ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(48)和洋九段女子 オンライン授業で創造性を生み出す!
★4月13日から<オンライン授業>を開始した和洋九段女子。はじめは、先生方は学校からオンライン授業を配信していましたが、デバイスやアプリの動作確認ができるや、2日後には、テレワークになっています。驚いたことに中1から早くも始まっています。
(写真は同校サイトから)
★他校では、中1はデバイスの準備やオリエンテーションがなされていないため、かなりゆったりと進みます。しかし、一方で、入学したばかりなので、生徒も保護者も不安になりますが、同校はタブレット型PCをかなり早い段階で配布ができていました。
★それから、同校独自の思考コードであるルーブリックが出来上がっていて、学内で共有されているために、教師全員で、生徒の発達段階に応じた授業がデザインできます。<オンライン授業>もそのコンセプトに従ってデザインされますから、過去の経験を生かして、オンライン上で生徒と対話しながら、軌道修正してくのは、リアル時空におけるPBLでもサイバー時空におけるPBLでも同じなのでしょう。
★ZOOMとグーグルのG Suiteの多機能、たとえばJambordのようなサイバーホワイトボードを活用してサイバーPBL授業を行うことが可能なのです。
★上記は高1の水野先生のオンライン授業の一部のスクリーンショット(写真は同校サイトから)ですが、序破急の奥義でオンライン授業が進められているのが推察できます。
★農業革命の歴史を、サイバー上でKJ法でやっていくのでしょう。ブレイクアウトルームでチームディスカッションが行われているといいます。狩猟→農業→産業→情報→afterコロナ→・・・という一連の革命がおこる共通のメカニズムを対話しながら考えていくわけです。
★もちろん、高1のこの時期ですから、このイノベーションの革命史の1つひとつの知識はまだこれからでしょう。あくまで、農業革命という一時期に限定された授業なのでしょうが、この限定を創造性を生み出す枠にするのが水野先生のPBL型授業の特徴です。
★その都度、生徒は枠をはみ出したり壊す体験を協働していくのです。この協働体験こそ創発体験なのですが、これは生徒とルーブリックを共有しているからこそできることでもあります。PPTの中に(B2)という表記がさりげなくありますが、これがルーブリックのコードです。
★生徒は、しかし、このルーブリックを明快に認識が出来ているわけではもちろんありません。あくまで、6年間通して自分なりに理解を深めていくのです。自分の学ぶ姿勢やモチベーションや知性をか鏡に映してリフレクションするのが主たるねらいなのでしょう。
★和洋九段女子のホームページは、日日のオンライン授業の様子がアップされています。優しい眼差しで記述されています。この眼差しが大切なのです。ともあれ、実はもともとICTはプロジェクトベースの活動を支援するツールなので、PBLを日ごろ行っている学校の先生方は、スムーズに授業を展開できます。
★一方通行型の授業をオンラインでやろうとすると、動画を撮って流すのと何ら変わらないので、教師は自分の存在意義に不安を感じざるを得なくなります。
★これも和洋九段女子がマス授業ではなく少人数のラウンドテーブル授業ができる環境を創っているからできるということもあるでしょう。afterコロナの時代は、どんどん1人ひとりにとって幸せな環境が整い、そのうえで互いに協働していく、自律分散協働系ができていく期待がもてます。
★一方で同調抑圧共同系のリスクも当然あります。それがイノベーション革命史で繰り返されてきたことでもあります。19世紀末のウィリアム・モリスとエドワード・ベラミーの議論は、これからも続きます。この議論は、なぜか東大の帰国生入試で扱われています。一般入試ではそういうテーマはでないのに、なぜか帰国生入試では出題されるのです。
★そんな東大のデストピアとユートピアのカップリングされた世界とはまた一味違うのが和洋九段女子なのでしょう。このユートピアとデストピアの議論の突破口を生徒といっしょに考え創っていくのでしょう。そんなイメージが同校サイトの記事から思い浮かびました。生徒が明るく賢くコンパッションのマインドで創造的思考を開いていく学びの場に希望を感じました。
★どうやら、<オンライン授業>をやるにしても、PBLかそうでないかは、かなり生徒の成長に違いがでてくるということでしょう。デストピアを生み出すか新しい世界を生み出すかという大きな違いが。
★リアルな時空での議論は、デストピアかユートピアかの議論に決着をつけられなかったのですが、サイバー時空とのハイブリッド時空で学ぶことによって、デストピアとユートピアの表裏一体の議論、つまりつねにダブルバインド状況に陥っていたエッジを乗り越えることができるのかもしれないということです。その飛躍の局面に、和洋九段女子はいると思います。
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