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2020年4月28日 (火)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(62)工学院の丁寧な共感的オンライン授業。

★この不測の事態に対し、オンライン学習の重要性がようやく意識されるようになってきました。だいぶデバイスやアプリの使い方や創意工夫の話がSNSで広がるようになっていますし、ZOOMなどの使い方オンラインセミナーもたくさん行われるようになってきました。一方で、オンライン学習の是非を問う議論も生まれています。実際、外出自粛の中で、家庭にずっといる子供はもっとはじけたくなるのですから、いろいろな悩み事が生まれてくるのは当然です。

そんなとき、そういう議論をさらりと乗り越えながら実践している工学院のオンライン学習の発信は参考になると思います。というのも、工学院のオンライン授業は、リアル時空での授業をさらに豊かにする可能性を日々試行錯誤しているからです。ごちゃごちゃ言わず、いろいろあるだろうけれど、やりながら解決していこうという勇気と挑戦に敬服しますが、それができるのは共感リーダーシップをみんで発揮している人間関係が強烈だからでしょう。リーダーシップは1人が発揮するのでではなく、共感共振してみんながそれぞれ発揮するわけですね。

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★さて、同校のオンライン授業の丁寧さはどこにあるかというと、たとえば、英語で、スピーキングとライティングの授業を行う時、MicrosoftのFlipgridとPeer Reviewを使い分けしているところです。

★技術的なコトより、この使い分けによって、スピーキングによる言語活動とライティングの言語活動のシナジー効果を生みだしている本質的なところが優れたところです。

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★普段の授業でも行っているのですが、アプリやプラットフォームを媒介することで、クラス全体が互いの表情や互いの書き方をシェアできてしまうのです。これはオンライン学習の優れたところです。ただし、Growth Mindsetがなされていないと、顔を出すのに勇気がいるし、発言や記述をするときに、間違ったらどうしようと不安になったりしますね。

★だから、共感的コミュニケーションを工学院は大切にしているのです。朝のオンラインHRによるチェックイン、終わりのオンラインHRのチェックアウトの両方を大事にしているのはそういうことですね。

★各授業もアイスブレイクからはいるのはそういうことを意味します。

★民間英語資格で、スピーキングやライティングがありますが、ともすれば技術やスキルの側面しか考えないでしょう。それでは、リアルな授業をやってもオンライン授業をどんなに巧みにやってもあまり意味はありません。

★これは市民が表現の自由を守るための言語活動のトレーニングです。そのルーツはJ.J.ルソーの言語起源論にあるでしょう。そこから、カントや、ヘーゲル、フロイト、ソシュール、バルト、デリダ、ドルゥーズなど多くの論者が言語について語ってきています。それらがCEFRに結実しているわけです。音声言語と記述言語の諸関係は、権力と自由の葛藤であり権利の闘争史のベースです。

★スピーキングとライティングは、工学院は国語や社会でも、つまり日本語でも行っています。子供の学習権を守るには、豊かな言語活動を生み出す教師の創意工夫が大事です。ここは、外部の技術研修では得ることはできないのが現状ですね。便利さと効率さとわかりやすさの追究は大切ですが、子供の存在の本質を削ぎ落すリスクもあります。

★オンライン学習で学校不要論を説く人がいますが、そういう人は、子供の学習権をまったく意識していない人ですね。

★それゆえ、ポスト・コロナショックの時代は、教師と生徒が紡ぎ出す共感的コミュニ-ションをハイブリッド時空でもっと豊かにしていくにはいかにして可能かというステージに突入するでしょう。

★そうならなければ、デストピアのシナリオが待ち構いています。

★現在、オンライン学習で教育出動している先生方にも感謝の拍手を贈ることは大切です。子供の学習権を守っているのですから。

★それと、オンライン学習は、いっけんオープンですが、実はそうでもないことが多いので、シノプティコンという相互監視になるリスクもあります。自分たちの言動や思考を相対化して健全な学びの場を創るためには、やはり外部の学校の教師と結びつくことも大切です。

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★工学院では、中学3年生の異文化体験や3か月留学で、オーストラリア・アデレードの学校と久しい間交流しています。したがって、今回、Gleeson CollegeのTom先生に登場しもらい、「新型コロナウイルス下での学校」という共通の話題でディスカッションをしたようです。世界中、同じ痛みを感じています。そんな難局にあっても何を考え、何をするのか。多角的に語り合い、共感していくことは重要です。

★そんなことをナチュラルに、カジュアルにできてしまう本物のグローバル教育が根差しているのも工学院の教育の質の高さを物語っています。

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