ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(47)工学院のオンライン学習の組織創りがすばらしい
★工学院大学附属のエッジの利いたそれでいて豊かな先進的教育は、どんなにすばらしくても、同じ東京であっても都心から遠く、地理的条件はよくないと言われてきました。中学受験人口が都心に比べて少ないからということでしょう。もし、工学院が都心にあれば、三田国際同様大人気校だったに違いないと言われる程に先進的教育を実施しているのです。
★ところが、今回の新型コロナウィルス感染防止のための一斉休校の状態が、地理的条件を無化しました。サイバー上ではまったく地理的条件の違いは有利にも不利にも働きません。
★むしろ、ICTを活用した学習組織の質の高さや機動力が重要になってきます。その観点からすれば、工学院は世界の名門校であるイートンカレッジやチョートスクールに肩を並べてしまいます。何せリアルな時空の制約がないのですから。
★現状国内ではどこでも、ZOOMやグーグルクラスルームなどのアプリやプラットフォームの使い方が喫緊の課題であり、学校全体でオンライン学習の価値を生み出すところまで手が回っていません。すなわち、通常のリアル時空と変わらないむしろまた別の質を維持できるように動く組織作りまで手が回らわないというのが現状でしょう。
★ところが、イートンカレッジやチョートースクールなど英米の名門プレップスクール校の動きは、まず組織創りと情報の公開共有がなされて進んでいるのです。その動きと工学院はシンクロしています。
★上記の図のように、真ん中の教師は生徒とインタフェース越しでオンライン授業を行っていくのですが、それはいわば、生徒と共にこの困難な事態を共に引き受けコンパッションリーダーシップを発揮できる勇敢な教師の姿です。
★しかしながら、これができるのは、教師同士の相互サポート体制=学習する組織がしっかりできているからなのです。工学院はこの有機的な共感的な学習する組織をしっかりと構築しながらオンライン学習を進めているのです。
★広報チ―ムは、公開許攸情報を流します。これによって、生徒も保護者も自分たちが困難の状況の中でどこにいるのかどこに向かおうとしているのか知ることができます。もちろん、オンライン学年集会や保護者面談が行われますから、心のケアも万全です。
★重要な点は、この心のケアも担当の教師が1人奮闘するのではなく、オンライン授業終了後、オンライン学年ミーティングを行いますから、そこで、情報交換・共有をしていきます。ふだんなら、キャンパス内を歩いて気づくこともありますが、サイバー上では、先生方が積極的に情報を獲得しようと動かなければ見逃すところもあるでしょう。
★このようなケアフルなシステムは、欧米では日本よりもシステマチックですが、工学院はその破格のグローバル教育によって海外の学校との交流も分厚いので、同じように動くようになっているのです。
★それから、テキストや教材やカリキュラムは教務のオンラインミーティングが頻繁です。
★また、世界リスクの情報とかICTの活用で困ったことがあれば、すぐにサポートできるチームもできています。
★生徒同士のオンラインコミュニケーションも盛んで、プロジェクトも進んでいます。
★様々なデバイスやアプリ、プラットフォームを活用していますが、グーグルクラスルームのフォームを活用したアンケート集計システムの活用の仕方は極めて巧みです。そして、思考コードの共有が予想以上に効いています。
★というのも、ミニテスト、記述解答、メンタル&ボディケア情報などを集計してスプレッドシートでデータ化しながら、評価をするときに思考コードはコンパスになっているでしょう。生徒がプロジェクトで活用するまでになっているのは驚きです。
★デジタルデータに基づきながら共感的コミュニケーションをマネジメントしていけるコンパッションリーダーが教師からも生徒からも生まれいるのが工学院の今の姿でしょう。
★おそらく、平常に戻っても、このオンライン学習の成果は継続されるでしょう。遠くの生徒は、必要な時にキャンパスに訪れ、そうでないときは自宅から参加できるからです。まさにハイブリッド時空キャンパスになるのでしょう。
★ソーシャル・ディスタンスがより質の高いコミュニケーションを生んでいるというパラドクスが生まれているのが工学院というわけでしょう。もちろん、こうなるにはスパーコンパッションリーダーの存在が欠かせません。柔らかくそれでいてやり抜く気概の持ち主。工学院の場合は、それも一人ではないのです。スーパーコンパッションリーダーもチームという塊で存在しているし、拡大しているのです。いずれそこは紹介しましょう。
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