ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(64)新渡戸文化学園の小林光一先生ならではのオンライン授業。
★今春、新渡戸文化学園には、17人のすてきな教師が集まってきたといわれています。詳しくは、読売の記事になっているので、その点に関してはそちらをご覧ください。その中の1人に保健体育科の小林光一先生がいます。facebookの友達なので、先生の記事はフォローしているわけですが、昨日、ご自身のオンライン授業を詳しく公開していました。そして驚きでした。前々から異彩多才を放つ先生として有名人だったし、前任校での小林先生の活動を拝見して、私もそうだととっくに思っていました。
(図は、小林光一先生の論考を読んで独断と偏見で本間が描いた。)
★しかし、facebookのタイムラインに3000字の文章を書き込むというのは、やはりものすごい熱量が小林先生及び新渡戸文化に生まれているということですから、しっかり読みました。そして、改めて凄げえ!と感じ入ったのです。
★オンライン授業になって、オンライン授業でしかできないことを追究しています。ということは、リアル時空での授業をそのままサイバー上に持ち込んでいるわけではないのですから、新型コロナウィルス感染拡大の収束後には、リアルな時空でもそのオンライン授業でしかできないシステムは残るというコトでしょう。
★リアルとオンラインのハイブリッド授業が生まれることを宣言しているわけです。
★そして、読み続けて、さらに驚いたのは、授業を1とすると、生徒は10を自ら学ぶという自律/自立した学びが生まれているということです。これは、今までのリアルな授業では、先生が教えたことをそのまま再現する学びだったのを明らかに覆すことになります。
★もちろん、アクティブラーニングだとかPBLはそれを目指していたのですが、オンライン学習になって、そうしなければ生徒自身が自分の身が持たないことに気づいたのですから、動かざるをえません。
★今メディアは、外出自粛と一斉休校がもたらす、子供の学びが持続しないという不安について報道がたくさんありますが、それは子供がこの状況が自分の身に何をもたらすかモニタリングする学びを行っていないからだということも小林先生の論考を読んで了解できました。
★散歩をしない犬がどうなるか?という身近な問題から、生命の循環を学んでいくわけです。これは、ノーベル物理学受賞者のファインマンのチョロQはなんで動くの?というのと実は同じ構造を有しています。神経系、ホルモン、血液など生物の身体にはりめぐらされた循環システムは、外に開かれていて環境とのつながりがないとたいへんなことになるということを保健体育科のオンライン授業で学ぶわけです。
★自律神経やメンタルシステムの崩壊は、新型コロナウィルス感染も怖いですが、それもまた同じくらい怖いわけです。私たちは、実は世界リスクを自分事として感じる機会があまりなかったわけですが、今回のこの不測の事態に対応する一つの行動がオンライン学習であり、これによって、そのことをリアルに感じ入るわけです。
★そして、そのことをサイバー上のオンライン学習を介してリアルに実感するというアクロバティックなオンライン授業をさらりとやってのけるのが小林光一先生で、そんな先生方がたくさん新渡戸文化に集結しているというのは、異彩多才の場が生まれるということでしょう。
★それにしても、この生徒たちの気づきが生まれるのは、小林光一先生のオンライン授業が、生徒が自身で物事へのつながりを欲求する問いを生み出す仕掛けになっているからです。これは、イギリスやフランス、ドイツの新しい創造的な活動の発想と同じです。スペキュラティブ・デザインとか新実存主義とか言われています。NHKでも頻繁にドキュメンタリー特集が流されていますね。
★やはり、新渡戸文化学園は世界の変容の最先端の方々と同期していますね。
★さて、小林光一先生のオンライン授業の話に戻ります。知識的なことは、グーグル大先生にお任します。知識はリニアな関係を憶えて使えればよいのですが、従来のリアルな授業が、このレベルのものがいかに多いかということも思い知らされます。そして、この閉ざされた空間だから、なんとか規律の中で、生徒たちは勉強してきましたが、オンラインになったとたん、空間はオープンだし、規律も緩いので、ただ学習課題プリントを与えただけでは、生徒が学ばないのは、それは生徒の問題ではないことにも気づきます。
★小林先生は、そのリニアな知識のそれぞれのノッド(結節点)を、「そもそも」「なぜなぜ」「どうやって」「どうむすびつけるの」のという突っ込み問いの活用を生徒にあるいは生徒同士に思い切って開放/解放します。
★すると、各ノッド(結節点)にたくさんの端子がにょきにょきと生まれてきて、リニアな関係にループが生まれてきます。果たしてどんなループが生まれるのでしょう。それは生徒1人ひとりによって違うでしょうが、そのループの正当性、信頼性、妥当性、つまりフェイクではなくアイデンティティが保証されるかどうか、数学的思考やデータリサーチ(インターネット上の既存のデータやグーグルフォームのアンケートで独自につくる両方のデータをつかっていますね)、数学的操作を活用していきます。
★多角的な問いの突っ込みの後は精緻な分析です。これによって、自分の身体の状況を検証していくことになります。
★さらに、外部の専門家とオンラインで結びついて講義を受けられる環境をつくります。自分が検証してきた以上の知見に目からウロコ状態になるわけです。生徒は、もっともっと追究しようちうモチベ―ションや新しい視点、なんといてもパワフルなスキルを欲するようになるでしょう。
★突っ込み質問の解放/開放による既存の意味と未知の意味のギャップ→数学的思考による主観的認識と客観的事実のギャップ→自分知と専門知のギャップ。このがギャップ体験のホップ・スッテプ・ジャンプ(守破離ともいいますね)が深い問いを生みだそうという探究への内発的モチベーションを生み出しているわけです。
★こうなることによって、1の授業から10を学ぶ行動をするようになるのです。自律/自立したあるいは主体的な学習者ということでしょう。そして、こうなるには、保健体育科の生命科学的なオンライン授業が欠かせないという確信も抱けました。通常の状態に戻っても、この保健体育科による生命科学のオンライン授業は必要ですね。オンラインでないと世界リスクをモニタリングする実感がわかないのですから。
★この間、新渡戸文化学園は、約50人の生徒と50人の大人がオンライン上でクロスカリキュラムを行いました。この大人が小林光一先生と同じ感性の持ち主だと想像してみてください。実際共鳴共感して参加するのですから、感性はある程度シンクロしています。
★どうです。あまりに凄いことになっていると想像できませんか?一つの授業で10の拡張端子を生みだせる生徒が、50人の大人と対話するんですよ。もちろん、小分けにして2回のセッションなのですが、それにしても、この熱量が想像をはるかに超える大きさになっていることは言うまでもないでしょう。
★こんな環境から、どんな未来が生まれてくるのでしょう。ワクワクするどころではないでしょう!今後も注目していきたいですね。ウザイといわれそうですが(汗)。
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