ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(7)オンライン学習がメンタルローテーションが機能する上頭頂小葉を活性化する。 保健体育科と家庭科はもはや副教科ではない。
★オンライン学習は、いったん二次元やデジタルの情報をバーチャルな脳内空間でアナログ化します。2Dを3Dにローテーションします。つまりメンタルローテーションを活性化するわけです。脳部位でいけば、上頭頂小葉を活性化するようです。21世紀になってから注目され続けている気鋭の脳科学者で受験脳やディスカッション授業の脳効用についても執筆していた池谷裕二教授の本を読んで、これは今後考えていかなければならない重要なテーマだなと感じています。
(メンタルローテーションをトレーニングする問題はトリックアートさながらです)
★池谷さんの「メンタルローテーション」の本は、その脳の働きをトレーニングする問題集ですが、第1章は短いですが、メンタルローテーションの3D的な能力以外に心的な回転の話もでてきていて新鮮です。
★しかもこの働きが強く作用する「上頭頂小葉」という脳部位は、実は身体運動を活性化する部位だそうです。それとリフレクションや内省などのメンタルローテーションが関係しているという話です。
(図はWikipediaから)
★これは、ますます保健体育科や家庭科が重要になってきます。
★それと、池谷さんは、神経細胞はアナログ入力をデジタル出力する「アナログ→デジタル変換素子」であるという通説を覆す発見をしているというのです。神経細胞によってデジタル変換された信号が、アストログリアの働きで、アナログ的に変調されるという発見をしたというこおです。
★神経伝達物質は、イオンの電子活動ですから、まさかアナログ変調されるとは思っても見ませんでした。計算通りのアウトプットがなされるのかと思ったら、そうではない可能性大なのですね。考えてみればイオンの活動電位は、量子力学的に考えれば、因果関係が一義的な発想でないことは素人でも推察できます。どうやら、意思決定論は脳科学論的にも崩せそうですね。
★しかし、私が興味があるのは、リアル時空とサイバー時空とバーチャル時空は、いよいよ区別しなければならないことがオンライン学習で明らかになってくるということです。
★私たちはリアルな経験とサイバーな経験の二項対立で考えています。そしてバーチャルな時空は、たんにサイバー時空の置換表現に過ぎないと思っているでしょう。
★どうやら、リアルなアナログ経験もサイバーなデジタル経験も、シナプスとニューロンの間を神経物質が通過する時にアストログリアという細胞経由になり、そこでアナログ変調されているということのようです。
★ということは、リアルな経験をしてもサイバーな経験をしても、アナログ変調された認識や感じ方をしているわけです。このアストログリア経由で現象する認識や感情や身体運動の統合されたアナログ的存在がバーチャルな存在ということでしょう。
★私たちの認識や感情や身体運動感覚は、どのみちバーチャル以外の何物でもないということになります。今までは、バーチャルなアナログ変調は、リアルな経験を通して作られてきました。
★しかし、今回のオンライン学習でそのリアルな経験が少ないままアナログ変調されていく可能性がでてきました。アナログ変調による物質や現象や自分のアイデンティティを規定する経験がリアルなものだけではなくなった場合、いったいどうなるのでしょう。
★完全にここは未知の世界です。
★いずれににしても、このアナログ変調は、メンタルローテーションによってチェックしていく必要がでてきたわけです。メンタルローテ―ションは内省やリフレクション、マインドフルネスにかかわる電位活動だからです。
★しかも、それが身体運動関係の分野でもあると言うわけです。
★体温計や血圧器や栄養学のカロリー計算などによってメンタルとボディーのコンディションを整えてきたように、上頭頂小葉のコンディションを整えたり、脳神経アナログ変調を行うアストログリアのモニタリングを行っていかなければならなくなるということでしょう。
★保健体育科と家庭科は、今は不遜にも副教科と言われていますが、このオンライン学習によってメイン教科になるでしょう。もっともメインとか副とかいうくだらないラインが消えるのもオンライン学習の効用だと思いますが。
★いずれにしても、バランスを欠いたときに、人間の神経系がどうなってしまうか、新しい世界リスクも生まれるのだということを忘れてはいけませんね。
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