するセンターがプラットフォームにあるというのは、以前私は書きました。それは、同校のサイトで小まめにアップされている「工学院のオンライン」を読めばわかると思います。

★でもねと思うでしょう。そうです。オンラインとリアルでは、私たちはまだまだリアルでないと信頼できないんです。ですから、リアルな説明会がはやくできる状況がくることを祈っています。

★しかしながら、ポストコロナは、そんな信頼をオンラインでもできるようにするにはいかにしたら可能かを追究し続けます。テレワークになってハンコが電子決済になっていくというのは、その兆しですね。

★私たちのIDは、今まで資産価値に計上されてこなかった自分が何をやってきたのか何がでっきるのか、どんな貢献ができるのかまで、計上されるようになり、信頼はトークンやコードでマッチングされる世の中がすぐそこまで来ています。

★そんなこと考える必要あるのだろうか?そう思われるかもしれません。2013年に21世紀型教育の話を保護者にしていたとき、真っ二つにわかれました。そんなと思う方とやはりそうだと思う方と。今では、21世紀型教育はあたり前です。

★さて、みなさんは近未来、そう15年先の話ではないのです。5年先ぐらいの話ですが、その近未来をどう見定めますか?未来脅威論は勘弁してくださいか、未来への希望を実現したいと思うかは、私事の自己決定にお任せします。

★ともあれ、オンライン説明会、Web配信説明会を視聴して、学校選びの評価をする場合、以上の思考コードとオンライン授業進化ステージも加えて複眼思考してみてはいかがですか。受験生の保護者がみなそういう教育の質の視点で見るようになると、私立中学校の教育の質は、みなさまの視点ニーズによって向上します。

★日本の教育を善き状況にするのは、教師も大切ですが、学校選択の意志を持っている受験生・保護者の見識にかかっているといっても過言ではありません。もちろん、大学合格実績は大事です。質のよい教育をやっていて実績がでないということはないのですから。工学院の実績が年々成果をだしているところからもそれは明らかです。でも、質が悪くても実績はでるということは大いにあるのです。実績も質もよい学校、実績はよいが質の悪い学校。さあ、みなさんはどちらを選択しますか?もちろん、どちらでも選択は自由です。私事の自己決定ですから。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(112)工学院 アップデートするオンライン説明会 ライブ感もいい(了)

★チャットに書き込まれている質問に広報部長水川先生が回答する段になって、オンライン授業はどんな様子ですかという質問には、軽やかに中学校の教頭の奥津先生にパスを投げて見せました。このオンラインの自由度の高さを実はアピールしました。このライブ感最高です。

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★この外出自粛で、アスリートやタレントが「ストレッチつなぎ」や「うたつなぎ」、「ダンスつなぎ」などSNS上で話題になっていますから、この水川先生がパスを投げて、奥津先生が受けとめてトライするのはなかなか微笑ましいさりげない仕掛けです。

★奥津先生は、さくさくパワーポイントで工学院のオンラインPBL授業の様子を説明していきましたが、そのPPTの創りこみが工学院の学習する組織の稼働力を巧みにアピールしていたのです。もちろん、学習する組織という言葉こそ言いませんが、教師も生徒も「ビジョン共有」ができていること、「チームワーク」で動いていること、「システム思考」が広がっていること、「個々人のメンタルモデルの相互承認」をしていること、「自己マスタリー」というそれぞれが自律して学びを深めていることが伝わるようにストーリーを展開していきました。

★「ビジョン共有」は、PBLによって、自律してこの力を高めながら社会課題を解決する学びを行い、社会貢献するという校訓(挑戦・創造・貢献)はがっちり共有していることは、平方校長、鐘ヶ江先生と同じ根っこを語っているのでよくよく伝わったことと思います。

★「チームワーク」は、水川先生のパフォーマンスでもすぐに了解できますが、とにかくPBLはチームワークが前提になっていて、3人の演者が活用した写真はみなチームワークのシーンが目白押しでしたし、奥津先生がZoomのブレイクアウトルームを活用する話は、チームワークが前提ですね。それに、奥津先生のPPTは、同校のサイトから拾って編集したものです。

★同校のサイトには、オンライン授業や海外研修をはじめ、いろいろな教育活動がブログに書き込まれていますが、オール工学院で、みんなで書き込んでいます。したがって、更新頻度が高いのですが、その紹介もしつつ語っていきます。

★先生方が書き込んだものは、見てもらうことが実はエンパワメント評価にもなって、勇気づけられます。ここでもチームワークの相乗効果が仕掛けられていますね。

★「システム思考」は、そもそも鐘ヶ江先生の関数方程式思考こそがシステム思考です。そして、実は奥津教頭も数学科教諭で、現代数学のあらゆる事象は最終的には数学的に表現できるのだという最先端の思考の持ち主です。

★だいたいオンライン授業のシステムそのものがシステム思考でできています。奥津先生が、オンラインHRで、生徒が日誌をポートフォリオ的にデジタル化する方法を提案して、それを使っているという話をしたときに、生徒もシステム思考を活用しているというのが了解できました。

★「個々のメンタルモデル」は、なかなか共有しにくい。センシティブな側面ですね。でもオープンになって互いに言動の特徴を了解できると、チームワークの相乗効果がものすごいことになります。それができるのは、オンラインHRやオンライン面談などが小まめに行われているからだし、そうならないと学校全体のGrowth Mindsetはなかなか難しいのですが、そこを工学院は突破しています。共感的コミュニケーションの土壌がものをいうということもありますね。

★「自己マスタリー」は、どんどん自律分散協働系で教師も生徒も学んでいくわけですが、グローバルプロジェクトについてそれぞれが探究し、互いの成果を持ち寄って一つにしていくプロジェックトの動きを奥津先生が語ったときにピンときました。

★工学院の先生方はオンライン授業で多様なデバイスやアプリ、動画を使いこなします。しかし、オンライン学校説明会では話術やパフォーマンスのナチュラルなライブ感を大切にしています。

★実は、オンライン授業の行き着く頂点は、ナチュラルな対話なのです。まるで、ZENの行き着く十牛図の最終ステージのようですね。ここにいたってマインドフルネスは広がります。シリコンバレーのGAFAが欲しくてたまらないものです。工学院は、HTHのようにエンジニアリングの次に到達していると感じました。

★そうそう、6月から分散登校で、ハイブリッド時空の授業が開始します。また新たなフェーズが開きます。次回のオンライン説明会では、ここの最新情報にも触れられるでしょう。日々アップデートする工学院のオンライン学校説明会なのです。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(111)工学院 アップデートするオンライン説明会 ライブ感もいい②

★それまで、ゆったりと落ち着いた感じで司会を演じていた鐘ヶ江先生。平方先生とトーンのコントラストがあって、視聴者は少しホッとする瞬間を持てたと思うや、今度は進路指導部主任としてグローバル高大接続教育について語りますとギアチェンジしました。そして、司会の時とは打って変わって2倍速の速さで話していきます。

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★田中歩教務主任から、メッセンジャーメールで、「少し早口っすかねー」と。「いや、オンラインは2倍速も織り込むと視聴者は飽きないですよーっ」と返しました。二人でモニタリングやっているみたいな感じでしたが、考えてみれば、研修でいっしょにファシリテーターやる時、瞬足対話やりながら展開していくので、それがメッセンジャーになっただけでした。

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★それにしても、さすがは数学の教師でもあります。実にミクロとマクロ、つまり微分と積分のスイッチの切り替えが巧みでした。分割と統合は数学的思考の基礎です。中学から高校までの様々な教育活動を微分化して積み上げていくと積分が完成し、国内外に限らず、自分を突き抜ける(学歴という他人の評価を気にしないという意味)進学を実現するというスピーチでした。

★心憎いのは、横浜市立大学医学部医学科に合格した齋藤くんのエピソードをさりげなく添えたことです。教育や進路ガイダンスも一律指導をするのではなく、1人ひとりにあった個別最適化の自由度が高い指導だったので、自分で考え自分で行動できるようになったと思うとか、附属高校なのに、進路先の選択肢は広く、選択の意志決定は自分の決断であることがモチベーションがあがったとか、それゆえ、患者さんや家族の方の心に寄り添える医者になりたいのだという話は感動を誘(いざな)います。

★もちろん、海外大学に合格した卒業生の話もさりげなく。このパンデミックでどうなるかわからないけれど、そういうときに世界に立ち臨む生徒にエールも送る教師の眼差しにはグッときます。

★それにしても、鐘ヶ江先生の数学的思考は絶好調でした。もちろん、難しい数学的思考を振りまわすことはありませんが、多様なPBLの授業や国内外でのPBLの発展的教育活動を、丁寧に話しつつも、それはまるで関数方程式の一格子点で、それを統合する関数方程式を完成させたという話だったのです。

★国内外の起業家活動も、海外研修も、3か月留学も、ラウンドスクエアの交流も、Fabラボコンテストも、STEAM国際コンテストも、国連での平和提案スピーチも、一つ一つグラフの格子点で、それを全部包括する関数方程式が「グローバル・プロジェクト」なのだと。

★生徒自身が思考コードでルーブリック評価をつくり、チームでプロジェジェクトを遂行していく。地域の問題にグローバル視点の社会課題を結び付け、地域の課題を解決することが世界を救うことになる視点を見出すプロジェクト。工学院の教育の集大成だし、なんといってもこれを有志ではなく、全員が体験するのだと。ここがポイントです。コースは才能ごとに分かれていますが、もっとも大事な教育は公平にみなが実践し、互いに高め合っていくのです。

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★齋藤くんが前述したように、形式的平等ではなく、個別最適化なんだけれど、公平性は重要視されているわけです。個人の能力と公平性はときに葛藤を起こしますが、そこは工学院です。そんなとき教師と生徒の共感的コミュニケーションが発動します。

★大規模校で、他の学校の数倍もの国内外の経験を積む学校です。クルト・ハーンは、予定調和な校外学習などしても意味がない。ギリギリの限界に挑戦できる体験を大切にする学校がラウンドスクエア加盟校だというのです。もちろん、それにはその限界線に教師も共に立ち臨み、限界を共に超えるタフネスが必要です。

★このグローバル・プロジェクト第一期生は現高3で、学年主任は鐘ヶ江先生です。進路指導主任でもあります。現地に何度も足を運び、すばらしいプロジェクトを現地の人とエージェントとそして生徒と三位一体となってデザインして達成したわけです。

★その高3生が、今度は大学進学へ挑戦します。齋藤くんのような多くの先輩にその精神を学び、飛んでいくのでしょう。その環境設定のリーダーが女性の鐘ヶ江先生です。

★パンデミックを柔軟かつ断固たる決意で対応した国のリーダーの多くが女性だったということは、今や世界同時的に知られていることです。鐘ヶ江先生にその姿を重ねたのは私だけでしょうか。そういえば、あのメルケル首相も、理系出身者でした。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(110)工学院 アップデートするオンライン説明会 ライブ感もいい①

★本日14時から工学院大学附属中学のオンライン学校説明会が開催されました。14:03に田中歩教務主任から説明会始めていますとメッセンジャーメールが入りました。前回視聴したので、今回はいいかなあと思っていました。朝、京都の学校がWeb配信学校説明会を視聴してよ~とメールがはいっていたので、ちょっとズレましたがそちらを視聴しながらフィードバックをまとめていました。あまりにおもしろいので、用意されていた動画(選択方式でたくさんあるのです)を全部見ようと思い(何せWeb配信なので時間的にはゆとりがあります)、いったんランチにしようと、テレワーク70%で、だいぶ体重も増えたため、麻婆豆腐をつくっていました。妻も今はサイバーアーティストなので、たまの土曜日、私がなんて思っていたところです。

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★気づいたのは、14:08。田中歩教務主任とは、2014年に工学院が21世紀型教育を開始した時から、ともにPBLやグローバル教育、STEAM教育、思考コードなどの開発をしてきた仲ですから、前回と全く同じだとメッセージを投げてこないはずとすぐに思い返し、ウェビナー参加しました。今までだと八王子まで飛んでいくのは無理でしたが、ああこれもオンライン時代の新しい日常だなあと思いながらサイバー時空に入り込みました。

★すでに平方校長の熱いキーノートスピーチが始まっていました。校長の話は普遍的な話だから前回と同じだろうと思っていましたが、エッ!たしかに変わらない部分もありましたが、さらにグローバルオンライン教育の話が強烈に語られていました。そして次回詳しく話しますがとラウンドスクエアの教育システムの予告をしたのです。

★さすがだと思いました。というのも、今回のパンダミックは第二次世界大戦以上の世界リスクだという議論もされているくらいです。ラウンドスクエアというのは、その戦後の新しい教育をIB(国際バカロレア)という形でつくったクルト・ハーンが主宰の世界の体験重視のエスタブリッシュな私立学校のコミュニティです。日本では八雲学園と玉川学園と工学院はその認定校です。候補校では啓明学園ですね。いずれもグローバル教育が半端ない学校です。

★ラウンドスクエアというのは、世界では高根の花です。世界では東大など日本の大学の価値は特に突出しているわけではないので、そこを頂点とする学歴社会教育は眼中にありません。もっと本質的なことが重要なのです。クルト・ハーンはユダヤ系ドイツ人の偉大なる教育者で、当然、彼の学校はナチスに従うか廃校になるか抑圧され、彼自身の身が危ないところを、友人のエディンバラ公などイギリス政府に助けられました。そして、イギリスでIBの一号店であるアトランティックカレッジを設立して、世界の教育を救う偉業を果たします。

★そのミッションは、凄まじいものであることは想像に難くありません。そして、クルト・ハーンはIBは公立も私立も問わないし、教育というよりプログラムです。ですから、ナチス時代のことを想い、完璧に自由を確保し、高邁なミッションを実現できる私立学校に注目してラウンドスクエアを創りました。

★ラディカルな平方校長はクルト・ハーンとその想いはシンクロしていたのだと思います。あるいは、時同じくしてイギリスに亡命して対独抗戦を続けていたド・ゴールがBBCラジオ放送で、ナチスと組むヴィシー政権へ抵抗することをフランス国民に呼びかけたときと同じ精神性を持ってリモート学校説明会を行っていたのかもしれません。すごいです。

★このライブ感は、Web配信では、なかなか得難いなあと思って、参加できたことをありがたいと思いました。しかし、このライブ感まだまだ後があったのです。やるな工学院!

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2021年の入試(05)思考コード~自分の才能に気づき突き抜ける自分を見い出す 中学入試の新動向のカギを首都模試センターが握る

★ポストコロナという表現がふさわしい動きを首都圏模試センターはしています。緊急事態宣言によって全国の学校が一斉休校になりました。私立公立合わせて全体の30%くらいしか対面型双方向オンライン授業は実施できていなかったかもしれません。しかし、解除になったといえども、第2波第3波に備えて各自治体はなんらかのオンライン授業は行うでしょうし、国のGIGAスクール構想も実施が早まるでしょう。リアルな授業オンライン授業のハイブリッド授業となるのは避けられないでしょう。

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(思考コードという複眼思考を導く深い問いを自分でつくる方法を首都模試は動画で配信!カレーを自分で創りながら、問いを創てみましょう!そのあとでカレーを社会課題に置き換えてみてください。社会問題を解決する地球市民エージェントになれます!)

★これはアフターコロナ、ウィズコロナという流れで極めて重要です。首都模試も同様の動きはします。ただ、すでに久しい前から思考コードという多次元ルーブリックを活用し、新タイプ入試の新中学入試市場を創出支援をしてきたために、ここにきて、そのブレイクスルーが生まれています。つまり、学びにおけるパラダイムシフトを生み出しているのです。

★5月に実施された「合判模試」は自宅で受験でしたが、そのときに首都圏の私立中高一貫校100校が集結する「おうちdeオンライン説明会・相談会」も同時開催しました。昨日、参加された学校の先生方と首都模試メンバーがオンライン振り返りを実施し、さらにこのオンライン説明会・相談会をアップデートしようとミーティングをしました。私立中高一貫校の集合知を首都模試がサポートし、新しい中学入試の竜巻が生まれようとしています。

★首都圏模試センターの中学入試情報機能の新たな役割の輪郭が出現してきたといえます。

★そして、一方で中学入試というのは、やはり人間力を創り出す知性と感性と創造性の準備も大切です。私立中高一貫校でその人間力を養うために準備をするのですが、かつてのように、知識をどれだけ憶えているかという準備だけではなく、知性・感性・創造性を鍛えてくることを要請される適性検査型や思考力型、自己表現力型、テクノロジースキル型などの新タイプ入試も行われるようになりました。

★学力とみなされる考え方が大きくなったわけです。知識を含む知性・感性・創造性となったということです。この新しい学力の重要性を広めているのが首都圏模試センターの教務陣でもあります。今回それを動画でわかりやすく説いているのですが、その意義はとても価値ある表現へ収斂しています。ぜひご覧いただきその意義を味わってほしいですね。

★ともあれ、知識の量とその効率的使い方だけを測る指標だけではなく、それも含めた多次元の評価指標が必要になりました。そして、大事なことはその指標=思考コードを生徒も使えるようになるというコトなのです。ここを首都模試の思考コードの動画は指摘しています。

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★思考コードを生徒が自ら使えるようになると、あらゆる体験・経験・現象を多角的視点で複眼思考ができるようになります。私立中高一貫校はそういう柔らかくて強いそしてそのためには共感という感性が必要なのですが、そういったIQ×EQの総合的な資質能力の素養を見はじめたのです。

★そして、今回のCOVID-19の世界リスクという体験をしたパンデミック世代の子供たちは、このIQ×EQの資質能力がますます重要だということを共有してしまったわけです。

★このような事態、つまり世界リスクは遠い国の話ではなく、身近な自分たちの問題であることを(自分事とか当事者意識とかいろいろ表現はあります)体験し、それを乗り越える知性・感性・創造性を身につけるにはいかにしたら可能かが、入試においても重要な問題となって浮上してきます。

★この手立ては、しかし、子供たち一人一人の内側から湧き出てこなくては自分たちの問題だとか自分事だとか当事者意識だとかにはなりません。それは対話や議論や創造的タスクを行うことによって気づきが生まれるのですが、それは一握りの子供だし、多くは外発的モチベーションがそのとき生まれ、持続可能にならないのです。

★内発的モチベーションにシフトし、常にあらゆる現象に臨むときに多角的に複眼思考ができるようになるには、思考コードで問いを創るトレーニングをしておくのはおススメです。

★では、どうするのか、首都模試の動画をぜひご覧ください。カレーのレシピで思考コードを説明しています。身近なカレー料理。外出自粛で子ども自身もカレーをつくることに挑戦している場合も多いでしょう。その身近な生活の中で深い問いを思いめぐらすことが可能なのです。このカレー作りと思考コードの体験はとても重要です。

★経験は思考を創るからです。そしてその生まれ出た思考システムは他の現象や経験にも応用が利きます。それが社会課題なのか入試問題なのか変わりはないのです。ぜひ思考コードを自分の知性・感性・創造性の生成マップにしてください。

★そして、思考コードで学校選択を考えるようになると、一気呵成に入試市場は豊かなものになります。学歴社会の崩れる音が聞こえ、その向こうにwell-beingをみんなで生み出していく新しい社会が出現するのが見えるはずです。

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2020年5月29日 (金)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(109)聖パウロ学園 戦略的コミュニケーションと学習する組織とMFOと5Cとパウロの森

★6月から聖パウロ学園も分散登校になりますが、これはまた新たな挑戦にもなります。昨日から分散登校に向け、話し合いやCOVID-19の感染防止策、ノー3密時空の設定のために在宅から学校に訪れる先生方も多くいました。今では、会議もZoomで行われていますから、行動を起こす時、柔軟にリアルな時空とサイバーな時空の両方が動きながら進んでいます。

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★そんな分散登校ヘ向けての準備の合間にも、オンラインPBL授業やオンライン面談も同時に行われているシーンは、やはり今までにないシーンでした。この3か月、聖パウロ学園の教職員、生徒、保護者が一丸となってオンライン授業の模索をしてきました、見事にその進化ステージは5.0に到達しました。もちろん、生徒の発達段階や単元に応じてステージ3.0~5.0はミックスされています。しかし、オンライン対面、同期型学習、非同期型学習のコンビネーションはすべてのオンライン授業で共有されています。

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★高2のキャリアガイダンスも行われていました。先生方が、国際総合系、学際系、医療・介護系、家政学系、理数系などの学問のタイプを分担し、生徒が自分の進路に関係のあるバーチャル進路相談室を訪れるというスタイルでした。

★普段は大学のオープン・キャンパスや外部の講演者を招いてのイベントが目をひくのですが、実は同校はAO入試や指定校推薦入試に挑戦する生徒も多いので、先生方1人ひとりが、相当大学の学問事情に精通しています。

★生徒の興味と関心、社会や学問の最前線の話題、何より生徒の志について対話しながら、キャリアガイダンスを展開していきます。パンデミック世代だからこそ感じる志を受けとめ、生徒1人ひとりの社会への貢献する気概に火がともっていく瞬間を先生方は静かに感じながら進めていました。ちょっと前までのダンスやストレッチでダイナミックに動いていた渡辺先生も、キャリアガイダンスでは静かに遠くを生徒といっしょに見つめながら対話をしている様子をみて、切り替え力に感動しましたが、こんな姿はオンラインだから見ることができたのかもしれません。

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★理事長・学園長の高橋博先生も分散登校への準備の会議を仕切るために訪れていましたが、先生方のオンライン授業の様子も見て回っていました。一般に、理事長・学園長ともなると現場に降りてくることはあまりないのですが、高橋先生は現場の先生方と授業についてよく対話しています。

★ご自身も執筆したり、世界を巡りながら最先端の教育をリサーチしたりしていますから、そのスケールはかなり大きいのですが、その一方で授業という現場もしっかり見定め、世界と教育現場をつなげる言動には頭が下がります。

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★高橋先生自身、オンラインでの表現者として、動画とスピーチをミックスさせて発信をするし、Zoomも使いこなします。したがって、すぐに近未来の教育の新構想に想いを馳せ、先生方と話し合ったり、同じ支部の工学院の校長平方先生とも意見交換をして、猛スピードで新しい教育の日常への対応に動いています。

★理事会の長として、管理職や事務局スタッフと戦略的コミュニケーションをしながら組織運営するとともに、同時に教師、生徒、保護者が学習する組織に成長するような環境づくりもしているわけです。

★そして、MFO(隣人愛)というカトリック精神を共有し、5つのC(コミュニエーション、コンパッション、コミュニケーション、コラボレーション、コントリビューション)のアクションを学校全体で大切にしています。高橋先生自身、この精神とアクションの体現者です。私学人としてのリーダーシップを発揮しているわけです。難局を乗り越える時、強く柔らかい精神と最先端の教養を持っていることは大事です。

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★ふだんは、先生方は連続する授業と生徒と共にしているので、気軽に話しかけることができませんが、オンラインの時には、生徒が非同期で学んでいる時間がありますから、その瞬間瞬間にいつもよりは対話する時間があります。

★国語科の小島崇先生とafterオンライン授業の話をすると、やはりハイブリッドスペースと同期と非同期のミックスの有効性について語ってくれました。また、パンデミック世代とは新しい教養や哲学が必要だと感じているし、オンラインでやりとりをしながら、生徒自身が内省する時間も多く、考えることの大切さを今まで以上に感じ始めているのを実感しているということでした。

★そして、それは現代文という授業の中で、ハイブリッド時空及び同期・非同期をミックスする環境を設定して創れるのではないかというアイデアも膨らんでいました。

★サイエンスの吉留先生とも対話ができました。まるで超人気ユーチューバーのような存在で、生徒に大人気のオンライン教師でもあります。オンライン授業なんてあと15年くらいたたないと無理かなあと思っていましたが、3か月で世界が一変しましたと。反転授業や同期・非同期のミックスを組み合わせた巧みなオンライン授業を行っているのですが、その根底にはゲーミフィケーションの応用があるようです。

★オンライン授業をRPGに見立てて、細かいステップごとに生徒が成長していく仕掛けを構築しています。RPGの世界は、キャラクターがステージアップするのに何度もやり直せるということと時間意識、スコア意識、即時感などを織り交ぜるそうです。動画もところどころ2倍速にするなどファンタージを組み込む物語のような編集もするのだと。

★一方で、数学の松本先生は、多様なデバイスやアプリも活用しますが、高3のスーパー数学チームはゼミナール形式になるので、実はZoomの対話機能だけで十分なのですと。最終的にはこのシンプルなオンライン対話授業に行き着く体験は、生徒の成長の段階を見える化できる感覚なのですと。

★エマーソンやソローは、森の生活の中で生まれる清浄な感情とあふれでる教養に基づいた発想を大切にしました。100年以上前のハーバード大学の賢者の発想が、オンライン授業を経験したパウロの森で、どうやら新たななカタチになりそうです。

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2020年5月28日 (木)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(108)聖パウロ学園 オンラインダンス授業が熱い!

★緊急事態宣言が解除されて、聖パウロ学園も6月からは分散登校とオンライン自宅学習のハイブリッド授業に移行し、第2波の様子を見ながら、徐々にリアルな授業に軸をおいていくと思います。そういう意味では、この3週間の同校体育科のオンラインダンス授業は、後から振り返れば、おそらくパンデミック世代にとって良き思い出づくりとなったでしょう。特に高3はそうでしょう。

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★1人ひとりのダンスが、画面上では、ともにダイナミックなダンスチームとしてインパクトを与えるプロジェクト。最初は、まったくバラバラだし、1人ひとりの持っているデバイスの状況によって、リモートがゆえの音や動きのズレがうまれたりして果たして達成できるのか不安もありました。

★しかし、勝俣先生の励ましとなぜこのようなプロジェクトを行うのか意義を語る姿に、生徒はそれぞれの画面越しに勇気をふりしぼり練習をしました。廣瀬先生の細部にわたる指導と勝俣先生の1人ひとり細かい動きや表情を見逃さないモニタリングの眼差しで、互いの動きが合って来たのです。

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★情熱的なダンスに加え美しく踊るには、それぞれの筋肉の状態を調整する必要もあります。渡辺先生のそれぞれの筋肉づくりのストレッチ体操も細やかな指導です。

★さらに、3人の先生方は、Meetで1人ひとり表情をみながらいろいろな角度から面談を行ってメンタルトレーニングも丁寧に行っていました。

★そして、生徒はついにやり遂げたのです。この達成感にいたるまでの1つひとつのステップを教師と生徒、教師同士と生徒同士のコミュニケーションは、長引く外出自粛におけるメンタルとフィジカルのケアにもなったでしょう。また、協力することの大切さを改めて互いに感じたことでしょう。

★なにより、生徒は、自己肯定感を生み出しそれを持続可能にする学びを大切にする聖パウロの方法や意味を身に染みて感じたに違いありません。

★オンラインダンス授業の体験を通して、より一層リアルに対面できる6月がますます待ち遠しくなったというのが大方の生徒の正直な気持ちだと思います。それにしても、聖パウロ学園の体育科の教師のメンタルトレーナーの一面を見えることができ、教師の役割の奥深さに感動しました。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(22)学校の組織が変容する可能性あり

★昨日、1800人くらいウェビナーが参加しているZoomセミナーに参加しました。3部まであって、参加したのは第1部だけでしたが、公立学校の組織の雰囲気が変わるかもしれないと感じました。

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★登壇者は小学校の教師とNPO運営者でしたが、公立学校のピラミッド型組織をきちんと意識し、提案をしていくことによって、オンライン授業を勝ち取って行ったケースを話されていました。3人の登壇者の語っていたピラミッドの層をみな総合していみると上記のような図になるでしょうか。

★私立学校の組織の図は、オンライン授業進化ステージ4.0以上を実施ているケースのイメージです。私立学校も、ピラミッド型組織だし、現場の先生方の提案型というケースもあります。

★しかし、ピラミッドといっても、理事長や校長次第というところが多く、経営と教育の両方を戦略的に運営しようという場合、現場は学習する組織になるプロジェクト型の環境をマインドセットします。

★こうして、オンライン授業を行っている公立学校と私立学校を比べると、自由度の違いはありますが、チャンレジできる可能性が両方ともにあるということが確認できました。

★提案している教師のプロフィールをみると、多様な外部ネットワークを国内外に有しているという意味では、そうでない場合とでは、やはり自由度に差があるかなとは思います。

★私立学校で学習する組織を創っているところは、一握りの教師だけではなく、多くの教師が外部研修に参加したり、外部ネットワークを有しています。

★大きな違いは、公立はあくまで文科省の意向通りです。私立学校は文科省をリスペクトはしますが、グローバル市民として学校全体で活動できます。ここに根本的な自由度の違いがあるかもしれません。

★しかし、問題は、塾と保護者と生徒と教務の位置づけは、学校によって違うということです。生徒中心主義か教師中心主義化、保護者ニーズを重視するかどうかなどで、学校の組織運営は変わります。

★それから教務の位置づけが意外と重要です。教務の力を学校全体として重視すると、同じオンラインPBL授業進化ステージ4.0以上でも、問いの作り方や思考コード(ルーブリック)、思考スキルなどの研究が深まります。この教務の質の部分はなかなか見えないし、複雑でわかりやすいものではありませんから、管理職や理事会などは、理解ができない場合があります。

★また、かつては、保護者もそこは重視しませんから、学校の特色を語る場合に、そこはスルーしがちでした。

★しかしながら、今回のパンデミックで、保護者は教育の重要性に改めて気づきました。なかでもドリル型課題だけの学びに疑問をもち、それ以上の深い問いを対話形式で学ぶ機会が重要なのだという意識が高くなったと思います。それは、各種メディアのリサーチでも明らかになってきています。

★そういう意味では、学校の組織の中での教務の位置づけは重視されていくでしょう。

★9月入学のような大きな制度設計の変更はそう簡単ではありませんが、個々の学校組織の変容は、制度変更をしなくても、公立も私立も、制度上自由度の差はあるけれども、動き出す可能性は大いにあると感じるこの頃です。とはいえ、この動きがafterコロナで収ますのか、ポストコロナとして発展するのかは、予測不能です。

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2020年5月27日 (水)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(107)三田国際 オンラインPBL授業も順調に高い次元で展開。

★本間さん、三田国際のオンライン授業はどうですかとGLICC(私もハイブリッド時空のクリエイティブ講座言語編のデザインのジェネレーターをさせていただいています)の保護者から問われました。

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(写真は同校サイトから)

★保護者とは、思考コードと思考スキルは共有しているので、C軸の問いも行っているし、思考スキルも言うまでもなく使っていますよと。保護者は、すぐに「理科のオンラインの様子が書かれていましたが、たしかに比較のスキルとか使っているということがわかります。」

★それに、日本経済新聞に載っていた記事をお読みになればC軸のフカイイ問いに生徒がチャレンジしているのもおわかりでしょうと尋ねると、「はい、Zoomの授業が連続するのではなく、間にじっくり考える時間が設けられているので、そこで正解のない問題に取り組んでいるのですね」と。

★そうですね。三田国際の記事は、さりげないけれど、思考コードとか思考スキルを知っている保護者は、その記事をきちんと読解しています。時間割の背景にある、生徒の思考の取り組みの広がりや深さが読み取れるわけですね。

★そういう意味では、最小限度の情報で、ダイナミックな学びの存在を見える化している広報戦略はさすがだなと、保護者とのやりとりで改めて感じ入りました。

★それにしても、最近では、思考コードとか思考スキルとかについて保護者が了解しています。これは、画期的です。学校選びの時、この思考コード×思考スキルのメガネを通して品定めをするのです。

★だから、オンライン授業の進化ステージの意味を保護者は鋭く見抜きます。最終的にはオンライン進化ステージ5.0に到達しているかどうか、そしてそこではPBLが必然的に行われているので、PBLのクオリティが問われるわけです。システム思考が大車輪のように回転する授業かどうかということでしょう。

★世の大人は子供をなめてはいけません。知識を広げ深く考えることは、子供は大好きです。いい加減ドリル型授業だけやるのはやめましょう。やりかたによっては、休校中に学びを止めないどころか、学習指導要領の項目の学びが不足にならないようにするどころか、もっと広く深く考え、指導要領の項目以上の横断的な学びができるのですから。

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2021年の入試(04)中学入試の新動向が未来の教育モデルになるわけ

★朝日新聞(2020年5月27日 5時00分)は、「9月入学見送りを政府に提言へ 自民党ワーキングチーム」という記事を掲載しました。また、北九州市は、「市長メッセージ(5月26日・改めて「5つの行動目標」の徹底を)」を掲載しました。

★この2つは、一見関係ないように見えますが、教育現場では、教育制度設計の将来的な話といまここで学びの機会を止めないためにはどうするかという話で極めて重要です。

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★この未来の話といまここでの話を、メディアや現場ではいろいろ議論があるみたいですが、今の制度の枠内で身動きがとりにくい公立学校とある程度自由度が高い私立学校とでは動きが違います。私立学校はお金持ちの子弟が行く学校だからできるんだとみなさずに、自由度が高い分、ある方向性を見出せる実践的な機会がそこにあるとみなして、中室牧子教授(慶応義塾大学総合政策学部教授)のように科学的に調べていくことが大切です。

★9月入学は、現状のコロナ禍で学びの機会を奪われている子供たちのための特例措置としての政策論議から100年後の国の教育の枠組みを形作る制度変更を議論する話が混在していて、なかなかわかりにくい問題です。

★こういうときは外出自粛のおり、私立学校は、学びを先延ばしにすることなく、粛々とオンライン授業をスタートしています。「粛」の意味が、したくても何もできないという意味なのか、新しいことを動きながら冷静に考えていくのかという意味なのかでは、大きな開きがあります。概ね私立学校は、いまここで、できるだけ普段の授業で行っていることができるようにオンライン授業を日々進化させています。

★私立学校によって、その進化ステージの位置づけは違います。東大や早稲田大学、ICUのようにステージ4.0に到達している私立中高一貫校は、首都圏でも10%くらいですが、慶應義塾大学のようにステージ3.0までは、どの私立中高一貫校も実施しているでしょう。

★実は、私立中高一貫校は、私学助成金をもらいながらも、半分以上は学費に頼っていますから、経営も考えなくてはなりません。ですから、今回のパンデミックに対する外出自粛というPRC検査や抗体検査が追いつかなくて医療現場や介護現場に高ストレスをかけている現状を救済するための外出自粛の重要性と経済ダメージのジレンマを引き受けています。

★したがって、科学的出動がなかなかできない制度設計・運営に対し、今目の前の子供たちの命と学びの権利を守るために、遠くの制度設計変更の話より、いまここでオンライン授業を行うことを最優先にしているのです。

★そして、この教育出動は、北九州市が、緊急事態宣言解除が出されたときに、はやくも第2波の兆候に機敏に動いたことに象徴されるように、外出自粛の緩急が続くことを想定してなされています。ポストコロナ、アフターコロナ、withコロナということばのうち、withコロナということばを私立中高一貫校が使う率が多いのは、そういうことです。

★かくして、この教育出動は、いまここで柔軟に対応できる出動なのです。中室教授のいう、経済学的に不経済な対応策は私立学校は資金が十全でないのでできません。ぎりぎりの中で教育出動をしなくてはなりません。

★そのためには、何をするのかというと、時間概念を変えることなのです。制度変更は現状コスパが悪いのですが、時間概念の変更はコスパは実にいいのです。それは、制度設計の話は、リニアな物理的な時間で組み立てられるのですが、円環的な内的時間では、制度の欠点を補完します。もともとリアルな時空での私立中高一貫校の授業は、高1くらいで中高の学習指導要領の内容を収めています。したがって、1時間かけて行わなければならないことも、内的時間では0.67時間くらいでできてしまいます。

★これが、オンライン授業のステージ4.0以上になると、0.4時間くらいでできてしまいます。したがって、ステージ4.0以上の学校は残りの時間で視野を広め世界を深める学びを行うことができます。

★これを最近先生方と「T字型(横線が広めるイメージで、縦線が深めるイメージ)学び」と読んでいます。慶応大学の井庭崇教授のランニングパタンのうちの1つのパターンランゲージなのですが、とても気に入っているのです。

★このT字型学びの構えは、内的時間での話です。中室教授も、このような学びにエールを送ることは経済学的視点からも内発的モチベーションはあがるのだと。リニアな時間だとにんじんをぶらさげる外発的モチベーションになりがちで、これは経済的な意味でも一定以上しか効果はないのだと。

★PRC検査や抗体検査及びワクチン開発が世に広まるまで、外出自粛の緩急の山谷は続くのは、北九州市の例でも明らかです。分散登校とオンライン学習、つまりリアルな学習とサイバー上の学習のハイブリッド時空教育時代がやってきています。

★このハイブリッド教育時代は、withコロナのあとも続きます。時間概念が変わることによる今までの社会システムは大きく変わります。クロノス中心だった時代からカイロス中心の時代というパラダイムシフトが実は、私立中高一貫校のいまここでの教育出動で起きています。

★この発想はクロノスというリニアな時間で考えると理解することができません。いまここに未来があるという発想はカイロス概念そのものだからです。時間概念が変わるということは、ものごとの関係やスケージュールの立て方が、一次関数から多次元関数に変わるということです。

★ですから、評価も開成がとりあえず、夏までは形成的評価に切り替えるという話(伝聞ですが)は多次元関数評価を活用するということを示唆しています。

★開成はとりあえずということのようですが、外出自粛の緩急がこれからも起こり、ハイブリッド時空教育になることを想定すれば、形成的評価という多次元関数の発想で評価することになるでしょう。

★この形成的評価はグローバルスタンダードですから、9月入学の議論でも極めて重要な話です。しかしながら、評価1つをとっても、とてもグローバルスタンダードに、日本全体が動くことは考えにくいですね。

★ただ、オンライン授業進化ステージ4.0以上の動きをしたのは、偏差値に関係なく動きました。静岡聖光学院、聖学院、工学院、和洋九段女子ははやかったですね。新渡戸文化、横浜創英、品川翔英、八雲学園も次々と教育出動しました。そして、偏差値と大学合格実績を重視していた教育業界の重鎮の方々を驚かせたのは、筑波大駒場と開成がそのステージで動いたことでした。

★現段階でオンライン授業進化ステージ4.0以上の私立学校の特徴は、海外大学まで進学準備教育の射程を広げているということです。開成の今年の海外大学進学の数は例年の倍になっているほどです。聖学院や工学院も海外大学の実績は負けていないのです。東大はまあ開成には歯が立っていませんが(微笑み)。

★そして、これらの学校は、世界同時的パンデミックに海外の姉妹校や大学も苦しんでいる痛みを共有しています。9月入学が実は問題でないことはすでに知っています。オンラインですでにつながって教師や生徒もグローバルな範囲で議論しはじめています。

★交流や生徒募集に関しても、ダイレクトに話し合いながら相互意思決定をしていきます。制度がどうあれ、子供にとって最適の環境をつくるのに共創していく構えが広まっています。この流れは、グローバル教育出動コミュニティとして成長するでしょう。そして、すでにこのグローバル級育出動コミュニティのカギを握っているのは、ラウンドスクエア加盟校八雲学園です。

★戦争やテロやパンデミックの防止に国家機能というかある意味大きな政府の役割が見直されています。たしかに、効果を出した国家もあります。しかし、物事にはリスクはつきものです。あのワイマールの悪夢を再来させないためにも、それとは違う路線のコミュニティが必要ですが、オンラインはそのコミュニティ形成への道を大きく開きます。

★明治時代、≪官学の系譜≫という近代化路線と≪私学の系譜≫というもう一つの近代化路線があり、それは今も脈々と続いていることが、明らかになったということかもしれません。

★そうそう、中学入試の話でした。このオンライン授業の進化ステージ3.0以上の私立中高一貫校の教育出動は、当然中学入試のあり方も変えていくでしょう。それがどう変わるか、今首都圏模試センターと各学校の広報の先生方がZoomミーティングで議論しているところでしょう。もう少したったら、その姿が現れてくると思います。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(106)和洋九段女子 教育の危機を救う教育出動 その自然体が強み

★昨日(5月26日)、和洋九段女子の教頭新井誠司先生とZoomで対話しました。毎月会議やセミナーなどどこかでお会いするのですが、ここのところ、コロナ禍にあるので、いくつかのZoomセミナーなどウェビナーとしてご一緒する機会も増えました。お互い参加しているのはわかっているのですが、声もかけられないのが、リアルな空間とは違いもどかしいですね。ブレイクアウトルームも一緒になることはなかったので、直接Zoom対話しようということになったのです。

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★本日27日に、職員会議で、6月以降の分散登校の詳細を決定して公開するということでしたから、そこはお聞きしませんでしたが、1月あまりの期間で、急激にオンライン授業進化ステージ5.0に突き抜けたのですから、分散登校というノー3密なリアル時空とオンラインというサイバー時空のハイブリッド時空で学びを続けることは予想するに難くありません。

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(オンライン進化ステージ5.0は、首都圏の私立中高一貫校でもまだ10%くらいでしょう。東大や早稲田大学、それからスタンフォード大学などの欧米の名門大学は、当然ステージ5.0です。慶応大学の学部の講義はステージ3.0です。)

★それにしても、このスピードはどうして果たされたのでしょう。もちろん21世紀型教育を4年間実践してきていますから動きやすかったということもありますが、それにしても急に出された一斉休校や緊急事態宣言発令にあって、多くの学校は新中1生にタブレットやPCを配布する準備ができなくて、すぐに動けなかったところも多かったのです。

★学校というのは、教師1人ひとりが納得するというか合意形成するのに時間がかかるので、今回すぐに動けたかどうかは、組織の在り方の差がでたといっても過言ではありません。

★新井教頭先生によると、「本質的なことを大切にする教員が多いので、ICTなどの機器を新たに使う時には慎重に検討します。ですから、即決で動き始めた協調力と俊敏力には驚きました。ワンチームってこういうことかなと改めて感動しながら動きました。そして、動きながら考えました。不思議なことにZoomや複数のプラットフォームやアプリを使っているうちに日々ICT技術の向上を実感し、オンラインでもPBLができることに気づきました」ということです。

★パンデミックのような危機を乗り越える時には、1人ひとりの独自の意志が1つの大きなベクトルに変容する組織になっているところが強いという一つのモデルケースだと思います。

★価値観や感じ方はそれぞれ違うだろうし、方法論も違ってよいのですが、和洋九段女子は生徒中心主義、生徒の存在第一主義、生徒が何事においても主語であるという理念は共有しています。そこに行き着く方法論やアプローチは多様です。

★今回は、どういう価値を前面に出すとか、どういう方法論をみんなで活用するのかという選択判断の合意形成ではなく、生徒の命を守りかつ学びの継続を果たすという共有理念を実行するということだったので、在宅環境でも、できる限りふだんのPBL授業に近いカタチで実施できることはなんでもやろうという動きになったのだと思います。そこにおいて、合意形成はふだんからできていたので、あとは状況に対応すべく俊敏に動けたのだと思います。

★校長・教頭の危機管理という垂直機能と学習する組織という共感的かつ戦略的コミュニケーションの水平機能の動態平衡がふだんからうまくいっているということが今回証明されたのだと思います。

★学習する組織とは、ピーター・センゲが形にした実践と理論の一致した考え方で、とても有名ですが、実際にそれを遂行している組織はGAFAのような組織だし、起業家精神旺盛な組織です。創造的な活動を重視しますから、議論ベースのチームワークが得意な組織ですね。

★学校の場合だと、PBL授業を学校全体で取り組んでいるところでないと学習する組織は成立しません。常に垂直機能だけ作用している組織は官僚タイプですから、意思決定は遅れます。

★当然、そういう学校組織は、PBLなどやらないし、それゆえオンライン授業のステージも1.0です。

★学習する組織のわかりやすい例は、1995年というデジタルネイティブ誕生のエポック的な意義ある年に公開された映画「アポロ13号」で描かれている乗組員のチームとNASAの協力体制です。トム・ハンクスが出演していたので、彼が感染したというニュースを聞いたとき、思い出していました。

★宇宙飛行士やNASAの科学者は超優秀です。互いにプライドが高く、アポロ13号プロジェクトが成功するか否かは、学習する組織になるかどうかにかかっていました。

★そんなとき、地球に帰還するアプロ13号にトラブルが起き、NASAとアポロ13号のリモート操作で乗り切ろうとします。まるでオンライン授業さながらです。プライドがぶつかっているうちは難局を乗り越えられません。いろいろあって、なんとかなりそうなとき、地球のNASAとの交信ができなくなりました。

★しばらく、通信が途絶えたのです。オンライン授業でも、Zoomが一瞬落ちてしまう時があります。焦りますが、なんとかしようと冷静になって対処していく先生方の姿さながらなのですが、ともあれ、NASAの科学者たちも、一瞬絶望し、うろたえ、NASA始まって以来の危機だと叫んだのです。すると、ボスが目を輝かせてこういいます。「栄光の瞬間だ」と。ほどなく、通信が復活し、無事帰還します。学習する組織が出来上がった瞬間でもありました。

★和洋九段女子の先生方も、このような感動体験を共有して今前進しているわけです。生徒の心にもこの感動は響き渡ります。内発的モチベーションが教師も生徒もあふれ出ます。学びを止めないということは、実はこの内発的モチベーションの火を途絶えさせないという意味なのだと新井教頭先生は語ります。

★そういえば、「1人でそこに達成したければ、1人でいきなさい。でも、もっと遠くにいきたければ、みんなでいっしょに行きましょう」という精神を新井教頭は教師と生徒と共有しています。

★実は、学習する組織の考案者ピータ・センゲは、SDGsの発想のルーツである『成長の限界—ローマ・クラブ人類の危機レポート』の執筆者ドネラ・H・メドウズの親友です。彼女は、2001年に急死してしまいますが、生前の彼女の原案は『世界がもし100人の村だったら』という書に結実しています。知っている方も多いでしょうが、同書は、システム思考とか生態経済学のプロトタイプなのです。

★ピーター・センゲは、このシステム思考をマインドフルネスにも応用しています。このシステム思考は、学習する組織のベースになる思考方法です。

★学習する組織は、「ビジョン共有」「チームワーク」「システム思考」「メンタルモデルの相互承認」「自己マスタリー」という5つの要素が絡み合ってできるのですが、よくみると、協働系と自分を鍛える自律系があります。つまり、学習する組織は、「自律分散協働系」の複雑系組織です。

★ですから、和洋九段女子の先生方は自己研鑽である自己マスタリーにも意欲的です。昨日も新井先生は、私とのZoom対話の後、マインドフルネスZoomセミナーで学ぶということでした。オット・シャーマー博士のU理論の博士主催のセミナーでも学んでいるそうです。実は、オットー・シャーマー博士もピーター・センゲの友人で、U理論の巻頭言はセンゲが書いています。

★いずれも、MIT(マサチューセッツ工科大学)関係者で、現代のPBLの基本セオリーに大きな影響を与えています。マインドフルネスはGAFAを中心とするシリコンバレーでも研修で活用されています。

★今回、和洋九段女子がすぐに教育出動ができたのも、こういう大きな世界マインドに日ごろ先生方が接していることと、マインドフルネスの根っこであるZENや生態経済学の発想でありシリコンバレの最先端の高校HTHが希求するガーデニングの発想のルーツでもある茶の道などの日本の文化が重なり合っているからということもあるでしょう。

★新井教頭先生は「マインフルネスを極めながら、他者の判断基準や考え方に左右されなくなった自分を感じます。何が大事な存在の在り方なのか、内側にあふれると、何が起きても自然体の構えで対応できます。その構えが、今回の不測の事態でも適用できたし、何より生徒とコミュニケーションとるときに大切だなと思う今日この頃です」と語ります。

★そういえば、同校サイトで、毎日のように更新される「和洋九段のオンライン授業の様子」のシリーズは、新井教頭先生が書かれているとのことです。

★この記事は、授業を実際に見学して書かれています。もちろん、Zoomの授業に新井教頭先生も参加するわけですが、教師も生徒も新井教頭先生が参加していてもまったく自然だというのです。信頼関係ができているからこそできることだし、担当教師も、生徒のプレゼンに対し、新井教頭のフィードバックを求めるのだそうです。

★システム思考的に言えば、温かい眼差しで未来へ向けての行動指針になるようなフィードバックは、内発的モチベーションをあげるわけです。この化学反応が、和洋九段女子のオンライン授業の中で生まれているのです。これはメディアによる取材ではありえない話です。それゆえ、新井先生の毎日書かれる「和洋九段女子のオンライン授業の様子」は貴重な発信なのです。今後も注目していきたい記事です。

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2020年5月26日 (火)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(105)品川翔英の国語科の教師の挑戦 苦悩と希望の相乗効果

★品川翔英の国語科の先生方とZoomミーティングをしました。現状の情報共有と分散登校後のオフラインの授業とオンラインの授業のハイブリッドPBL授業の見通しについて語り合いました。つい1月前までは、PBL授業の同校スタンダードを生み出すミーティングをし、リアルな時空でしたが、全員でロイロノートを活用しながらミーティングをしていたのですが、1カ月経つや、Meetとロイロやその他のプラットフォームを使い、創意工夫をしたオンラインPBL授業を展開していました。アップデートの速度が速いのに改めて驚愕です。

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★最初それぞれの先生のオンラインPBL授業のスピーチをしていただきました。かなりできていますねと感想をいっても、感想なのでフィードバックになっていません。そこで、世の中の情況とアフターコロナの予測、他校の状況などの情報提供をさせていただいたうえで、首都圏模試の思考コードでどこまでの広がり深さの問いを投げかけているかみんなで確認をしていきました。

★もちろん、学年によって、単元によって違いますが、きちんと意識してA軸からC軸まで生徒の思考力や表現力を広げていく問いを投げかけていることに相互承認ができました。

★また、オンライン授業といっても、ステージに分けると5段階あり、品川翔英の先生が取り組んでいるのはステージ4.0と5.0であることも共有できました。もちろん、オンラインスキルと問いが生徒にどこまで響くかは今後Googleのアンケート機能などを使って検証していこうという前向きの話にもなりました。

★それに、東大や早稲田大学、慶応大学のオンライン授業のステージや筑駒や開成、聖学院などの他校のオンライン授業の情報を共有して、私たちもやるじゃないかという雰囲気も生まれました。

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★そして、先生方のオフラインであれオンラインであれPBL授業の広がりと深さは生徒が自己変容型主体的存在に成長する授業であることも共同主観としてカタチになりました。これは何より重要です。

★とはいえ、いきなりオンラインで双方向の授業を展開している中1や高1の新入生は、やはりリアルにあってから信頼関係が深まるので、6月からの分散登校が待ち遠しいと。これこそ教師の大事な心根だなと感じ入りました。

★ただ、先生方は、たしかに、リアル時空に比べ不自由だからこそ、そこをどうやって工夫したら巧く伝わるのか、動画編集や授業デザインに苦労していますが、それが明らかになれば、今後自分たちのハイブリッド時空におけるPBL授業はさらに質が上がるのではないかと苦悩と希望が相乗効果を生み出していました。これは未来への新しい教育のカタチにつながるでしょう。

★思考コードというかメタルーブリックは品川翔英国語科のものをまずは創ってみようということになったり、オンラインスキルアップを図り、安定的にオンライン進化ステージ4.0以上展開しようということになったり、ケアのスキルを共有していこうということになったり、新しい挑戦も創発されました。

★今後のPBL授業の未知の協働研修は、思考コードや思考スキル、アクティビティタイプ、パターンランゲージなどの複眼参照視点を活用して、生徒と知と心の両方の共感的コミュニケーションが生み出されているか、それによって生徒がどのくらい自己変容しているかなどを検証していこうということになったのです。

★このような得難い教師がいる品川翔英。世界の動きといまここでのPBL授業というダイナミックな環境の中で品川翔英の生徒が大きく羽ばたく姿が目に浮かぶようです。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(21)現実世界は本質的世界と戦略的世界の関係を変えるか?

★世界同時的に緊急事態宣言解除の方向に向かうや、「FacebbokやTwitterなどが、テレワークの恒久化を宣言する中、Googleは慎重!」そんな報道を各種メディアはするようになりました。はやいですね。

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★しかし、程度の差こそあれ、テレワーク化とかオンライン授業化の方向はなくならいというのは、大方の予想です。

★このパンデミックがもたらした、現実世界のリアル時空とサイバー時空のハイブリッド時空へのシフトは、人間の存在が、自然と社会と精神の循環を探究し実現することの必要性を世界中の人が感じたことでしょう。

★これによって、教育は本質的世界、企業は戦略的世界などの二項対立や分断は無意味であるということが共有できた可能性があります。

★あるいは20世紀社会は、本質的世界は不可知だし無いも同然だ、すべてはマーケティングで決まるといった戦略的世界一色の傾向もどうやら危険だという意識を共有できたかもしれません。

★またその一方で、本質的世界が大事で、戦略的世界から引き揚げようという原理主義的な精神主義もやはり危険かもしれないと。

★そういう意味では、ハイブリッド時空における現実的世界のニューノーマルといわれている新しい日常は、すべての人が本質的世界と戦略的世界の動的平衡を生み出しながら生きていくという時代になったのでしょう。

★本質的世界にserveしながら、戦略的世界でsurviveして、近代社会の隘路だったアンビバレンツを乗り越える時代。これぞパラダイムシフトかもしれません。もちろん、現実世界はアフターコロナとかwithコロナという表現でよいのですが。

★ダブルバインド状況の時空で悩む文学ではなく、誰かがではなく、自分も解決に参加してしまうミッションをもっているというマインドセット。かつては、一握りの人間がトリックスターと言われたのでしょうが、今やみんなトリックスター?なのかもしれません。

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2020年5月25日 (月)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(104)城北 イノベーティブな進学校の意味

★城北のサイトも、オンライン授業の様子が頻繁に更新されています。読んでいると4月の半ばには、課題のweb配信、授業動画配信のオンディマンド型オンライン授業、対面双方向型オンライン授業&HRのあらゆる準備が整ったようです。

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(写真は、城北のサイトから)

★おもしろいのは、オンライン進化ステージ3.0と4.0が、学年によって、あるいは科目によって、あるいは単元によって、きちんと使い分けられていることです。

★生徒は、そのコンビネーションの環境に置かれるわけですから、イノベーションの合目的、効率的、計算可能性など使い分ける視点を身に着けます。

★またかなりがっちり論理的な思考を養う授業デザインが構築されていますが、生徒はタブレットやノートパソコンを活用するわけですから、論理を土台に創造的思考を活用することがニューノーマルになります。教師はそこまで授業で目標にしていなくても、生徒が自由に羽ばたくのです。

★城北は、基本は東大を頂点とする大学に進学する準備教育を行い、高実績をだしているのは、説明するまでもありません。

★大学のオンライン授業の混乱状況をみると、城北はここまでオンライン授業の進化ステージを上げる必要はなさそうなのですが、東大や早稲田が行っている程度はやっておかないとというのはあるのかもしれません。

★大学のオンライン講義化はアフターコロナではある意味新しい日常になるのは予想に難くありません。メディアが騒いでいるからではなく、進学準備教育における戦略的側面からリーズナブルに考えるとそういう結論になるでしょう。

★こうして城北は、イノベーティブな進学準備教育の路線を開いたわけです。

★今ここまで(=オンライン授業進化ステージ4.0以上を実施できる環境にあるということ)学校全体で取り組んでいる東京エリアの男子校は、筑波大駒場、開成、聖学院、海城、世田谷学園、駒場東邦でしょうか。この中で最も先進的なのは聖学院ですが、同校は目的が他の男子校と違うところにあるからです。

★聖学院は、オンライン授業進化ステージは5.0を学校全体で取り組んでいます。それは、クリスチャンスクールで、世界の痛みを1人ひとりが受け入れ、1人ひとりが与えられた賜物である才能を生かして、世界を変える創造力を養うというミッションがあるからです。

★ほかの男子校は、学校全体でそこまでのミッションはありません。そういう生徒が現れることはもちろん受け入れますが、しっかりとした組織に入ってそこでリーダーシップを発揮するのもよし、世界に影響を与える学者になってもいいし、もちろん世界を変える起業家になってもよいのです。そのためには、論理的な思考力や探究する基礎活動が重要です。

★その土台から先は、生徒が自由に多様な進路を歩めばよいという考え方でしょう。

★そして、その進路への道は、東大や早稲田のような大学に進学する準備教育で十分に果たせます。

★しかし、ノートと鉛筆と同じように、学習ツールとしてデバイスを手に取ってしまった生徒は、自ずと創造的活動に興味を持つようにもなるでしょう。なぜなら、思いのほかパソコンは創造的才能を刺激し支援する道具だからです。しかもイノベーションの集合知の塊なので、デジタルネーティブにとっては、創造性を発揮する魔法の箱でもあります。

★高偏差値学校がオンライン授業の進化ステージ4.0以上を始めたら、思いもよらないような未来が開けていきます。

★三田国際のように、高偏差値の学校ができないイノベーション教育を行って注目を浴びてきた学校も、その魅力が実はオンライン授業4.0以上を行う高偏差値の学校に転移してしまう事態も起こります。中学入試市場の地図がまた大きく変わります。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(103)ノートルダム学院小学校のオンライン授業の意味

★ノートルダム小学校のオンライン授業は、小学校1年生から6年生まで実施しています。日本全国の小学校では、まだまだ高学年でもオンライン授業の環境が整っていないところが多い中、全学年実施しているというのは、アフターコロナの新しい日常の到来に向けて大切なモデルになるでしょう。

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同校サイトに入れば、毎日のように、新しい学校の日常のシーンを見ることができます。校長ブログ、行事、オンライン授業が目白押しに並んでいます。

★ノートルダム学院小学校のオンライン授業の特色は、知識暗記ドリル型オンディマンド授業ではなく、対面双方向型オンライン授業です。これによって、お互いに表情をみながら、心のケアや健康状態を確認できます。そして、こんな困窮な情況にあっても、ちゃんとつながっているのだということを確認し合えます。

★テレワークやオンライン授業になって、エモーショナル、ソーシアル、フィジカルの重要性が問われるようになってきましたが、ノートルダム学院小学校の先生方はそこをはじめから毎回授業後、学年団で振り返りのミーティングをしながらモニタリング(メタ認知)しています。

★また、実際の昆虫の卵などを採取してきて、オンラインで生徒と共有しながら、なんの卵なのか話し合うなど、正解を求めるのではなく、そこに到達するプロセスを楽しみ創造性を育む学びを行っています。今回のパンデミックの予測不能な事態で、創造性が重要な能力であるというのは、世界同時的に感じていることです。そこにはやくも挑戦しているのです。

★オンラインですから、五感の制約はありますが、先生方がなんとかイマジネーションでそこを補おうと創意工夫している姿がそこには映しだされています。

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★このように、どの学年でも、生徒のエモーショナル、ソーシアル、フィジカル、メタ認知、クリエイティビティが育まれるようにオンライン授業はデザインされています。また、経験によって知識を広げていくので、その多くは緊急事態宣言解除後学校の授業が重要になりますが、オンラインでも先生方は疑似体験できる創意工夫をして、経験の中から知識を発見し広げていく仕掛けを創っています。

★もちろん、広げるだけではなく、掘り下げて考えていく授業ですが、それは高学年になるにつれて深くなっていきます。

★サイトをみていくと、小6は9月入学について議論している様子が垣間見えることができます。正解のない問題を深く考える授業が展開しています。

★こうして、人間教育と未来スキルと知識を憶えるだけではなく、経験から発見し深めていく基礎力も身につけていくことができるのがノートルダム学院小学校の授業であることが、オンライン授業を通して、可視化されているのです。

★そして、このオンライン授業の応用がオンライン学校説明会にも結びついています。オンライン授業や説明会を行うたびにリハーサルとリフレクションが繰り返されています。この先生方の対話の積み重ねが同校の結束力と教育の質を高めていることは間違いないでしょう。

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2020年5月24日 (日)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(20)コード化やトークン化に対応すべきはカイロスの自分のID(アイデンティティ)を創るコト

★明日から、パンデミック第一波に対応してきた緊急事態宣言は解除される予定ですが、このコトがもたらすコトは何か?オンライン授業とかテレワークという<モノ>の物象化は当然ですが、その物象化を生み出す背景は何かという<コト>です。それは、1つは都市空間のパラダイムシフトが起きるというコトです。

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(前田愛が論じていたころの都市空間とポストコロナ時代のハイブリッド時空の違いに気づく書籍がどんどん出てきています)

★1990年代後半に、カリタス女子の国語の教師だった森本謙四郎先生(のち同小学校校長)の今でいう探究のプログラムについて教えを乞うていたことがありました。中高生が、前田愛の「都市空間のなかの文学」を読み合い、夏目漱石や荷風やフッサールやサルトルが歴史的制約性の中の都市空間の中でどんな内的時空を文学として表現したか調べて論文を書いていく壮大なプログラムでした。カリタスの底力をそのころからリスペクとしていました。

★そんなことを思い浮かべながら、今回のサイバー上の時空とリアルな時空のハイブリッド時空になると都市空間が変わりますが、前田愛ならこの「ハイブリッド都市時空のなかの文学」をどう書くのかなあとふと思ったわけです。

★前田愛の「都市空間のなかの文学」は、サルトルの次のフレーズの引用から始まります。

われわれがわれわれを発見するのは、どこかわからない隠れ場所の中などでは ない。それはものの中のものとして、路の上で、街の中で、群衆のさなかにおいてである。 ――サルトル「 フッサール の 現象学 の 根本 理念」 金井 裕 訳。(前田愛. 都市空間のなかの文学 ちくま学芸文庫 Kindle の位置No.38-41)  

★文学という内的時間の中で発見するものは、実は見えないわけではなく、都市を埋める物質的なモノや群衆のコミュニケーションで表現されているモノにある。しかし、モノの段階ではやはり見えなくて、その背景である内的時間は、文学空間の中にあるのだという発想なのではないかと思います。

★しかし、今回のハイブリッド時空になると、その内的時間であるカイロスが、見える化され共有化されるようになります。今までは、漱石とか荷風とか森鴎外とか村上春樹とかピカソとかモネとかモーツアルトとかクイーンとかセカオワとか、羨望の眼差しを集める作家やアーティストの内的時間の文学的表現の中に感じていたコトが、自分の中にもあるのだというコトに気づき、それを表現し共有するというコトになるわけです。

★それを感じるには、しかし、リアルなリニアーな時間であるクロノス(物理的時間)から円環時間であるカイロスの見える化されたサイバー上の時空に出たり入ったりすることによって明らかになります。

★作家やアーティストと自分が持っている内的時間の質は1か0の違いではなくなります。1か0.2くらいはあるかもしれませんし、もしかしたら1か3ぐらいになるかもしれないのです。

★自分の内的価値は誰もくみ上げてくれなかったのが、前田愛が書いていたころの「都市空間」だったわけです。しかし、その評価が作家やアーティストなどとフラットに行われるようになるのが、クロノスとカイロスのハイブリッド時空のなせる業です。

★小林弘人氏のafterGAFAを読んで、この自分の価値がトークン化される。あらゆる自分のかかわるモノの背景までID(アイデンティティ)として自己証明されるコトになる可能性があると気づきました。

★ある意味監視社会になってしまいます。SF映画さながらんですが、自分であるコトは、肩書や学歴程度のプロフィールではなく、何を考え何を感じ何を成してきたかすべてがトークン化されるわけです。そのIDがあるから、仲介をふっとばしてダイレクトに交渉ができることになるわけです。

★リアルな空間ではノー3密でも、サイバー時空では、濃密です。お互いの膨大なプロフィールデータ、つまりポートフォリオですよね、それがブロックチェンやAIによって一瞬にして読み取れる相互監視体制ができていきます。

★そして、そのIDやトークンを形成するには、コード化されていきます。自分の細胞や脳神経系のすべてがコード化されていくわけです。精密なマッチングが行われる濃密時空がサイバー上で行われていきます。

★教育の世界でポートフォリオとか思考コードとかいわれているモノは、すべてそこに流れゆく入口です。これは放っておくと、多くの論理学者や政治学者、哲学者などが議論してきた民主主義のパラドクスが生まれます。それゆえクリティカルシンキングは必要だということなのです。

★今私たちがリアルな時空で語り合いながらもまだ一部のグループでの話にすぎないモノーーポートフォリオ、思考コード、エンパワーメント評価、アイデンティティなど――は、ハイブリッド時空になると自分を証明するパスポートになります。ブロックチェーンの中で、ダイレクトに個人同士がコミュニケーションや商取引、資本投資などができてしまうのです。受動的な自分の評価はそのIDに蓄積されますから評価が低くなります。恐ろしい世界ですね。

★当然複式簿記というシステムは、その項目に表現できなかった個人個人の質が資産として反映されることになります。やりがいがあるのと同時に、アイデンティティの透明化が起こるわけですから、エモーショナルなケアはものすごく必要になっていくでしょう。

★内的時間の見える化と共有化は、コード化やトークン化を拡張し、IDは日々の感情から思考から行動まですべてが資産として累積されていく膨大なポートフォリオデータになっていきます。

★クリティカルシンキングとかメタ認知という能力がなければ、サバイブできない可能性がでてきます。この流れをデストピアとみるのかユートピアとみるのか。

★今水面下で進んでいるGAFAと欧州金融界の課金システムや取引システム、資金調達システムの葛藤の解決の着地点が、そんな感じになるのかもしれません。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(102)横浜創英 オンラインスクールの進化速度が加速するわけ。

★本日5月24日(日)、横浜創英はオンライン学校説明会を開催しました。3月までは、学校と在校生・保護者は紙媒体とメールでやりとりしていたのが、たった2カ月間でZoomとGoogle Classroomのコンビネーションでオンライン授業をするまでになったという俊敏力に圧倒されました。それゆえ、今回もWeb配信というオンディマンド型ではなく、オンライン説明会を実現できたのでしょう。しかしながら、今年校長に就任した工藤勇一先生のキーノートスピーチを聞いて、この進化スピードのエンジンは先生方のGrowth Mindsetが巧みになされたことにあるということに気づきました。

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★工藤校長は、まずは生徒が置かれてている現状を語ります。日本の18歳の生徒が、海外の生徒に比べ、自信がなかったり、自分で社会を変える責任を持てなかったりというデータを共有しながら、心配になりませんかと。

★グローバルな変化、AI時代に向けてのイノベーションの変化、仕事の在り方の変化にこのままだと対応できないというギャップを語り、そこから目を背けずに、直視して、乗り越えるにはいかにしたらよいか考えましょうと。

★こんなふうになったのは、従来の教育が、生徒に手をかけすぎて、自律する機会を奪ってきたのだから、そこを変える挑戦への意志を強く持ちましょうと。

★そのためには、ただ学びを止めるだけではなく、自律し、社会の痛みを引き受け、社会課題を解決する当事者意識を育む未来への学びの環境を創るのですと。その一つが、このパンデミックを乗り越えるためのオンラインスクールへのチャレンジだったわけです。

★そして、実際にオンライン授業体験を通して、Youtu部を創って、もっとこの環境を発展するのに貢献したいという企画提案が生徒から出されたという紹介がありました。2カ月のオンラインスクールへの挑戦が、はやくも生徒の創発を生み出したのですから驚きです。

★現状の問題をウェビナーと共有し、それを乗り越えるためには、現状欲しいのにすぐに手に入らないもどかしさを感じているウェビナーに、オンライン授業という形で対応する姿勢を示したのです。その話を聞いたウェビナーは工藤校長をはじめ同校の先生方が創っている世界に引き込まれるのは当然です。

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★短い時間でしたが、U理論の軌跡をたどるオンライン説明会は、ウェビナーにとっては心のジェットコースターに乗ったかのように驚きとワクワクと光を感じたことでしょう。

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★それにしても、オンラインスキルの進化とGrowth Mindsetの軌跡を重ねて学校組織をマネジメントしていく新校長の力は、同校のみならず横浜の教育にまずは大きな影響を与えるでしょう。工藤校長の同士が東京でも同様に頑張っていますから、その相乗効果が日本の教育を変えることにもなるでしょう。

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2020年5月23日 (土)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(101)品川翔英 ハイブリッド時空学習に移行予定 柴田校長の温かい眼差しと戦略的眼差し

品川翔英は、6月から分散登校とオンライン授業のミックスを実施する予定です。

★4月13日から、本日5月23日まで、日曜日を除いてほぼ毎日柴田哲彦校長は、品川翔英の教師のみならず職員全員のコロナ禍においても負けずに、生徒と共に学びを続け、生徒がいつきても感染防止対策を万全にする準備をしている様子を書き綴ってきました。「こんにちは」シリーズです。もう31回目になります。もちろん、今後も書き続けるでしょう。

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★この31回シリーズを初回から読み返してみると、コロナ禍からアフターコロナにに向けて、教師と生徒と職員が一丸となって教科の学びの物語以上に、危機に立ち向かう仲間たちのドラマが書かれているのに気づきます。

★柴田校長の眼差しは実に温かく、教職員と生徒にエールを送り、見守る陽だまりのような眼差しがあります。感動的です。しかし、一方ですべての先生方の授業、進路指導、教頭部長陣の様子をしっかり見つめ、未曽有の経験を乗り切るフィードバックを欠かさない戦略的な眼差しも見え隠れします。

★今回の私たちの経験は、Serve(貢献・奉仕する)とSurvive(生き残る)という両方の人間力を強く感じ、行動を起こしていますが、その体験をまさに品川翔英全体で一丸となって共有しているのです。したがって、柴田校長も温かい眼差しと戦略的眼差しの複眼思考をもってリーダーシップを発揮しているのでしょう。

★この1カ月余りで、品川翔英のオンライン授業の進化のスピードは見事です。6月から分散登校になるというのは、オンラインというサイバー時空とノー3密のリアル時空のハイブリッド時空学習を行っていくということの宣言でもあります。

★この1カ月余りで、教師はGoogle Meetとロイロノートという会議システムと学習プラットフォームを使いこなせるようになっていると思います。これによって、対面双方型オンライン授業ができ、同期型と非同期型の課題のやりとりができるようになっています。

★今、東大が速やかに、早稲田大学がようやくここまでの進化を果たし、慶応義塾は対面双方型オンライン授業は行わないという情報がWeb情報でまわっています。それ以外の大学も多くは慶応義塾大学のオンライン進化スピードで、大学生からいろいろ注文がでているようです。

★この1カ月は、小中高から大学まで、どこも未知との遭遇でバタバタしていましたが、ステージ5まで進化できたかどうかは、ハイブリッド時空教育になったときに大きな学力差や教育の質の差が出ているでしょう。

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★オンライン授業で「自主・創造・貢献」を行えるようになるには、コミュニケーションや議論ができなければならないので、ステージ5.0に飛ばなくてはなりません。品川翔英は、ステージ4.6以上のステージに達しているでしょう。年内には5.0を全うするでしょう。来年は、当然これを超えます。上記の表には書いていませんが、ステージ6があります。しかし、これはまだ誰もその輪郭を見定めていません。

★不測の事態、予測不能な事態ですから、このステージはもっと破格なものになるでしょう。それを誰が創っていくか、戦略的なサバイバル競争がいよいよ始まってしまったのです。

★しかし、それは、日本の教育及び世界の教育を善き方向に変える奉仕につながります。戦略的リーダーであると同時にサーバントリーダースクールとして品川翔英は、まずスタートラインのポジショニングはゲットしました。ここに位置するのは、首都圏私立中高一貫校で、10%だということにまだ誰も気づいていません。おそらく同校の先生方が一番無頓着でしょう。なぜなら自分を捨てて燃えているのですから。

★このエゴを捨て他者のために2つのSを全うして行動できるかどうか、ポストコロナ時代の新しい人間像が同校にはあるのです。

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オンライン授業進化論(06)ハイブリッド時空教育へシフトの意味 パラダイムシフトの時代

★アフターコロナとかポストコロナとかいうとき、私の場合は、道具立てが変わったり仕事の種類が変わるときには、アフターコロナを使い、パラダイムシフトが起きるコンテクストの時には、あるいはそのコンテクストの生まれるのを期待する時にはポストコロナを使っています。

★第4次産業革命とかいうけれど、本当は脱産業革命というパラダイムシフトが起きるというのがAI時代だと思っています。というのは、第一次産業革命からこれまでは、イノベーションはあったけれど、化石燃料を活用するという点では、パラダイムシフトは起きていなかったと考えています。AI時代は、脱化石燃料です。脱自然光合成です。

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★SDGsはこのパラダイムシフトを新たにグローバルゴールに加えなくてはならないでしょう。これによって、私たちは働かなくても食べていくことができるようになります。奴隷→労働→創造というのが、仕事の土台のパラダイムシフトです。このような大きなウネリが今回のオンライン授業の突き抜ける向こうにみえてきます。

★詳しくは、歴史家や社会学者、文化人類学者、政治経済学者にお任せしますが、20世紀初頭に、マックス・ヴェーバーがみた近代国家の完成への道は、合理的で計算可能な法技術と行政と税金・勘定システムの完成ですが、もう一つヴェーバーが忘れなかったのは、自由契約の労働組織を創り出す科学技術=生産手段でした。

★自由主義的労働は、あまりに効果で資本がないので、科学技術=生産手段を自分では持ちえないから、その手段を企業から借りながら、でも奴隷ではなく、自分の能力と等価交換し、それ以外は契約に縛られないという自由度があったわけです。

★しかし、AI時代に向けて、オンラインベースのワークが成立していくと、ICTを自分の生産手段とできる労働は、かなり自由度が高くなるわけです。

★そういう意味では、産業革命以来の近代経済システムの中で相対的自由度が高くなります。GAFAのの中にはノマド的なスタッフもいるようですが、それはそういうことです。しかし、その生産手段であるICTという科学技術は、化石燃料にまだまだ依存していますから、完全に解き放たれているわけではないのです。

★しかし、オンライン授業が広まり、サイバー上とリアルの両方で学ぶようになると、デジタルネイティブであるZ世代が、感じるのは、リアルな経験のすばらしさと同時に、サイバー上と比較しての相対的不自由さです。

★ハイブリッド軸でのPBL学習は、ここに根源的な格差社会の問題に気づく景気をつくるでしょう。不自由さを生み出す根源的問題は化石燃料の使用権や販売権が独占されているからだということに。

★しかし、その化石燃料は環境を持続可能にするには、欲しくもないわけです。ここに根源的な矛盾が存在します。人間の生活をだいなしにする化石燃料を欲しくもないのに、使わなくてはならないのですが、しかも自由に使えないというトリレンマです。

★ところが、ようやくそこを突破できるイノベーションが生まれる可能性があります。すでに実現しようと思えばできるのですが、そこには大きな大きな利権の壁があるでしょう。この壁をいかに突破できるのか、根源的Big Questionです。そこに立ち臨むのがPBLの本意です。

★しかし、まだそこに気づいている人はあまりいないし、気づいていてもそこはスルーするというのが、ポストコロナという言葉よりもアフターコロナが流行る理由の1つでしょう。

★本当にSDGsを考えるのであれな、このBig Questionにチャンレジするでしょう。チェンジメーカーになれと叫んでいる経産省が、本当に旗を振りますかね。マックス・ヴェーバーがみた合理的で計算可能な法技術と行政システム、税金・勘定システムが崩れてしまうのですから。それを覚悟で勝海舟みたいな生き方をする官僚がいてくれることを期待しています。

★どうなるかはわかりませんが、オンライン授業進化ステージ5に到達したオンラインPBL授業の環境にある生徒は、緊急事態宣言解除後、リアルな授業とサイバーな授業のハイブリッド時空教育を受けることになりますが、マックス・ヴェーバーが見た近代社会とは違うもう一つの近代社会を構想した同時代人ウイリアム・モリス(モリスの方が30歳年上だが)のアーティスティックなユートピアを築いていくでしょう。

★≪私学の系譜≫が理念に掲げていたのは、ベラミーではなくモリスの近代社会と親和性があるはずです。

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2021年の入試(03)中学入試市場の立地条件を大きく変える首都圏模試「第1回合判模試」のオンライン学校説明会

★明日24日(日)、首都圏模試センター主催の「第1回合判模試」が開催れますが、緊急事態宣言が続く中、自宅受験となります。環境が大きく変わったにもかかわらず、前年対比70%強受験というのは、ポストコロナ時代をサバイブする教育に興味と関心が高いと同センターはみなしています。というのも、自宅受験しながら、オンラインで100校の学校説明会や個別相談ができる環境を同センターが設定したということがあるからでもありましょう。

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★この100校という数は、首都圏の私立中高一貫校の30%強シェアを示唆します。このシェアは、一つの大きな流れを意味する数字でもあります。それは、今後は、今回のように、ノー3密のリアルな時空と遠隔説明会というサイバー時空のハイブリッド時空になることを予想させるものです。

★市場というのは、立地条件が極めて重要なわけですが、その立地の意味がリアルな立地時空からサイバーとリアルな立地時空のハイブリッド時空にシフトするわけです。その市場の変化を促すエポックを首都圏模試センターは切り拓いたといえましょう。

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(1986年以降の日経平均の上昇幅20位と下落幅上位20位の日程を古い順に並べてみた)

★1986年以来、私立中高一貫校の中学入試は時代の教育のベクトルの先頭に立ってきました。ブラックマンデー以降、ベルリンの壁崩壊や天安門事件、ソ連の崩壊などをしり目に、日本はバブル景気がふくらみました。ある意味、ジャパン・アズ・ナンバーワンの味を占めている時代です。当然、そのような日本社会を支える学歴エリートが注目され、学歴社会という学歴時空が盤石になる時代です。

★中学入試の市場は、この学歴時空の集中する首都圏で盛り上がりました。日本全体の中学入試の50%は首都圏に集中したのもそういう理由でしょう。中学校の新設も増え、首都圏の中学入試総定員が、1986年当時に比べ、今では10,000人以上増えているのも、その時代に端を発します。

★しかし、バブルが1991年以降はじけ、アジア通貨危機やITバブル崩壊などが続き、私立中学入試も低迷期を迎えます。当然、市場の条件を変えようとする流れがでてきます。低迷を脱するにはいかにしたらよいのか?と。

★そのアジア通貨危機やITバブル崩壊も、日経平均の上昇幅ベスト20位と下落幅ベスト20位を時代順に並べた図を見ていただければわかるように、危機を迎えるたびに回復するのですが、それはイノベーションによるものであることは、説明するまでもないでしょう。

★インターネットの危機が今でいうSNSへ移行する瞬間に、つまりデバイスからモビリティやWebプラットフォーム化へ移行すると同時に回復するわけです。GAFAの時代到来ということです。当然、そうなると経済立地の時空は、グローバルな範囲に拡大しました。EUが立ち上がったということもあります。BRICsが隆盛したということもあります。

★私立中高一貫校の市場もグローバル教育を行っているということが前面に出始めます。相変わらず20%は学歴時空で成立していましたが、リーマンショック以降はさらに80%はグローバル教育にシフトします。中学市場の立地時空は、首都圏の学歴社会の集中するリアルな時空からグローバルな時空に広がります。それまで、一部の学校が独占していた帰国生入試が拡大するのもこの時期です。

★そして、メディアはあまり取り上げないのですが、というよりも学習指導要領の変更の流れでしか取り上げないのですが。私立中高一貫校のグローバル教育のコンテクストは、授業そのものをPBLにシフトする動きに転じていくのもこの時期です。この私学の流れは、学習指導要領のアクティラーニングの提唱で動いたわけではなかったのです。

★そして、このグローバル教育時空における高度な英語力とPBLが昨年あたりから、高偏差値の学校でなくても、世界大学ランキング100位以内の海外大学に進学する生徒が輩出されるようになってきたのです。

★時空がグローバルになると、当然Webを活用するPBL授業は当たり前になり、1人1台タブレットやノートパソコンを授業で活用するようにもなる21世紀型教育を推進する学校が増えてきたのもこの時期です。

★そして、2020年新型コロナウイルスのパンデミック。感染拡大防止のために、ノー3密空間を保つために外出自粛の緊急事態宣言が発令されました。学校は全国的に一斉休校になって2カ月が経過。子供たちの学びを止めないためにオンライン学習環境が整備されていきます。

★そんな中、私立中高一貫校のほとんどの学校は、進化ステージはいろいろですが、オンライン学習の環境を設定して実行しています。明日の首都圏模試センター主催の「合判模試」のオンライン学校説明会に参加する100校は、その中でも先進的なオンライン授業を実施しているところです。

★先述しましたが、たしかにコロナショックは、経済的ダメージをもたらしました。残念ながら衰退する産業もあるでしょう。今までのようにグローバルサプライチェーンだけではなく、最低限の条件を自国に担保したうえで、グローバルサプライチェーンを組んでいくという改善もなされるでしょう。しかし、何よりオンライン内の市場は止まりません。改善以上の動きが出てくるでしょう。

★オンライン授業は教育イノベーションとして、新市場が拡大することは間違いありません。このイノベーションを起こし活用するのは、教育です。そしてその先進的役割を果たすのも私立中高一貫校です。

★こうして、リアルとサイバーのハイブリッド軸を教育の立地条件とする私立中高一貫校が出現します。そのモデルの1つはN高です。通信制高校ですから、全日制の私立中高一貫校がそのままそのシステムを活用することは制度の壁があってできませんが、制度の枠内でどんどんオンライン化は進むでしょう。そのうちに制度変更が起こることもあるでしょう。第2波第3波に備えるにはそうしていかざるを得ないかもしれません。

★すると、その時空がハイブリッドですから、地域を越境してしまいます。そして英語力が堪能な生徒を育てている学校は、その地域の広さは全世界です。ここから先何が起こるのかネガティブにみるよりもポジティブに見たほうが経済的ダメージを克服するためにも、いや何よりさらに拡大する格差社会をなくしていくためにも、大切な局面を迎えています。

★したがって、いまここで向こうに跳び出る扉を開かなくてはなりません。その機会がオンライン授業を平常時にも活用するハイブリッド時空教育の促進です。それを促進する大きな役割を果たしているのが明日の首都圏模試センターの動きです。

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2020年5月22日 (金)

オンライン授業進化論(05)東大・早稲田・慶応義塾のオンライン授業の進化ステージ格差の意味

Business Insider Japan(May. 22, 2020, 05:00 AM)に「【徹底比較】東大・早稲田・慶應、大学間比較で見えてきたオンライン講義の真の実力 戸田 彩香 [編集部インターン] and 三ツ村 崇志 [編集部]」という記事が掲載されています。あくまでも、この記事にある情報に基づいた限定的な話ですが、3者の大学のオンライン授業の進化ステージのポジショニングを、「オンライン授業進化論(02)オンライン授業進化論リーダーの登場」で公表した図で見てみます。

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★東大は、Zoomも使い、対面双方向型オンライン授業を行っています。デバイスやプラットフォームは、その使い方をチャットbotでサポートさせているので当然使っているでしょう。どんな課題が配信されているかわりませんが、専門的なアカデミック教科でしょうから、専門知識と論理的に思考する講義や問いが中心でしょう。ステージ4.0まで行っていますね。

★早稲田大学も、ZoomとWaseda Moodleを活用しているので、東大と同様のステージにいるでしょう。東大との違いは、通信環境サポートに関して、金は出すけど、丁寧なサポートがないということでしょうか。トラブルはありそうだということですが、まずはステージ4.0に位置します。

★慶応義塾大学は、意外でしたが、オンディマンドで対面双方型オンライン授業はしないということのようです。知り合いの大学院生はZoomでやっているので、大学と大学院との差はなんでしょう。これは実は、課題の次元の違いです。大学院は、専門知識やそれを活用した論理的思考は当たり前で、その先の批判的思考や創造的思考の高次思考を活用します。修士論文や博士論文を創り上げることが目標なので当然です。

★そういう意味では、明快に慶応義塾大学のオンライン授業は、ステージ3.0に位置します。オンライン授業準備の補助金も支給されていますが、プラットフォームで配信するだけなので、特別な使い方の説明はなさそうです。

★意外にもといいましたが、実は、知識・理解・論理の思考次元だと、ステージ3.0までで十分だという慶應義塾大学の経済合理性がどうも理に適っているかもしれません。

★個々の講師のITスキルや環境の格差はいろいろあるでしょうが、慶應義塾大学当局のスキルや環境は、東大や早稲田に劣っているわけではありません。議論やゼミをやるのでなければ、大騒ぎしてステージ4.0や5.0をやる必要はないという合理的な考え方でしょう。

★これに対して中高一貫校の中には、ステージ5.0を軽やかに実施している学校があるわけです。

★そのような学校からは、多くの卒業生が海外の大学に行っています。しかも世界大学ランキング200位以内にです。海外の大学は、当然思考次元は批判的思考と創造的思考は大前提です。中高時代にトレーニングしてくることを求めています。そういえば、早稲田や慶応大学は世界大学ランキング200位内にははいっていません。たかがグローバルランキングですが、されどグローバルランキングというのが明らかになりますね。

★今回、小中高大とオンライン授業を行うことによって、実はオンライン授業の通信環境やデバイス環境、スキルの状態などの違いよりも、どこまでの思考次元を学ぶ環境を持っているかという学びの思考次元の違いが明快になったということなのでしょう。

★海外の何がいいかわるいかではなく、どこまで高次思考を学ぶかどうかを日本の教育は議論したほうがよいですね。端的に言うと、海外との思考次元のギャップは放置しておいてよいかということです。

★もはや大学のブランドではなく、思考の次元をみたほうがよいですね。それは小中高のカリキュラムポリシーも同じことが言えます。ポストコロナ時代、今までの知識暗記中心でちょっと論理的思考も学ぶで果たしてよいかどうか。考えればすぐに了解できそうなものですが。

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2021年の入試(02)首都圏模試のオンライン学校説明会100校集結。アフターコロナ後のニューノーマルライフスタイルを決定づける。

★5月24日(日)、首都圏模試センターは、小6第1回「中学受験合判模試」を「おうちdeしゅともし」という名称で、私立中会場では実施せず「自宅受験」のみで実施します。当日、オンライン学校説明会や個別相談会に参加する学校は100校も集まっています。

★さらに、受験生と保護者に向けて、最新入試情報と「学びを止めない」ためのアドバイスやメッセージを発信する「保護者会動画」と「私学座談会動画」を、先行オンライン配信をしています。

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★緊急事態宣言発令前から外出自粛が徐々に進み、学校の休校が始まり、企業もテレワークも始まりました。そして宣言発令後は、一気呵成にオンライン授業、オンライン学校説明会、テレワークというサイバー上での活動がニューノーマルになろうとしています。今回の首都圏模試のオンライン説明会に100校も参加するという事実は、いわゆるデファクトスタンダードを決定づけたでしょう。

★テレワークは60%もの企業が行っているという調査結果がメディアで報道されてもいます。学校も、まだまだオンライン授業をできていないところもありますが、各自治体が、公立学校の「学びを止めない」ためのオンライン学習環境を支援しつつあります。遅いかもしれませんが、この流れは止められません。

★私立学校は、もともと21世紀型教育の新しいウネリがありましたから、その流れを創ってきた学校は速やかにオンライン学習にシフトしました。今回集結した100校の学校は、そのグループですね。首都圏の30%占めます。もちろん、私立学校の場合、オンディマンドの学習環境はほとんど実施しているでしょう。

★しかし、今後は、解除されたとしても3密を避けるリアルな空間づくりになります。つまり、建築業界では「人の配置空間」が変わると呼ばれている事態になります。すると、リアルな空間での保護者会会場や説明会会場、入試会場は、従来のように3密で行うことはできません。だいたい、そういうことをやったら、その主催者の見識が問われるでしょう。命を互いに守るというサービス(貢献・奉仕)とサバイバル(自己保存)が両立するアイデアがどんどん出てくる時代ですから。

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★したがって、そうなると、制約があるにしても、出来る限りリアル空間と同じ活動ができるように、オンディマンド+対面型オンライン空間が拡大していくのは必然です。

★さて、「中学受験合判模試」参加する学校は、今のところ下記の通りです。

5/24「おうちde説明会・相談会」 リアルタイム説明会参加校 5/20現在

[男子校]京華、聖学院、日本大学豊山、海陽中等教育学校、静岡聖光学院
[女子校]神田女学園、東京女子学園、桐朋女子、富士見、山脇学園、和洋九段女子、聖和学院、不二聖心女子学院
[共学校]上野学園、桜美林、工学院大学附属、駒込、桜丘、成城学園、東京成徳大学、東京電機大学、宝仙学園理数インター、和光、自修館中等教育学校、関東学院六浦、横浜富士見丘学園、芝浦工業大学柏、日出学園、開智、茗溪学園

5/24「おうちde説明会・相談会」 相談会参加校 5/20現在

[男子校]京華、聖学院、日本大学豊山、海陽中等教育学校、静岡聖光学院
[女子校]神田女学園、共立女子第二、麹町学園女子、佼成学園女子、実践女子学園、女子聖学院、田園調布学園、桐朋女子、中村、日本大学豊山女子、富士見、藤村女子、三輪田学園、山脇学園、和洋九段女子、聖和学院、横浜女学院、不二聖心女子学院
[共学校]上野学園、かえつ有明、工学院大学附属、駒込、桜丘、品川翔英、城西大学附属城西、東京成徳大学、東京電機大学、東京立正、宝仙学園理数インター、目白研心、和光、関東学院六浦、自修館中等教育学校、光英VERITAS、芝浦工業大学柏、成田高等学校附属、日出学園、茗溪学園 

★スケジュールは次のようになっています。

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★いくつかの大学入試予備校では、オンライン授業やオンライン模擬試験が開始されています。一部の中学でははやくもオンライン入試を行うことを公表しているところもあります。

★解除後は、「ノー3密リアル空間」と「オンライン空間」のハイブリッド空間になり、感染拡大第2波、第3波がやってきたときには、「オンライン空間」で切り抜けるというニューノーマルライフスタイルが出来るでしょう。今回の「おうちdeしゅともし+おうちde説明会&相談会」は、そのビジョンを先行的に映し出しています。

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2020年5月21日 (木)

オンライン授業進化論(04)まだ見ぬ自己変容を生み出すIN-OUTシート!児浦先生の戦略的思考!

★氷山モデルの水面下の授業の質や教師や生徒の想いを見える化して自己変容型マインドのケミストリーを生み出してしまうオンラインPBL授業の<学習する組織をマネジメント>。それを実践する工学院の田中歩先生の教育出動について前回ご紹介しました。

★今回は、実は同じことを、別角度から生み出してしまう聖学院の児浦先生の戦略的思考の1つ<IN-OUTシート>についてご紹介しましょう。

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★児浦先生は、「今日から使えるワークショップのアイデア帳 会社でも学校でもアレンジ自在な30パターン – 2020/4/13 ワークショップ探検部 (著), 松場 俊夫 (著), 広江 朋紀 (著), 東 嗣了 (著), 児浦 良裕 (著)」の著者の1人。先日、編集チームと著者がコラボしている「ワークショップ探検部」がオンライン読書会『ワークショップのアイデア帳』を開催しました。私も参加。氷山モデルやジョハリの窓に時間軸を加えてさらに発展させた「IN-OUTシート」のオンラインワークショップ読書会をワクワク堪能しました。

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★シートの要領については、ぜひ同書をご購入いただき、ご覧ください。

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★このシートを個人で活用するだけなら、リアルな授業でもできてしまうのですが、オンラインPBL授業で活用すると、まだ見ぬ自分どうしが自己変容を生み出す大きな契機を生み出すのです。

★過去―現在―未来というクロノス時空がOUTの行です。そして、過去のINが常に未来へ向かっては現在に還っていくカイロス時空が脳内で展開するのです。それ自体INです。しかし、それがブレイクアウトルームやグーグルクラスルームで共有されれ、ポートフォリオとしてデジタル化していくと、クロノスとカイロスの生み出す波や響きやあるいは竜巻の時空が自己変容を生み出していきます。

★INの部分は暗黙知だったり、氷山モデルの水面下だったり、フロイドモデルの無意識だったり、ジョハリの窓の自分だけがわかっている領域だったり、ピアジェの経験領域だったりするのです。これを見える化したり形式知化したり、超自我視点に置き換えたり、共感的コミュニケーションの場にしたり、図式化したり、システム化したりするのがOUTの共有ですね。

★リニアな時空であるクロノスとサイクル時空であるカイロスが共鳴音をだしてトルネードや波動を生み出す感じです。自己変容のロゴス化だとか形式知化だとか見える化だとかがおこるわけです。

★田中歩先生の共感的コミュニケーションによる<学習する組織マネジメント>や児浦先生の戦略的思考の<IN-OUTシート>が、オンライン授業の進化ステージの上昇気流を生成するわけです。

★ちなみに、同書は、30のパターンを掲載しています。目次は次の通りです。

 Part 1 アイスブレイク編
01 氏名と使命|互いをもっと深く知る自己紹介
02 心の状態チェック|自分の心と体を整える
03 忍者伝言の術|体を使ったゲームで伝達を学ぶ
04 サークルジャンプ|手をつないで結束を固める
[COLUMN]最初に場を温めることが欠かせないワケ

Part 2 ベーシック編
05[組織強化]協働オブジェ制作|理想のチームを考える
06[組織強化]STOCSタワー|成果を生むチームをつくる
07[組織強化]サークルトス|経験を通して学習する
08[アイデア出し]M&M'Sドローイング|自分の固定概念から離れる
09[アイデア出し]スピードストーミング|成果を生むブレインストーミング
10[アイデア出し]フィールドダイアログ|自然の叡智から起こすイノベーション
11[アイデア出し]問題解決カード|アイデアのかけ合わせで新発想を生む
12[アイデア発展]ストーリーテリング|他者から共感・共創を引き出す
13[アイデア発展]5P CHANGE|アイデアを絞り込み、検証する
14[キャリア開発]IN/OUTシート|自分リソースの棚卸しと将来計画
15[キャリア開発]偉人に学ぶ|リーダーのあり方を考える
16[キャリア開発]14のリーダーシップ|自分と他者のリーダー特性を発見・共有する
[COLUMN]ワークショップで大活躍するツール

Part 3 アドバンスト編
17[多様性]価値観ベスト3|価値観の違いを認め合う
18[多様性]卓上ゴールボール|ダイバーシティの理解を深める
19[多様性]異文化コミュニケーション|文化の異なる相手との意思疎通
20[組織再編]トーキング・サークル|新組織のビジョンに意識を統一
21[組織再編]リーダーズインテグレーション|リーダーとの意思疎通と結束を図る
22[組織再編]コラボ・ペインティング|チームの気持ちを1つにする
23[業務改善]ビジョンチャート|ブレずにプロジェクトを進行する
24[業務改善]アクションコード|プロセスを分解して改善する
25[業務改善]簡易プロセス分析|ボトルネックを見つけて解決する
26[社会課題]つながりとシステム|SDGsを自分に結びつける
27[社会課題]課題解決スキット|新しい社会像を思い描く
28[社会課題]バックキャスティング|SDGsをアクションに落とし込む
[COLUMN]会議室にとらわれないワークショップ

Part 4 リフレクション編
29 Yチャート|WSの学びを今後につなげる
30 ハンドエンゲージメント|参加者全員で学びを共有する
[COLUMN]ワークショップのクロージングで重要なこと

Part 5 Q&A
1.会場の選び方は?
2.事前にどんなアイテム準備が必要?
3.WSを行うときの最適な人数は?
4.席の配置はどうすればいい?
5.チーム分けはどう決める?
6.異年齢や異階層のWSでの注意点は?
7.子ども向けのWSでの注意点は?
8.参加者の心をつかむにはどうすればいい?
9.ファシリテーターとはどんな存在であるべき?
10.参加者のグループワーク中、ファシリテーターは何をしていればいい?
11.参加者のモチベーションが下がっているときはどうする?
12.ファシリテーターが使ってはいけない言葉は?
13.参加者が混乱してしまったら、どうリカバリーすればいい?
14.50人を超える大人数でWSするときは?
15.WS後のフォローアップやアンケートなどは必要?
16.WSの役に立つ参考書籍を教えて!

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オンライン授業進化論(03)オンライン授業進化が学びの質と未来教育の質感を見える化

★オンライン授業進化論リーダー(OLEリーダー)と対話をして、気づいたことは、OLEリーダーの各学校で、今まで見えなかった教師一人ひとりの授業の質が見えるようになり、かつプラットフォームやオンライン会議システムによって共有ができるようになったのです。オンライン学校説明会で、その様子を受験生・保護者と共有するまでになっています。

★つまり、従来は、見える部分は、どんな教材を使っているのか、どのくらいの数のオリジナルプリントを作成しているのか、模擬試験の結果をだせたか、生徒が理解を深めているかなどぐらいしか見えなかったのですが、オンライン授業後は、教材をどのように活用しているか、プリントではどんな問いまで提示しているのか、模擬試験以上に生徒の総合的な成長や変容がどうなっているのかまで見える化できるようになったのです。

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★だから、同じ単元の授業を担当する教師は、互いにオンライン授業のどのあたりのステージにいるのかが共有できるわけです。前回ご紹介した「オンライン授業のステージ」は、教師の能力の問題ではなく、あくまでも生徒の発達段階の共有です。同じ単元でも、受動型の生徒と自己変容型の生徒では、学びの環境のマインドセットを変えなくてはなりません。

★そのうえで、どんなスキルが必要なのか個別最適化の学びの環境をデザインしていくわけです。それには生徒の多角的な情報共有が必要になるのです。もちろん、受動型生徒を能動型生徒にシフトしたり、能動型生徒をさらに自己変容型にシフトするには、教師の力量やスキルもありますが、それをお互いに切磋琢磨できる学習する組織づくりが、このプラットフォームとテレビ会議室の活用で可能になるのです。

★これについては、「ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(16)田中歩先生の工学院オンラインマネジメント <メタ共感的コミュニケーション×メタ戦略的学び>③」などで書かせてもらいました田中歩先生の共感的かつ戦略的学習する組織のマネジメントが参考になりますね。

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★氷山の一角としては、7つのポイントが見えるわけです。しかし、これだけでもすごいのですが、オンラインPBL授業の学習する組織をつくることを通して、見える部分と見えない部分の境界線が越境出来てしまったのです。今まで見えなかっただけで暗黙知としてあった部分もありますが、それは個々の先生方によって分断されてそこも見えませんでした。

★だから、今回のオンラインPBL授業の学習する組織は、見る部分と見えない部分を分断する境界線、先生同士のそれぞれの暗黙知を分断していた境界線をダブル越境したわけです。

★そうすると7つの要素を生み出すエネルギーは3の8乗サイクルを掛け算するのです。7×3の8乗です。莫大な量のつながりが、今までと同じ時間の中でビッグバーンを起こしているのです。熱量はものすごいことになっていますね。ハイクオリティとは一定時間のサイクルの乗数の爆発的な化学反応によることの実感を先生方も生徒も抱くわけです。そして、その化学反応はさらなる暗黙知を生み出します。それは、まだ見えていません。醸成されたときに再び見える化され共有されるでしょう。化学反応はこうして止むことがないのです。

★アフターコロナで、元に戻ることがないというのは、リアルとオンラインのハイブリッドになるという意味の本質を忘却してはいけないということです。この分断線の越境による化学反応を止めてはいけなということこそが本質的意味でしょう。もっとも、「いけない」ではなく、当然価値あるものが残るのは歴史のセオリーです。

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オンライン授業進化論(02)オンライン授業進化論リーダーの登場

★オンラインPBL授業のもっとも先進的な取り組みを自身実践しながら、学校全体のオンライン授業マネジメントを行っているという意味でリスペクトしている先生方がたくさんいます。この両面を実現している先生方は、チームや組織の様々な葛藤やダブルバインドという精神のひっ迫状況をポジティブシナリオプランニングで乗り越える知恵と精神というコンパッションを有しています。ポジティブかネガティブかは、運命ではなく、意志の力だと私は思っています。

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★その両面の知恵と勇気と高感度未来質感を有している先生は上記の写真にある通りです。そして共感的コミュニケーション能力と戦略的アクティビストですね。この間Zoomで長時間対話をさせていただきましたし、これからもさせて頂きたいと思っています。オンライン授業進化論のメモを書いていこうと思ったのは、彼らの知恵や勇気、高感度未来質感、共感的コミュニケーション能力、戦略的アクションについては、ホンマノオト21のいたるところに散りばめられているのですが、一つのトピックでまとめていないのは、もったいないと思ったからです。

★彼らのガイスト(マインドとかスピリットを包括するドイツ語)は、人類の財産です。内村鑑三が後世に残す遺産と称したガイストを継承する先生方ですから、彼らとの対話を通して、残念ながら、私の独断と偏見と稚拙なフィルターで表現せざる得ないのですが、感じた内容をホンマノオト21をご覧になっていただいている皆様と共有したいと思っているのです。

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★かくして、まずはオンライン授業進化論のリーダー5人と対話して、イメージがまとまったのは、上記のオンライン授業のステージの図です。

★今、外出自粛で子どもたちの学びを続けようとしても、なかなかうまくいかない。課題学習プリントの山をしり目に学びの意欲がわかないという話題をメディアは取り上げています。

★しかし、それは、すべての子供ではありませんし、その子供のせいでもありません。そのような受動型の学びを子供たちが行ってしまうのは、そのような学びの環境にあるからです。

★オンライン授業進化論のリーダー、長いのでOnline Learnning Evolutionary Leaderのイニシャルをおって、OLEリーダーと呼ぶことにしましょうか。OLEリーダーも、すべての環境を一気に自己変容型の子供が生まれるオンライン授業にできるわけではないので、そうなるように俯瞰しながら、いまここでの臨床的活動をしています。

★生徒が、パッシブの心的状況、アクティブな心的状況になるのは、学びの環境の影響を受けています。環境の影響を受けている間は、受動的な言動と能動的な言動を行ったり来たり安定しないでしょう。自分と興味と関心のあるものに出会ったとき、能動的になるのは私たちは経験済みです。

★しかし、そんな環境が常にあるわけではありませんから、どうしても抑圧的コミュニケーションになります。成績で縛るという外発的モチベーションを振りまわすことになります。

★OLEリーダーは、この環境を脱しようと組織変革に日々努力しているわけです。上記のオンライン授業ステージでいけば、OLEリーダー自身は自ら自己変容型の段階のオンラインPBL授業を行っています。

★生徒が自己変容型の段階に至ると、いかなる環境でも、自分の思考や感情、行動を突き動かすミッションを見出せます。興味と関心への志向性がそこに存在する根源的な問題を発見する構えにシフトしています。

★放置しておいても、自分でサバイブしたり社会貢献する活動を行うでしょう。実際にOLEリーダーの周りには、Zoomのホストになって、越境的なあるいは起業家的な活動をしている生徒がたくさん生まれています。

★OLEリーダーは、このような自ら経験値を高めてきて生まれた実践知と理論知を、組織内で共有しようという共感的コミュニケーションと戦略的アクティビティを日々駆使しているのです。

★おもしろいことに、オンラインPBL授業は、PBL進化論でもあるという気づきもありました。興味と関心がなくても、そこに新たな興味と関心を生み出し、さらに根源的な問いを発見し、探究していく自己変容型の生徒が生まれる源泉はPBL授業という環境設定が大切だということも強烈に確信できているのです。

★そしてこのオンライン授業の進化のステージは、さらに次のステージがあります。それは、前回のイメージ図にある新社会構想力に昇華するということです。ポスト・コロナは教育が社会や世界とダイレクトに結びつき、そのことによって新しい世界制作の扉を開くことになります。

★OLEリーダーはそのようなミッションを引き受けています。もちろん、それは内側から湧き続ける豊かで頼りになる清涼な息吹です。OLEリーダーの登場。ポスコロナ時代のリーダーでもあります。

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2020年5月20日 (水)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(19)工学院の平方校長 ≪Z世代≫の未来を開く 鬼神のごとく②

★平方先生の発想は、アフターコロナで今回オンライン学習の何が残るのかという<いまここでの計算>とソサイエティ5.0を超える社会構想をどう彫り描くかという<全体のイマジネーション>の両方から生まれています。

★たとえば、入試の領域では、どんどんミネルバ大学形式が採用されるだろうと。それは中学入試に限らず、高校入試や大学入試でもやれるところはどんどんやっていくだろう。当然そこでギャップや格差は生まれるけれど、古い制度が新しくなるには、そのような動きも必要だ。もちろん、民主主義の原理に沿って動くのは当たり前だと語ります。

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★オンライン学習を通して、それはたしかに何人でも語り合えるけれど、ハイブリッドな学習になると、少人数規模の質の高い学びを日本も作っていかなくてはならない。いろいろなことは、今まではある程度多くの人数が必要だったが、オンラインでつながりながら、知恵を出し合えるし、多様な見方もできる。先鋭的なPBL授業がオンラインでお行われるわけだから、海外の学校同様の規模になる必要もあるかもしれない。いずれにしてもハイブリッドのつながりは今後一層重要になっていくだろうというのです。

★C1英語(わかりやすく言えば英検1級レベル)を50%の生徒が達成できる環境を創ってきたけれど、それは民間英語資格試験のためではない。そうはいってきたけれど、本当の目標を生徒と実感を共有すするのは簡単ではなかった。

★しかし、今回、多くの生徒が海外の学校の授業とリアルタイムにつながる姿をみて、これだなと改めて確信できたと。

★グローバルオンラインエデュケーションは、アフターコロナでも残るというより、大きく展開していくことになるだろうと。こればかりは、ICT教育だけではどうにもならない。言語教育とカップリングされていることが肝要だと。

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★学校教育が、社会のネットワークに広がるときに必要なダイレクトスキルを養っている実感がこれからはますます必要になってくる。そして、その社会のネットワーク自体も変わるから、その変化とつながっていくことによって、自分たちも変容できると。

★今までの教育では、18歳で自己変容が止まってそのまま大人になっているケースをたくさん見ているが、これからは、自分と社会は同期しながら変容していく。それには学校自体も共に変化を創っていくネットワークといかにつながれるかだ。そのためには、自分たちにも魅力あるソフトパワーがなければならない。寄らば大樹の陰ではなく、互いのソフトパワーを共有できるポイショニングを形成することだよと。

★中学入試では、まずはパワーカップルの家庭が魅力を感じてくれるかどうか。すでにこの新しい家庭が新しい社会を創っているから、学校と保護者というより、新しい学びの場をともに創りましょうという感覚になっていくだろう。

★米国のチャータースクールやホームスクール、広域制通信高校のエッセンスを一条校でどう生かせるかかな。制度の枠内できることは、まだまだいっぱいある。

★それは何ですか?とたずねると、たとえば、海外留学のときの単位認定の枠内は、別に海外の地に行かなくても適用できるはずだよと。リアルな遠隔空間かサイバー上の遠隔空間かの区別はいまのところ制度では差をつける規定はないからねと。なるほど!

★たしかに、センシティブな問題だから、すぐにできるものとできないものがあるけれど、リアル時空とサイバー時空のハイブリッド活用はアフターコロナも生かせる。そのことは抽象的にはみなわかっているけれど、具体的にはとなると、実際にオンライン学習経験を積んだところでないとピン行いかもしれないなあと感じました。

★八王子という都心に比べて地理的条件がよくないという制約があったから、その制約をどのように解消するか知恵をしぼってきたが、ハイブリッド時空を活用することで、それは解消できるのではないかというわけです。

★そして、海外の良質な教育ネットワークとつながるとき、C1英語とこれはまだハイブリッドインターだけで行っているが中国語は重要だと。当然ICT教育は必要だけれど、その先にコンピューターサイエンスやデータサイエンスとのつなぎが待っている。そのときに、そこのネットワークでは中国語も必要になっているはずだというのです。

★それから、公衆衛生や医療関連、薬学の仕事はますます重要になってくるから、サイエンスマスはます重要になる。その際に、教科書の枠内だけでやっていてはダメだと。工学院では保健体育科と家庭科の教員が協働して新しい家政学をつくっている。もともとhome economicsとは、家族単位でサバイバルできるスキルを身につける発想があったはずであると。

★ネットワークは、分散グローバルサプライチェーンでもちろん補完し合わないといけないけれど、最低限エモーショナル、フィジカル、ソーシアルを家庭で維持できるシステムが必要で、スマートシティの前にスマート家政学が必要。パワーカップルはそこに気づく高感度な未来質感を持っている。共感し合える仲間と学校を創り変えていかなくてはというのです。

★バイオテクノロジーは必要で、SDGsをさらに加速してパワフルにするには、生態系と新社会構想をカップリングできる新しいバイオテクノロジーが必要。生態系とコンピュータサイエンスは、まさに医療、薬学、心理学、哲学などが統合された学びが必要になるんだと。教科横断的な教科を前提にしてただつなぐではなく、教科が融合されているニュー家政学、ニューバイオテクノロジー的な学びの場が必要になる。STEAMも超えるかもしれないのだと。

★こうして、Z世代が、学校で学んでいるとリアルタイムに世界の幸せのために影響を与えらえる発想を出し合えるグローバルプラットフォームが出来ていくだろうというのです。

★グローバルオンラインエデュケーションの拡張に立ち臨むには、制度設計の変更を行っていく活動も一方で必要だけれど、いまここで教育出動できるリアリティもあるのだtごいうことです。

★平方先生の今行っている教育出動は、新社会構想をすでに実現しながら走っているという感じでした。日々のグローバルオンラインPBL授業やグローバルオンラインエデュケーションの実践が、そのままダイレクトに制度設計変更へのウネリになってくのでしょう。新社会構想とグローバルオンラインエデュケーションが未来の竜巻を生みだしそうな勢いです。

★不動の守護神から疾風のごとく俊敏に動く鬼神へ自己変容している平方先生。21世紀型教育の次のステージが立ち上がり始めました。(了)

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2020年5月19日 (火)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(18)工学院の平方校長 ≪Z世代≫の未来を開く 鬼神のごとく①

★先週の土曜日午前、工学院大学附属中高の校長平方邦行先生から、Zoomミーティングしようとメッセージがはいって、いきなり画面越しに対話がはじまりました。驚きました。

★というのも、もともと平方先生は、≪私学の系譜≫を保守する守護神ですから、対話するのは力が要りますが、今回はさらにパワーアップしていたのです。

★平方先生は、常に時代の精神を読み続け、子供たちの学びの自由を守るだけではなく、21世紀型スキルを実装する教育をつくり、この領域の市民権を得ています。実際、一般財団法人日本私学教育研究所の副理事長で、全国私学の研修会で未来志向の研修コンセプトを実現しているし、一般財団東京私立中学高等学校協会の副会長で、私学の教育のみならず、私学振興のための財務面でのロビー活動でも、同協会会長近藤先生をはじめ多くの私学の先生方と行っています。

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★ですが、今回はそれを超えたそれでいて清涼な勢いなのです。現状の21世紀型教育のエッジを読み切り、さらに未来に進むイマジネーションがさく裂している感じでした。

★学生時代、あの彫刻家高田博厚と親交があり、自身の作品もギャラリーに出展していたほどです。たんに彫刻作品を制作していたというだけではなく、高田博厚の思想にも共鳴していたという話を聞いて、なるほどと納得しました。

★高田は、若くしてフランスに渡り、ロマン・ロランやアラン、ルオー、マイヨールをはじめ多くのフラン知識人た芸術家と親交を深めた思想家でもあります。第二次世界大戦も戦後もフランスに居続け、反ファシズムや理想主義的ヒューマニストとして活動もしていたのです。なるほど、平方先生はその当時の高揚を覚醒させていました。

★要するに、アフターコロナは、元に戻らないけれど、元に戻そうとする勢力も当然いるわけです。その勢力について誰々とは言いませんでしたが、平方先生の周りには最前線で葛藤を起こしている人々と直接会っていますから、メラメラと在野の精神が湧いてきたというのです。今目の前の生徒つまり≪Z世代≫の行く手を阻むことは断固ゆるしてはならないというミッションを引き受けたというのです。

★そのためには、もちろん法整備などの制度設計においても闘っていくのだが、これは時間がかかりすぎるし、そう簡単ではないことは百も承知だから、<グローバルオンラインエデュケーション(GOE)>を一握りの学校の教育活動ではなく、日本全体に拡張していくというのです。

★ただし、さあ集まりましょうという従来型の組織づくりの段取りを踏む必要はまったくないと。今や平方先生自身Zoomianになっているので、全国の識者とつながっています。そこで、どんどんアイデアを語り合えば、拡散するというイメージを持っています。

★しかし、同時に、ニューノーマルとして確立するには組織運営も必要です。そこで隗よりはじめよで、工学院が良きモデルになるだろうというのです。

★すでに、今回の工学院のオンラインPBL授業は、すでにそのモデルになっているのではと問うと、もちろん先生方はがんばっているし、生徒もそうだ。それよい。でも、校長としてのミッションは、この先生方と生徒の教育出動を新しい社会の動きにきちんとつながるようにしていく必要があると。そうなったとき、社会のあらゆる領域で大きな変化が起こるから、その変化に翻弄されるのではなく、逆に変化を創るポジショニングを先生方及び生徒が獲得できるように戦略を立てて、実装しなくてはならないのだと。

★なるほど、さらに覚醒して、清々しい鬼神に変貌しているのはそういうわけなのだと合点がいったのです。(つづく)

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(100)駒場東邦の「学校の様子」の背景に<見えない教育力>の存在

★5月2日、駒場東邦は、同校サイトに「学校の様子」という記事を載せました。美しい写真を10枚掲載しています。言葉は少なめですが、写真は多くを物語っています。見る者に、駒場東邦の教育力の奥深さを感じさせてくれます。10枚の中から次の4枚を拝借します。

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★1枚目は休校中にグランドピアノの調律をしているシーンです。学校再開した時にコンディションの良い状態で生徒がピアノを演奏できるようにという先生方の想いが響いてきます。そして、駒東にはたくさんピアノの青年がいるのだとアートや教養の素養も伝わってきます。

★2枚目は、ホタルカズラの花の写真です。地方によっては、絶滅危惧種に指定されているぐらい貴重な花が、世界のパンデミックの脅威をよそに、静かに微笑んでいます。生徒のみなさんに、大事なことは何か、自分を凛として美しく持ちなさいという先生方の祈る思いが感じられます。

★3枚目は、80人の先生方がZoomで職員会議を行っているシーンです。駒場東邦は特に際立ってオンライン授業のことを発信していません。おそらくしているでしょうが、生徒や保護者にはグループウェア―で連絡がいっていて、公開はされていません。

★しかし、この写真を見れば、Zoomを職員会議にだけ活用しているとは思えません。当然授業でも活用しているというのは推測に難くありません。ただし、学校挙げて一律にやっているかというと、同校の性格からいってないでしょう。それゆえ、駒東はオンライン授業をやっているのだと大々的に発信はしないのでしょう。

★駒東は、先生方の授業の自由が重視されていますから、先生によって創意工夫して行っているのでしょう。このような緊急事態のときに、学校全体で解決しようとある意味大きな政府のような機能を使うか、それぞれが自分の判断で最適の判断をして行動することを優先する小さな政府のような機能を使うのか、どちらがよいのかその解答はないでしょう。

★その是非はもっと客観的にみるようにしたいものだと諭しているようでもあります。

★4枚目は、高3に郵送する課題の束を先生が奮闘して整理しているシーンです。プラットフォームを使って、授業をやっているんだけれど、高3は、それでは足りないという高い大学合格実績を出すノウハウは、まだまだオンラインでは十分でないことをアピールしています。柔軟かつ冷静なその構えは、高度なサイエンスリテラシーを育てる駒場東邦らしい姿勢です。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(17)静岡聖光学院校長星野明宏先生の未来教育質感の感度の高さは強烈。

★日本で最も素早くオンライン授業を行ったことで多くのメディアの取材が殺到した静岡聖光学院。ここ3年間で学内のオープンマインドが広がりグローバルグロースマインドセットスクールを導いたのは間違いなく学校長星野明宏先生です。このことは学内外からリスクペクトされ、高い評価をえています。

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★しかし、当の本人は、極めて謙虚で、常に未来に向かってトライすることがミッションですと。今回も、学内でかなり水準の高い段階のオンライン授業の体制ができたところで、学内の質で満足しているようでは、日本の教育の未来にとって貢献できない。そこで今後についてZoomミーティングをしようということになりました。

★もちろん、マーケティング、広報、教育、グローバル社会、経済、政治など多角的視点かつ大所高所で判断する話が多かったのですが、実にきめ細かく目の前の戦術的な話題も盛り上がりました。

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★あまりにラディカルで画期的でここでまだ述べることはできませんが、星野校長の未来教育質感の感度は最高です。

★徹底的にフィールドワークし、データエビデンスを集めて分析したところで、最終的には断固たる意思決定を責任を引き受けて行うリーダー。この徹底的に客観的な状況分析をしてギリギリのところを見出すクリティカルエッジを利かせるスキルを、今同校では学内の教師にエンパワーメントしているということです。

★そのために新たなプロジェクトも立ち上がるようです。いずれにしても、このクリティカルエッジを利かせるスキルとその時の断固たる決断ができる資質をマスタリーするプロジェクトに立ち臨めるのは、教師も生徒もオンライン授業によってデータやポートフォリオの痕跡をリアルタイムで活用できる技術を身につけたからということに気づいたというのです。

★プロジェクトが始まったら、またその様子をみんさんにご紹介します。未来教育質感を共有するために。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(99)世田谷学園のオンライン 本質を踏まえて

★静と動の教育活動のダイナミズムにあふれ、精神性の深さは欧米が欲するマインドフルネスを日常としている学校。それが世田谷学園だと思います。そして何をやるにおいても現実を受けとめ、そこから丁寧に新しい経験を生んでいきます。今回のオンライン授業も例外ではありません。

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(写真は世田谷学園サイトから。同校サイトは教育内容の発信が非常に充実している。こういうところも丁寧に編集している)

★その姿勢は、「休校中の学習指導について(2)」をご覧になれば了解できます。3つの教育領域において、多様なデバイスやプラットフォームの使い分けをしているのです。ここまで丁寧なプランを実行しているところはあまりないでしょう。そこにはこうあります。

 1. 朝の HR 朝の HR を Classi または Google Classroom で月曜日~土曜日(6 学年・5F・4F は月曜日~金曜 日)の 8 時 30 分に行います。担任の指示に従って生徒諸君は 8 時 30 分に Classi または Google Classroom にアクセスしてください。 

2. 個人面談について Zoom または Google Meet のアプリを用いてオンラインの個人面談を実施します。面談実施の方法、 日時等についてはご子息に担任よりご連絡させていただきますのでよろしくお願いいたします。

3. 授業動画や課題の配信等について Classi・MetaMoJi Classroom・Google Classroom 等のツールを用いて授業動画や課題配信を行い ます。4 月と同様、引き続き各教科が定めるツールを用いて行います。

★学習課題プリントを配信するだけで終わることもなく、対面双方向オンライン学習ばかりやるわけではないのです。そこは静と動のダイナミックな教育活動を実践してきた経験が生きています。静かに自己を見つめる時間、教師や友人同士と対話する時間、自己探求への道を歩む時間を、生徒自身がセルフマネジメントしていけるようになっているのです。

★ですから、同上のお知らせの最後のメッセージが大切なのです。

「生徒諸君は自ら学ぶことの意義を今一度考え、 学べることへの感謝の気持ちを忘れず、真摯に学習に 取り組んでください。」

★リアルな時空での学習であろうとサイバー時空での学習であろうと、この想いは変わりません。こうして、世田谷学園の<Think and Share>という精神は、生徒1人ひとりの内側からコンコンと湧き続けるのです。時代がどう変わろうとも。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(98)海城 4つめのメッセージ 時代の要請をリサーチし未来像を描く

★海城学園のサイトを開くと、トップページにパステルカラーのまだ見ぬ海が見渡せる。その海の向こうに小さく薄光を放つ宝島がある。その静かな輝きに誘われて開くと、そこにはポスト・コロナの未来へのメッセージと戦略が広がっている。

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★新型コロナウイルス感染防止のために今月いっぱいまで休校は続く。緊急事態宣言が発令されて2カ月が過ぎようとしているが、その間に三段階にわけて同校のオンライン授業はアップデートしてきた。その戦略を 4月14日付で、学校長柴田澄雄先生が「インターネットを介した遠隔学習指導について」というお知らせで告知している。この綿密な計画は、さすがであるが、校長名の下に、 ICT 教育室長中田大成先生の名も連なっている。

★ああ、なるほど。そういうことか。

★この連名のメッセージは、極めて重要である。というのも、海城は時代の節目節目でメッセージを出し、教育をアップグレードしてきた。一つ目は、大学受験勉強というよりも端的に東大受験勉強からの脱却。今でいう探究以上に本格的な社会科卒業論文を編集する学びを完成させた。もう40年も前の話だろうか。それから10年たつと、二つ目のメッセージと実践の時代だ。それは、近代教育の閉塞感からの脱却だった。ポスト近代教育を自覚的に行ったのは、海城以外に実はない。あとは海城に続いただけだろうといったら、他校はお怒りになるだろうか。

★パンデミックは環境破壊と戦争とセットになっている。しかし、それは今始まったことではない。識者がいろいろな場面で語っているように、近代化路線の矛盾という閉塞感は、周期的にやってくる。そしてそのつど乗り越えるわけだが、その閉塞感は、エモーショナルとフィジカルとソーシアルの領域で病を生み出してきた。

★今回もまさにそうである。この3つをケアしようという多様な動きがメディアでも報道されている。しかし、海城は30年ほど前から、ドラマエデュケーションやPAを順次取り入れてその病を克服している。

★そして、20年ほど前にグローバル戦略に踏み出した。その過程で高校募集を廃止し、その定員を中学の帰国生入試の定員に回した。これが三つ目のメッセージと実践だった。今では、海城のグローバル教育はハーバード大学をはじめ海外の名門校にも安定的に進学者を輩出するようになった。

★東大進学教育、教養教育、全人教育、グローバル教育と4つのドメインの教育を充実させ循環させた。

★そして、今回四つ目のメッセージと実践が生まれた。ICT教育の実装である。そして、確実に海城のICT戦略は時代の要請を読み切り、未来像を映し出すことになるだろう。そう確信をもてるのはなぜか。

★海城の節目節目の歴史に、必ず登場するのが中田大成先生だからだ。あるときは、国語科主任、またあるときは、教頭、そしてまたあるときは、広報部長。そしてそしてまたあるときは校長特別補佐として、海城のアップグレードを通して世の教育に影響を与えるリーダーシップをとってきた。

★徹底的にリサーチをする。徹底的に世界を経めぐってフィールドワークをする。そして時代の精神を読み切り、未来像を描いてきた。

★今度はICT教育室長としてさらなら次元を目指す。

★さて、その次元はどんな広がりをもっているのだろう。少なくともGAFAやHTH、ソサイエティ5.0、経産省主宰の未来の教室の情報は収集分析しているから、それ以上であろう。国際バカロレアやCEFRのときも徹底的に情報収集分析し、世界標準をノーマルとして、独自路線を築き上げてきた。今回もそうなるだろう。時代を画するとき、海城あり。いや中田大成先生ありということだろう。本質と戦略の両方を兼ね備えた稀有な21世紀私学人である。

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2020年5月18日 (月)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(97)筑駒と攻玉社 オンライン授業実施をデザインで示す

★筑駒が、オンライン授業を大々的にやっているぞという宣言をカッコイイデザイン画で示しています。あらゆるデバイスとあらゆるプラットフォームを使い、生徒自身が学びの竜巻を生み出しているというデザイン。さ・す・が!校訓「挑戦・創造・貢献」。

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(写真は筑駒のサイトから)

★STEAMのアクションの1つだろうということがすぐに了解できます。

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(写真は攻玉社サイトから)

★攻玉社も対面型オンライン授業ではなく、動画配信型授業だけれど、サイバー上の学習支援をしていることをデザインで一目見てわかるように表現しています。

★男子校で、学校あげてオンライン学習やサイバー上の学習を実施している学校は、聖学院が先鋭的ですが、筑駒や攻玉社、そして開成なども取り組んでいることをきちんと表現しています。

★これらの男子校は、明らかにポストコロナの時代の変化を見据え、対応するぞということを表現しています。

★未来教育質感の感度が良いというのは言うまでもないでしょう。

★そのことを世に知らせる大切な貢献をしている学校とも言えます。

★男子校の選択も大学合格実績だけではなく、未来教育質感の感度のよさも加わるでしょう。男子校はカッコよくなくっちゃあ!

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(96)和洋九段女子 オンライン双方向型学校説明会 開催 豊かな<未来教育質感>を保護者と共有。

★先週土曜日、和洋九段女子は、オンライン双方向型学校説明会を開催しました。コロナ禍の今、各学校はWeb配信の説明会を行っています。いわゆるオンディマンド学校説明会です。それが最近、対面双方向型オンライン授業を行っている学校は、説明会もオンライン双方向型にチャレンジしようとしていますが、和洋九段女子は、その先駆け的存在です。

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★新井教頭先生によると、70組超の参加者で、大盛況だったということです。参加者のビデオは基本的にオフで行ったそうですが、アンケート機能を使って「今日のオンライン説明会で何が一番楽しみか」「学校に来られるようになったらどんなイベントに参加してみたいか」などを質問して、参加の機会を丁寧に盛り込んだようです。また、チャット機能を使って個別の質問に答えたり、できるだけ、双方向型になるように心がけたそうです。

★中込校長から全体概要が話される合間に生徒のセッションもあったようです。高1生徒2名(チームすごろくのメンバーで、「SDGs探究AWARDS2019」及び、中2、中3時に参加した「KIRIN SCHOOL CHALLENGE」で受賞歴のある生徒たち)が参加してくれ、新井教頭先生が質問しながら彼女たちの「過去」→「現在」→「未来」へとナラティブな対話をしたそうです。

★はじめから動画を用意しておくのも、もちろんわかりやすいですが、オンラインでこういう対話を行うのは、臨場感も伝わり、参加した保護者には、学校の共感的なコミュニケーションの雰囲気がしみじみ伝わることでしょう。

★それにしても、「中学時代にどのような取り組みをしてきたか、どのような成長があったか?」「オンライン授業を通して何を身につけたか、これからオンライン授業を良くするためにどんなことをしてほしいか?」「世界で大きなマイナスをもたらしたコロナを<プラス>と捉えた場合、今後、日常が戻ったときどのようなアクションを起こしたいか?」などという正解のない深く柔軟に考える問いを投げるとは、さすがです。

★生徒の皆さんも「コロナによって国内の格差があらわになった。中学ではSDGsを世界的な視野で見ることが多かったが、これからは国内におけるSDGsにも目を向けてアクションを起こしていきたい。」とか「コロナによってオンラインでいつでも誰とでも繋がれるという利点がわかった。これを機に海外の方と繋がって<海外におけるSDGsの周知>」をしていきたい。」と即答したようです。

★和洋九段女子の通常のPBL授業では、トリガークエスチョンと言って正解のない広く深く考える問いが投げかけられ、まず個人ブレストで自分の考え、さらにチームで共同編集していきますから、慣れているのでしょう。

★しかし、何より、同校は、農村や企業、NGO、大学などの外部ネットワークとつながる<コネクテッドスクール>を目指して教育をデザインしているため、生徒の皆さんは、世界的視野や問題意識の視座がきちんとできているのでしょう。

★新井教頭先生は、「生徒のみなさんは、早くアクションを起こしたそうな、ウズウズした感じが伝わってきました。家に居続けなければならない環境下で、自分と向き合うよい時間になっているようです」と語っていますが、こればかりは、動画配信ではなく、その場で対話をするから、サイバー上でも響き合うわけです。

★オンライン学校説明会の後は、オンライン個別相談に移行したそうです。

★それにしても、このようなオンライン学校説明会にスムーズに参加する受験生や保護者が増えると、オンライン授業を行っている学校とオンライン授業を行っていない学校とでは、未来教育の質感格差がかなりでてきてしまいます。

★ポスト・コロナというパラダイムが大きく変わる時代、この<未来教育質感格差>はますます大きくなるでしょう。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(95)ノートルダム女学院 人間力を育てる思考型教育

★ノートルダム女学院は、3月2日から対面型あるいは双方向型のオンライン授業を行い、Web配信オープンスクールも実施しています。5月30日に再びオープンスクールがWeb配信されます。前回私も視聴させていただきましたが、栗本校長が語るように、いかなる困難に直面しても、臆することなく知恵を出し合い新しい思ったこともない発見や経験を生み出す教育を行っていることが了解できます。5月30日は、さらに新たな内容も加わるでしょうから、ぜひ参加して子供の未来の価値をどのように生み出していくのかいっしょに考えましょう。

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★内容もさることながら、スピーカーのプレゼンエーション能力の高さに魅了されます。ノートルダムの世界に巻き込む魅せる力があるなあと感じました。そして、これだけの撮影やシナリオを編集するには、相当打ち合わせやリハーサルを重なていなければできません。広報部を中心とした先生方のチームワークの良さが見え隠れします。

★在校生のメッセージもすてきです。テレビ会議の画面越しの向こうで、多くの在校生がいかに自分の学校に誇りを持っているかを語っていました。共感的コミュニケーション能力が高い学校ですね。

★それから驚いたことに、ウェルカム演奏です。吹奏楽部ではなく、オーケストラクラブの演奏でした。弦楽器も演奏するオーケストラクラブがあるということ自体、中高では非常に珍しいからです。そして、実に癒されます。感動しました。

★広報部副部長の中先生の指揮及び指導が優れているということは、そのあとの中先生によるコースのプレゼンテーションの能力の高さからわかりました。コースの詳しい内容は5月30日の日に聴いていただきたいのですが、なぜそのようなコースなのか、どのように学んでいくのかだけではなく、成果をデータできっちり説明するところもすばらしいなあと。それにしても中3卒業までに英検2級以上が50%もいるなんて、たしなに効果的な教育が行われている証拠でしょう。

★それを受けて広報部部長の小早川先生が、進路実績や入試要項などの話をされましたが、なるほど京大2名をはじめ多くの実績も出るはずです。

★さて、このようなアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマポリシーのストーリーを豊かに表現し、データも提示しながら説明がなされたわけですから、それで十分でしたが、一般には表現されない内容のプレゼンもありました。

★高谷副校長からは、このような目が覚めるような深い教育を行う理由を、時代の要請と未来を見据えた視野でスピーチがありました。ここは、他の説明会でも語られるところではあるのですが、世界と建学の精神と学びが結びつく深い話はなかなかされません。というか、世界と建学の精神と日々の生徒の学びが結びつく話は、普通はできないのです。

★なぜなら、建学の精神を話す経営陣は日々の授業の創意工夫をあまりみていないし、建学の精神の歴史的世界的な意味まで深くリサーチしていないからです。また現場の先生方も微積の問題を通して建学の精神や世界精神を語ることはあまりないでしょう。

★ところが、ノートルダムは経営陣も現場の教師もその接点をいつも対話して視野を広め考えを深めています。

★ですから、ノートルダム教育開発センター長の霜田先生は「人間力を育てる思考型教育」という世界精神と建学の精神と日々の思考型授業のシナジー効果をスピーチしたのです。東大や京大の推薦入試のような正解が1つではないあるいは解なき問題を生徒といっしょにどう考えて生徒がどう成長していくかという学びのシステムをわかりやすく説いたのです。

★一般には、授業の時間数、こんな教材を使っている、補習時間はこれくらいという知識を憶えるためのインフラを話すことが多いですね。量的な勉強の話が中心です。しかし、霜田先生は学びの質、思考の質がどのように生徒の内側から生まれてくるのかその知のシステムを語ったのです。さらにいうと、深い問題を考える時、具体的に各教科と結びついていることをさらりと具体的に説明しています。教科横断という話は抽象的には語られることはありますが、ここまで具体的に話されることはほとんどありません。このようなスピーチができる学校は、実はほとんどないと言っても過言ではありません。

★なぜなら、国際バカロレアのTOKや米国のAPコース、イギリスのAレベルのような世界標準の教育でなければ語る必要がないのです。しかし、ポスト・コロナの時代に入って、日本の教育は変わらなければならないというのは、日々のニュースやメディアの記事をみていて、そして休校中のオンライン授業がなされているなされていないの格差を実際に体験して、身に染みて理解しているのではないでしょうか。

★でも、すぐには変わらないといわれるかもしれません。確かに国や教育行政の制度設計がすぐには変わりません。しかし、日々の授業はいまここですぐに変わることができるのです。ここがノートルダム女学院の真骨頂です。

★授業の質の時代。そう感じている方も実際多いのではないでしょうか。授業の質って何?ノートルダム女学院にヒントがあります。

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2020年5月17日 (日)

オンライン授業進化論(01)コロナ禍からポスト・コロナのイメージ

★緊急事態宣言がでて一斉休校が続く中、あるいは解かれても完全に元に戻ることができない中、オンライン授業だとか遠隔授業だとかリモート授業だとかいろいろな呼び名でメディアや学校、教育関係者は語っています。SNSでも多様な発信があります。それだけ関心があることは、教育や学び、何より生徒に対する熱い思いがある現れですから、大いに語り合えばよいと思います。その中の1人として私もブログに書き込んでいるわけですが、そろそろオンライン授業を整理するシンクタンクやメディアもでてくると思います。そのような考え方と私自身の考えを対照してズレをリフレクションしていくためにも、「オンライン授業進化論」を徒然なるままに書き込んでいこうと思います。

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★いろいろな方と話していると、やはりWebやWifi、デバイス、プラットフォームの種類や使い方の話が多いですが、少しずつ通常の授業とオンライン授業のデザインの違いや質の違いについての議論も多くなっています。

★不足しているのは、そのオンライン授業で生まれる生徒の能力が何に結びつくのかという話ですね。大学受験に結びつくでもいいのですが、その大学受験の学びが将来何に結びつくのかという話です。

★良し悪しは別にして、文科省が大学入試改革のヒヤリングに高校生の参加を求める時代です。高校卒業させればそれでよいという時代では少なくともないでしょう。

★欧米はキャリアガイダンスとかキャリアデザインというと、高校から社会で働くまで、いやその先の生涯学習までの制度設計の話になりますが、日本は、高校卒業までの話がほとんどです。高校から社会で働くときに、すぐに役立つスキルを、今ままではあまり考えなくてよかったですね。大学に進学する場合も、受験に合格するまでのスキルで、それがその先のどんなスキルに結びつくのかほとんど考えられてこなかった。スキル悪玉論が支配していたと言っても過言ではないでしょう。

★しかし、今の高校生は、世界同時的コロナ禍にあって、目の前で社会の中から無くなる仕事があることを見てしまっているのです。30%前後はなくなると言われてきましたが、それが現実のものになっているのです。今学んでいることが何かわからないけれど役に立つだろうという根性論的な学びが、もはや役だたないかもしれないのです。

★かりにオンディマンド授業を行っても、その教科書知識をドリル的にトレーニングをして何になるのだろう?という現実的な疑問がわかないほうがおかしいですよね。もちろん、教科的知識を通して何を学ぶのかという話とその知識を暗記するという話は全く別次元の話です。

★ともあれ、そんなオンディマンド授業やるぐらいなら、麻布のように世界を考える時間に読書でもして費やした方がよほどよいわけです。アクティブラーニング的なオンライン授業をやろうが、探究をやろうが、今目の前で傾きかかっている社会を修繕するスキルを学ぶというのもなんだかなあとなります。なぜ崩れるのかそのシステムやメカニズムを知るスキルが今必要でしょう。

★しかし、多くの場合、授業がなければ、そんなことはしない。でも授業をしても役に立つのか?役に立つかではなくて価値が大事だ!でもそういわれてもそれは生きていける価値なの?不安に不安を乗せて不安の屋上屋を重ねていくのはあまりに酷すぎます。

★そこで、対面型のオンライン授業にしようとしても、なかなかモチベーションがあがらない。何になるのかわからないことをやるのは同じだからです。わからないこと解明するのが学びなんだと、このコロナ禍で言えますかね。リスクが何であるかは今はわからなくてよいのだと言えますかね。

★結局オンライン授業で学ぶスキルやアビリティやナレッジが一体何に結びつくのか明快に論じられないのがコロナ禍です。そこで、ポスト・コロナの新社会構想を考え実装する新しいスキルやアビリティやナレッジを創りだすオンラインPBL授業を創るのなら、希望が見えてくるのではないでしょうか。今後しばらくリアルとオンラインのハイブリッドになります。

★根源的な問題や本質的な問題ではないかもしれません。しかし、現実欧米は、すでにそういう教育と仕事と社会と自然の循環を具体的に構想し始めています。制度設計を試行錯誤しています。欧米がやっているから我が国もやらなければならないとは何事かあ!と言われる方もいらっしゃるでしょう。私は少なくとも自分の子どもや孫、そのまた孫、そのまた孫の孫・・・・をあなたといっしょに沈ませたくないと断固思います。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(94)富士見丘のグローバルオンライン

★今春、富士見丘はグローバル教育市場で注目を浴び続けてきた成果が出ました。少人数規模なので、これ以上増えるのは痛し痒しなのですが、生徒が集まり、大学合格実績も当然出ました。その両者の理由は、グローバル教育の徹底でした。少人数教育なので、たくさんの帰国生の入学が続いたので、富士見丘全体がインターナショナル級の学びの場となったのです。

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★SGH認定校の機会を生かし、5年間の間に、生徒1人ひとりが、世界的視野をもち、世界を舞台に学びの活躍をしたのです。帰国生だけが特別なのではありません。分け隔てなくチームになってPBLを英語を使って実践していきました。PBLですから、英語の教科の学びではなく、教科横断的で教養主義的で学問的な探究活動が広がり深まっていったのです。

★それが、今回オンライン授業にもそのまま生かされました。というのも、SGHの活動は、すでに海外とのオンライン授業で、そのときから全員がなんらかのプロジェクトをつくって活動していました。

★そこに慶応大学や上智大学の教授陣や大学院生(外国の学生が当然多いのです)が協働しました。当然彼らもネットワークとリアルのハイブリッドでコミュニケーションをとります。

★したがって、富士見丘に関しては、実はオンライン授業自体はすでに世間のいうニューノーマルだったのです。

★英語科の田中裕樹先生から、先日こんなメールを頂きました。現場の様子がダイレクトにわかるので、一部ご紹介します。

「本校では、Microsoft Teamsを使用してすべてのオンライン活動を実施しています。私は高3のアドバンストクラスの担任をしていますが、HRや授業ではどんどん生徒たちに質問を投げて双方向になるように心掛けています。また、「オンライン学級日誌」では、改めて気づきも多いです。

生徒からは「朝礼や終礼のHRで楽しそうに話す仲間の顔を見ると気分転換になるし、短い時間だけどそういう時間も大切にしたい。」といった感想も寄せてもらえます。感動しつつ、はやく終息して、学校で共に学びたいという思いがつのります。とにもかくにもやりがいをより一層感じているところです。

模擬国連部の今日の活動では、高校2年生の部員に「自分がその国の大統領(総理大臣)であったら、その国や世界全体の新型コロナウイルス感染症終息に向けてどんな策を打つか」といった観点で考える問いを投げてみました。3~4人ずつのグループになり、1グループに1人の高3部活動幹部生徒をつけて、ファシリテーターの協力をしてもらいました。生徒たちは数値に基づくデータも含め、期待以上によく考えをまとめていました。感動しました。

今回の活動は、まもなく引退する高3生を前に、高2生に議論を自分の手でリードするような気概を持ってほしいという思いもありました。もちろん、また模擬国連大会が実施できるような社会情勢になれば、世界の保健衛生事情や経済事情に関してリサーチを重ねたことが強みになることも間違いないであろうと期待しています。

本校はWWLに認定されました。模擬国連部はSGH時代以上に学校を牽引する役割を果たしてくれることと思います。その使命を引き受け自己錬磨して、仲間と協力して世界を舞台に活躍する時代を夢見て、私も日々学ばなければいけないな、と感じているところでございます。」

★田中裕樹先生の、ミッションと生徒の希望を見守る優しい眼差しがすてきです。オンライン授業が展開していく中、先生方の心の物語がドラマティックになっていくそんな瞬間もあるのだなあと思うと羨ましいですね。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(93)八雲学園のオンライン 孫氏の戦略とプラグマティズム

★八雲学園も、着々とオンライン授業を展開しています。興味深いのは、その進め方が、他校とポジショニングが違うということです。どういうことかというと、八雲学園は私立学校の行方を全教師一丸となって背負っているということです。これは、知られているようで意外と知られていないコトです。

★ですから、詳細に同校のオンライン授業の様子をサイトで公開することはないのですが、近藤彰郎理事長・校長自らがZoomで生徒とオンラインHRに参加している後ろ姿の写真が公開されているのです。実にシンボリックです。

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★というのも、近藤理事長は、一般財団法人東京私立中学高等学校の会長ですが、このポジショニングは、自らの利益ではなく私立学校全体の利益のために尽力するという国連が重視している「黄金律」と同様の精神を体現する使命を持っているからです。

★もちろん、そのことは日本の教育全体にも善き影響を与えるはずですが、近藤先生は、それは文科省がしっかりやることであり、助言を求められれば、協力はするが、それ以上のコトを私立学校が協力することはないという「武士道」の構えを示しています。

★ですから、今回の休校やオンライン授業も、私立学校の自らの判断と意志決定によってなしえているのだという姿勢を崩しません。あくまで、私立学校としての役割を全うしようという戦略です。その戦略は「孫氏の兵法」を思い起こしますし、同時にプラグマティックな戦略も想起します。

★というのも、国に対し、精神の主導権と人々の幸せを生み出す社会実装の主導権という確固たる軸を持続可能にして渡り合っているからです。規模からいえば、国と比べれば、小規模ですが、精神の大きさと幸せを生み出す社会実装の優秀性は突き抜けています。

★そういう意味で、教育のあらゆる領域で、国内ではなく、世界に通用するスタンダードを実現しています。でなければ、今後の危機の教育を救う私立学校として道を拓くことができないと思っているはずです。

★ですから、グローバル教育も世界のエスタブリッシュスクール200校と連携としています。この八雲学園の教育活動について、当然文科省は学びに来ているはずです。

★また、生徒のGrowth Mindsetが広がる部活や多様な教育活動は、文科省がなんとか生徒の主体性を育てようとしたときに、大いに参考になるはずです。

★そして、オンライン授業においても、そのような主導権を握る準備をしなければなりません。そうでなけれ、国や文科省に対してスキをつくることになります。

★近藤理事長のセオリーは、世界の最高水準と結びつくことです。しかし、オンライン授業については、まだ世界でも固まってはいません。なぜなら、今回のこのウネリは世界中が初めて経験していることだからです。そういう意味では、中途半端なものは発信できないのです。

★だから、山のごとく動かない姿勢をみせながら、学内では、生徒と保護者にとって最適なオンライン授業かつ世界の最高の水準に適うシステムを開発しています。そこはそういう機略を活用します。そして、決定的なところまでいったら、ラウンド・スクエアとの連携が決まったときのように風のごとく速く動き始めます。

★そんなことが推察できるのは、先月の21世紀型教育機構の第1回オンライン定例会で、近藤隆平先生(英語科主任、海外・英語特別委員長)と菅原久平先生(高等部長)の次の魂の言葉に触れたからです。

 近藤先生)「留学プログラムについては実際に海外に行かなくてもICTを活用することでオンライン交流・授業によってグローバルな環境を整備することは可能であると実感しています。しかし、危機的状況が終わった時に、体験型グローバル教育をすぐに再開できるような準備も今から海外のネットワークと連携してしっかりつくっておく必要があると考えています。」

菅原先生)「生徒や保護者に一番しなくてはらないことは、安心感の創造だと思う。単にイベントの日程を組み替えていくということだけではとても安心感を提供することにはならない。このような時だからできるというプログラムを作っていかなければならないし、その際、ツールに操られるのではなく教育の本心を見据えて内容を研究していく必要がある。保護者からの様々な声を聞きながら八雲学園として何を軸にしていくのかをはっきりと示し、安心感を共有していきたい。」

★かくして、八雲学園が特別なのは、近藤理事長・校長のみならず、先生方はみな、自分の利益ではなく、私立学校全体の利益を守るためにも、危機に直面する教育を救い出す教育出動をしているということなのです。このようなコンパッションスクールはそうあるものではありません。

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2020年5月16日 (土)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(16)田中歩先生の工学院オンラインマネジメント <メタ共感的コミュニケーション×メタ戦略的学び>③

★1月ほど前、田中歩先生が先生方と協力してオンラインPBL授業の体制構築をしていて、その目途が立ったころ、こんな記事を書きました。<ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(32)工学院 なにゆえにオンライン学習なのかを深く洞察。>が、それですが、読み返してみて、今の田中歩先生の感じ方や考え方と比べると隔世の感がります。わずか1カ月の期間が、3年も経過したかのように感じます。

【図1】

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★当初は、時間割のマネジメントやデバイスやプラットフォームの技術的なつながりの土台をつくり、そこに従来行ってきたPBL授業を接続していけば大丈夫だろうと田中歩先生も私も思っていたのですが、当然リアルな授業でしかできないことがあるし、サイバー上の授業でしかできないこともあり、それがシナジー効果を生み出して、リアルなPBLとオンラインPBLでは意識や形態が違うことが歩先生は気づいたのです。

★それは、やはり暗黙知や以心伝心では、オンラインではうまく共感的コミュニューケーションが成立しないということでした。エモーショナルな側面は、リアルな世界では、知的なやりとりだけではなく、感覚や感性で伝わるものですが、オンライン上では、その身体性のコミュニケーション媒介が制約されるために、視覚化と言葉化の丁寧さが必須になります。

★また、どんな精神を発揮する言動をとれば、創造的で、挑戦的で、貢献活動ができるのか、論より証拠、身近にいる友人の姿を肌で感じれば、すぐに伝わります。モデルを丸ごと感じ取ることができるからです。

★しかし、オンラインの場合は、それはできません。そこで、そのモデルになる生徒像が生まれる諸条件を明らかにし、その条件をオンラインの多様な機能でサポートすることに気づいたということです。田中歩先生は、先生方にフィードバックしたり情報共有を、毎日オンラインでリフレクションミーティングをしているのです。

★田中歩先生と話をしながら、Zoomの共有機能で、主体的で自立した生徒、広い視野を持ち深く考えていく生徒、認知的な側面だけではなく、非認知的な側面も豊かで、自国だけではなくグローバルな社会貢献活動ができる生徒、自分やチームばかりではなく、社会や世界の状況もモニタリングできる生徒などイメージを描いていきました。それが【図1】ですが、田中先生は、生徒像をこんなふうにイメージしているというのです。

【図2】

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★そして、この生徒像が育つオンラインPBL授業はどうなっているのか、田中歩先生は、その一端を「工学院のオンライン」などの記事(実はプラットフォーム上にはメモがいっぱい蓄積されている)で言語化することによってリサーチしているわけです。

★英語の教師なので、自分のためのメモとしては英単語がずらり並びます。それぞれの先生が、(ミッション―スキルーリフレクション)×インターアクションの土台を創っていくわけですが、その3つのサイクルは、先生によって特徴があるということです。

★田中歩先生は、それを3つのsとか3つのt・・・とかまとめていきました。いろいろなパターンがありますが、1人の先生がそれをすべて行うわけではありません。それぞれが1つか2つ選択して行っていくわけです。もちろん、本人は暗黙知なのですが、それをICTの機能が見える化していくのです。

★この多様性が、工学院のオンラインのおもしろいところです。広い視野あるいは多角的視野は、先生方のそれぞれの視座が複合して、生徒の視野と融合することによってできます。そして、それによって、生徒は生徒の視座を作り上げていくのでしょう。

★ある意味、先生方1人ひとりのメンタルサイクルパターンを知ることができたのは、オンラインPBL授業を実施し、物理的空間ではソーシアルディスタンスを保ちながら、心理的空間では密にコミュニケーションをとる機会が生まれたからだと。

★相互に関心を抱く教師と生徒の人間存在の誕生。どうやら、社会の在り方、人間存在の在り方、もちろん新型コロナウイルス感染防止のために自然という在り方も、今までとは違う次元に移行するのでしょう。

★田中歩先生は、それを哲学とか社会学とかではなく、教育という世界で問い直しています。ソサイエティ5.0などは、このような新しい社会、人間、自然のつながりや在り方を前提にしていません。田中歩先生をはじめ工学院の先生方は、この新しい存在の在り方を生み出し始めているのでしょう。

★ソサイエティ5.0の次の近未来社会の構想力は、現在政府や官僚には任せていられません。企業は期待できるところもありますが、経済システムを変えるところまではいかないでしょう。しかし、近未来は田中歩先生方とともに学んでいる生徒自身が創り上げなければなりません。

★そのためには、今サバイバルスキルと共に幸せに生きる共感的コミュニケーションの能力が必要です。この両方の能力を、私たちは持っているかと言われると自信がありません。今目の前の生徒にはそうなってほしくありません。そんな強烈な静かな情熱を田中歩先生から感じました。Zoomミーティングは、時計の針がすっかり夜中をまわっていました。貴重な大切な時間をありがとうございました。(了)

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(15)田中歩先生の工学院オンラインマネジメント <メタ共感的コミュニケーション×メタ戦略的学び>②

★緊急事態宣言が解けている自治体もありますが、東京は休校がまだ続くわけです。2カ月にわたる休校ですから、家庭学習で授業に出席したことになるのか、高校の単位は取得できるのかなどの話題もメディを騒がせています。しかし、前回ご紹介したように、田中歩教務主任によれば、工学院は、オンライン授業で時間割通りふだんの授業が再現できるようにアレンジ・マネジメントしていくので、問題ないし、第2波、第3波の予測もされていますが、対応できるでしょうと。

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★歩先生は、バックヤードのマネジメントもしつつ、各先生のオンライン授業の質のモニタリングも忘れません。同校サイトに「工学院のオンライン」という連載記事が載っていますが、それも田中歩先生が、そのモニタリングの中から公開できる分を記事にしています。

★いわば、メディアがあまり取り上げないオンラインPBL授業の質を自ら学内学外共有情報を発信しているわけです。

★話を聞くたびに感心するのは、オンラインPBL授業の多様な形態を実現する組織マネジメントもしつつ各先生のオンラインPBL授業のデザインの質の相互フィードバックの場もマネジメントし、その質の部分に関しては広報発信もしているのです。そして実は何よりご自身が高3などの英語のオンラインPBL授業を運営しているわけです。

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★そして、田中歩先生はこう語るのです。「とにかくチームで複雑な動きを適合的に平衡感覚を生み出す感じが結構高揚感を生み続けています。ちょっと日常のリニアな時間感覚とは違って、ポジティブでいいですけど、少しセルフメンタルケアには気を付けなくてはと思っている程です。そこは、保健体育科の先生方が、生徒に対するのと同じようにケアしてくれるのでありがたいのですが。」

★たしかに、オンライン学習は、リニアな時間であるクロノスと円環的な時間であるカイロスの相互関係が、日常のリニアなクロノスの安定度と違うので、メンタルケアは必要だと最近言われています。田中歩先生は英語教師の前に心理学的な素養がベースなので、そこは了解済みです。しかし、同時に自分の顔は自分で見ることができないということもよく知っていて、<メタ認知>を自分や仲間、生徒ができるように環境をセットしています。リフレクションやフィードバックがタイミングのよくできる仕掛けをつくっているのです。

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★オンラインHRで対面でやるのも、プラットフォームに日誌を互いに共有し、ピアレビューできるようにシステムを構築していくのもそういうわけです。もともと、Growth Mindsetを<共感的コミュニケーション>で形成していますから、それをオンライン上で再構築しているわけですね。

★バックヤードのマネジメントが、結局オンラインPBL授業の質を生み出す知のインフラとして循環しているということにも気づき驚愕です。田中歩先生は、このメタ認知とかリフレクションのきめ細かいやりとりは、教師も生徒もオンライン授業の体験を通して身に染みて了解できる重要な体験になっていると思うと語ります。

★しかも、ピアレビューや情報共有、サイバー上の動画やスピーチ、ライティングの共同編集などは、オンラインだからこそ頻繁に行う必然性みたいなものがあるというのです。それゆえ、田中歩先生は、「工学院のオンライン」の記事の中でも、Zoomミーティンの最中も、頻繁に<interaction>の重要性を語ります。

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★「それに、PBLもブレイクアウトルームを活用すると自然とできてしまうのです」とも語ります。でも、ただブレイクアウトルームしているだけでは、気晴らしにはいいだろうけれどと最近SNS上で疑問視される話題もでていますよねと尋ねると、「たぶん、それはシステム的なスキルをきちんと適用していないから見えていないだけだと思いますよ。ピアレビューやグーグルフォームでアンケート集計を適宜取りながら相互メタ認知ができる機会を活用すると、効果的です。それは、リアルな時空での授業で経験済みですから、それをいかにオンライン授業に埋め込むかですが、それには少し技術的なサポートが必要ですね。だからマニュアルをみんなで必死に創りました」と。

★田中歩先生は、ご自身の英語の授業で、様々な言語タスクを生徒と展開するのです(一番目の写真を参照)が、そのタスクは英語を超えて言語的な思考スキルをトレーニングしています。連続型テキストである英文テキストだけではなく、画像や動画、グラフなど非連続型テキストを読み解くだけではなく、生徒は感じたことや考えたことを自分でも編集していくわけですが、そのときの読み解く思考スキルや編集スキルを身につけることが大切だと言います。

★さらに、「その基礎的ないわば世界制作方法としての思考スキルや編集スキルを自在に使えると、主体的に自立して学びに取り組めます。このスキルは同時にICTを活用するときにも通じます。スキルを身につける学びを設定しないのに、主体的になれと唱えたところで、生徒は身動きできないでしょう」と。

★日本の教育がスローガンで終わるのは、この知のスキルが共有される学びを行っていないからですね。いや行っていないわけではなく、以心伝心だから、伝わる生徒には伝わるけれど、そうでない生徒は指示待ちにならざるをえません。田中歩先生は「工学院の生徒はみんないろいろスキルを学んで欲しいんです。一握りの生徒だけが身につけるだけではなく、1人ひとりみんなです。ただ、機械を動かすスキルのようになかなか目に見えません。それゆえ生徒が了解するのは難しいですが、幸い、オンライン授業は、知の道具としてのICTの機能が山ほどありますから、それを活用することで、逆に知のスキルを内面で言語化できます。リフレクションやメタ認知はそれをさらに促進するでしょう。平常時に戻ったとき、オンライン機能はハイブリッド使用しなければとは思っています」と。

★どうやら、田中歩先生が、オンラインPBL授業の質を創り出す場合の視点というのは、<メタ認知><interaction><オンライン授業のICTスキル><知のスキル>という認知能力、それからメンタルやフィジカルのケアによる信頼関係創出という<共感的コミュニケーション>の5つの能力であると感じました。もちろん、このスキルは工学院の思考コードという知識論理から創造的思考までの知と行動のマップがあるから、どこでスキルを活用しているかポジショニングがわかるので、ドリルトレーニングだけやることもないといういうことです。

★ルビンの壺よろしく、5つの能力は<図>の部分ですが、その背景の<地>には<思考コード>という判断。評価基準があります。

★それから、これは、今後また田中歩先生や他の学校の先生方とZoomミーティングをしていかなくてはと思っているのですが、<共感的コミュニケーション>生成には、クロノスとカイロスという時間のマネジメントが必要です。田中歩先生の場合は自然と行っていますが、この点について、お聞きしてロゴス化共有をしたいと思っています。

★いずれいにしても、工学院は、先生方が共感的かつ戦略的にコミュニケーションをとっていく<学習する組織>そのものです。田中歩先生は、<複雑適用系組織>と語っている通りだと思います。(つづく)

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(14)田中歩先生の工学院オンラインマネジメント <メタ共感的コミュニケーション×メタ戦略的学び>①

★先日、工学院の教務主任田中歩先生と久々に対面対話をしました。イクメンでもある歩先生は、ごめんなさい、子供がなかなか寝付かなくて遅くなりましたと、Zoomの画面越しに現れました。プライベートな様子と学校での仕事が、共感的コミュニケーションでつながっているなあと感じた瞬間でもありました。

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★工学院もいちはやく対面型オンライン学習を開始しましたが、かなりガッチリ体制を整えてスタートを切りました。もちろん、序破急のリズムで進んでいて、日々進化しているのですが、スタートの水準が実に高かったのです。

★2月の末に会ったきりで、あとはときどきメッセージやメールでやりとりしていただけですが、その設計構築過程はなんてすさまじいのかと文字越しに感じました。しかし、オンラインで対面で話してみると、共有機能でいろいろなマネジメントシステムの資料が充実していてそれゆえ説明が極めて明快で、何が課題でそれをどう解決していったのか説得力ある話が聞けました。

★バタバタたいへんなんだけれど、それを解決するときに、仲間がどんどん増え、どんどん知恵をだし、実行していくチームになっていったワクワクするような話になっていたのです。

★危機に強い工学院、それを共感的コミュニケーションでさらにパワフルにしていく先生方の姿がパッと広がりました。

★しかし、一方で時間割のきめ細かさに驚愕でした。工学院に限らず教務主任は、時間割を編成するのが重要な業務です。毎年2月の末から3月にかけて、学年別クラス別の全授業と先生方の配置を組み立てる作業に残業状態でしょう。

★ただ、もしかしたら、イクメンとしては、テレワークができるので、うれしい悲鳴をあげながら、生活と仕事を両立していったのかもしれません。ここはプライバシーに触れるので、直接は聞けませんでした(汗)。

★ともあれ、その時間割がいつもと違うのは、すべてテレビ会議システムにアクセスするインタフェースが埋め込まれるようにできているのです。当然、担当の教師とそのクラスの生徒しか入れないセキュリティ構造になっています。

★生徒数1300人くらいの大規模校です。その平常時の時間割を調整するだけでも大変なのに、そこにオンラインのインタフェースを各授業ごとに埋め込むのです。専任も非常勤もそこは差がありません。

★平常時から、ICT教育を全学年全クラスでやっているので、一から説明する必要はありませんが、工学院は生徒の発達段階やクラスの特徴にしたがって、会議システムもプラットフォームも多様な物をミックスして使用しますから、使い方のマニュアルも用意しています。

★そのマニュアルに整理されている内容は、一般的な使用法ではないのです。もちろん基本は一般的なのですが、工学院の授業や出席の取り方だとか、何よりコミュニケーションの取り方の理念など独自のものがありますから、そこにきちんとつなげられるようにマニュアルが創られているのです。

★シスエテムエンジニアが複数いるのかと思うほどのものです。それを読んで、わからなければ歩先生のプラットフォームに質問がきます。しかし、それは共有されているので、歩先生だけではなく、知っている他の先生が回答したりして、オンライン体制は展開していっているのです。

★かりに、第2波、第3波がきて、オンライン授業がまたやってきたとき、文科省は出席日数や単位を認定するといいだすかもしれません。もしかしたらすぐにでもいいだすかもしれません。そのとき、うちのオンラインシステムは参考になると思いますよと歩先生は語ります。

★他校が、オンライン学習になかなか進められなかったり、単位認定の仕上がりになかなかできないのは、このオンライン学習のバックヤードのシステムエンジニア的な戦略的マネジメントがすぐにはできないということがあるというのが実感できました。外部から一般的な使用方法の研修をうけても、独自の文化につなげるのは、内部にテクノロジストやシステムエンジニア級の人材がいて、なおかつ統括するマネージャーがいなければなりません。

★しかも、この手の組織では、統御精度の高いコントローラーは不要というのが、マイケル・オズボーン教授らのテクニカルリポートでもはっきりしています。柔軟な戦略的なマネージメントが大事なのだというのです。

★まさに田中歩先生のリーダーシップの力そのものです。共感的かつ戦略的という両義性をうまく平衡させています。しかも、すごいのは、歩先生が直接指導しなくても、先生方が共感的コミュニケーションをとりながらICT機器を戦略的に活用する方法を学ぶ状況を形成しているということです。まさにPBLの真骨頂ですが、そういう意味では、メタ共感的コミュニケーションとメタ戦略的な学びの両翼を田中歩先生は持っているということでしょう。

★そして、このオンライン環境のバックヤードのシステムが戦略的にできているからこそ、日々のオンライン授業が創造的になるというなんともトリックアートなアクロバティックなことが工学院では生まれているのです。(つづく)

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(92)実践女子学園のオンライン 表現革命!

★実践女子学園は、グローバル教育やICT教育について随分前から実施しているので、いかなることがあろうとも乗り切っていく魂をもって行動していくスキルの実装が進んでいるなあという感想をもっていました。それが5月9日からのオンライン学校説明会(Web配信)によって明らかになり、実感とぴったりあっていることに感動しています。

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(写真は、同校サイトから)

★この非同期型感動というのも、オンライン学習環境の出現を通して新たな経験をしているとふと感じます。というのも、Web配信型の学校説明会は、申し込んで参加する受験生・保護者が見ることができる限定配信なのですが、後から公開される場合もあります。今後そうなっていくでしょうが、実践女子ははやかったですね。

★同期型Web配信と非同期型Web配信のブレンド型オンライン学校説明会が主流になっていくでしょう。実践学園女子はその先鞭をつけましたね。

★これは、従来のリアル時空での学校説明会とは大きく違うたいへんなコトです。今までの説明会はマイナーチェンジはありましたが、毎回ほぼ同じです。ところが、このブレンド型オンライン学校説明会になると、毎回公開するわけですから、マイナーチェンジではうまくいきません。

★学校説明会の表現革命が起こるのです。毎回表現内容を変える。変えるたびに編集技術がアップデートされますから、まるで、テレビ番組や映画の映像のようになっていくはずです。生徒も参加します。何せコンテンツは生徒自身のものが共感を呼びますから。それに実は生徒はデジタルネイティブで、デジタル編集は大いにサポートしてくれるでしょう。

★実践女子は、Web配信の学校説明会をオンライン説明会と表現しています。最近、Web配信するだけではなく、対面型の同期まで求めらるように進化していますから、オンラインといても配信同期型と対面同期型があります。配信非同期型や非対面同期型などもあります。

★同校の場合は、これらすべて含んでオンラインという言葉を使っています。オンライン説明会の休校中のオンライン学習の説明では、すべてがミックスされていることが丁寧にプレゼンされています。

★それから、このパンデミックの事態だからこそ、いまここで根源的な問題に思いを馳せ、未来をデザインしてしまおうというデザイン学のプログラムの話も、教育が社会課題にチャレンジする場であることも了解でき、改めてグッときました。実践女子のグローバル教育の真骨頂はここにあったのですね。

★まったくもって間口が広くて奥行きが深いT字型学び(慶応義塾大学の井庭教授の学びのパターンランゲージの1つで、広げていく学びをTの字の横線で、深く掘り下げていくのを縦の線で表現している)がすてきです。

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2020年5月15日 (金)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(91)大妻グループのオンライン

★大妻、大妻多摩、大妻中野、大妻嵐山。つまり大妻グループは、いずれもオンライン授業に取り組み始めています。学習プリントの配信で、非同期アクティビティを行うだけではなく、テレビ会議システムも使い対面双方向型で行うところまで実行しています。

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(写真は、大妻嵐山のサイトから)

★オンライン授業といっても、対面型でない授業もまだ多く、そういう意味では、大妻グループは一丸となって先行的に取り組んでいます。授業の内容の発信は、大妻嵐山が少し開始しています。

★今後大妻グループがそれぞれ発信をしていくでしょう。

★学校が再開した時に、リアルとオンラインのハイブリッド授業になるところと、もとに戻るところがでてくるでしょう。果たしてどちらが効果的な授業になるのかは、まだわかりませんが、大妻は前者路線ですから、近未来を考える時に、大いにヒントになります。今後メディアは注目し続けるでしょう。

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2021年の入試(01)聖学院のオンライン塾対象説明会 入試市場の動向 質と量の合力がすべてになる

★本日、聖学院はオンライン塾対象説明会を開催しました。5月15日という時点で、Web配信ではなくオンラインでダイレクトに説明会をしてしまうのはかなり勇気がいることですが、すでに保護者向けの第1回説明会は終えています。

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★説明会では、児浦先生(広報部長)が、グーグルフォームなどのアンケートシステムでリアルタイムに回答を集計してグラフで見せたり、小まめに1,2分の動画を挿入しながら、丁寧かつテンポの良い流れで進めました。

★聖学院の教育の質の良さは、よく伝わったと思います。アンケートの集計には、なぜ参加したかという質問がありましたが、それによると中学入試が気になったが、76%でした。これは当然ですね。第2位が、オンラインを含む授業が71%でしたから、参加者の意識はかなり高かったのだと思います。

★内容については、毎土曜日、オンライン説明会かオンライン面談が行われるということなので、ぜひご自身で参加してみていただきたいと思います。

★1つ気づいたことは、さりげなく語っていて、どのタイミングで明快に表明するかはこれからなのでしょうが、<突き抜ける宣言>が今回はなかったのが残念でした。

★今回の新型コロナ・ウイルスのアフターなのかポストなのか、どちらを語るのかは、情勢次第ですが、少なくとも、今回の事態で世界規模で行われているオンライン学習で何が変わるのかという見通しについて、聖学院はそろそろ語る用意をしているはずですが、そこは今回は触れていませんでした。

★しかし、それが前提の教育の質の話だったし、高校生の新設クラス<グローバル・イノベーション・クラス>の意味でした。

★オンラインによって、時間感覚がかなり変わったような気がしています。コロナ以前は、質を向上していく先に実績という量が見えてくるという感覚だった思います。

★しかし、オンラインによって、質と量はすぐに一致することが求められる時代がやってきました。これまでは、質さえよければ量はなくてもよいのだというのもアリでした。成果主義的な量中心主義は、環境破壊をはじめ、格差を生み出し、SDGsで撲滅されるターゲットを生成してきたのですが、それはそれで勝てば官軍でした。

★しかし、その両方は、ポストコラナという価値観の転換期においては、もはや時代錯誤になるでしょう。聖学院は質と量が一致する経験を今すでにしています。それが海外の社会活動がキャリアデザインに直結したり、世界大学ランキング100位内の海外大学に多数合格したりしていることでもあります。

★ところが、そこがどうしてでたのか、そのメカニズムをあまり語りませんでした。でも、合格者が自ら編集した動画は、経験と理論を見事に統合させたものになっていて、説得力はありました。

★しかし、このような生徒がどんどんでてきて突き抜けるのだと言ってもよさそうなのに、そこは戦略的になのか静かでした。

★そこで、ブレイクアウトルームで、新設クラスについて質疑応答ができる部屋を選び、担当の田中潤先生(高校新クラス設置統括長)にダイレクトに質問してみました。「先生が手掛けてきたこれまでの学校を乗り越えるイメージでいいのですか?」と。すると「もちろんです。だから最初は30名クラスなのです。いきなりまず突き進みます」ということでした。似たような質問は他の方からもでていました。

★しかし、そのあとは全体にその成果を分かち合うというということまでははっきりは語られませんでした。しかし、それは言うまでもないということなのでしょう。実はこの新設クラスの先進モデルは広尾や三田国際ばかりではなく、かえつ有明にあるのです。いずれも、3年かけて盤石にしました。かえつ有明の高校新設クラスは、最初は学年の20%でしたが、今では希望者が増え80%はプロジェクトクラスなのです。

★それを一気呵成に1年間でやってしまうには、まず少人数に絞ってということでしょう。そのためのメカニズムはどうするのか?かなり戦略的に考えていることと思います。

★というのも、このような不測の事態で、世界を救うスキルは何か?というとAIの科学者で、未来を予測したことで有名なマイケル・オズボーン教授のリサーチによると、「戦略的学び」と「心理学的知」がまずは大事だということです。

★聖学院のケアの精神は清水副校長の感動的な説明で多くの人が知っています。しかし、今回ワシントン大学に進む生徒の戦略的な学びについては、まだまだ知られていません。

★これからの時代、戦略的社会貢献をデザインする時代です。質を高めても社会貢献に役立てなければ、価値がないという時代になります。聖学院はそこに挑戦していくはずです。田中潤先生を招聘したということはそういうメッセージでしょう。

★この一年、聖学院は、刻一刻と進化し続けます。目が離せませんね。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(90)カリタス女子、横浜創英、横浜女学院、横浜雙葉、横浜共立のオンライン

★神奈川エリアのオンライン授業も拡大してきました。<オンライン授業>という言葉に対して、是非を問う流れもありますが、がたがた言わずにやってみてから、やるやらないを判断したほうがよいと思います。オンラインのほうがリアルな授業よりよいなんて馬鹿なことは<オンライン授業>を実施している学校の先生は誰も思っていません。むしろ、リアルの重要性をより一層感じています。その前提でにもかかわらず、リアルにしかできないことを、なんとかオンラインでできることで補完しようという話なのです。

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★おそらく神奈川エリアで真っ先に、体制を整えてオンライン授業に取り組んだのはカリタス女子でしょう。はじめから、双方向の授業ができるように試みていました。授業の具体的な様子が同校サイトにどんどんアップされています。いずれ、分析してみたと思います。こういう公開共有情報は、他の学校にも善き影響を与えます。企業秘密よろしく公開しない高偏差値校とは全く違うスタンスです。

★同校と同じようにオンライン授業を行っている学校は、神奈川エリアでは、横浜創英、横浜女学院、横浜共立、横浜雙葉などです。洗足や聖光学院、栄光学園、サレジオも課題配信をしてグーグルクラスルームなどで対面ではないですが、非同期型の双方向指導は行っているようです。それ以上に行っているかもしれませんが、サイト上ではよくわかりません。

★しかし、オンライン授業及びweb配信+プラットフォームで<遠隔授業>は神奈川エリアの私立学校で広まっていることは事実でしょう。この情況を、いずれメディアが明らかにするでしょう。そのとき、近未来の学びはどう変わっているのか。楽しみですね。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(89)吉祥女子の遠隔授業の意味

★吉祥女子も「遠隔授業」を行っているし、WEB学校説明会も開催します。このことは中学入試領域において、また当然ながら私立学校にとっても変化のウネリを生み出す影響力を持つという意味があります。

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(写真は、吉祥女子のパートナー・スクールであるMISS PORTER'S SCHOOLのサイトから)

★というのも、同校は自由でアーティスティックな雰囲気を大切にしながらも大学合格実績を着実に飛躍させてきた歴史ある進学校です。とくに遠隔授業をやらずに、課題学習プリントを配布して生徒とメールなどでやりとりをするぐらいのWeb学習で十分であるにもかかわらず、時代の変化への対応力を発揮しているのです。

★しかも、遠隔授業といっても学内で閉じているのではなく、海外の学校とも連携して行っています。同校サイトには、こうあります。

「アメリカのパートナー・スクールMiss Porter’s Schoolの呼びかけで、世界中のパートナー・スクールの高校生たち100人が「招集」され、5月2日から4週間にわたり国際会議を開くことになりました。会議のテーマは「COVID-19のパンデミック」。各分野の専門家から医療・衛生・政治・国際関係・先進技術などの情報が提供され、グループごとのディスカッション、最終週にはプレゼンテーションがあります。吉祥からは高1、2年生あわせて10名が参加しています。初回を終えた参加者から次のような感想が寄せられました。」

★そして、参加者の気づきも発信し共有していますから、ぜひご覧ください。生徒の躍動感が了解できます。

★同校が「遠隔授業」という言説を選択しているのも、それはパートナー・スクールMPSも、“distance learning ”ということばを選択しているからかもしれません。交流するには共通の概念が必要ですから、そういう一貫性があるというのは、さすがです。

★いずれにしても、同校のような進学校が遠隔授業をオンラインでグローバルな領域で行っていけば、他の進学校にも影響を与えることは大です。

★また、今回のような変化に対応する力があるということを同校は示したわけですが、このことは内部のいろいろな部署や連携力がパワーアップするということでもあります。吉祥女子がまた質的に変貌するということでもありましょう。

★どう変貌していくのか楽しみです。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(88)聖パウロのオンライン <エモーショナル×フィジカル×ソーシアル>を大切にする③。

★聖パウロ学園は、リアルなキャンパスで生み出している<エモーショナル×フィジカル×ソーシアル>の循環をベースに知のPBL授業を実施しています。今回オンライン授業に取り組み、実は、この循環をベースにして授業は展開されているのだということに、そしてそのことの重要性について、改めて気づいたと、英語科の吉岡先生は語ります。

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★特に時間のデザインが大事なのではないかと。普段の授業だと、一時間の物理的な時間を豊かにするも短くするも、生徒の感じる時間感覚次第です。いろいろな刺激や多面的な問いかけができるので、生徒が感じる内的な時間が豊かになる仕掛けが自然とできているのですが、オンライン授業だとそこは創意工夫して仕掛けを考案する必要があるということです。

★オンライン授業は、同期型と非同期型のブレンドが大事だというのです。

★そして、話を聞いていてなるほどと思えるのは、非同期でも問題の解説動画の工夫によって、非同期の学びの時間に同期型の学びを埋め込むことができると感じました。問ごとに動画を配信していますから、自分で考え、そのあとに先生といっしょに考えるというメリハリがはっきりしています。

★問ごとに動画をつくるので、生徒の方は短い時間集中すればよいわけです。没入と傾聴の両方の感じる時間はおそらく豊かでしょう。

★緊急事態宣言が解除され、生徒たちが学校に戻ってきたとき、この同期と非同期のブレンド学習は、普段の授業でも活用できるのではないかと。生徒からも、配信された動画は、聞きたいところに戻ったりして飛ぶことができるので、主体的に学んでいる感覚があるという感想ももらっているようです。

★たしかに、電子黒板に映された動画だけではなく、自分の手元にある動画だと、セルフマネジメントができるというメリットがあります。

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★英語科主任の大久保先生も、オンライン授業では、時間のデザインが大事であると。ゆったり考えたり、ゆったりライティングする時間は、非同期型で行い、同期している時は、クイック感覚で授業を進めていくのがよいのではないかと。

★時間の物理的なスケジュール管理だけではなく、内的な時間である生徒が感じる時間を大切にした時間のデザインは、リアルであってもオンラインであって重要なのですが、オンライン授業を通して、そのことを改めて実感しているということのようです。

★そして、この感じる時間は、神経パルスや脳の活動にも関係しています。また時間のデザインを意識しないとエモーショナルな面もひっ迫します。どのような時間を共有するかは共同体では重要です。

★知と心と身体と共同体と自然の循環デザインが人間形成にとって必要であることに、そしてその仕掛けをいかにつくるかということなどについて、このオンライン授業の機会は、考えるきっかけになっているのでしょう。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(87)聖パウロのオンライン <エモーショナル×フィジカル×ソーシアル>を大切にする②。

★聖パウロ学園は高尾山の広大な裾野に位置しています。自然の緑と青空一杯の中にあります。普段学園に通っていると、感じる時間が長いので、物理的時間はあっという間に過ぎてしまいます。自然と共同体と人間の心が循環していると、内的時間が豊かになりますから、同じ物理的時間も短く感じてしまいます。自己肯定感や達成感、共感といった感覚が形成されるように、聖パウロ学園の先生方はカリキュラムとPBLとキャンパス全体を大胆かつ緻密にデザインしています。

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★今回の新型コロナウィルスの影響で2カ月にわたる全国一斉休校という事態が起きていますが、いちはやくオンライン学習環境をデザインしました。そして、この新たな試みによって、自分たちがいかに心と身体と絆の循環を大事にしてきたか改めて確認ができました。

★当然、日々パウロの森を共有できるわけではないですし、リアルな人間関係を当たり前のように感じることもできません。裾野に立っている校舎はの周りの坂や階段は、いつの間にか身体能力のバランスをつくっているのですが、それもかないません。

★そこで、ワクワクするようなダンスやストレッチを全クラスつないでオンライン授業を実施したりしているのです。

★そして、なんといっても心のケアは1人ひとりとの対話です。朝夕のオンラインHRを大切にし、画面の表情やチャットの言葉などで悩みを察知し、オンライン面談をしています。

★スモールサイズの学園なので、時代の変化や不測の事態への対応力は抜群です。同学園の主幹小島綾子先生は、こう語ります。「men for othersを共有している先生方の俊敏力や組織力はなかなかのものです。スモールサイズの学園の良さは語り尽くせないほどあると自負していますが、資金面では生徒の多い学校のようにはいきません。今回の事態も、wifi環境や通信の環境など他校に比べて十分だとはいえません。最初一瞬不安がよぎりました。オンライン学習環境をつくれるのかと。しかし、杞憂でした。うちの先生方は、十全な道具がなければ、あるものでなんとかするという野生の思考力や戦略的思考力を大いに発揮しています」と。

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2020年5月14日 (木)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(86)聖パウロのオンライン <エモーショナル×フィジカル×ソーシアル>を大切にする①。

★聖パウロ学園のオンライン学習も日々刻々と進化しています。Google MeetやZoom、Google Classroom、Edmodoなどの多様なテレビ会議システムやプラットフォームを生徒の発達段階や教科の特性に合わせて駆使しています。知性や心、身体、絆をリアルな授業で行っているようにいかに再現できるかに挑戦しているのです。

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★教科としての知識や思考に関しての取り組みは、オンライン学習でカバーするのはもちろんですが、それだけではうまくいきません。というのも外出自粛でオンラインの中に居続けると、ふだん以上にエモーショナルやフィジカル、ソーシアルの部分をケアする必要がでてくるからです。

★そこはどうしているのだろうと、体育科のオンライン学習を覗いてみると、なんと国語の先生方もかけつけて、ダンスを踊っているではないですか。もちろん、画面越しには生徒のみなさんも踊っています。

★メンタル面やフィジカル面のサポートを体育でしようといのがねらいですが、どうせやるならみんなで楽しもうと。チャットには「先生カワイイ!」とか「カッコイイ!」とか「2階でやっているんですが、大丈夫でしょうか(笑)」とか書き込みも増えていきます。

★そして、このダンスはある壮大なプロジェクトのねらいもあるそうです。それは完成してからのお楽しみということですが、おそらく絆プロジェクトのような広がりになるのでしょう。世の中はテレワークになったり、オンライン学習になることによって、改めて<エモーショナル、フィジカル、ソーシャル>の3要素が重要だということに気づき始めていますが、聖パウロ学園の体育科もいちはやくそれに気づき、生徒と共にオンライン上で楽しんで学んでいるのです。

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★聖パウロ学園の先生方もたいはんはテレワークになっていますが、体育科のように先生方が身体を動かして協力し合うスペースは、やはり学校という場がポイントになります。歌って、踊って、音楽をがんがん鳴らしてとなると、在宅でというわけにもいきません。改めて学校の空間の大切にさに気づきました。

★それにスポーツの評価ということになると、画像モニタリングが必要なのは、普段の授業も同じです。生徒と共に踊るデバイス3台と生徒の踊っている姿をモニタリングするための3台のデバイスが設置されていました。かなり大掛かりです。1人で在宅指導というわけには、なるほどいきません。

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★この授業を通して教師も生徒も大いに楽しんでいましたが、やはりぽつりとはやく学校に行きたいよ会いたいよと。それは先生も同じだよと以心伝心というか共感的な響きがあふれでたオンライン学習となっていました。

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2020年5月13日 (水)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(85)工学院のオンライン <オンラインPBL授業>

★工学院のサイトに「工学院のオンライン➄」という記事が更新されました。またアップデートしたということですが、これがどういうことかというと、リアルな時空で行っているPBL授業を、創意工夫することによって<オンラインPBL授業>というニューノーマルに持って行けたということのようです。

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★これがどんなにすごいことなのかわるでしょうか。オンライン授業は、リアルな授業に比べて、もっとも不足しているのはコミュニケーションの情報の量と質なのです。

★知識のやりとりのコミュニケーションは一見不足していないのですが、五感情報が圧倒的に制限されています。レコードやCDなどが、生演奏にかなわないのと同じですね。ライブ感というのは、脳神経心身全体で感じることができるのです。

★つまり、非認知的能力については、オンラインの場合は相当創意工夫しなければ不足しがちだということでしょう。

★それを、補っているのですから、文中に「先生方も頑張っていきます。生徒の皆さんも頑張ってください!」という思わずでたエールの含む意味はすさまじいものがあると思います。

★その工夫とは、実は、徹底的に生徒たちが自分たちで考えていく工夫をしていたり、まるで闇の中を進む事態に生徒同士が協力し合える学びの環境を設定したり、とにかく、オンラインのデータ化を活用してセルフリフレクションをする環境を整備したり、互いに感じたことを共有できるプラットフォームを設定したり、自己変容を振り返る時間を設定したり、多様です。

★オンラインPBL授業とは、オンライン授業とそういう意味で違うのです。授業ですべてまかなうのではないのです。限られたオンラインの時空から自分の内面を広げ深堀するT字意識という足場を創り、そこから殻を破って飛び立つ翼を自ら広げられるようにする探究の洞窟創りだったのです。

★その洞窟を探検するタスクは、さまざまなタスクです。そのタスクをこなすたびに知のスキルを身につけます。タスクはだんだん複雑になります。洞窟の奥にはいればはいるほど、未知なるタスクが顕れるからです。それをこなすには、そこまで身につけてきたスキルをミックスする必要があります。そのミックスはどれが最適なのかやってみなければわかりません。

★とても一人ではその洞窟の探検はできないでしょう。共感的コミュニュケーションとは友人の困窮をシェアして共に歩むことによってのみ成り立ちます。互いに励ましあって知恵を出しあって、洞窟探検を終えて外気に触れたときそのときの感動は一生ものです。

★だからこそ、この記事を書き込んでいる先生は、次のようにメッセージを投げるのです。

「高校3年生は目の前にある受験の存在が不透明になってしまっています。学ぶ上で大切な目標が示されずに走り続けることは大変なことです。
だからこそ、このような状況で忘れてはいけないのが「interaction」です。

様々な情報を共有することはもちろん、そのような状況を共感できる場があるかないかでは大きな差があります。

本校の掲げる21世紀型授業の本質はオンラインになっても変わることがないよう、先生方は様々な工夫をしています。

受験生のみならず、すべての生徒が自分自身を外から見て、対話をする中で昨日の自分から~を学んだ・成長した、と言えるような学びになるよう、先生方も頑張っていきます。

生徒の皆さんも頑張ってください!

オンラインは想像以上に負担がかかります。OnとOffを切り替え、適度な息抜きをしながらいきましょう。」

★授業の創意工夫もすばらしいですが、ケアとエールと優しい眼差しと。

★オンライン授業の是非はいろいろメディアで喧しいです。たしかに教育格差もあるでしょう。

★しかし、どんな状況下にあっても、高邁な勇気ある気持ちを互いにたたえ合うマインドについてはスルーされています。一度も格差のない社会がなかったのに、あたかもあったかのように語られ、それが失われたなどという安全地帯で激論パフォーマンスをしている評論家や見識者。

★工学院の先生方は、そのようなフィールドにはいません。生徒と共にいまここから未来にむけての未知のベクトルを試行錯誤して見つけようとしているのです。そして、その道の向こうには、生徒たちが自らの足で歩むしかないのです。どこまでもいっしょについていくことはできません。1人で歩いていけるスキルと道々で友をつくりいっしょに進める共感的コミュニケーション能力が内側から生まれてくるように努力するのみです。そのスキルや共感的コミュニケーションがそなわったとき、別離の時がくるのです。その別離のイメージを心に秘めて日々いかなる条件下でもベストを尽くすのが工学院の教師です。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(84)ノートルダムグループ 近未来の教育へ

★5月9日ノートルダム学院小学校はWeb配信プレスクール&学校説明会を開催しました。大変好評で、再度6月13日に開催することを決定したほどです。期日限定の動画配信で、参加申し込みの方しか見ることができません。そこで、ノートルダム学校法人の総合企画部で再度動画を見て、その動画の魅力について語り合いました。近未来の教育のヒントとなったのです。もちろん会議はノー3密で。

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★ノートルダムは小学校から大学までオンライン学習を実施しています。日本の教育はまだまだこの環境を作り上げていないので、時代の最先端の技術をとりいれ教育格差をなくす方法を考え実践てきたノートルダム教育修道女会の創設者マリア・テレジア・ゲルハルディンガーの精神の継承者として取り組んだわけです。

★そして、世の中もだいぶ環境を整えてきたので、いよいよその先である近未来教育によっていかに教育格差をなくす教育出動をするのかブレストをすることになりました。

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(大学の総合企画部のエリアから中高の先生方とZoomミーティングをしている高谷副校長)

★メンバーそれぞれがそれぞれの時間帯でZoomミーティングをもっていために、自分たちのZoomミーティングがいつできるのかわからないし、ブレストは結構思い付きが多いので、事前に資料を用意できない部分が多いですから、どうしてもリアル時空にいなければなりません。

★ノー3密で、出たり入ったりで、5時間くらいブレストが続きました。

★そんな中で、ノートルダム学院小学校の5つの動画の出来があまりにレベルが高いので、このような高い能力を持った先生方がどのような近未来教育をデザインし実行していくのか。もちろんオンラインPBL授業も行っていきますが、そのクオリティはどこまで高くなるのかなどなど。

【学校長挨拶】
【わくわくサイエンス】
えっ!なんで?すごい!と絶対言う動画。
【英語】
これが思考力をのばす英語!
【体育】
運動神経がよくなるおもしろ運動!
【本校の教育について】
一言でこどもの力が伸びる!見たら絶対につかってほしい言葉 

★マイケル・オズボーン教授の未来スキルの話や、各世紀の初めにパンデミックと戦争などがあって、そのたびに人類は乗り越えてきたけれど、それはどうやってかなど話はあちこち。19世紀のはじめのコレラのパンデミックやナポレオン戦争を乗り越えたマリア・テレジア・ゲルハルディンガーのマインドも確認しながら、どういう素質をもったリーダーが必要なのか、そのリーダーが生まれる近未来の教育は何なのか?徐々にブレイクスルーしそうなところまでいきました。

★それにしても小学校の動画は、はじめプロに制作依頼をしたのかと思ったのですが、なんと先生がたの協働編集だというではありませんか。授業の動画配信もこれほどのクオリティのものだと生徒も引き込まれるなあと。

★動画編集スキルだけではなく、そもそもストーリーを創作するシナリオライターが同小学校にはいるというのです。

★そんな話になったとき、Zoomの活用スキルとオンラインPBL授業のデザインは一回分解して統合する必要があるということに気づきました。当たり前の話なのですが、オンラインになることによって、何層もの編集作業があることに気づいたわけです。

★魅力ある授業は、リアルであったとしても、映画を創るようにデザインする必要があるなど、普段は感じませんが、オンラインになるとテレビや映画などの文化に接している生徒に、これは授業だからというわけにもいかなくなる時代がすぐそこまでやってくる。

★教師の表現力が問われる時代です。思考力の深さがそれより大事だといわれるかもしれません。でも表現力がよわければ、実は思考力も言うほど深くないだろうと。

★もちろん、見た目の表現力を言っているわけではありません。土くれの茶碗も表現の仕方によって付加価値は変わるという庭園発想のことを想定しています。近未来のリアルとサイバーのハイブリッド授業の根底には庭園発想がどうやらヒントのようです。小学校の動画創りの粋な感覚に大いに刺激を受けた会議となりました。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(13)未来のスキルミックスための<思考スキル>

★マイケル・オズボーン教授らがまとめたテクニカルリポートを読みながら、小中高でトレーニングしている<思考スキル>は、未来の仕事において必要な120の力=<スキル、アビリティ、ナレッジ>を生み出す基礎であるということに気づき始めています。基礎というよりメタスキルなのかもしれません。

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★<THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030>(Hasan Bakhshi,Jonathan M. Downing, Michael A. Osborne, Philippe Schneider)には、未来の仕事を分析する際、その職業が必要とする力を分析しています。

★その力とは、米国のシンクタンクのデータ分類を活用しています。35のskillsと52のabilitiesと33のknowledgeで、全部で120のリストをあげています。

★未来の仕事に応じて、この120の力のランキングが変わるわけです。

★私たちが小中高生と学んでいる<思考スキル>は10前後です。それは少ないのではなくて、たとえば、。未来の仕事で重要だと思われている<戦略的学び>というスキルを形成するのに、<思考スキル>を活用していくわけです。

★未来の仕事として何が残るのかそれは予測不能です。各領域の専門的なスキルやアビリティ、ナレッジを形成するのに<思考スキル>は活用していきます。

★今回のパンデミックで子どもたちが学ぶのは、この<思考スキル>でしょうね。予測不能な事態に戦略的に、かつ心身の健康を維持しながら力を合わせていきていくには、個別の専門知を学ぶだけではなく、さらに新しい専門知を形成する必要がでてくるでしょう。そのための<四国スキル>という基礎スキルあるいはメタスキルを学ぶ思考力授業が大切。そんなことがここのところのオンラインPBL授業で気づきました。

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2020年5月12日 (火)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(83)ノートルダム女学院 副校長高谷先生との対話 これからの社会に必要なスキルのスキル

★ノートルダム学院小学校、ノートルダム女学院中学校・高等学校は、京都エリアで本格的なオンライン授業を牽引しています。小中校ともWeb配信学校説明会及びオープンスクールも注目されています。このアグレッシブな教育出動の過程で、はやくも新たな気づきをノートルダム女学院副校長の高谷先生は抱いたというのです。それが何であるのか少し対話しようよと。そこで、40分くらいZoom対話を行いました。

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★ついこの間まで、これからの社会に必要なスキルというのは、小中高生にとっては、もう少し先の話で、それを見据えて今何をするかという発想だったのが、先生方とオンライン授業を実施し、自らもオンライン会議を毎日のように行ってきて、もう目の前の話になってしまったと実感しているというのです。

★まるで、未来社会にワープしたかのようだというのです。

★たしかに、知識を暗記したり憶えたりしている場合ではないというのは明白になった。考えることの重要性を提唱してきたし、前任校でも21世紀型教育を推進してきた。しかし、それはもう当たり前の話になった。いますぐにでも、生徒は社会で必要とされているスキルを身につけなくてはならないと何かに突き動かされる思いだと。

★しかも、このスキルは、知的なスキルだけではなく、エモーショナル、フィジカル、ソーシャルなど包括的なスキルのような気がしてならないと。実際、それはオンライン授業を行っている先生方と同期しているということです。

★そこで、2017年にマイケル・オズボーン教授らがまとめあげたテクニカル・レポート<THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030>を丁寧に読み直してみようと。

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★そこには、スキル、アビリティ、ナレッジの3つ巴のメソドロジーが重要であることが報告されていたのです。しかもその3つのスキルやアビリヒ、ナレッジは120の項目にわたって分析されているのです。

★この120の項目と私たちが活用している<思考スキル>をきちんと結びつけてまだ考えていないということに気づきました。むしろ小中高でトレーニングしている<思考スキル>は未来のスキルのメタスキルであるのではないかという議論になっていきました。

★このメタスキルとしての<思考スキル>と<未来のスキル>の関係は、まだ日本の教育の世界では明らかになっていないし、関心も持たれていない。しかし、このテクニカル・レポートで扱っているデータは、すでにイギリスやアメリカで統計データとして収集されているわけです。

★改めて、世界標準の発想と日本の教育の発想との違いというかギャップを思い知らされたわけですが、気づいたからには、その奥行きを今後探索しつつ、試行錯誤しつつギャップを埋めるだけではなく、超えて行こうと。

★ただし、このことは煩雑だし難しい話になるから、広報ではそのまま発信するわけにはいかない。むしろ、体験授業の中に埋め込みながら、いずれ教育の市場が求めたときにわかりやすく表現できるように準備をしていこう。そういう対話を続けようということになりました。

★気づきの連鎖が激しいのが、今回の事態でもあります。オンラインミーティングがその連鎖を加速させているともいえるかもしれません。

★ノートルダムグループの奥行きの深さと出来る限りそれを見える化する教育出動は、新しい教育の局面を迎える大きなエネルギニーになるのではないかと感じました。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(82)和洋九段女子 見事なオンラインPBL授業ができるわけ

★和洋九段女子のオンラインPBL授業は、セオリーと実践が統合されたすばらしいシステムになっています。新型コロナウィルス感染拡大の終息/収束後も、リアルとサイバー上の授業がハイブリッド授業として新たに展開していきます。子供たちが思春期を悩み謳歌し大いに学び未来を創る才能を生み出していくスーパーモデルです。

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★同校では、オンライン授業の様子を毎日のように更新しているのですが、5月11日全国の学校でオンライン授業を行うぞどうなるんだあとメディアも巻き込んで騒然となったこの日、「新オンライン授業の様子」というタイトルで、だいぶ先まで進んでいることを発信しました。

★世の中、新中1や新高1の授業は、まだ入学式もきちんとできていないので、顔もお互いに知らない。そんな段階でどうやってというため息もいっぱいでているわけですが、和洋九段女子は新中1の授業が、いきなりオンラインPBL授業でスタートできているのです。まずは5月11日の新中1の地理のオンラインPBL授業の記事をお読みいただきたいと思います。

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★すると、驚くと思います。オンライン授業って一方通行的に授業動画を見て、配信された課題プリントを勉強すると思っていたとしたら、全く違うシーンが広がっているからです。

★同校がふだんから行っているPBLが行われているのですから。記事から読み取れる範囲で、アクティビティタイプの分析をしてみました。意識を発見する領域、知識を活用して論理的に構成したり推理したりする領域、根源的な問題の現れるクリティカルシンキングを活用する領域、新しい知識やアイデアを創造する領域という思考座標(想いと考えの複眼座標)すべての領域でアクティビティが行われています。

★オンラインPBL授業とリアルPBL授業の大きな違いは、やはり創造的な領域ですね。リアルな授業では、それほど気遣わなくても表情やボディーランゲージが伝わりますが、オンラインではそこは制限があります。

★したがって、表情や拍手のパフォーマンスをいつもより誇張しなくてはなりません。表現創造の意識を高めるロールプレイがちゃんと同校では配慮されています。

★また、ディスカッションはブレイクアウトルームで頻繁に行われています。時間という制限があります。インプロ学習になるので、創発的な学びがリアルな場面より刺激的です。非情にも時間管理はオンラインは厳しいのです。その制限や制約が創造性を育むというッデザイン思考で使われているスキルが、自然とオンライン授業では展開していくのです。

★世の中、ぎゃあぎゃあオンライン授業の是非を問う発信が多いですが、ぜひ和洋九段女子のオンラインPBL授業を参考にしてほしいものです。よく、ディスカッションしてもきちんと行われていないどうするのだあ!と声を荒げる見識者もいますが、和洋九段女子の場合は、ルーブリックができていてそれを教師と生徒が共有しています。どこまで広げ深めていくか<Tの字意識>(井庭教授の学びのパターンランゲージで、Tの横線を広げる感覚、縦の線を深堀する感覚という意味で活用されています)を共有できるようにロゴス化されています。

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★新中1の今回の地理の授業では、A1、A2、A3が中心となって思考がフル回転していますが、B2やC3にも飛ぶ時があります。ここはグラデーションになっているのですが、実は中高6年間を通じて、このルーブリックの領域のどこに力点をおくのかも設計されているのです。

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★また、各回の授業の中で生徒がどのように自己変容していくのか、PBL授業の物語の構造も共有されています。もちろん、この型があるので、生徒は<Do Now>という学びの見通しを立てながら臨めるのです。学びのスタンバイが出来た状態なんですね。そして、この型があるので、守破離となります。先生方はあえて型を破る瞬間がでてきます。そのとき生徒がサプライズを感じるのも、先生方は経験済みです。

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★普段の授業で黒板トーク&プリント学習をやっていた場合、オンライン授業になっても和洋九段女子のようにはいかないのです。和洋九段女子がオンラインPBL授業を巧みに行えるのは、6年間積み上げてきたこととその過程で、「PBLの物語の構造を構成できたこと」及び「想いと考える両軸をルーブリックにできたこと」が大きいですね。

★そして、「6年間の生徒の自己変容の成長過程」までもできあがったということも大切です。

★この壮大なPBLの足場づくりがあって、そこをベースに多様なアクティビティを授業で展開して生徒1人ひとりの才能を教師と生徒がいっしょに見出し開花する学びが繰り広げられているのが和洋九段女子です。

★今回のオンライン授業を通して、ますますクオリティを磨きパワフルになっていくでしょう。

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2020年5月11日 (月)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(12)21世紀私学人の構想力の時代

★この経済的ダメージと生活世界のダメージのせめぎ合いの局面にあって、テレワークとオンラインラーニングが新たな生き残り方法と新たな社会貢献を生み出しています。つまり、スキルと価値の両方を生み出しています。プレ・コロナの段階では、スキルより価値でしたが、ポスト・コロナはミッション×ビジョン×スキル×ドメイン×フィールド=構想力=価値という関係に変わる予感がします。

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★スキルより価値とか、howよりwhyという考え方はあくまで広告言説です。わかりやすくかたるブランド戦略です。要分解的思考ですね、このプレ・コロナは、ポスト・コロナによって、クオリティ戦略に転換するでしょう。クオリティは目に見えないし、わかりにくいですね。要素分解的ではなく化学反応が起こる関係総体主義ですから。しかし、テクノロジーがそのわかりにくさを魅力あるものに表象するようになるでしょう。

★わかりやすさいブランド戦略は、今度はその安っぽさが目立ち始めます。この複雑な世界、奥行きのある世界を感じることができる時空こそがハッピーなのだということに気づき始めているのが、いまここの瞬間でしょう。

★この難局を独自の判断でかつ世界を見据えて社会貢献も視野に入れた構想力を持って教育出動をしている21世紀私学人が、今活躍しています。彼らの言動をリサーチしながら、21世紀私学人の構想力を抽出していきたと思います。

★今のところ、上記の関数式のような感じで、仮説を立てています。

★そして、このような構想力をみな持ちえるとクリエイティブクラスの誕生なのですが、生徒がいきなりここには飛べないし飛ぶ必要もないでしょう。

★将来は、また違う構想力を生み出すかもしれないからです。

★つまり、構想力を生み出す思考力と思考スキルを学ぶことが重要です。社会に出ると各人の構想力はそれぞれのドメインがあるし、そこで身につけた実装スキルやミッションが、ドメインを超えた市場のようなフィールで評価されるようになります。

★個人によって属するドメインや活躍するフィールどが違うので、実装スキルなどは違うわけです。

★小中高時代にその専門的なスキル実装をする必要もないし、時代と共に加速度的に変化しますから、そこにこだわりすぎると、時代錯誤になる場合もあります。

★ですから、いかなるドメインやフィールドでも、そこで新たなスキルや発想を生み出せるメタ思考とメタ思考スキルを学んでおくのが良いでしょう。

★コンピュータを1人ひとり実装できる状況になると、メタ思考とメタ思考スキルの重要性が際立ってきます。

★そして、それが構想力と結びつきます。

★特に<メタ>の部分は、自分では意識できないので、エンパワーメントリフレクション対話(ERD)が必要になります。これがテレワークやオンラインになるとやりやすくなるし、データ化もできます。

★今メディアが喧しく騒いでいる学力格差は、本当はこのメタ思考とメタ思考スキルが体得できるかできないかの格差なのです。

★だから、オンライン授業をやっても、従来の黒板トーク×プリント学習を行っていたのでは、学力格差しかつかないのですが、その格差はどのみち、新しい職業では、論点にならないのです。その学力があってもなくても、新しい職業には就けなくなるからです。

★というのも、今言っている学力は、すでに構造化された情報です。しかし、準構造化された情報や非情報化された構造が重視される時代がやってきています。

★テレワークやオンライン授業という実装スキルの適用を間違えると、とんでもないことになるということなのです。

★そこを21世紀私学人は、回避しようと教育出動しているのです。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(11)5月11日前夜の教育の関心タイプ ホンマノオト21のアクセス数ベスト30から

★緊急事態宣言が延長になって、全国の学校がオンライン学習に挑むようになるのが本日5月11日からです。もちろん、すべてが動けるかどうかは、問題視されていて、デバイス格差、学力格差、教育格差などメディアが取り上げています。そのせいもあって、5月1日から5月10日までの間のホンマノオト21のアクセス数ベスト30の記事のカテゴリータイプのシェアは次のようになっています。

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前回<ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(10)GW中の教育の関心タイプ ホンマノオト21のアクセス数ベスト30から>では、21世紀私学人児浦先生の記事をカウントしていなかったので、5月1日から5月6日までのデータを修正したものと比較しています)

★「5月1日~5月6日まで」と「5月1日~5月10日まで」を比較すると、やはり、「ポスト・コロナの学び」の記事が増えています。もちろん、毎回お断りしていますが、これはあくまでホンマノオト21の中での話で、全国の傾向がそうだというわけではありません。そういう針小棒大なことを言っているのではないのです。ただ、いろいろなメディアを眺めながら、そう外れていないだろうなあという体感ぐらいは示しているかもしれない程度です。

★とはいえ、ありがたいことに、ユニークユーザー12,000人/月ぐらいアクセスしてくださっていますから、首都圏中学入試市場では、実感からそう遠くはないかなあと。たったそれだけの訪問者といわれそうですが、スケールメリットの判断はおまかせします。首都圏中学入試人口が約50,000人というそもそもが小さい規模ですから、私立学校リサーチベースのブログとしてはこんなものかなあと。

★この10日間の記事のアクセスランキングは次の通りです。

1:ポスト・コロナショック時代の私立学校(66)4月アクセスランキング50か…
2:2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早...
3:ポスト・コロナショック時代の私立学校(69)新渡戸文化中学校のオンライン...
4:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(10)GW中の教育の関心タイプ...
5:ポスト・コロナショック時代の私立学校(67)聖学院のオンライン学習の進化...
6:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(9)聖学院インパクトの本当の意...
7:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(63)聖学院インパクト 田中潤先生が児浦先生と共に
8:ポスト・コロナショック時代の私立学校(70)工学院のオンライン学習の全体...
9:ポスト・コロナショック時代の私立学校(76)静岡聖光学院のオンライン教育...
10:ポスト・コロナショック時代の私立学校(72)ノートルダムのオンライン学習...
11:ポスト・コロナショック時代の私立学校(77)工学院のオンライン学校説明会...
12:ポスト・コロナショック時代の私立学校(71)ノートルダムのオンライン学習...
13:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(9)学びの危機から危機の学びへ...
14:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。
15:2020神奈川の男子校 聖光学院・桐光学園・慶応普通部が突出
16:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(21)聖学院
17:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(49)新渡戸文化
18:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(64)新渡戸文化
19:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(58)品川翔英
20:三田国際教頭田中潤先生 満を持して「新たな教育理論」を披露!9月1日静岡...
21:ポスト・コロナショック時代の私立学校(68)和洋九段女子のオンライン学習...
22:武蔵野大中高を変えた校長「日野田直彦」先生。
23:2021年中学入試を読み解く準備(10)立教女学院の人気の理由 骨太の教...
24:品川翔英のために 柴田哲彦先生副校長に就任
25:ポスト・コロナショック時代の私立学校(78)工学院のオンライン学習がGo...
26:2021年中学入試を読み解く準備(11)武蔵野大学中高の迅速な対応 オン...
27:2020年首都圏中学入試の学校選択(04)東洋大京北の場合
28:ポスト・コロナショック時代の私立学校(79)工学院平方校長のスーパー構想...
29:未来を拓く学校を探す (18) BYOD導入した鴎友学園女子の意味
30:静岡聖光学院 新校長に星野明宏先生。突き抜ける成長力育成へ 

★学校個々に抽出すると、次の学校の記事が注目されています。

新渡戸文化中学校
聖学院
工学院
静岡聖光学院
ノートルダム
洗足学園
聖光学院
桐光学園
慶応普通部
品川翔英
和洋九段女子
立教女学院
武蔵野大学中高
東洋大京北
鴎友学園女子

★21世紀私学人の記事は、田中潤先生、児浦先生、日野田先生、柴田先生、平方先生、星野先生に関する記事が注目されています。

★5月10日のTBSの番組「がっちりマンデー!!」は、<儲かる「炭水化物ビジネス」>というトピックでした。新型コロナ・ウィルス感染拡大防止のための外出自粛のために、経済的ダメージの話題が多い中、創意工夫してサバイブしている企業があるという物語です。

★株式会社パンフォーユーは、全国の提携のパン屋のパンを集め冷凍して企業に販売していたのを、テレワークで需要が減少したので、個人向け宅配便でデリバリーすることに切り替えた。すると売り上げは倍増。

★ぎょうざの丸岡は、もともと餃子オンリーを販売。外出自粛でダメージを受けたが、生餃子なのでたいへんだが宅配に切り替え、やはり売り上げは倍増。

★ピザポケットは、コスパに加えて、お好み焼きもつくり宅配メニューを増やしたら、売り上げは倍増。

★尾西食品は、インスタントラーメンならぬ乾燥おにぎりを販売していたが、ネットショッピングできるようになっているので、やはり倍増。

★そんな例が報道されていました。共通しているキーワードは、リモート、モビリティ、テクノロジー、アイデア、ニーズ、コンビニエンス、コスパなどなどでしょうか。そして、もっとも大事なのは「ダイレクトに個人」というビジネスモデルの転換だと思います。

★結局3つのS(serve,survive,self-transformation)を個人に対して実現できるイノベーションを生みだすことの重要性を明らかに映し出したのが、新型コロナ・ウイルス感染防止のために動き出したニューノーマルという新しい生活の動きなのかもしれません。

★この3Sイノベーションは、教育においても同じことがいえるというのが、ポストコロナの学びが注目される理由の1つでしょう。

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2020年5月10日 (日)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(81)工学院平方校長のスーパー構想。21世紀私学人の凄さ。③

★平方校長と対話していてさすがだと思うのは、ソサイエティ5.0の構想の向こうをみているということを感じたからです。2011年から平方先生は21世紀型教育の話を全方位で行っているわけですが、途中でシンギュラリティの話をするようになりました。これもはやかったですが、当然ながらマイケル・オズボーン氏の未来の職業についてのレポートにもよく触れていました。そういう意味では時代を語る校長として業界では有名でした。ところが、今回、平方先生は、その時代は目の前に来てしまったと実感している。ということは、2030年ころにと思っていたことは、すでに来てしまっているわけだから、次の時代の要請に対応していかなくてはと語るのです。

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★マイケル・オズボーン氏らのプロジェクトがまとめた<THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030>の中のイラストですが、ここに書かれているビジョンはすべて今の学校で出現してしまっているというのです。ここから、政治、経済、文化、SDGs、教育、戦争と平和、マーケット、価値観、感情などなどあらゆるものが変わらざるを得ない。どう変えるのか構想力が重要だというのです。変える側になるのか、変えられる側になるのか、フリーライダーになるのか。生徒にどの構えを共有したいですかと。そりゃあ、変える側です。

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★<人工知能 AI 等が雇用に与える影響;日本の実態1 Digitization, Computerization, Networking, Automation, and the Future of Jobs in Japan 岩本晃一(経済産業研究所/日本生産性本部)、田上悠太(統計数理研究所) 2018年5月>のデータが、その通りになってしまったののだとも。メディアは、経済の低迷を毎日報道している。たしかに、すさまじい。来年の中学入試は、今までのようにはいかない。制度設計を変えるロビー活動をしなくてはならないけれど、すぐには変わらないから現状でベストの創意工夫をすることも重要かなと。

★ただ、図にあるように、今回テレワークやオンライン学習で、どのくらい困っているのかは冷静にデータを収集してみないとわからないと。たしかに都立高校だと8校しかテレワークはやっていない。東京の私立学校は工学院のオンライン授業まではやっていなくてもなんらかの形ではやっているし、日々スキル的な部分は進化している。

★逆に私立学校で、やりきれなかったところは市場の評価は厳しいかもしれないと。ここは、私立学校全体で、まずは何とかしようと思っている。公立学校とも連携はしていくだろうけれど、制度的にはいくつも壁があるなあと。

★ともあれ、日本は遅れているというけれど、オズボーン氏のなくなる仕事に就いている人口比率は他国に比べ低い方だ。だから、ポスト・コロナ時代は、全部がわるくなるわけではない。仕事の階層構造みたいなものも、構造化できる仕事、準構造化できる仕事、非構造化の仕事と別れると思うが、意外と構造化できる仕事がAIに代替されてしまう。学歴構造や産業構造も変わるね。

★アートや創造性が大事だというのは、準構造化の仕事や非構造化の仕事で必要だということだろう。これらの仕事を生みだす3つの能力のランキングをオズボーン氏らは<THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030>で発表している。<Skills><Knowledge><Abilities>合わせて120のアイテムを並べているわけだが、20番目まではこんな感じだ。

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★よく世界フォーラムなどのデータもそうだが、これから社会が要求するスキルのランキングを並べるけれど、実はオズボーン氏はそう簡単なリサーチをしているわけではない。わかりやすいから、〇〇能力のランキング表をつくって学校説明会なんかでプレゼンしているケースが多い、実際自分もそうしているが、そろそろちゃんと話す時がくるかもしれない。

★すでに、工学院の思考コードは、上記の3つの能力は埋め込まれているが、まだまだ一般的ではない。スキルとナレッジとアビリティをどう理解するかによって、今後生涯学習のスパーンで学び方が変わってくるだろう。スキルやアビリティが複数形だけれど、ナレッジは違う。ここでいうナレッジは釈迦に説法だろうけれど、暗記のための知識ではない。知識の発見の仕方、知識の使い方、知識の創り方という包括的な意味で、IBの<TOK>のナレッジ相当すると考えた方が良いねと。

★それから、平方先生は、これらのランキングで誤っていけないのは、どのスキルやナレッジ、アビリティが重要か、単体や要素で考えないほうが良いということだ。これらは、自在にミックスして活用できる創造的思考が大事なのだと考えた方が良いのだと。もっとも、120位が制御精度となっているから、それは創造的思考を形成する要素としては強くないということだ。柔軟性が大事なのは言うまでもないということだ。

★話を聞いていて、ハイブリッド・データ・プラットフォームができると、互いの意欲やモチベーションなどがマッチングできるようになり、教師の役割も変わるなあと実感。実感というのは、そういう教師の役割を演じている先生がすでに工学院には出現しているからです。

★平方先生は、こうも語ってくれました。今はN高のような学校は少ないけれど、これで全日制でもN高校のようなことができる。もちろん、制度的にはフライングになることが多いから、そこは制度的に詰めを行っていかなくてはならない。

★C1英語、PBL、ICTは、今までもやってきたけれど、完全に化学反応がおきたというのがオンライン学習の成果だろう。C1英語50%シェアまでいきたいが、それにはPBLの環境がないとできないし、国内大学入試だけ考えていたら、そこまでやる必要はないかもしれない。しかし、国内大学を受けるにしても、実は、そこまでやる重要な意味があるのだ。オンライン学習後、大学入試のあり方は各大学独自の入試を創意工夫してくるからね。いずれにしても、それはまた今度話すけど、生徒の≪新しい学びの経験≫としてそれは必要で、大学入試や民間検定試験のために学ぶわけではない。

★そして、PBLをやるにしても、きめ細かいデータが必要なのだ。今までもそれは部分的にやっていたが、オンライン学習によって、それがやりやすくなった。そうなるとどうなるか。脳科学の素養も教師には必要になるね。幸い教務主任は心理学の素養がある。オズボーン氏の未来のスキルでは、心理学の知は第2位にはいっている。1位は戦略的な学び。どうやら創造的才能には、戦略スキルと心理学知は相乗効果をもたらすらしい。

★高2、高3は戦略的PBLを行っているし、それまでは共感的PBLをやっているから、このレポートで自分たちがやってきたことが間違ってなかったということを裏付けされた気がしているということでした。

★明日から、工学院だけではなく、多くの私学がオンライン学習に取り組むことになる。量は質を生み出すから、また情勢は変わるだろう。そうしたら、いよいよ明快に工学院の明日のビジョンが映し出されると期待している。またリモート雑談をやろうということでした。

★雑談とはいえ、いや雑談だからか、熱量ある話を聞いて圧倒されましたが、希望の波動が生まれるのを感じないわけにはいきませんでした。(了)

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(80)工学院平方校長のスーパー構想。21世紀私学人の凄さ。②

★平方校長のスーパー構想力=<ミッション×ビジョン×実装スキル×ドメイン知の構築×フィールド創発>の総合力だと前回お話ししました。ミッションについては、語りました。実装スキルも昨日のオンライン学校説明会で概略を話していましたから、実際にオンライン説明会で聞くことができるでしょう。

★教育におけるドメイン知の構築はまさにオンライン授業そのもののシステムです。実践されているし、実装スキルが反映しています。同校サイトでも頻繁に紹介されています。フィールド創発は全私学の広報と21世紀型教育の広報となんといっても工学院の広報の三位一体で考えています。ここはいずれまた話すとして、ここでは、ビジョンの創り方ですね。あまり語られていない部分ですから、少し紹介します。

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★平方校長は、出会った20世紀末のころから、「時代精神」や「時代の要請」についてリサーチしたり見聞を広めたりしていました。それは今も変わりません。海外の教育の視察をしながら、独自の帰国生入試を編み出していったのもフィールドワークの成果の1つでしょう。

★しかし、何より世界がどう変わるのかそこに注力することは忘れません。ですから、1989年ベルリンの壁崩壊をインターナショナリゼーションからグローバリゼーションの転回で、日本もその例外ではないというか、グローバリゼーションという言葉は、日本人が最初に使ったといわれているぐらいです。昔から、日本は逆輸入が好きですね。日本の文化、産業開発、今回の一連の新型コロナウイルスの処方箋の薬もそうです。

★それはともかく、世の中、国際理解教育からグローバル教育に舵を大きくきったのも平方先生の発想が影響しています。というのも、平方先生は日本中高連合会と連携している一般財団法人日本私学教育研究所の理事で、全国の私学の研修会のプロデューサーの1人です。プログラムをつくったり、講師を招いたり、総合的なデザインにかかわっています。

★ですから、グローバル、21世紀型教育、STEAMといったビジョンをリサーチして次々立ち上げています。そのリサーチの一環の中で、私も平方先生に出会いました。もしかしたら、私の発想も受け入れてくれている部分もあるかもしれません。

★一方で、文科省のワーキンググループのメンバーでもありますから、教育の制度設計に関してもデザインしています。もちろん、そのデザインが通ることはないのですが、一つでも通ればというおもいでやっているようです。そして、未来の教育の制度設計の実現は工学院や21世紀型教育機構コミュニティで行っています。

★国家規模の教育の制度設計と自分の学校やコミュニティでの制度設計の複眼思考を回転させながらビジョンを生み出していくのです。

★市場の自由も、実は市場の制度設計があって担保されます。意外とそこは見ないで、市場の自由だけ論じる人がいますが、そこは制度設計をチェックしないと実は権力者の思うつぼです。

★平方先生は21世紀私学人として、国家レベルの制度設計と学校やコミュニティの制度設計の動的平衡を生み出しているということです。ですから、国家レベルの制度設計がうまくいかないとき、学校やコミュニティはどう動くか機を見るに敏なのです。かなり柔軟な包括的なビジョンです。月は直視できますが、太陽はできませんね。平方先生のビジョンは人によっては太陽光線で直視することができない場合もあります。

★それから、データ収集分析です。国家レベルのデータ、日本私立教育研究所の制作ししているデータ、市場のデータ、学校のデータなど複雑系ですが、オンライン学習を通して、これはますます強烈になっています。話を聞きながら、あっ!ハイブリッド・データ・プラットフォームの発想だなと感じました。

★それと、私のような一民間人ともよくミーティングをされますね。多くのネットワークを持っています。そこはフラットだし、いやフラタニティです。

★それと、これは特別かもしれませんが、美術を中心とする芸術史の知識と生物の学問史の知識が豊かです。これらは、スクランブルするので、バイオテクノロジーやAIの行方をよく語っています。そこから、ソサイエティ5.0を超えるビジョンをすでにセミナーなどで語っています。まだ、そこのフィールドはできていないので、聞いている方々はまだヒピンときていないみたいです。

★それは、ハワード・ガードナー教授を受け入れる教育関係者の感覚と同様です。ガードナー教授の教育や学習理論についてはうけいれるのですが、ガードナー教授がその理論をつくりさすときに、文化人類学や心理学、バイオテクノロジー、脳科学などの広いドメインをつないで語っているその背景については興味と関心を示さない人が多いですね。欧米では、そこも含めてガードナー教授は受け入れられていて、20世紀の社会にインパクトを与えた学者の1人として、高い評価を得ています。

★しかし、オンライン学習によって、そこはこじ開けられられるでしょう。

★いずれにしても、世の中には、まだ共感される一歩前ぐらいですが、工学院で、以上のような背景をもったSDGsの探究の試みが、グローバル・プロジェクトに結実しています。平方校長は、先生方のその仕事ぶりをグッドワークとして高い評価をしています。うちの先生方は凄いと。もちろん、それは学内ではあまりいっていないのでしょうが。

★でも、セミナーや昨日のオンライン学校説明会でも必ず紹介するし、その意味を他と比べ少し多めに話しますね。

★グッドワークかどうか平方校長が判断する場合、思考コードや先生方のリフレクション行為をみるだけではなく、ビジョンに対照して総合的に判断しています。

★フィールドワークなどのリサーチは十分か、時代の要請にこたえているか、プロジェクトの制度設計は効果的になされているか、リフレクションデータは収集分析しているか、生徒、保護者との対話は十分に行われているか、もちろん、グローバル・プロジェクトも構想力によって生まれてきているので、ミッション、実装スキル、知のドメイン、フィールド創発力などのモニタリングも加わります。

★工学院の強みは、この平方先生の構想力の制作方法を引き受ける先生方が増えてきたことです。実装スキルはむしろ若い先生方の方が優れているかもしれません。

★いずれにしても、平方先生は、この複雑な構想力づくりが、オンライン学習を通して、時間効率、コンテンツの深さと広さを創り出すのに強烈なエネルギーであり武器であると実感したというのです。(つづく)

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(79)工学院平方校長のスーパー構想。21世紀私学人の凄さ。①

★本日、平方校長とリモート雑談をしました。緊急事態宣言前夜にリアルにお会いした時とリモート上でお会いしたときとでは、21世紀型教育の構想の次元が違いました。オンライン授業体制を通して、ご自身がオンライン学校説明に出演したことを通してのリフレクションが構想のドメインとフィールドをさらに増やし拡大しています。またまた驚愕です。

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★グッドワークをなす条件に、ハワード・ガードナー教授は、ミッションと判断・評価基準とアイデンティティ形成力をあげています。平方先生は、同校の先生方とはやいうちに思考コードという判断・評価基準を形成していますし、21世紀の教育とはどうあるのかそのアイデンティティも時代の変動に適合するように自己変容させています。

★そして、何よりミッションが凄すぎます。平方先生の世界中の子供たちがクリエイティブクラスになることであり、創造的存在を生成する21世紀型教育のハイクオリティを構築することです。そして、そのミッションを牽引する平方先生のメンタルモデルは「パッション」なのです。

★この「パッション」というのは、もちろん情熱という意味もあるのですが、実はもう一つの意味である「受難」という意味を平方先生は有しています。いわゆるクリスチャンではないですが、内村鑑三的な≪私学の系譜≫を引き継いでいるので、無教会派的なクリスチャンマインドと重なるのかもしれません。

★「受難」とは、バッハの「マタイ受難曲」でいう受難です。世界の痛みの総決算を引き受けて、たとえ十字架にかけられようと、ゆるぎなくミッションを遂行するので、困難や矛盾、葛藤を目の前にして無難に切り抜けようという人々には恐ろしく感じるかもしれません。敵が多いのもそうですが、何と言っても12使徒でさえ知らないと鶏が鳴くまでに3度いって、かかわりないと去ろうとしてしまうほどすさまじいパッションなのです。

★だからこそ、平方先生は、まさにそういうパッション、ミッションを有しているので、怖いものを知らないのです。したがって、邁進あるのみです。ただし、極めて戦略的スキルの持ち主ですから、猪突猛進ということではないのです。一方で、アーティストですから、発想が並みでないので、今回もそう来ますかあ !と驚かされたのですが、そういうことは頻繁にあります。それから生物の教師でもありますから、データベースのサイエンスリアルを大切にします。それからそれから技術の教師でもあるので、道具性やスキルの本質的理解が深いですね。ICTもその延長上で捉えているので、自らラップトップを持ち歩き、文科省や全国の研修でイノベーターぶりも発揮しています。

★そんなスーパーパワーの21世紀私学人だからこそ、「21世紀型教育」「思考コード」「C1英語」「哲学英語」、「ハイブリッドクラス」「PBL」など次々と創って行きました。これらの言葉は、学内用語ではなく、今では中学入試市場で当たり前のように見聞する言葉です。

★しかし、最初はすべて工学院から始まったのです。創造者というのは、ハワード・ガードナー教授によると、個人の才能とドメインの深まりとフィールドの広がりによって成り立ちます。おそらくあるドメインの中で才能を発揮しているだけでは職人とか達人という域にいるのでしょうが、市場のようなフィールドでその力を発揮し貢献していくとはじめて創造者となるのでしょう。

★リチャード・フロリダ教授が、日本人は創造的才能者が多いのだけれど、フィールドを自ら広げるスキルが弱いから職人や達人の域をでられない。起業家も米国に比べて多くないというのですね。

★そういう意味では、平方先生のように21世紀私学人は、クリエイティブクラスの牽引者でもあるわけです。そして、構想力こそ重要だということに改めて気づきました。構想力とは、ミッション×ビジョン×実装スキル×ドメイン知の構築×フィールド創発の総合力によって形成されます。ポスト・コロナショック時代は、実装スキルのアップデートした新しい構想力の時代です。

★さて、どんな新構想力かというと、あのマイケル・オズボーンのリサーチした2030年という未来のスキルの必要性が、今回のオンライン学習によって明らかになったし、少なくとも教育の世界では実現段階に一気に入った。そこからどこへ歩を進めるかという時代がいきなり来たというのです。その構想を描く力が半端ないのです。しかも夢物語ではない。そでに行っているところから出発できるというのです。(つづく)

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2020年5月 9日 (土)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(78)工学院のオンライン学習がGoodWorkを出動し、GoodMindを生み出している。

★工学院のオンライン学校説明会に参加して、感動しました。というのは、2001年前後にハワード・ガードナー教授(ハーバード大学で研究。多重知能とかレッジョ・エミリアの教育で日本でも有名)が、MI理論のみならず、5つのマインドについて研究を展開していたり、GoodWorkについてはミハイ・チクセントミハイ教授らと共著を出版していたのですが、そのガードナー教授のマインドゴールを工学院が実現しているのだという確信を抱けたからです。

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★上記写真の本の第1章は、いきなり次の文章から始まります。

IN EVERY HISTORICAL ERA, many people have sought to carry out good work. It has always been true that some people do their work expertly but not very responsibly. People who do good work, in our sense of the term, are clearly skilled in one or more professional realms. At the same time, rather than merely following money or fame alone, or choosing the path of least resistance when in conflict, they are thoughtful about their responsibilities and the implications of their work. At best, they are concerned to act in a responsible fashion with respect toward their personal goals; their family, friends, peers and colleagues; their mission or sense of calling; the institutions with which they are affiliated; and, lastly, the wider world— people they do not know, those who will come afterwards, and, in the grandest sense, to the planet or to God. 

★この部分の翻訳はご自身であるいはグーグル翻訳などでお願いいたします。私は中学英語のレベルで、気づいたところを拾っていきます。ともあれ、どんな時代も、グッドワークを行うことはやりがいのあることだというわけです。でもそのグッドワークが何かは、意外と研究されていない。グッドワーカーは、お金や名誉に拘泥しない。対立したり難局に出会ったりしたときに責任回避したり無難な道を選ぶこともない。自分の仕事は、家族のため、友のため、仲間のため、世界のため、惑星や神のため・・・と自らより他者のために働くことがグッドワークなのだと。

★このようなミッションを工学院の先生方は持っているんです。そして、一つのドメインで専門的に優れているからといって、それで責任を果たしていることにはあまりならない。グッドワーカーは、幾つか横断的に専門的な仕事をしてしまうものだんだと。

★これも、今回工学院のオンライン学習によって見える化され、共有されている学びのシステムになっています。そして、少し読み続けると、Good Work in Uncertain Timestというタイトルのパラグラフがでてきます。こうあります。

To do good work is a laudable goal, one difficult to achieve even under favorable circumstances. In the modern world scarcely anyone is sealed off from rampant and rapid innovations or from intrusive market forces. Indeed, even in professions that might seem immune, these forces are dramatically evident.

★たしかに、2001年前後は、ITバブルがはじけたり、世界同時テロが起きていたり、一方バイオテクノロジーやAIのムーブメントが盛り上がって来ていた時です。当時も予測不能な不確かな時代だったのです。新しいグッドワークへの期待とそうはうまくいかないという状況が横たわっていました。

★そして、激動の歴史の流れやイノベーション、グローバリゼーションの煩雑さは封鎖することはできないとガードナーは嘆いていた(もちろんあきらめてはいません)のです。

★エッ!封鎖出来ない?ところが、そのときから20年経った今、ロックダウンがなされたのです。そして、今度こそグッドワークを見直す時間と実践する機会が顕れたのです。

★工学院の教師も生徒も今、グッドワークを行っています。グッドマインドを共有しています。凄いことになっていると思います。なぜこれができたのか、来週Zoomミーティングで聞いてみたいと思います。

★ともかく、21世紀型教育や21世紀社会の行く手をふさいでいていた欲望の政治経済、分断的国際的世界が、この状況になって、次のようにガードナー教授が語っているグッドワークの世界が工学院に開かれたのです。逆説的にも!

 Paradoxically, we feel 100 percent alive when we are so committed to the task at hand that we lose track of time, of our interests— even of our own existence.

★自分の存在さえも忘れてしまうほど100%生きている実感を感じることができる時間をゲットできているのです。ポスト・コロナショック時代は、グッドワークを行うグッドマインドを堅い意志をもってすれば誰もが手に入れられる時代です。もちろん、それを邪魔をする反動的な流れもあるでしょう。しかし、ついこの間までは、グッドワークやグッドマインドは夢物語だったのです。それがいまここに現れてしまったのです。

★私が工学院に注目しているのは、ガードナー教授が2001年に感じていたことと同期しているし、今や実現してしまっていると感じているからです。そして世の中がそこに気づかいないとしたら、あまりにももったいない。希望への機会損失です。だから、書き続けようと思います。幸せの青い鳥を工学院で見つけられることを。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(77)工学院のオンライン学校説明会 シンプルに丁寧に、高共感と高次元の発信。

★変わる工学院。驚愕。学校説明会がグッとくる。そんな感じのオンライン学校説明会でした。内容はたしかに、今ままでと変わってはいないのですが、表現がリアル時空からオンライン時空に変わることで、簡にして要を得た説明になっていたのです。事前に申し込みがなされていますから、どのような志向性の方が参加しているのか互いに了解しているので、明らかに参加者に合わせて説明のPPTやキーノートをデザインしていると了解できました。

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(左上:中川先生 左下:水川先生 右上:平方校長 右下:鐘ヶ江先生)

★田中教務主任によると、70人弱の参加者だったようですが、海外からも参加されてるということです。リアル空間で大人数集める学校説明会も勢いがあってよいのですが、50人くらいで小まめに実施するのもよいなあと感じました。というのも、ある程度参加する方々の志向性を正確に読めるので、説明内容と参加者の意識のマッチングがしやすいのです。

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★ですから、平方校長先生は、2021年から2027年くらいまでに工学院はどう進化し、自己変容を果たしているのか、ロードマップに集中してかたり、英語科主任の中川先生は、工学院のグローバルネットワークとオンライン授業になってどう変わったのか、いまここでの教育活動について集中して語りました。垂直軸と水平軸のロールプレイが明快で、それがゆえに、座標軸がはっきり伝わりました。

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★しかも、そのロードマップデザインの過程ですでに今年海外大学など成果もでてしまっています。今回の新型コロナウィルスがもたらすafter/withコロナの時代は、グローバルな連帯とその反動のせめぎ合い、GAFA型産業の拡大と縮小する産業のせめぎ合い、PBLやオンライン学習など実践している21世紀型教育と黒板トーク&プリント学習の従来型教育とのせめぎ合いになります。さて、その中で、どの道を選択するのか。

★しかも、生き方は、3つのSが求められるようになってくることも明らかになる時代です。すなわち貢献・奉仕という意味でのserveと生き残るという意味でのsurviveです。自分ひとり生き残ることはできないのです。たがいに協働しなくてはなりません。しかも、誰かに依存してではなく、自律/自立した学習者として変化に対応できる自己変容という意味でのSelf-tramsformationも必要です。

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★今回参加した受験生・保護者は、そのような未来の変化に敏感な方々だったのでしょう。そのような情況をきっちり見据え、それに対応できる学びの環境ができているところを探していると思われます。ですからそこに焦点をあてた丁寧な説明がなされたのです。

★平方校長は、ロードマップの6つのゴールを語りました。そこにむかってすでに学びの環境は準備できたとも。海外大学合格実績の躍進もその一つです。

★英語科主任の中川先生も、海外からの参加者に向けて、インターナショナルクラスの話もしましたが、驚いたことに、そうでないクラスも、習熟度的な内容は違いますが、共通の環境を備えていることをまず説明しました。このメッセージはすばらしいものです。おそらく、帰国生を受け入れる多くの学校では、そうでないクラスと帰国生クラスの学びの環境をきっちりわけるか、混合して差異をなくすかのどちらかです。

★しかし、工学院は、そこは3F感覚なのです。フェア(公平)、フリー(自由)、フラタニティ(博愛)という感覚ですね。フラットというのもありますが、それは工学院ではフラタニティの方を優占するでしょうね。

★いずれにしても、ケンブリッジイングリッシュスクールでありマクロソフトスクールだと中川先生は説明されました。インタークラスの生徒はC1C2まで学んでしまいます。そういう才能をのばせばよいからです。では、サイエンスや薬学、法律、経済、医学に関心や才能がある生徒はというと、そこまで英語はやりませんが、ケンブリッジイングリッシュスクールとしての環境を活用できるのです。

★そして、今回オンライン学習になっても、マイクロソフトスクールの恩恵に全員が浴せるのです。よく1人も残さず学びを保障するという話が話題になりますが、そう言っている学校でも、できるところからやりましょうとなるところが意外と多いですね。しかし、工学院の場合は、全員がオンライン環境が普段から整っているので、まさに誰ひとりも残さず学びを続けることができるのです。

★3Sには十分な学びの環境だということが非常にわかりやすく伝わってきました。

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★また、中川先生は、2019年のPBL授業と2020年のオンラインPBLの授業などについて比較して違いを語っていました。有効な授業がさらにパワフルになっているというのが現状であることも伝わってきました。もちろん、これは英語の授業の例で、他の授業でもそうなのだろうという推理は簡単にできました。すでに、同校サイトで詳しいオンライン授業の様子も頻繁に更新されています。

★オンライン学校説明会に参加される方々は、SNS上の情報をゲットするのは得意です。かなり瞬間的に情報をゲットでき、ある程度俯瞰できる目を持ちながら参加してきます。

★リアルな空間だと、席によってプロジェクターから映し出される映像が不鮮明だったりしますが、オンラインだと参加者1人ひとりにきっちり映し出されるので、より丁寧な内容を伝えられやすいというメリットも実感できました。

★逆にいえば、たくさんPPTを使っておいて、時間に合わせてページを飛ばしながら説明するようなことは、オンラインでは効果が半減します。きっちり作りこみをしなくてはならないので、学校説明会運営者側は大変です。バックヤードの縁の下の力持ちが極めて重要になるでしょう。

★広報部長の水川先生は、チャットで質問された内容に丁寧に回答していきました。これもオンラインならではのリアルアイムのやりとりです。ちょっとした記者会見です。

★そして全体の司会は進路指導主任の鐘ヶ江先生です。名司会ぶりが説明会の魅力に花をそえますが、今回、女性の先生が2人、男性の先生が2人という出演だったのです。

★今回の新型コロナウイルスの感染防止の政策判断のリーダーで大活躍しているのは、多くの女性の大統領であることはメディアで頻繁に報道されています。同校もSDGsの取り組みを行っています。他の学校も行っています。しかし、女性と男性の比率が1:1という説明会は意外と少ないのです。

★未来は女性の活躍の場の広がりでもあります。そのメッセージを今回工学院は見事にやってのけました。

★参加者との情報共有のためのマッチング目配り、バックヤードのがんばり、女性の先生の活躍への気配り、大きな破格な強烈なビジョンときめ細かい配慮が随所に行き届いた説明会だったのです。共感的かつ戦略的コミュニケーションの合力に魅せられました。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(76)静岡聖光学院のオンライン教育出動 世界を巻き込む動きに!

★緊急事態宣言解除が延長されて、日本全国の学校がオンライン学習に踏み切ろうとしています。しかし、現場は、21世紀型教育を実践してきた学校と黒板トーク&プリント授業を行ってきた学校との格差が開いています。これは、格差の大小の違いはあっても、世界の教育問題に発展しています。

★そんな中、どうしたらよいのかそのモデルをと最初に教育出動したのは静岡聖光学院です。この点に関しては各種メディアが取り上げていますので、私が言及するまでもないでしょう。大事なことは、今から行う学校と1カ月以上前から実施している静岡聖光学院とでは、学力の差が当然つくでしょうが、それよりもむしろ、同校が世界を巻き込んで動いているというコトが重要なのです。

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★オンライン授業をやるかやらないかは、学力補償の問題ではあるけれど、その前にまず学習権の保障です。静岡聖光学院は、その両方をきっちり見据えて動いているので、オンライン学習が、フェアー(公平)、フリー(自由)、フラタニティ(博愛)という3Fのマインドに直結することを実感します。

★すると、当然、時空を超越して、学校外と結びつくのは、堅い決意次第だとなります。やりたいではやろうの間の時間が瞬間になります。こうして、クックパッドとつながったり、海外の兄弟校とオンライン授業までやり、未来をどうするか議論していくことになります。

★また、医療従事者の方への応援メッセージ動画を編集して発信したり、同校の教員がリモートコンサートを開き「愛は勝つ」を熱唱絶叫したりしています。これらは、この困難困窮の最前線で果敢に高邁な精神をもって闘っている方への愛のメッセージですし、日ごろ鬱屈している私たちにも勇気をくれます。

★自分たちに何ができるかを常に考え即教育出動をする姿に政治家や財界人も心揺さぶられるに違いありません。そして、現在、過去最大の利益を上げているGAFAが、だからこそそのダブルバインドに苛まれ、マインドフルネスを希求しているのですが、そのマインドフルネスの茶の道のヒントは静岡県にあります。

★その茶室を内包する庭園発想の理論は県知事の川勝平太さんの理論でもあります。大学教授時代にガーデンアイランド構想の国土計画にも影響を与えました。おそらく、静岡聖光学院のこの動きは自治体にもとどろき、静岡県が世界を巻き込む流れを創っていくことでしょう。そのぐらいのインパクトある動きをしています。

★同校のOBの中には、そういう動きをするZ世代もいるでしょう。

★ワクワクしますね!

★論より証拠、オンライン学校説明会やオンライン体験授業に参加してみましょう。

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2020年5月 8日 (金)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(75)工学院のオンライン 未来を志向する人々に注目されている。GAFAが希求する学びがあるから。

★工学院のオンライン。それは未来を志向する人々に注目されているのですが、それはなぜか?ICTを十全に活用できているからなんて言っていたら、チコちゃんに「ボーっとして生きてんじゃねーよ!」と叱られます。その解答は「GAFAが希求する学びがあるから~」です。

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★前回、工学院のオンラインが生徒中心主義で、生徒の存在と精神を生み出す命と学習権の包括的なプログラムが作動していることをご紹介しました。そのときの図は次にあるものです。

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★上記の2つの図を比較していただければおわかりいただけるように、工学院の複雑適合系の学びは、一つ目の図のようにシンプルになります。この図をみて気づいた方は、GAFAがマインドフルネスプログラムを導入して、スタッフのダブルバインド状態をなんとかしようとコンパッションプログラムがすでにパーフェクトに実装実行されているのに驚くでしょう。

★今回の新型コラナウィルス感染の世界同時的拡大によって、GAFAは莫大な利益を得ています。4月28日の決算で明らかになりました。GAFAは、グローバル企業として、「利他性」「共感」「誠実」「敬意」「関与」などをモットーとしていますが、同時にこれは莫大な利益を上げてしまうことによって、クリティカルエッジになってしまします。はたして、「利他性」は守られているのか?「反共感」になっているのではないか?「誠実」なのか?「敬意」はされる側かする側か?「関与」しても格差など広がるばかりではないのか?

★この優れたスタッフのダブルバインドによるクリエイティビティの喪失感、無力感、幸せは金じゃないなどのネガティブファンタジーに陥ります。これを乗り越えるプログラムとしてマインドフルネスプログラムが必要なのです。

★しかし、これはGAFAばかりではなく、ソサイエティ5.0に急速に向かう現代社会の病理です。

★たとえば、日本の中高生が自己肯定感を低いと感じてしまう心性と相通じるものがあるでしょう。Growth Mindset Schoolを目指して21世紀型教育を推進してきた工学院。哲学や探究ベースのPBLを推進してきた工学院では、GAFAが希求する学びのプロジェクトが満ち溢れています。

★それがオンライン学習で、学内シェアとロゴス化が形成され、それが共感的コミュニケーションの波動を広めることになっているのです。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(74)工学院のオンライン 未来を志向する人々に注目されている。本質ブランドが希求される。

★緊急事態宣言が延長され、地域によって違うが、東京エリアは5月末まで、一斉休校も延期となりました。それゆえ、7日と今日8日は、もはやオフラインでなんとかなると思っていたところも一斉にオンライン学習の立ち上げにバタバタしています。生徒の命を守るということと学習権を保障するという民主主義の根本問題を突きつけられているからです。

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★オンライン授業の是非について多様な領域からメディアやSNSで語られていますが、ほとんどが同じ視点で同じトーンで語れれていて、実践している人たちの例を報道するケースメソッドがほとんどです。それはそれで大いに参考になります。ただ、命を守ることと学習権という民主主義の根本問題として意識して実践しているかと問われると、そんなのは当たり前だというのでしょうが、あまり感じられませんね。

★しかしここにきて、メディアでもいよいよ学習権について言及するようになってきました。ただ、どうやって?というケースメソッドがないということに未来志向の人びとは気づいたのです。そこで、ネット上で探しているのでしょう。ホンマノオト21のアクセスランキングを見ていて、「ポスト・コロナショック時代の私立学校(70)工学院のオンライン学習の全体システム早くも構築。工学系大学附属ならではの挑戦。」という記事が、他の記事程爆発的なアクセス数ではないのですが、じわじわとアクセス数を増やしています。

★ホンマオオト21で工学院の記事を書くときは、なかなか難しいのです。たんてきに「〇〇」をやっているどうだという発信を工学院はすることがないので、本質的アプローチでみていかなくてはならないからです。

★しかもパーフェクトに「生徒中心主義」なので、私がこういう理論でこういう実践で指導しているという、メディアウケする教師がリーダーシップを発揮しているわけではないので、書きこむのはなかなか難関です。

★しかし、だからこそ、書く必要があると私は思います。世の中は、本質を回避します。シャイなのかどうかわかりませんが、視聴率や発行部数を意識すると、生徒中心主義より消費者中心主義や生産者中心主義になるのは当然です。

★ところが、ポスト・コロナショック時代は、消費者中心主義や生産者中心主義がどうも怪しくなってきたということでしょう。未来志向の人びとは、本質的な生徒中心主義という内生的経済成長理論=<新しい学びの経験をベースにする経済>を探しているはずです。

★自分の子どものためにというのもありますが、ソサイエティ5.0は、まだまだ消費者中心主義や生産者中心主義が残っていますので、さらに次のフェーズと想いを巡らした時、まさに今の生徒がそこで挑戦し新しい世界を創ることができるかにかかっているということに気づいているのです。

★その流れからいって、「工学院のオンライン」は、ものの見事に未来世界を実現してしまっているのです。現状のメディア報道ではオンラインのデバイスやアプリ、プラットフォームの話が満開ですが、工学院はそこはすでに実装しています。

★また、家庭力のケアの話をして、自分のところは考え始めているといっている語っている校長もたくさんいますが、工学院はそこは最初から重点的に広範囲に深堀して行っています。グーグルフォームで、数年前から着々とやってきたし、保健体育科と家庭科の先生方が協力してセルエンパワーメントエバリュエーションの授業もデザインしてきました。

★これらは、オンラインに移行することで、よりロゴス化され共有化されデータ化されます。

★学力も、思考コードをすでに創ってきましたから、その領域ごとに問いを確認し、共有し、基礎から応用、創造的思考までできてしまいます。オンライン授業になると知識確認ドリル型になると批判もありますが、工学院はそこはすでにクリアしているのです。

★かくして、上記の図にあるように、この1カ月の間に、生徒の存在とマインドを生成してきた今までの実践を、すべてオンライン学習環境で実装してしまったのです。

★何より、この実現を可能にした21世紀私学人チームの涙ぐましいバックヤードの活動はすさまじい限りです。しかし、このバックヤードで共に乗り切った教師と生徒がどれほど自己変容するか計り知れません。

★未来志向の人びとが、教育と社会と組織開発の循環モデルを工学院に見るのは、何か歴史的必然性を感じます。「工学院のオンライン」とグーグルなどのブラウザーで検索するとトップページにでてきます。それと同時に先述のホンマノオト21の記事も出てきます。これは多くの人が見ていることの証の1つです。

★消費者ウケするブランドから本質的ブランドへ。実は消費者自身が生産者自身が本質的なコトに覚醒するのが、ポスト・コロナショックの時代なのかもしれません。

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2020年5月 7日 (木)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(10)GW中の教育の関心タイプ ホンマノオト21のアクセス数ベスト30から

★緊急事態宣言の緩和がどうなるのか政府判断を待つ状態になったGW(2020年5月1日~5月6日)中、感染状況の情報、医療崩壊の危機、経済危機、国際関係の危機、政治機能の危機・・・と各方面危機という意識でメディアもSNSも埋まっていたし、これからも続きますが、学びの危機についても関心は非常に高かったし、今後ますます高くなるでしょう。

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★ホンマノオト21の記事は教育に偏っているし、個人のブログゆえ、記事にも限りがありますから、全体を見ることなどできないことは言うまでもありません。しかしながら、検索で立ち寄る方が圧倒的に多いので、教育に関心がある方々がどのタイプの記事にアクセスしてくるか現象は少しわかります。

★4月中のアクセスのベスト30は、ポスト・コロナショックの時代の学びについて、とくにオンライン学習やオンライン授業に関する記事が80%を占めていました。

★しかし、5月の6日間のGWは、受験関連記事が27%と7%増え、21世紀私学人の記事にアクセスがあり、17%シェアでした。

★オンライン学習に関心が高いのは変わりませんが、やはり目の前の中学受験や大学受験のことも気になってきたということですね。9月入学の話がでてきていますから、とくに大学入試については、またまた翻弄されるのかもしれない、このまま休校が続いたらどうなるのだろうという不安はたしかにあるでしょう。

★そんな中、教育の危機を救う危機の教育のリーダーは誰なのだろうという流れは当然あります。そこで、21世紀私学人に関する記事にアクセスがあったのでしょう。いずれも新しい記事ではありませんから、検索してアクセスしている状況が推察できます。

1:ポスト・コロナショック時代の私立学校(69)新渡戸文化中学校のオンライン...
2:ポスト・コロナショック時代の私立学校(67)聖学院のオンライン学習の進化...
3:2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早...
4:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(9)聖学院インパクトの本当の意...
5:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(63)聖学院
6:ポスト・コロナショック時代の私立学校(70)工学院のオンライン学習の全体...
7:ポスト・コロナショック時代の私立学校(72)ノートルダムのオンライン学習...
8:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(9)学びの危機から危機の学びへ...
9:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(49)新渡戸文化
10:ポスト・コロナショック時代の私立学校(71)ノートルダムのオンライン学習...
11:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(58)品川翔英
12:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(64)新渡戸文化
13:ポスト・コロナショック時代の私立学校(68)和洋九段女子のオンライン学習...
14:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。
15:2020神奈川の男子校 聖光学院・桐光学園・慶応普通部が突出
16:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(21)聖学院
17:ポスト・コロナショック時代の私立学校(73)ノートルダムのオンライン学習...
18:三田国際教頭田中潤先生 満を持して「新たな教育理論」を披露!9月1日静岡...
19:品川翔英のために 柴田哲彦先生副校長に就任
20:武蔵野大中高を変えた校長「日野田直彦」先生。
21:2021年中学入試を読み解く準備(11)武蔵野大学中高の迅速な対応 オン...
22:2020年首都圏中学入試の学校選択(04)東洋大京北の場合
23:【2019年大学合格実績04】世田谷学園の東大合格者躍進の意味。
24:2021年中学入試を読み解く準備(10)立教女学院の人気の理由 骨太の教...
25:21世紀私学人(03) 田中潤先生 教育で世界を変える鬼才
26:2020年春の大学合格実績(3)鴎友学園女子
27:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(65)ノートルダム
28:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(59)聖学院
29:2020年春の大学合格実績(1)かえつ有明
30:静岡聖光学院 新校長に星野明宏先生。突き抜ける成長力育成へ

★聖学院の田中潤先生、品川翔英の柴田哲彦校長、武蔵野大中高の日野田直彦校長、静岡聖光学院の星野明宏校長の記事がアクセスされています。

★いずれも、時代を切り拓く知と情熱に満ちた私学人ですね。田中潤先生は知と情熱とテクノロジーと哲学と組織開発の総合力に優れた私学人で、私は鬼才と呼んでいます。

★柴田校長も、もちろん総合力で勝負なのですが、革新的組織プレイが非常に優れています。したがって、古い組織では波乱万丈です。ですから調整型組織人ではありません。広い範囲のファンがものすごく多い私学人ですね。

★日野田校長は、おそらく全国の教師の憧れの的でしょう。GAFAのネットワークを生かし、古い組織人を、無駄はやめなはれ、ワクワクする学びをつくりまひょと京都弁でさらりと斬りながら邁進します。基本世の中のトレンドをきっちり見据えながらそのトレンドの弱みをバシッとつくインパクト型戦略家でもあります。

★星野校長は、だれよりもメディアのパワーを知り尽くしています。トレンドを生み出すエネルギーを持っています。トレンドに乗ることも見逃さないセンスとトレンドを生み出す側でもあります。

★なお、柴田校長も星野校長もラガーマンです。やはり時代を切り拓くジェントルマンスポーツを持っているというのは、何かありますね。

★それから、田中潤先生はAppleの教育部門のアドバイザーいやメンターといったほうがいいかもしれません。柴田校長はJR東海の理事長やトヨタの理事長ともコミュニケーションをとってきました。日野田校長は先述したようにGAFAのネットワークを欲しいままにといった感じでしょう。星野校長は元電通マンだし全国ラグビーのユースの監督でもありました。イートン・カレッジのVIP待遇の教師でもあります。

★世間の人はどう思うかしれませんが、世界の一流という人物や組織と実際にやりとりをしている方々ですね。だからこそ、その一流の臨界点も知っているんです。その向こうに新しい地平があるのが見えているわけですね。

★もちろん、21世紀私学人シリーズの記事を書いているわけではないので、書いたらアクセスが集中する21世紀私学人はたくさんいます。また、気づかれていないけれど、もう10年もしたら注目を浴びる21世紀私学人もたくさんいます。アクセス数がたくさん集まっている新渡戸文化には、山本校長補佐をはじめ多くの21世紀私学人がいます。

★聖学院では、児浦先生がまさに21世紀私学人の申し子ですね。工学院では田中歩先生の存在が大きいですね。和洋九段女子には新井教頭先生チームがすてきです。かえつ有明には佐野先生がいますね。八雲学園の近藤ファミリー(近藤家はもちろんですが八雲学園の先生方はみな近藤ファミリーです)は秀逸です。そういえば、八雲学園の何人かいるリーダーの中にラガーマンがいます。星野校長ともよく対話しています。

★聖パウロの理事長でありやノートルダムグループの理事でもあり、多くのカトリック学校を未来型学校にトランスフォームしている高橋博先生も天才的な21世紀私学人です。

★神奈川では、堀井学園の副理事長の堀井章子先生が実に俊敏に情報収集をし、新しい学びのデザインをする動きをしています。おそらく近い将来神奈川インパクトを生みだすでしょう。もう生みだしているかもしれません。女性の21世紀私学人が出現することがポスト・コロナショック時代では極めて重要です。特に同学園は、看護学部と子ども教育学部を有した大学を経営しています。そして非認知能力を耕す就学前教育を行う幼稚園や保育園も経営しています。ポスト・コロナショックの時代に最も大切な教育の領域をカバーしていると言えましょう。

★本ブログでも、21世紀私学人にスポットをあてた記事を書けるように、出会いをもとめてといってもリアルにではなく、あくまでネット上ですが旅をはじめようと思います。21世紀私学人は、かならずネット上でも何らかのダイナミックな動きをしているから、絞りやすいのです。とにも今回のアクセス記事タイプによって、そのような新しいアンテナを立てることに気づいたのです。

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2020年5月 6日 (水)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(73)ノートルダムのオンライン学習 未来はブラックボックスかパンドラの箱か宝箱か? Zoom雑談で③。

★今回のZoom雑談は、実はオンライン茶室でもありました。もちろん、リアルな茶室ではなくて、あくまで知の茶室というメタファーです。ノートルダム学院小学校もノートルダム女学院も茶道が大切にされています。とくに、中高は、この茶室は校舎の中ではなく、キャンパス内の日本庭園の中にあります。

★この庭園と茶室がセットになって、19世紀末以来欧米に日本の文化の象徴としてインパクトを与えています。ソサイエティ5.0のスマートシティはもともとコンパクトシティとかエコシティとか、クリエイティブシティとかの流れですが、その根っこは日本庭園に影響を受けたといわれているイギリスのレッチワースの田園都市です。それ以外にもドイツのユートピア都市などにも日本庭園は影響を与えているといわれています。

★今では、GAFAのマインドフルネスに影響しています。建築家のあのコルビジェの終の棲家も四畳半の茶室の原型の広さにヒントを得ていたと言われていいます。そういえば、松山の正岡子規の書斎も四畳半くらいでしたか。

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★そんなわけで、知の庭園と知の茶室をデザインしたわけです。この記事は①と②と③に分かれていますが、①は、いわば庭園内の外路地と内路地と躙り口をくぐるところまでの話です。知の作庭をしたつもりです。

★②では、知の茶室という空間づくりですが、それが上記の知の座標です。茶室というのは、巧妙に仕掛けが組み込まれています。すだれがおちてきて、外の風の音を演出したり、茶釜で湯が沸くボコボコという音によって静けさの響きを演出したり、障子によって光の演出をしたりします。躙り口をくぐりぬけたときに、そこに非日常空間が出現する心の動きを生み出す演出ですね。

★これを建築設計に生かしたのが、フランク・ロイド・ライトです。ライトは日本の茶室やテキスタイルに影響を受けていましたから。精神的には岡倉天心の「茶の本」によってもいます。

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★知の茶室空間というのは、知の座標として体現しました。ノートルダムの先生方は、ピラミッド型のタキソノミーの考え方は当たり前になっていますから、三角のイメージを四角のイメージに変換することにしました。ピラミッドの形は、階層構造や氷山モデルに重なるので、座標にして、グルグル眩暈のイメージに変えてみようという仕掛けです。隠れた部分をロゴス化してしまおうということですね。

★先生方はオンライン学習の外部情報や自身のオンラインPBL授業プランを茶菓子や抹茶として持ち込んでくれますから、それを茶器に配置し、意味づけをしたり、茶筅で泡立て変容させる茶室同様、いっぱい知の茶道具を用意しました。それが20のアクティビティタイプ(ATs)と20のパターンランゲージ(PLs)です。

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★40個もの視点を用意するなんて多すぎると思われるかもしれません。しかし、茶室というのは多数の茶道具で満ちています。思いつくまま列挙してみますと、「茶碗、釜、炭十能、火起こし、風炉先屏風、柄杓、盆、水指、水注薬缶、茶筅、茶巾、茶器、茶入、棗、抹茶篩、袱紗挟み、帛紗、扇子、香合、掛物、花入・・・・」といtった感じでしょうか。

★ですから、知の茶道具としての視点もたくさんあってもよいのです。いや多い方がよいのです。

★そして、茶室に欠かせないものは、亭主の精神です。この精神が作庭から始まり茶室のデザイン、そして茶道具をそろえるわけです。亭主とは、たとえば、利休だったり、信長だったり、秀吉だったりしたわけですが、ノートルダムでは、マリア・テレジア・ゲルハルティンガー(ノートルダム教育修道女会の創設者)の精神(ガイスト)です。

★そして、茶室の真髄はわびとかさびです。しかし、遠州の作庭や茶室のようにきれいさびもあります。いろいろあります。今回集まったノートルダムの先生方のオンラインPBL授業は、結構派手でずしっともしていますから、きれいさび派でしょうか(笑)。

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★しかし、いずれにしても、多様な知の茶道具(デバイス・アプリ・プラットフォーム)を使いながらも一回シンプルに知の世界制作方法論を通過して再び豊穣な学びの世界を生徒と共につくっていくというのが、知の茶室で行われたZoom雑談ミーティングで生まれた対話だったと思います。かくして、デザイン発想は、シンプルに、現実態としての学びは豊かで、生徒の才能が豊穣に花開くという仕掛けづくりが未来への扉を開くヒントになりましょう。欧米の教育から学ぶだけでなく、欧米と日本の教育が互いに学び合うようになっていくでしょう。HTH自身が日本にそう誘っていますよ。私たち及び未来の子供たちは、グローバル世界の中でサイードの論じたオリエンタリズムから解放され、協働インパクトを世界の人びとと生みだせるようになる未来を期待しています。

★知の茶室には、サイードが信奉したグレン・グールドのBachが似合うかもしれません。それを聴きながら知の茶室からチェックアウトしようと思います。おやすみなさい。(了)

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(72)ノートルダムのオンライン学習 未来はブラックボックスかパンドラの箱か宝箱か? Zoom雑談で②。

★待ち受ける予測不能な「未来」は、果たしてブラックボックスなのかパンドラの箱なのか宝箱なのかキャラメル箱なのかびっくり箱なのか千両箱なのか希望の箱なのか、開けてみなければわからないのか、わからないのであれば、意味は創ってしまえばよいのではないか。。。いろいろな気持ちが交錯するなか、雑談は進んでいきました。

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★ノートルダムでは、ブルームのタキソノミーについては共通認識になっているので、それを知の座標に変換してビジョンをつくって雑談していきました。同校の理念を表すキーワードの中には、「トランスフォーム」というのがあるので、いつもつかっているフレームをそのまま使うより、少し変形してみるという共感覚があります。

★<Do Now>というフレームが授業の中で共有されているので、ときどき変化をつけると、そこからサプライズやあれっという気づきが生徒の中から生まれます。ノートルダムの文化には、「正反合」という欧米的な弁証法の精神と「守破離」という茶道の精神の両方があります。茶器も黒茶碗だったり、織部茶碗だったり、天目茶碗だったり、変化を楽しみますよね。Zoom雑談は少人数がゆえ、いつも行っているナレッジcaféとは違う、茶室感覚で展開していったのだと思います。

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★お茶菓子として、自身の<オンラインPBL授業>の資料を共有しながら雑談対話は進みました。小学校の梅下先生の理科の授業、中高の三井先生の保健体育の授業、霜田先生の社会の授業。オンライン環境の多様なデバイスやアプリ、プラットフォームを駆使した授業でした。互いに新しい仕組みについて情報共有しながら、授業の本質に迫っていく雑談になっていったと思います。

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★雑談は、90分授業3つというシークエンスさながら進みました。一回ごとに5分間休憩を挟みながら。Zoom疲れを体験しながら、それを今後どう回避したらよいのか、生徒に対するケアの話もしました。

★最初、プレゼンがZoomの共有機能で、PPTあり動画ありで行われ、そのあとまずは共感的なコミュニケーションをしました。プレゼンを受けて気づいたことを分かち合っていった感じです。

★そのあと、その気づきの中で特に気になったキーワードについて、「そもそも~?」という問いが投げられて、対話が深まりました。雑談対話ですから、間口を広げ奥行きの深さを探索するTの字対話をします。

★たとえば、梅下先生が、オンライン授業なので、最初にどういう流れでどういう意図で進めていくか、いつもよりきちんと提示しますとか、三井先生がシラバスをまずは共有していきますよねという話がでてきたときに、それはオンライン学習だからという意味はそもそも何だろうと問いが投じられます。

★その場でにわかに回答は定まらないし、急ぎませんが、3つの授業のプレゼンを通して、結果的に同じトピックについても話し合っていきます。すると、実はオンラインであってもなくても、「導入」で語る意味が実に重要だという気づきが起こります。

★オンライン学習でなければできないのではなくて、オンライン学習を実施したから配慮する必要性のある領域が見えてきたという感じですね。この「配慮」や「気遣い」は、ポスト・コロナショックの時代では授業を超えてあらゆる領域で越境的に重要な言動となるという見通しが生まれてくるわけです。

★哲学対話の実践は、ノートルダム女学院では宗教科の山川先生と保健体育科の三井先生が授業の中でコラボして実践していますし、他教科の先生方とも研修で共有しています。「そもそも~」と、当たり前になっている言説を問い直すトレーニングはしぜんに行われるのは、同校の先生方の特徴でもありますね。批判的思考というのは、ギリギリの限界や問題点に迫っていくことですから、哲学対話は有効です。

★そして、そのあと、実際に授業分析とどうリファインしていくかコラボフィードバックしていきます。そのときに、20のアクティビティタイプ(ATs)と20のパターンランゲージ(PLs)を活用しました。

★ATsはハーバード大学のプロジェクトチームが、多くの現場の教師と開発したものです。PLsはSFCの井庭教授のプロジェクトチームが開発したものです。やはり現場の学生や教師との対話やフィールドワークをもとにしています。

★合わせて40個の視点なのですが、この視点の背景に無限のかかわりがあるので、そういう風通しの良い視点との連携は、多様なネットワークが大切なのと同じくらい重要です。人材ネットワークは、結局知恵のネットワークですから、このような研究成果の視点は壮大なスケールの知恵のネットワークと結びつくことができます。一見手軽なのですが、なかなかどうして深いのです。

★たくさんの視点で間口を広げ、視点の背景の知恵の力をかりて、深堀していきます。

★1つひとつのATsやPLsのアイコンの意味を問い返しながら、知の座標のどこのポジションを生徒と共有しているのか雑談対話は展開していきました。

★それぞれ20のATsとPLsのアイコンを使いながらのコンパクトな対話は、実はオンラインだからできるということにも気づきました。小中校越境的に先生方が集まることができるのは、リアルな時空では、実はなかなか厄介なことです。

★それから、画面を共有しながら40ものアイコン1つひとつに集中できる(だからZoom疲れがでてくるというのもあります)というのもリアルなワークショップではなかな難しいと思います。

★上記写真のようにロイロノートやジャムボードのように知のフラクタルな感覚はリアルな時空ではなかなか共有できません。そして、この共有がオンラインの場合だとスムーズに学び方として生徒に渡せてしまうのです。

★霜田先生が、教師の授業の<編集力>がそのまま生徒の学びの<編集力>として転移してしまうのはすごいですよねというフィードバックはその通りだと実感しました。Zoomの共有機能やチャット機能、ホワイトボード機能、ホスト機能など生徒がすぐに使えてしまうわけです。生徒自ら編集したPPTも生徒が共有機能を使ってプレゼンできるわけです。

★そのとき単にプレゼンしているというわけではなく、共感的コミュニケーションのファシリテーターも生徒自身が行うことになります。行うというよりマシーンの操作という感じですね。ある意味スーパースーツでパワーアップしてしまう感じでしょうか。

★ポスト・コロナショックは、ポスト・オンライン学習の新しい学びの地平を確実に描いているという実感を共有出来たZoom雑談となりました。(つづく)

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(71)ノートルダムのオンライン学習 未来はブラックボックスかパンドラの箱か宝箱か? Zoom雑談で①。

★連休も終盤、しかし緊急事態宣言の解除は延期。私たちは、いまここでまさに世界同時的に予測不能な事態に投げ込まれています。ハイデッガーなら<投企>と言ったかもしれません。この言葉は、ハイデッガーの<Entwurf>というドイツ語を訳したものです。一般的ではないので、訳語をつくった哲学者は苦労したでしょう。まさにその試みそれ自体<投企>だったわけですね。

★英訳では<Project>が当てられますが、独英辞典を調べてみると、<Entwurf>には<design>という訳語が一般的なようです。設計用語なのでしょう。

★荒れ地という未踏の地に投げ込まれた人類は、叡智を結集して住まう時空をデザインしてきた歴史の中に生きています。そのたびにプロジェクトチームが結集されてきました。PBL(Project based Learning)型授業というとき、そんな意味がこめられているという話は、ノートルダムの先生方とはできてしまう。さすがカトリックの学校です。

★というのも、旧約聖書の<ヨブ記>はまさに理不尽な予測不能な事態の中でヨブが苦悩して困窮したにもかかわらず誠実に生き抜く姿が表現されていますが、そんな話が宗教科の先生や数学科の先生、社会科の先生、保健体育科の先生などとの雑談の中で静かな情熱の火をともしながら話せるベースがあるからでしょう。

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★そういえば、ハイデッガーは、プロテスタントに転向する前はカトリック信者でした。哲学というより神学を研究していたと聞いたこともあります。京都大学も近くにあり、哲学の道の通じる場所にノートルダム女学院はあります。しぜんと<京都学派>の読み返しを雑談の中で対話していたりもしています。ある意味筋金入りのPBL型授業を実践しようと確固たる決意をしているのかもしれませんね。

★枕が長くなりましたが(私のブログはだいたい全部枕で冗長なだけなのですが 汗;)、ともあれZoom雑談しましょうよという声がどこからともなく降ってきて、昨日午前中から6時間くらい雑談しました。学校の授業時間割さながらの雑談時空でみんなで眩暈していましたが(笑)。

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★雑談とはいえ、テーマは「未来」でした。オンライン授業に着手して、ものすごい勢いでノートルダムグループは実践しています。実践するたびに進化がすさまじいのは、オンライン授業を行っている学校の雰囲気と同期しています。

★そこで、ポスト・コロナショック時代の「未来」を、現状オンライン学習を行っている学校のケースややりきれていない日本の教育の情報などバードアイで俯瞰するところから雑談ははじましました。

★京都の状況と東京の状況は共通点もあるし相違点もあります。ノートルダム先生方は日々多様なZoomセミナーなどで学んでいるし、全国区の教師のネットワークにSNS上でもつながっているので、コンパラティブスタディーさながらの雑談になっていきました。

★その中で、新しい軸での教育市場マップのノートルダムのミッションポジショニングも見えてきました。そんな話がふくらんでいったところで、1時間が過ぎました。5分間休憩し、次は、「未来」をマクロからではなく、「オンラインPBL授業」というミクロから「未来」を見通してみようという話になりました。

★カトリック学校は、聖書の辛子だね(マスタードの種)のエピソードは共有ストーリーです。つまり、小さくはじまり大きく成長するというメンタルストーリーは共感できるシナリオです。いまここで日々のオンランPBL授業の中に、未来が開かれていくという共感覚を持ち合わせていると常々感じています。(つづく)

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2020年5月 4日 (月)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(70)工学院のオンライン学習の全体システム早くも構築。工学系大学附属ならではの挑戦。

★工学院大学附属中学校・高等学校のサイトは、日々刻々とオンライン学習の進化が公開されています。「工学院のオンライン④」の冒頭は次のような素晴らしいメッセージが刻まれています。

⦅オンラインを開始し、約1か月が経ちました。
生徒のみなさん・先生方にとって、この1か月は簡単な期間ではなかったと思います。
状況は急速に変化し、オンライン学習という言葉では便利でプラスだらけに聞こえるものも、中身がデザインされていなければ学びと呼べるもの、教育というものから外れてしまいます。
そのために、この1か月、内面の学びやケアも心掛け、段階的にてゆっくりとオンライン学習を作り上げてきました。
生徒の皆さんの対応力はとても素晴らしいと思います。
また、急に出校することができなくなり、ツールはICTを通じてのみとなった状況の中、もうやるしかないという思いでツールを学び、日々HRや授業にあたっている人々――
先生方がいてこそ、このオンライン学習が成り立っているということを、ぜひ忘れないでいただきたいと思います。》 

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★文章の内容の重要性はもちろんですが、教育活動の全体を俯瞰し、同時にきめ細かく生徒と教師の共感的コミュニケーションや生徒も教師も心身のケアを維持しているかどうか気遣う細心の注意を目配りするリーダーが存在することの驚きです。おそらく一人のリーダーシップで動いているのではなく、チームリーダーシップで動いているのでしょう。

★そうはいっても、コアになっているリーダーがいるはずです。このリーダーは、決して自分のやっていることを「どうだあ!」と見せつけることはしません。あくまで、自分は一歩も二歩も引いて、生徒1人ひとり、教師1人ひとり、おそらく保護者1人ひとりの様子を感じることができる資質とテクノロジーを持っていることは間違いありません。

★組織を守る強烈な校長リーダーシップが工学院にはありますが、組織のマインドとテクノロジーが循環して息吹を生み出す役割をしているリーダーが別にいます。縦のリーダーシップと越境的リーダーシップの織りなす組織になっているのでしょう。

★工学院は、連休あけの5月9日にオンライン学校説明会も開催するし、11日からはさらにアップデートしたオンライン授業を展開していきますが、その準備ができたということが、上記のメッセージでは確認されています。

①生徒の生活や学びの環境の確保をオール工学院で構築。

②思索と教養の生成環境を図書館が確保。

③心と身体のバランスの生成を保健体育科が確保。

④共感的コミュニケーションや信頼関係をオンラインHRで確保。

➄知性と感性の相互関係の生成を言語の起源に遡って確保。

★これらが相互に関係し循環するようなオンライン学習の全体システムを構築したというのが、この1カ月「段階的にゆっくりとオンライン学習を作り上げてきた」というフレーズにこめられているのでしょう。

★ポスト・コロナショックの時代は、学校に限らず社会全体が「マインドとテクノロジー」のハイブリッド実装への挑戦になるでしょう。工学院は、その<未来社会モデル>を生成しています。

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2020年5月 3日 (日)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(69)新渡戸文化中学校のオンライン学校説明会 究極の質が希望生み出している。

★本日5月3日、新渡戸文化中学校はオンライン学校説明会を開催しました。1時間という時間で、密度の高い教育の理念と実践の両方をライブ感あふれる雰囲気で説明会は展開していきました。教育の内容については、他のメディアが詳しく述べるでしょうし、実際に参加していただいた方が良いので、私からは相変わらず独断と偏見の感想を少し述べるにとどめます。

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★私が説明会に参加して、最終的に思い浮かんだイメージ図は、こんな感じでした。クロスカリキュラムやスタディーツアー、外部とのネットワーク、オンライン授業などについて多く語られ、今回の説明会を盛り上げた6人の在校生も、そのような他校にないカリキュラムや教育活動を誇りに思い、やりたいことが見つけられる、自信がつくと語っていました。

★しかしながら、基礎学力もICTや多様なプラットフォームによってしっかり身につける態勢が整っていることに改めて感動しました。基礎学力においても、あくまでも生徒がやりたいと思えるところから出発できるように対話をしているということもわかりました。

★基礎学力と言うと、すぐに大学受験に直結しますが、非認知能力としての総合的な能力資質を身につけることで、大学合格も果たし、未来の社会を創っていく力も育てていくという構想です。

★この構想が絵に描いた餅でないことは、今回の新渡戸プロジェクトに参画した多くの教師が、濃厚な情熱と賢慮をもっていて、すでに各領域で実績を積み上げてきた仲間ばかりなので、安心です。

★いずれにしても、理事長が実に若く、きちんと教育について先生方と対話し続けていることが伝わってきたことは、他校にはない魅力でしょう。一般に、理事会は、経営中心で本質的な教育については無関心という場合が多いのです。フェアーでフラットでフラタニティがある組織を理事長が先生方と協力して創っている同校は、実に羨ましいと思われているでしょう。

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★そして、同校の初代校長である新渡戸稲造の精神をもれなく追究していることも素晴らしいと思いました。もちろん、新渡戸稲造の時代と教育を表現するキーワードもツールも当然違います。しかし、その精神は共鳴音を発しています。

★なぜか?それは、新渡戸稲造の時代は、明治という日本が近代社会に転換する激動の時代だったし、やはりパンデミックに見舞われ、多くの戦争に包囲されていました。にもかかわらず、新渡戸稲造は、未来を創ろうとしたのです。

★その状況は、今まさにわたしたちの時代の困窮と重なります。

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★今こそ、再び新渡戸稲造の精神を継承して未来の学校づくりをしようではないかという意志と気概と愛に新渡戸文化に生徒も保護者もそして教師も集結するでしょう。

★それにしても、新渡戸稲造が札幌に作った遠友夜学校の話まで聞けるなんて感慨深かったです。小さなキャンパスですが、北大の学生がボランティアで生徒の学びを止めないという弱者救済をした学校です。私財をなげうってつくったのですが、有島武郎も教鞭をとっていた学校です。私学の精神の原点です。今は、その跡地にはなにもありませんが、資料は北大の図書館にいけば見ることができます。

★≪私学の系譜≫のルーツはおもしろいことに北海道と軽井沢にあります。今ではすっかり忘れられていますが、当時はその両方の土地は荒地です。未来の学校づくりは、そうした都市という社会創りと根っこをいっしょにしていたのです。

★今、同校が社会課題を探究できる学びを構築しているのも、新渡戸稲造のその精神に通じるものがあります。つまり、歴史そのものを生み出すパワーがここに集まっているのでしょう。

★私がもっとも感動したのは、男子生徒の言葉でした。今回のオンライン学校説明会は、Q&Aも書き込めたのですが、その質問の中の1つに、「男女は仲が良いですか?」というものがありました。

★男子生徒は「女子と男子は仲が良く、クラスで別れることはありません」とさらりと回答しました。一般に、共学校といえども、クラスは男女がそれぞれ分断する動きが目立つけれど、それはないというコトなのですが、その男子生徒は、「男子と女子は」とは言わなかったのです。「女子と男子は」と言ったのです。

★この言葉に、すでに社会課題に立ち臨むフェアでフラットでフラタニティーあふれる姿勢がイメージできます。なるほど、新渡戸文化は、あらゆる物心両側面の壁を解消するハピネスクリエイターが羽ばたく学校です。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(68)和洋九段女子のオンライン学習&オンライン学校説明会 新時代の学びの環境着々。

5月1日、和洋九段女子は、政府や東京都の正式発表に先駆けて、独自の判断と意志決定で、オンライン学習を6月初旬まで継続することを発表しました。英断だと思います。そして、それができるのは、着々とリアル時空での未来型の学びとサイバー時空上のオンライン学習のハイブリッド学習環境を創る積み重ねをしてきたからでしょう。

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★もちろん、リアルな時空で生徒といっしょに対話をしながら、授業をしたい。生徒に直接会いたいという気持ちがこみあげては、それを抑えながら、生徒の命と学習権を守る使命感に突き動かされて先生方は動いています。

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★日々、オンライン授業の様子が同校サイトではアップされていますが、「5 月11 日(月)からはオンライン授業をさらに充実させます。 1 日の授業時間数を最大 5 時間までに増やし、実技科目も実施していきます。」ということのようです。日々先生方は振り返りをして試行錯誤しながらオンライン学習の質を向上させています。技術も猛スピードでアップデートしています。

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★そういうオンラインでの対話の技術は、オンライン学校説明会というカタチにも生かされることになりました。この間、世の中は、動画配信による学校説明会からオンラインによる双方向型の学校説明会にシフトしようとしていますが、なかなかできないでいます。和洋九段女子は、そこに速やかにシフトすることになります。

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★そして、驚いたことに、上記写真にあるように、学校の特徴を表現するトピックごとに動画を公開もしています。この動画を見るだけでも、和洋九段女子の教育の内容や質の高さ、未来型教育であることが了解できます。

★これまでは、どこも、学校説明会といえば、各学校に足を運び、これら動画の内容に耳を傾けていたものです。しかし、その段階は、動画配信というオンディマンドでできてしまう時代になりました。

★今後、もし学校説明会をリアルな時空のみで行う学校があるとしたら、それはリスクマネジメントや情報の質を問われることになるでしょう。リアルな学校説明会、オンディマンド学校説明会、オンライン学校説明会の多様な表現方法を持っていることが当たり前になっている学校であることが今後は価値ある学校になるでしょう。

★なぜなら、もしそうしなければ、コミュニケーションの姿勢が抑圧的だということを示してしまうからです。うちはうちの理屈があるという姿勢が、今後は受け入れられなくなるでしょう。それは一方通行的な押し付けあるいは抑圧的な態度であるからです。

★どんなに立派なことをやっていても、自己中心的なコミュニケーションは子供たちの命や学習権を優占的/優先的に守っていないことを暴露してしまっているからです。

★オンライン学習、オンライン面談、オンライン学校説明会とリアルな授業、リアルな面談、リアルな学校説明会のハイブリッドな動きができるかできないかは、学校選択の重要な基準となるでしょう。

★そして、それができる学校は、PBL型授業とグローバルな視野とICT教育が土台となっていて、根源的な問いを生徒自身が発見して探究する態度(和洋九段女子のSDGsやつながる教育活動はそれです)が生成されているという教育システムが充実していることを示唆してもいるのです。

★もはや大学入試のための難問を解ける力をつけるだけの押し付け一方通行型暗記ベースの授業は、今回のような世界リスクを乗り越えて、社会貢献ができる人間力を生みだせないことが明らかになったといえましょう。

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2020年5月 2日 (土)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(9)学びの危機から危機の学びへ転換

★エドムント・フッサールは、内村鑑三、新渡戸稲造、西田幾多郎、同時代人だが少し若い田辺元と世界同時的なスペインかぜパンデミックや第ニ次世界大戦前夜を共に生き抜いた哲学者。フッサールと内村は第二次世界大戦後は経験していないが。

★とにも、皆、啓蒙思想の伝統をアップデートしたともいえるかもしれない。そういう意味では、内村鑑三をはじめとする彼らと共に、フッサール自身は知る由もないでしょうが、フッサールも≪私学の系譜≫のメンバーです。

★第二次世界大戦前夜に亡くなっているけれど、ユダヤ人迫害による圧力を被りながら最後まで思索を止めなかった。この<思索を止めず>になぜこの危機が訪れているのかを思索したのです。特にナチ下における学問の危機はひどかったでしょうね。しかし、フッサールは、そこからガリレオまでたどって、学問の危機が、実はすでにそこから徐々に蓄積してきたことを検証しようと思索しました。

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★プラトン、アリストテレス、トマス・アクイナス、ルソー、カント、ヘーゲルの伝統をアップデートして、言語や幾何学が生まれるメカニズムを紐解いていきました。

★一方、トマス・アクイナスの継承者であるヨハネス・ドゥンス・スコトゥスから学問の危機は鮮明になってきたという理解がフッサールの中にあったのかもしれません。トマス・アクイナスやルソーは、主知主義も主意主義も主情主義も黄金律あるいは一般意思によって統合されるメカニズムを作っていましたが、当時の教会はハイデガーの時代に到るまで頑迷な主知主義だったのでしょう。フッサールの弟子ハイデガーが、カトリックを捨ててプロテスタントに転向した時に、主観や主意、主情に思いきり舵をきりました。トマス・アクイナスよりもドゥンス・スコトゥスの流れを選択したようです。

★カントやヘーゲルは、主意主義や主情主義に憧れはしましたが、寸止めでした。理性の光に依拠しました。

★ドイツの若者がハイデガーに憧れたのはわかるような気がします。当時大学ではハイデガーはスターだったようです。アカデミズムの新進気鋭の思想の旗手だったのでしょう。世界中から彼が死の床につくまで、多くの学者が訪れたとそうです。若き京都学派の面々も例外ではなかったようです。西田幾多郎もハイデガーの言説には東洋的なものを感じ魅了されないわけにはいかなかったらしいですが、危険な臭いも感じ取ったのでしょう。数理哲学者田辺元を京大に招いたのにはそういう理由があるのかもしれません。

★言語の生成メカニズムだけで世界を構築するのはリスクを回避しにくいので、数学的な発想を持ち込みたかったのでしょう。フッサールは自らの中に両方を持っていたけれど、西田はそうではないから応援を頼んだのではないでしょうか。

★それにしても、アンナ・ハレントも最後まで訪ね続けたというのですから、私の理解を超えます。ハレントにとっては、にもかかわらず、ハイデガーだったのですね。ここには濃いドラマがあり過ぎます。

★いずれにしても、ハイデガーは反ユダヤ主義でしたから、恩師フッサールを遠のけます。というより助けなかった。戦後、謝罪の手紙をフッサールはすでに他界していたのですが、師の奥様に贈ったようです。が、彼女の心に届いたかどうかはわかりません。

★しかし、上記の写真のフッサールの「ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学」とハイデガーの「存在と時間」は、世界リスクにおいて、どうしてリスクが生まれるのか思索するのに大いに参考になるし、そういう意味では学問の危機を乗り越える危機の学問に挑戦する後の現代思想家にフッサールは影響を与えたし、危機の学問を生み出すはずのハイデガーがどこでミスを犯して学問の危機を生みだしたのかを思索するうえでも、のちの現代思想家に影響を与えました。

★話が長くなりましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言下にある私たちが直面している危機、すなわち世界リスクは、一つはワイマールの悪夢が迫っているし、オンライン学習によって、リアル時空での授業とオンライン授業の共通点であったはずだけれど、リアル時空での授業では見逃してきた根源的な問いを見出す思索への学びが顕れているという点では、フッサールと時代を超えて共感できます。

★中公文庫の上記写真の本の付録には、50ページくらいの分量なのですが「幾何学の起源について」という論考が載っています。これはPBL授業を行う者にとってはよきメンターブックです。プラトンの「メノン」という小冊子も同様の価値があると思っています。

★フッサールの次世代のピアジェやデューイからPBLは語られることが多いのですが、その根っこである両書に遡ってみるのもおもしろいでしょう。

★特にフッサールの「幾何学の起源について」は、言語の起源と幾何学の起源を分けて考えています。世界言語ができない限り、両方は同じメカニズムで生成されないでしょう。世界言語ができてしまっては世界リスクを知ることができなくなるので、やはり分けて考えることに一理ありますね。

★フッサールやピアジェ、パパート、レズニックというのは、最初数学から着想を得ていますから、今回のオンライン学習というテクノロジーの起源を考えながら日々試行錯誤している教師にとっては大切な視点を共有共感できるでしょう。

★フッサールは、物事を認識する存在者は、主観で見続けるというより、ある精神的なカテゴリーとして定着している、あたかも客観的にあるものとして確立されたメガネでみている。つまり共同主観という発想をつくりました。しかし、そのメガネがゆがんでいるかどうかは、自分ではわからないわけで、わからないまま考えていくことに慣れている因習的なものの見方を学問の危機だと言っているのだと思います。

★でも、そのメガネは経験から構築されるわけです。経験は時空が規定しているというのです。そこはカントもいっしょうです。ニュートンもいっしょです。

★今回は、その時空がリアル時空とサイバー時空というハイブリッド時空になったわけです。そのときメガネが当然アップデートするわけです。しかし、それには、PBLのように、その知識や公理や技術が生成される起源に遡りメカニズムを掘り起こす必要があると。慣習化してあたり前になった知識を暗記するだけではなくて、それが生まれてきた過程のメカニズムを探索するのが危機を乗り越える学問の役割で、思索なのだというのでしょう。

★言語と数学の生成メカニズムは違うのかもしれませんが、生徒が学び方を学ぶというのは、こういう生成メカニズムの探索です。そしてそれがリベラルアーツとしての教養のミッションだったと思います。

★その生成メカニズムを知るには、そのメカニズムが因習化されていますから、そこをぶち破る深い根源的な問いの発見が必要ですが、それをいかに生み出すかという話がオンライン学習にチャレンジしている学校で生まれています。たとえば、聖学院や今度またご紹介するノートルダムグループですね。私たちの従来の存在をたらしめていたカテゴリーを創造的に破壊して、新しいカテゴリーが生まれる時代がやってきました。

★ただし、それが新カテゴリーとしてのメガネに定着するには長い年月がかかります。問い続けることが大事になってきます。その間にユートピアという危機の学びの路線に行くのか、デストピアという学びの危機の路線に行くのかは、予測不能です。にもかかわらず、予想して、構想して、デストピアに陥らないようにしたいという意志は重要です。人間は目的や前提がない自由がよいのだという考え方もあります。もしかしたら、新自由主義はこの考え方がベースかもしれません。マインドフルネスはどちらかというとハイデガー同様こちらを選びがちですね。GAFAの危機はここにあるわけですが。危機のGAFAを祈るばかりです。。。。

★ここにマインドフルネスのパラドクスがあるわけです。ユートピアを構想するには、学びの危機を危機の学びに転換する意志の力という目的志向性がフッサール同様私は必要だと感じています。この意志があることによるマインドフルネスを私は幸せな情況なのだと思っているわけです。

★フッサールなんて読んでも、その解決策は書いてないよとマニュアル主義者は言います。何を言っているのだと私は思います。解決策とは、根本的には、その人がどう生きるかです。フッサールは、自分が取り囲まれた耐えがたい仕打ちの中で、思索を止めなかったのです。その生き方こそ何にも得難い解決策です。そこは内村鑑三と共鳴共感共振するところですね。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(9)聖学院インパクトの本当の意味 人類の進化へ 妄想編

★昨日、聖学院のZoomミーティングで感じたことは、<新しい存在>の顕在化でした。もともと聖学院にはタラント(賜物)として、超自然から与えられたポテンシャルがあったわけですが、それが可視化されたというか見える化されたというか。そのことが、オンライン学習を介して実感できたのです。

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★今回のミーティングで、聖学院の先生方は、リアルな時空における授業でも大切だとはウスウス感じていたでしょうし、個人的には深めていたかもしれませんが、学校全体で行われる議論では、優先/優占的ではなかった対話に集中していました。サイバー時空におけるオンライン学習を実装することを通してあるいは媒介項とすることによって、自らを変容させ世界を変える影響力のある深い問いを相互に問い続けることに集中していたのです。そして、I:リアルな時空でしかできないコト、C:サイバーな時空でしかできないコト、E:リアルな時空でもサイバーな時空でもできるコトの対話をし続けていました。ICEモデルを授業デザインで使いながら、ミーティングそのものにもICEモデルが適用されていました。

★ICEモデルは、ベースは<正ー反ー合>というダイアローグ(対話)ですから、実にキリスト教的精神だったのですが、ICTや授業モデルというテクノロジーがオンライン学習というテクノロジーに変換されることによって、潜在的にあった、上記のリアル時空とサイバー時空のベン図の関係が顕れてきたわけです。

★新しくできたというより、潜在的にあったものが顕在化した、現実態になったという感覚です。従来はそれを上記の図のように四角く切り取っていたわけです。それがそうでないことに気づいた瞬間です。

★カントやヘーゲル、ヘルダーリンが、認識の向こうに憧れの物自体があるが、それは認識はできないのだと言っていたわけです。リアルな時空の限界だったのかもしれません。その限界ラインを認識したからこそ、そこから不可知論が生まれたし、いやわからないといえども精神の現象学をたどって物自体に迫ることはできるという弁証法が生まれたし、いやそれは詩的想像力で直観することができるという発想も生まれたのでしょう。

★しかし、リアル時空での人間存在=beingは、それを見ることができない。気遣うことはできるけれど。それゆえ、不安な現存在(dasein)なわけです。そこをなんとかしようとハイデガーや西田幾多郎は思索したわけです。もっと前には漱石や龍之介が胃をキリキリさせながら文学的表現としてとらえようとしたのでしょう。

★聖学院の先生方は、その憧れの物自体や現存在が忘却した存在自体を、サイバー時空への教育出動力によって顕在化したのかもしれません。

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★わかりやすく描き直すと、四角い存在からベン図存在へと人間は進化するわけです。完全に妄想の領域に入ってきましたが、そう感じたわけです。

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★従来の人間存在は、I:海馬とC:前頭前野がメインでした。しかし、サイバー時空では、E:上頭頂小葉も活性化します。従来の人間存在は海馬と前頭前野が意識的に使われてきた。上頭頂小葉は無意識的に使われてきた可能性が大です。それがサイバー時空でオンライン学習をしていくとE:上頭頂小葉を意識して活用します。Zoomなどのアプリでモニタリングしてしまうのです。自分の顔は自分で見えなかったはずなのに、見えてしまうのです。

★これによって脳の外形も変化するのではないでしょうか。新しい人間存在として、頭蓋骨と脳のカタチや質量に変化が起こる可能性がありますね。まさに人類の進化が起こるわけです。妄想はいってます(汗)。

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★Zoomミーティングで、聖学院の教頭の伊藤豊先生が、ご自身の国語の授業をICEモデルで問いを創ってデザインしたプレゼンをされていました。以前だったら、上記の左の写真である伊藤先生をしっかり見つめて傾聴しているだけだったのですが、Zoomミーティングでは、上記の右のZoom画面の写真のように、参加者全員の顔と伊藤先生の顔を同時に視野に入れながら傾聴するわけです。

★伊藤先生以外はミュートで声が聞こえないようにしているのですが、それがかえって多くの先生方の知と情動が揺れ動いていることが伝わってきます。

★もはや、伊藤先生1人の顔が<伊藤先生>ではなく、参加者と伊藤先生すべてが<伊藤先生>の顔として認識している<自分>がいるのです。しかも、その<自分>もZoomの画面の中にいて、<伊藤先生>の顔の中にいるのです。

★そんな眩暈がするようなメンタルローテーションは上頭頂小葉で活性化していると言われているのです。

★この現象は、beingからinterbeingへの人間存在の新しい在り方なのではないか。そう感じたのです。

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★そして、今回のZoomミーティングで何度も強調されていた聖学院の理念としてのマインドは、<Only One for Others>だったのですが、それは目に見えないマインドだったのが、目に見える姿として現れたのです。

★まさに、interbeing=Only One for Othersという新しい人間存在の出現です。しかもこれは、頭蓋骨や脳のカタチと質量をやがて進化させてしまうかもしれないのです。人類の新たな進化の局面に立ち会ったと感じたのです。妄想だと言われるかもしれませんが。

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2020年5月 1日 (金)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(67)聖学院のオンライン学習の進化急速。

★緊急事態宣言による休校状態がどこまで延長されるのか予想が立たないこの情況下にあって、聖学院は独自の判断と意志決定によって、オンライン学習の第2フェーズに挑戦する動きを見せています。序破急あるいは守破離のリズムとはいえ、破のステップに移行するのが実に速いですね。今まで蓄積してきた聖学院のポテンシャルがビッグバンを生んでいる感じです。

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★同じ内容を2回に分けて実施するそうですが、本日5月1日の1回目は、40人弱の先生方が参加して、明日の聖学院の授業の構想を対話するZoomミーティンが行われました。今回のパンデミックのビフォー・アフターのビジョンを共有し、それをどのように現実化するか理想と実装のアイデンティティを模索するミーティングでした。私も厚かましくも参加させて頂きましたが、そのものすごい熱気に圧倒されました。オンラインなのに気を感じたのです。

★おもしろかったのは、次のフェーズのオンライン学習を考えているだけではなかったことです。もちろん、オンディマンドから双方向のオンラインに移行するのですが、実は、そのことを通して生徒が自ら深い問いを見出し、探究し続ける、自走できる圧倒的な人間力を生み出す聖学院の学びの環境のアップデートの話でした。

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★驚いたことに、グーグールフォームでその都度アンケートを収集し、瞬時に分析して、聖学院の生徒のいまここでの学びの状況や意欲とこれからの生徒の探究への欲求をリサーチしてつくったデータエビデンスに基づいて議論をしていたのです。

★つまり、オンライン学習を通して活用しているツールで、授業デザインだけではなく、生徒の反応も取り入れて、教師自身の根源的な意識を求める対話を行っていたのです。これがリアルな時空での会議だと、こうは効率よくかつ深くは議論ができなかったでしょう。

★そして、新しい授業モデルが何人かの先生方から提案されました。Zoomの共有機能は本当に共有するには優れものです。今回は、スー・F. ヤング と ロバート・J. ウィルソンが開発・発展させたICEモデルを使って授業デザインをし、問い作りをし、評価をどうするか提案がなされていました。

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★ブルームの認知モデルであるタキソノミーを批判して、ただ分類するだけではなく、学び方のループのフォームにしたがって、授業デザインをしたり、評価をしたりするモデルです。ブルームのタキソノミーは複雑で、かつ分類だけなので、静的で動態的ではないという批判も多く、Beyond Boomの動きが2000年前後に活発になりました。

★ICEモデルはその動きの一つです。最近中学入試市場に流布している思考コードもその一つですね。

★IB(国際バカロレア)やCLILはブルームの認知モデルをベースにしています。ICEモデルは、資質能力の流れで文科省やベネッセが参照しているモデルです。首都圏模試や21世紀型教育を推進している学校は、その両方の軸をマトリクスにした思考コードを活用しています。

★評価というものを学年単位の評価や資格試験の評価、大学受験のスコアなどに重点をおくとブルームのタキソノミーベースになります。IBやCLILのそれぞれの機構の性格からいえばそうですね。

★人間力をサポートし豊かにしていくエンパワーメント評価に主軸をおくとICEモデルになります。

★首都圏模試や学校は、一般入試と新タイプ入試やAO入試の両タイプのバランスをとるため、両軸のマトリクスが必要なわけです。

★しかし、ポスト・コロナの時代は、不測の事態を生き抜く人間力が重視されるので、ICEモデルのように行動と学びがのスクランブルがわかりやすく活用できるモデルが有効なのかもしれませんね。そんなことに思いを馳せる刺激的なミーティングでした。

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★そして、チェックアウトの前に、ブレイクアウトルームで小グループで対話をしました。リアル時空でしか行えない授業とオンライン授業でしか行えない授業があることはわかるが、普段できていることができないもどかしさや終息後に、両方をどのように統合できるかは未知であるし、統合することが是では必ずしもないかもしれないなどジレンマも語り合いました。

★しかし、私が属していたグループでご一緒だった清水副校長は、こうして話し合っていること自体、そしてここまで行えていること自体が聖学院でしかできないことであり、パラダイムシフトをを起こす教育出動をしているのだと。そして、それはこれからも続くのであるとエールを贈っていました。

★また、英語科主任の井上先生は、新型コロナウイルス以前から、ツールとしての英語を越境して創造的なあるいは深く考える問題を出すべきかどうかは毎授業で迷うところであったと。つまり、生徒が課題を自ら発見して探究していくきっかけになる問い作りは、パンデミックの前後は関係なく、共通して挑戦していく問題なのだという認識なのでしょう。

★ただ、このオンライン学習という媒介を通して、ICで終わらずにICEにまで歩を進める問いについて生徒と対話しやすくなるのは、開発された場所がICTを日ごろから活用しているカナダの教育から生まれてきているところからも推察できるでしょう。

★それにしても、今回のミーティングは、ICEモデルを介することで、授業において批判的で創造的な才能を創発する問い作りをするだけではなく、聖学院自体の教師のものの見方・考え方・感じ方をさらに広げるための根源的な問いを見つけるミーティングでもあったのかもしれません。しかも、その根源的な問いは、発見したと思うや、またさらにまた別の問いを追うことになるという果てしない旅でもありましょう。

★Zoomのホストが複数の共同ホストによって運営されていました。こんな多重構造の仕掛けを1時間以内でシンプルにやってのけるチーム聖学院は、とにもかくにも清水副校長の言う通りパラダイムシフトを牽引する学校の1つでしょう。そして、生徒の学びを止めないと同時に教師も常に深い問いを追跡していくのです。

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ポスト・コロナショック時代の私立学校(66)4月アクセスランキング50から見える注目される私立学校

★緊急事態宣言が全国に広がった4月、独自に判断し、意思決定して教育出動した私立学校が注目されました。文科省の調べで全国の小中高の5%がオンライン対面授業をしている一方で、課題プリント郵送で終わっている学校もたくさんあり、このギャップをどう埋めるのか、議論も広まってきました。

★GIGAスクール構想も前倒しで進むでしょう。とはいえ、さらなる緊急事態宣言期限の延長の間に間に合うわけではありません。そんなときこの5%の学校が新しい学びの経験の道行のランターンとなって、できるところこら行動していこうという学校の先行事例になるでしょう。

★このホンマノオト21の4月のアクセスランキング50の1位は品川翔英、2位は新渡戸文化、3位は聖学院です。いずれもオンライン学習に果敢に挑戦し、戦略的広報ではなく、共感的広報によってアクセスが増えました。ポスト・コロナショック時代の新しいアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーの在り方を示している可能性大ですね。

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★ほかにも、同様に果敢に挑戦している学校がズラリ50位以内に入っています。もちろん、ホンマノオト21のアクセスランキングの順位なんてどうでもよいのです。大事なコトは、傾向としてやはり危機のときに勇気ある果敢な行動力と高邁なマインドの共感力が重要な時代がやってきたというコトの認識が確認できるかどうかです。そして、それを共有できるかどうかです。

★さらに、氷山モデルを想起してください。順調に進んでいるように見える学校も、その舞台裏は、順調になかなか行かない組織同様、やはりたいへんな議論を重ね、試行錯誤しながら行動しているということを忘れてないことです。

★では何が違うか?リーダーシップを1人ひとりが発揮するGrowth Mindsetを実行しているかどうかだと思います。リーダー1人のせいにしたり、やらない理由をいったり、質が大事だとやってみなければわからないことに上から目線で恫喝したりする文化はこの際、改める機会です。変わるということは、この舞台裏で協働協力体制が瞬時に作れるかですね。共感的コミュニケーションは柔らかく強いのです。

 1:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(58)品川翔英
2:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(49)新渡戸文化
3:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(33)聖聖学院
4:2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早稲田アカデミー
5:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(30)桐朋女子
6:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(63)聖学院
7:2021年中学入試を読み解く準備(11)武蔵野大学中高の迅速な対応 オン...
8:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(27)東京エリア
9:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(21)聖学院
10:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(11)聖学院
11:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。
12:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(15)佼成学園
13:2020神奈川の男子校 聖光学院・桐光学園・慶応普通部が突出
14:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(64)新渡戸文化
15:ノートルダム女学院の2020年度始まる。根源に立ち還り、新しい息吹を生成...
16:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(26)東京エリア..
17:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(12)香里ヌヴェール学院
18:三田国際 2020年中学入試を終え、目が覚めるような新機軸へ準備整う: ...
19:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(40)聖学院
20:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(24)東京エリア
21:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(28)東京エリア
22:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(32)工学院
23:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(44)オンライン学校説明会
24:2021年中学入試を読み解く準備(10)立教女学院の人気の理由 骨太の教...
25:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(14)工学院
26:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(2)オンライン学習時代だからこ...
27:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(16)文化学園大学杉並
28:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(36)学校説明会変わる
29:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(59)聖学院
30:2020年春の大学合格実績(3)鴎友学園女子
31:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(48)和洋九段女子
32:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(41)米国名門学校
33:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(35)カリタス女子
34:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(6)オンライン対面指導5%の重...
35:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(43)チョート・ローズマリー・ホール
36:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(47)工学院
37:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(3)オンライン学習時代はチュー...
38:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(31)富士見丘
39:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(23)光塩女子
40:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(45)八雲学園
41:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(57)中高一貫校のタイプ
42:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(50)工学院
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44:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(20)洗足学園女子
45:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(55)日比谷高等学校
46:三田国際教頭田中潤先生 満を持して「新たな教育理論」を披露!9月1日静岡...
47:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(37)工学院
48:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(34)工学院
49:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(53)ノートルダム学院小学校
50:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(10)ノートルダム女学院

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