ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(8)オンライン学習が思考コードに隠された領域を開く 3つの脳野のシナジー効果
★首都圏模試の「思考コード」は、中学入試問題を解決する思考のマップであるので、脳野(脳部位の地図)と重なるところがあります。A軸の「知識・理解」思考は、側頭葉の内側にある海馬に関係します。B軸の「応用・論理」的思考とC軸「批判・創造」的思考は前頭前野に関係します。
★しかし、オンライン学習をやっていて、たとえば工学院や聖パウロ、ノートルダム、和洋九段女子、新渡戸文化の挑戦をみていて、上頭頂小葉の脳部位を活性化しているだろうなあということに気づきました。
★もちろん、脳の機能は部位ごとにきっちり決まっているというよりは、互いにネットワークを組んでシナジー効果を出しているというのが本当のところでしょう。
★しかし、中学入試、特に2科4科だけの問題をみていると、あまり上頭頂小葉はつかっていないなあと。実はこの部位は立体図形や空間の回転の問題を解くに時に活性化するのですが、中学入試の算数の問題では、立体の問題は、2次元に変換して、認知的働きで解いていきます。
★ですから、霊長類にとって最強で新しいそれゆえ進化のまだまだ過程にあるといわれている脳部位である前頭前野で思考していきます。
★おもしろいのは、自己認知も前頭前野らしいのです。
★ところが、他者理解は上頭頂野だというのです。
★つまり、共感的コミュニケーションは、特に上頭頂小葉というところらしいのです。
★これは、前回ご紹介した池谷裕二教授が語るメンタルローテーションの作用が活性化する脳野です。
★身体的なメンタルローテーションと情動的なメンタルローテーションと時空のメンタルローテーションが関係しているようです。
★おそらく、脳にとっては、ローテーションという行為が、身体的なものなのか、情動的なものなのか、時空的なものなのかは差異はないのだと思います。
★ただ、自分の視点を変える、自分の場所を動かして洞察するという行為が大切なのでしょう。前頭前野の自己認知はあくまで、自分軸を動かさないで視ていくわけでしょう。
★池谷さんは、上頭頂小葉で、物を動かしながらメンタルローテーションするのと、自分が物のまわりを動きながらメンタルローテーションするのとでは、自らが動く行為(もちろん脳内イメージですが)のほうが洞察時間あるいは解決する時間が速いと言っているような気がします。気がしますというのは、脳科学は全くのドドドド素人なので、わからないことが多いので、たぶん自分の視点に引き付けて我田引水に読んでいるからです。
★しかし、共感とは、この他者の立場にたてるというコトは大事でしょうから、共感はこの上頭頂小葉で活性化している可能性があります。
★思考コードのC軸「批判的・創造的思考」は、2科4科の中学入試問題を対象にしているときは、前頭前野におけるC軸思考が働いているだけなのですが、新タイプ入試やオンライン学習でオンライン授業以上に重要なオンライン面談においては、この上頭頂小葉の働きを意識するようになっているということです。
★これが、先ほどあげた学校が取り組んでいることです。中でも、工学院と聖パウロ、和洋九段女子は、ルーブリック(思考コード)を生徒と共有しようとしていますから、前頭前野、海馬、上頭頂小葉という3つの脳野のシナジー効果を生みだしていく可能性が大です。ルーブリック共有はメンタルローテーションの働きを共有することを意味します。
★聖パウロは、さらにルーブリックに感情コードを加えようとしています。
★新渡戸文化のクロスカリキュラムは、明らかに3つの脳野のシナジー効果が生まれています。思考コードのようなメタモニタリングルーブリックができれば、さらにパワフルになるでしょう。
★ノートルダムも、今動き始めたばかりですが、オンライン学習の意味という点では、3脳野のシナジー効果を出すビジョンがみえます。
★この5校に共通する点は、教師の役割の足場が、上頭頂小葉にあるということなのです。海馬を足場にする教師は、未来創りの行動はしないので、オンライン学習も双方向のモノはあまりやりたがりませんね。学習課題を出して済んでしまいます。
★前頭前野を足場にする教師は、有名人が多いし、どうだ自分の授業はすごいだろうという自己認知はめちゃくちゃ高いですが、他者である生徒との共感的コミュニケーションは不得意ですね。一般メディアはこのような教師を持ち上げるのが常套手段です。売り上げ部数を稼げますから。NEWSPICKSとか、その編集者は違います。そこを見抜いています。
★ところが、共感的コミュニケーションを行う教師は、ルビンの壺でいうと地に控え、図に生徒をマインドセットします。前頭前野はストレスに弱いので、自分のせいではないと多様な転移を生みだします。見ていて辛いです。言い訳という転移言動がすさまじいですね。賢い人に多いのは、まさに前頭前野に足場をおいているからでしょう。
★上頭頂小葉は、マインドフルネスを生み出す脳の働きをもともと有しているらしいので、おそらくストレスを変換できます。共感的コミュニケーションの感度が高い教師の面談に立ち会うと、生徒の上頭頂小葉の働きを活性化する対話をしていきます。
★それゆえ、生徒が落ち込んで、逃避言動や諦めやる気がないなどの転移現象を醸し出しているのを、逆転移に向かう契機を共創していきます。
★実に得難い教師です。コンパッション対話と好奇心開花対話とメンタルローテンション対話のケミストリーを生みだせる教師ですね。もちろん、コーチングも大得意です。海馬や前頭前野を巻き込む共感的リーダーですから。
★かくして、思考コードのC軸思考には、メンタルローテーション型C軸が隠れていたわけです。というか、本来このM型C軸が図のはずですが、2科4科型入試が求めているのが、どうしても前頭前野型のC軸思考だったわけです。
★今後、オンライン学習によって、つまりオンライン面談やZOOMのブレイクアウトルームの同期型対話、グーグルフォームをつかった非同期型対話を通じて、上頭頂小葉の働きの重要性に気づくことになるでしょう。
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