ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(38)ノートルダム女学院のオンライン学習 困難な事態の向こうに前向きな見通しを共に立てる。
★4月7日、政府の緊急事態宣言が発令される直前に、ノートルダム女学院中学高等学校の学校長栗本嘉子先生は、「危機のさなかで新たな道を歩み始めるために」というメッセージをアップしました。このメッセージは、4月14日にフランシスコ教皇がTwitterに投げかけた次のメッセージと同期しています。
(今年は4月12日が復活祭でした)
★<イエスの復活は、死が世界の終わりであることを示すのではなく、いのちこそが永遠の世界なのだということを示しています。キリストの復活は続いています。それゆえ、私たちの存在に降りかかるあらゆる出来事に前向きな見通しを立てられるのです。たとえ、その出来事が最も困難で辛く不確実な出来事であってさえも。>というようなメッセージでしょうか。
★新型コロナウィルスショックという出来事は、たしかに最も困難で辛く不確実な耐えがたい出来事ですが、にもかかわらず、それにも何か前向きな見通しの意味があるのだということでしょう。栗本校長が語る「危機のさなかで新たな道を歩む」と同様の意味だと思います。
★こうしたカトリックミッションのもとに、ノートルダム女学院の教師はすぐに動きました。永遠の世界であるいのちをまもるために、まずは生徒と教師のいのちを守ることです。そのために、先週はオンライン学習体制をつくる準備に入りました。
★そして、昨日15日、オンライン学習が始まりました。首都圏や大阪などと違い、京都はまだ緊急事態宣言の対象にはなっていませんが、独自の判断で動いています。
★オンラインHRやオンライン授業がすぐに展開しているのは、同校にとっては当たり前のようですが、こんなに迅速に動けるには、やはりチームワークの力があるからでしょう。3密を回避するために先生方は別々の空間でオンラインを行うのですが、いつもとは違うやはり不思議な雰囲気です。この不思議さの意味について、先生方の対話が起きています。すでにテレワークに入っている先生方もいますが、来週からは在宅態勢に入るそうです。
★今週は、そのための調整期間のようです。生徒もオンライン環境に慣れることも必要だということです。オンライン授業が終わるや、先生方はリフレクションをしていたようです。今週の試行錯誤が、来週に活かされるわけです。
(栗本校長自らオンライン学習に挑戦。)
★チームワークの力が強い同校ですが、そのベースにはやはりカトリックミッションがあります。オンライン学習態勢をつくるには、設計思考に基づいた技術やデータによってコントロールしていく組織の動きも必要ですが、一方で生徒と何を学ぶのが最重要なのかも考えて実行するマインド思考も大切です。
★一般にこのマインド思考は、目の前の仕事が忙しくて組織として作動するのは難しいのが現実です。しかし、ノートルダム女学院はナレッジカフェというゆるやかなマインド思考を共有する場があります。こんなときにと思われるかもしれませんが、こんなときだからこそオンライン学習においても本質的な新しい学びの経験はいかにしたら可能なのか語ろうという動きがありました。
★14日(火)に2時間、ZOOMナレッジカフェを開催。20人以上の教師が参加して、ブレイクアウトルームで対話するところまで行きましたす。校長も参加し、自らオンライン学習を体現していました。
★ナレッジカフェ開店前に、ZOOMのホストの霜田先生(ND教育開発センター長)から、共同ホストを依頼され、設定や簡単なリハの対話をしました。先生方の見えない部分、つまりバックヤードでの仕事の部分が実に丁寧で分厚いなあと感じ入りました。
★ナレッジカフェ終了後は、すぐに高橋理事、栗本校長、高谷副校長、鳥山教頭、中村良平教頭がZOOMリフレクション会議をしていました。
★スキル研修、ナレッジカフェ、頻繁にZOOMリフレクションをしている経営陣の姿、オンライン学習開始の教師と生徒の姿を見聞し、3Mのパワーが明快に現われ、パワフルになっているのに気づきました。新たな道あるいは前向きな見通しがここにはあります。
★この3M=マインド×メディアミックス×マネジメントの新たな展開、つまり危機だからこそ見える新たな道については、もう少し多くの学校で行われているオンライン学習の様子をリサーチしながら考察していきたいと思います。
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