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2020年4月

2020年4月30日 (木)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(65)ノートルダム学院小学校の挑戦 Back to Schoolへのモデル

★緊急事態宣言を延長するかどうか、9月入学の是非など政府、文科省、メディアなどは多様なニュースを流しています。それは大切なことですが、とにかく、いまここで医療崩壊、学習崩壊、治安崩壊、インフラ崩壊、メンタル崩壊など多様なリスクが迫っているわけですから、今何ができるかが、日々の生活で重要です。もちろん、未来をどうするかも大切で、世界は<同時に>それも考えています。

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★大事なことは、この<同時に>ということです。どうしても、私たちは、明日のことを考えると、いまここのことを忘れがちになるし、いまここを考えると明日のことを忘れがちになります。

★OECDの<Back to School>というトピックサイトをみると、その両方を一遍に考えるレポートが大量に配信されています。

★大事なことは、<いまここ>と<未来>が<同時に>見えるコトなのです。その意味で、ノートルダム学院小学校の日々の教育活動は、Back to Schoolへの道行を示している一つの重要な事例です。

★今の子どもたちがデジタルネイティブとはいえ、小学校1年生から3年生は、オンライン学習は難しいのではないかと思っていましたが、ノートルダム学院小学校のサイトを開くと、日々の教育活動が頻繁に更新され、配信されています。

★そして、現在のラインナップは、小学校1年生から6年生までの各学年のオンライン学習の活動の報告と校長先生のメッセージがズラリと配信されているのです。思索と祈り、つまり知と徳の体現ページになっています。

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★この試みが可能なのは、学年団、教務、研究部、情報、広報、事務局、そして経営陣などすべてのメンバーがすみやかに協働協力できる体制ができているからでしょう。そして、やはりなっといっても担任団と家庭の協力でしょう。つあmり、信頼関係の絆ですね。

★これはOECDのレポートが書いている未来に起こる同じようなリスクに対し何を準備すべきかという内容そのものです。つまり、ノートルダム学院小学校は、その準備を<いまここ>でSchool Days=日常化しているけですが、ここにすでに<同時に>未来があるわけです。

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★それは、ノートルダム学院小学校だからできるのだ、他の学校は必ずしもできない、不公平だと言う方もいるかもしれません。しかし、<同時に>やらなくては、日本の状況はたいへん困った状態になります。

★先に進める学校は先に進み、そのモデルをこれからの学校に提供しながら互いに協力して、新しい日常を学校に取り戻す必要があるのです。OECDのPISAの2018年の結果のグラフを見れば、日本がホームワークでコンピュータをいかに活用していないのかが一目瞭然です。

★この状況が5月6日までに、解消するはずもありませんが、さすがに文科省も自治体もGIGAスクール構想を前倒しして急ぐでしょう。等しく環境が揃ったときに、ノートルダム学院小学校のような先行事例は必ず役に立つでしょう。

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2020年4月29日 (水)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(64)新渡戸文化学園の小林光一先生ならではのオンライン授業。 

今春、新渡戸文化学園には、17人のすてきな教師が集まってきたといわれています。詳しくは、読売の記事になっているので、その点に関してはそちらをご覧ください。その中の1人に保健体育科の小林光一先生がいます。facebookの友達なので、先生の記事はフォローしているわけですが、昨日、ご自身のオンライン授業を詳しく公開していました。そして驚きでした。前々から異彩多才を放つ先生として有名人だったし、前任校での小林先生の活動を拝見して、私もそうだととっくに思っていました。

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(図は、小林光一先生の論考を読んで独断と偏見で本間が描いた。)

★しかし、facebookのタイムラインに3000字の文章を書き込むというのは、やはりものすごい熱量が小林先生及び新渡戸文化に生まれているということですから、しっかり読みました。そして、改めて凄げえ!と感じ入ったのです。

★オンライン授業になって、オンライン授業でしかできないことを追究しています。ということは、リアル時空での授業をそのままサイバー上に持ち込んでいるわけではないのですから、新型コロナウィルス感染拡大の収束後には、リアルな時空でもそのオンライン授業でしかできないシステムは残るというコトでしょう。

★リアルとオンラインのハイブリッド授業が生まれることを宣言しているわけです。

★そして、読み続けて、さらに驚いたのは、授業を1とすると、生徒は10を自ら学ぶという自律/自立した学びが生まれているということです。これは、今までのリアルな授業では、先生が教えたことをそのまま再現する学びだったのを明らかに覆すことになります。

★もちろん、アクティブラーニングだとかPBLはそれを目指していたのですが、オンライン学習になって、そうしなければ生徒自身が自分の身が持たないことに気づいたのですから、動かざるをえません。

★今メディアは、外出自粛と一斉休校がもたらす、子供の学びが持続しないという不安について報道がたくさんありますが、それは子供がこの状況が自分の身に何をもたらすかモニタリングする学びを行っていないからだということも小林先生の論考を読んで了解できました。

★散歩をしない犬がどうなるか?という身近な問題から、生命の循環を学んでいくわけです。これは、ノーベル物理学受賞者のファインマンのチョロQはなんで動くの?というのと実は同じ構造を有しています。神経系、ホルモン、血液など生物の身体にはりめぐらされた循環システムは、外に開かれていて環境とのつながりがないとたいへんなことになるということを保健体育科のオンライン授業で学ぶわけです。

★自律神経やメンタルシステムの崩壊は、新型コロナウィルス感染も怖いですが、それもまた同じくらい怖いわけです。私たちは、実は世界リスクを自分事として感じる機会があまりなかったわけですが、今回のこの不測の事態に対応する一つの行動がオンライン学習であり、これによって、そのことをリアルに感じ入るわけです。

★そして、そのことをサイバー上のオンライン学習を介してリアルに実感するというアクロバティックなオンライン授業をさらりとやってのけるのが小林光一先生で、そんな先生方がたくさん新渡戸文化に集結しているというのは、異彩多才の場が生まれるということでしょう。

★それにしても、この生徒たちの気づきが生まれるのは、小林光一先生のオンライン授業が、生徒が自身で物事へのつながりを欲求する問いを生み出す仕掛けになっているからです。これは、イギリスやフランス、ドイツの新しい創造的な活動の発想と同じです。スペキュラティブ・デザインとか新実存主義とか言われています。NHKでも頻繁にドキュメンタリー特集が流されていますね。

★やはり、新渡戸文化学園は世界の変容の最先端の方々と同期していますね。

★さて、小林光一先生のオンライン授業の話に戻ります。知識的なことは、グーグル大先生にお任します。知識はリニアな関係を憶えて使えればよいのですが、従来のリアルな授業が、このレベルのものがいかに多いかということも思い知らされます。そして、この閉ざされた空間だから、なんとか規律の中で、生徒たちは勉強してきましたが、オンラインになったとたん、空間はオープンだし、規律も緩いので、ただ学習課題プリントを与えただけでは、生徒が学ばないのは、それは生徒の問題ではないことにも気づきます。

★小林先生は、そのリニアな知識のそれぞれのノッド(結節点)を、「そもそも」「なぜなぜ」「どうやって」「どうむすびつけるの」のという突っ込み問いの活用を生徒にあるいは生徒同士に思い切って開放/解放します。

★すると、各ノッド(結節点)にたくさんの端子がにょきにょきと生まれてきて、リニアな関係にループが生まれてきます。果たしてどんなループが生まれるのでしょう。それは生徒1人ひとりによって違うでしょうが、そのループの正当性、信頼性、妥当性、つまりフェイクではなくアイデンティティが保証されるかどうか、数学的思考やデータリサーチ(インターネット上の既存のデータやグーグルフォームのアンケートで独自につくる両方のデータをつかっていますね)、数学的操作を活用していきます。

★多角的な問いの突っ込みの後は精緻な分析です。これによって、自分の身体の状況を検証していくことになります。

★さらに、外部の専門家とオンラインで結びついて講義を受けられる環境をつくります。自分が検証してきた以上の知見に目からウロコ状態になるわけです。生徒は、もっともっと追究しようちうモチベ―ションや新しい視点、なんといてもパワフルなスキルを欲するようになるでしょう。

★突っ込み質問の解放/開放による既存の意味と未知の意味のギャップ→数学的思考による主観的認識と客観的事実のギャップ→自分知と専門知のギャップ。このがギャップ体験のホップ・スッテプ・ジャンプ(守破離ともいいますね)が深い問いを生みだそうという探究への内発的モチベーションを生み出しているわけです。

★こうなることによって、1の授業から10を学ぶ行動をするようになるのです。自律/自立したあるいは主体的な学習者ということでしょう。そして、こうなるには、保健体育科の生命科学的なオンライン授業が欠かせないという確信も抱けました。通常の状態に戻っても、この保健体育科による生命科学のオンライン授業は必要ですね。オンラインでないと世界リスクをモニタリングする実感がわかないのですから。

★この間、新渡戸文化学園は、約50人の生徒と50人の大人がオンライン上でクロスカリキュラムを行いました。この大人が小林光一先生と同じ感性の持ち主だと想像してみてください。実際共鳴共感して参加するのですから、感性はある程度シンクロしています。

★どうです。あまりに凄いことになっていると想像できませんか?一つの授業で10の拡張端子を生みだせる生徒が、50人の大人と対話するんですよ。もちろん、小分けにして2回のセッションなのですが、それにしても、この熱量が想像をはるかに超える大きさになっていることは言うまでもないでしょう。

★こんな環境から、どんな未来が生まれてくるのでしょう。ワクワクするどころではないでしょう!今後も注目していきたいですね。ウザイといわれそうですが(汗)。

 

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2020年4月28日 (火)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(63)聖学院インパクト 田中潤先生が児浦先生と共にさらなる新プロジェクト創発!

★なんと!あの田中潤先生が今年から聖学院に勤務。今までも聖学院は教育界に影響を与えてきましたが、間違いなくまたも<聖学院インパクト>を生むことでしょう。

★少しの時間でしたが、久々にZOOMで対話ができました。

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★積もる話もあったのですが、それはこの不測の事態がある程度収まってからということで、ポスト・コロナショック時代はどうなっていくのか、ビジョンについて対話しました。2025年、2050年という2段階に分けて、テクノロジーがどう教育に影響を与えているのか、データエビデンスや文化人類学的知見から話を聞くことができました。

★ビジョンメーカーだし、組織開発の仕掛け人としては教育界では右に出る者はいません。さらに才能開発のスキルも最高です。なにより哲学の素養は奥行きが深い田中潤先生ですが、やはりビジョンに想いを馳せながら、聖学院というどこよりも豊かなマインドの持ち主の先生方とさらなる新しいプロジェクトを立ち上げ、生徒の才能をさらにパワフルにマインフルネスに開発するデザインを共創しているようです。

★一学年20名いるかいなかったH学園、M学園を大人気校にした組織づくり、カリキュラムデザイン、授業デザイン、教育イノベーションづくりの実績は、業界人なら知らない人はいません。

★その田中潤先生とビジョンメーカーで、マンジメントのプロで、多様なネットワークをもって、聖学院の新しい境地を先生方と共創してきた児浦先生とタッグを組んで、さらに新地平を目指しているわけです。驚愕しないわけにはいきません。

★ワクワクするし、このような二人の天才を受け入れる聖学院の先生方の高い精神性はさすがだと、改めて感服です。

★どの世紀も20年ごろにペストやコロナなどが発生し世界はパンデミックと闘ってきたわけですが、それを乗り越えたときに、生活は新しくなっています。それに伴いイノベーションは大変貌を遂げています。ポスト・パンデミックの世界不可逆性といでもいいいましょうかなどなど話が盛り上がったことは言うまでもありません。

★もちろん、新しい世界リスクも生まれるので、未来を拓きつつそのリスクを回避する知見も学んでいきます。今回も同じことが起きています。ただ、大きく違うことは、国家主導、官主導だけではなく、SNSの力で、宇宙船地球号の市民の知見が大いに役立つ時代でもあります。

★むしろ、その知見を大きく発展できる<新しい学びの経験>を生み出すことが重要だと、田中潤先生も児浦先生もビジョンを描いていることでしょう。両先生のそれぞれのマルチなネットワークと多角的なものの見方・考え方、豊かなビジネス感覚がシナジー効果を生みだすことは間違いないでしょう

★新しい学校の在り方、新しい教育の在り方、新しい社会の在り方、新しい世界の在り方、何より新しい人間存在の在り方のビジョンメイカーの両先生は、未来の新しい価値を生み出すでしょう。

★聖学院がまずそのモデルを形成します。同じように新しい在り方を模索している学校や先生方と共感共鳴共振の波を広げていくでしょう。

★<聖学院インパクト>始まります!

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(62)工学院の丁寧な共感的オンライン授業。

★この不測の事態に対し、オンライン学習の重要性がようやく意識されるようになってきました。だいぶデバイスやアプリの使い方や創意工夫の話がSNSで広がるようになっていますし、ZOOMなどの使い方オンラインセミナーもたくさん行われるようになってきました。一方で、オンライン学習の是非を問う議論も生まれています。実際、外出自粛の中で、家庭にずっといる子供はもっとはじけたくなるのですから、いろいろな悩み事が生まれてくるのは当然です。

そんなとき、そういう議論をさらりと乗り越えながら実践している工学院のオンライン学習の発信は参考になると思います。というのも、工学院のオンライン授業は、リアル時空での授業をさらに豊かにする可能性を日々試行錯誤しているからです。ごちゃごちゃ言わず、いろいろあるだろうけれど、やりながら解決していこうという勇気と挑戦に敬服しますが、それができるのは共感リーダーシップをみんで発揮している人間関係が強烈だからでしょう。リーダーシップは1人が発揮するのでではなく、共感共振してみんながそれぞれ発揮するわけですね。

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★さて、同校のオンライン授業の丁寧さはどこにあるかというと、たとえば、英語で、スピーキングとライティングの授業を行う時、MicrosoftのFlipgridとPeer Reviewを使い分けしているところです。

★技術的なコトより、この使い分けによって、スピーキングによる言語活動とライティングの言語活動のシナジー効果を生みだしている本質的なところが優れたところです。

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★普段の授業でも行っているのですが、アプリやプラットフォームを媒介することで、クラス全体が互いの表情や互いの書き方をシェアできてしまうのです。これはオンライン学習の優れたところです。ただし、Growth Mindsetがなされていないと、顔を出すのに勇気がいるし、発言や記述をするときに、間違ったらどうしようと不安になったりしますね。

★だから、共感的コミュニケーションを工学院は大切にしているのです。朝のオンラインHRによるチェックイン、終わりのオンラインHRのチェックアウトの両方を大事にしているのはそういうことですね。

★各授業もアイスブレイクからはいるのはそういうことを意味します。

★民間英語資格で、スピーキングやライティングがありますが、ともすれば技術やスキルの側面しか考えないでしょう。それでは、リアルな授業をやってもオンライン授業をどんなに巧みにやってもあまり意味はありません。

★これは市民が表現の自由を守るための言語活動のトレーニングです。そのルーツはJ.J.ルソーの言語起源論にあるでしょう。そこから、カントや、ヘーゲル、フロイト、ソシュール、バルト、デリダ、ドルゥーズなど多くの論者が言語について語ってきています。それらがCEFRに結実しているわけです。音声言語と記述言語の諸関係は、権力と自由の葛藤であり権利の闘争史のベースです。

★スピーキングとライティングは、工学院は国語や社会でも、つまり日本語でも行っています。子供の学習権を守るには、豊かな言語活動を生み出す教師の創意工夫が大事です。ここは、外部の技術研修では得ることはできないのが現状ですね。便利さと効率さとわかりやすさの追究は大切ですが、子供の存在の本質を削ぎ落すリスクもあります。

★オンライン学習で学校不要論を説く人がいますが、そういう人は、子供の学習権をまったく意識していない人ですね。

★それゆえ、ポスト・コロナショックの時代は、教師と生徒が紡ぎ出す共感的コミュニ-ションをハイブリッド時空でもっと豊かにしていくにはいかにして可能かというステージに突入するでしょう。

★そうならなければ、デストピアのシナリオが待ち構いています。

★現在、オンライン学習で教育出動している先生方にも感謝の拍手を贈ることは大切です。子供の学習権を守っているのですから。

★それと、オンライン学習は、いっけんオープンですが、実はそうでもないことが多いので、シノプティコンという相互監視になるリスクもあります。自分たちの言動や思考を相対化して健全な学びの場を創るためには、やはり外部の学校の教師と結びつくことも大切です。

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★工学院では、中学3年生の異文化体験や3か月留学で、オーストラリア・アデレードの学校と久しい間交流しています。したがって、今回、Gleeson CollegeのTom先生に登場しもらい、「新型コロナウイルス下での学校」という共通の話題でディスカッションをしたようです。世界中、同じ痛みを感じています。そんな難局にあっても何を考え、何をするのか。多角的に語り合い、共感していくことは重要です。

★そんなことをナチュラルに、カジュアルにできてしまう本物のグローバル教育が根差しているのも工学院の教育の質の高さを物語っています。

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2020年4月27日 (月)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(61)森村学園 G高偏差値型学校のWeb学習で旋風を巻き起こす。

★森村学園も、Web学習を行っていくということです。江川校長が頻繁に校長メッセージをアップしています。そこで、校長が自らWeb会議に参加している様子などをアグレッシブに書き込んでいます。基礎学力と言語技術によって大学合格実績を手堅く出してきたすでに確立された学校ですが、佼成女子やアサンプション国際で21世紀型教育の旗を振ってきた江川校長とシナジー効果を生み「未来志向型教育」の実現に邁進している様子がうかがえます。

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(写真及び図は同校サイトから)

★もともとICT教育には熱心に取り組んできていましたから、今回の不測の事態にWebで対応するのはハードルは高くなかったでしょう。受験生の保護者とは、LINEで双方向なやりとりをしていくというチャンレンジもしています。

★PBLや創造的思考にも取り組む構想になっています。

★おそらく、今春の大学合格実績に海外大学が出てきていますから、このような21世紀型教育は必然的な流れだったのでしょう。ちなみに今年の大学合格実績について、同校サイトにはこう記述されています。

 【大学入試結果 Topics】
東京大学 1名(現役)
京都大学 1名(現役)
大阪大学 1名(現役)
東京工業大学 1名(現役)
(国公立大学合計 27名(昨年25名))
自らの進路に対して、生徒一人一人が主体的かつ継続的な努力を積み重ねた結果、東京大学や京都大学を含む国公立大学への合格者数が昨年を上回る27名(現役24名)となりました。また今年は、University of British Columbia(THE世界大学ランキング34位)をはじめ、海外大学に過去最高の10名(現役9名)が合格しました。

★来春神奈川エリアで今以上に注目を浴びるでしょう。

★また、ICT教育のコンセプトに関して、江川校長は、校長メッセージの中でこう語っています。

<2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)」を提唱しました。彼は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義しています。森村学園では、ここに教育(共育)を融合し教育デジタルトランスフォーメーションという考え方をもっと導入し、その実現を促進させたいと考えました。
具体的に、中等部・高等部は、ICTを活用した授業やHRを始めます。Microsoft office365やe-pa等を活用し、オンライン授業やHR、課題の配布提出などを行います。私達教員もオンラインで行う授業は初めての経験です。正直、未知な部分が多く、大いに不安を感じていることも事実です。ただ、何も行動せずにじっとしていることより、オンライン授業を行ってみることの方が価値はあるのではないでしょうか。生徒の皆さんと先生方で手に手を取り合って今までの森村の強みを活かし、新しい授業を共に作っていきましょう。その先に「森村学園未来志向型教育」と“Future Ready Skill”(21世紀の社会人素養)」である課題解決力の基礎となる「議論しあう力」、「共同しあう力」、「疑問を逃がさない力」、「創造性」、「好奇心」、「プログラミング的思考」が身につくものと信じています。 >

★「デジタルトランスフォーメーション」がキーワードになっているのが、さすがです。森村グループにはノリタケやTOTOといった世界的な企業も含まれていますが、技術革新の構想力がベースになっています。「デジタルトランスフォーメーション」は、森村家の系譜と親和性があります。

★江川校長のコンセプト作りは、昔から巧みでした。

★自分の主張を押し付けるのではなく、その学校のポテンシャルを見出し、そこに21世紀型教育などと共感できる状況を生み出していくのです。森村学園は、グローバルな視点をもった高偏差値校のグループで切磋琢磨していくタイプですが、その中でイノベーティブな学校として覇権を奪取していくでしょう。

★特に神奈川エリアは、新しい動きをする学校は限られているので、大学合格実績も出せる未来志向型の森村学園は、一気呵成に人気を手にすることになるでしょう。

★まずは、教育地政学的には、桐光、桐蔭、洗足あたりとせめぎ合うと思います。三田国際には先進性という点では全く違う路線なので、スルーして東京都市大等々力とせめぎ合うことになると思います。いずれにしても、田園都市線沿線、大井町線沿線、東急沿線は森村旋風が吹くことになるでしょう。

★したがって、昭和女子大昭和とトキワ松、八雲学園、聖ドミニコ学園の未来志向型教育がその旋風を迎え撃つことにもなると思います。それぞれ独自の教育をますます創意工夫するでしょうから、この3つの絵沿線は、未来志向のゴールデン教育エリアとなるでしょう。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(7)緊急事態宣言拡大発令から10日間 注目記事ベスト20から<いまここ>に現れた大事なコトを読む。

★4月16日に緊急事態宣言拡大の発令がでましたが、そこから10日が過ぎました。この間のホンマノオト21の注目記事としてアクセスランキングベスト20を見てみましょう。この期間の小中高の教育関係者や保護者の気になっていることが少しわかるかもしれません。

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 1:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(49)新渡戸文化
2:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(58)品川翔英
3:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(40)聖学院
4:2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早稲田アカデミー
5:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(44)オンライン学校説明会
6:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(48)和洋九段女子
7:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(41)米国の名門校
8:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(43)チョート・ローズマリー・ホール
9:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(6)オンライン対面指導5%の重...
10:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(47)工学院
11:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(50)工学院
12:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(45)八雲学園
13:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(33)聖学院.
14:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(55)日比谷高等学校
15:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(38)ノートルダム女学院
16:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(57)中高一貫校のタイプ
17:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(46)田園調布雙葉
18:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(59)聖学院
19:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(53)ノートルダム学院小学校
20:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(54)HTH

★5位と6位は、各学校のオンライン学習の実施状況やオンライン学校説明会という新しい動きに対してやはり気になっていることを示しています。

★新渡戸文化、品川翔英、聖学院、和洋九段女子、米国の名門校、HTH、工学院、八雲学園、田園調布雙葉、ノートルダム学院小学校、ノートルダム女学院はいずれも、この不測の事態を真摯に受け止め、オンライン学習への創意工夫をどんどん行っていく世界変容型学校のモデルだという認識が生まれつつあるのでしょう。

★14位の日比谷のオンライン授業の動きは、都立高校がどうするのか気になるということでしょう。何せ基本は課題学習プリント配信スタイルが多いので、それに対し果たして大丈夫なのだろうか、もし5月7日以降も緊急事態宣言が延長されたならと気になるのは当然です。

★学校によって不測の事態に対する対応が違うということは、SNSの横のつながりで情報交換がされているし、9位の記事のように文科省の調査結果を見ても明らかなので、学校をどう評価していくのか気になるところですが、16位の記事が参考になるということを示しているのかもしれません。

★4位の記事も今となっては昔の記事ですが、この不測の事態を乗り切る学校をどう見ていくのか、またそのことの重要性を改めて考えるうえで参考になるかもしれません。

★新型コロナウィルス感染拡大の収束/終息を祈りつつ、リアル時空とサイバー時空の両方での学びの経験をしてしまった後、新しい学びを創ることになっていくでしょう。そして、実はそのことが経済的ダメージを救済することにもなります。

★すでに、人口成長論型の経済は限界にきていたわけです。これからは<新しい学びの経験>を学校でも企業でもあらゆる領域で創意工夫していく時代です。クリエイティビティが新しい経済社会を創っていくというシナリオは、すでにありましたが、いまここで私たちはそれを実感しているはずです。遠くの話ではなく、いまここで1人ひとりのタレントをすべて生かせるテクノロジーを実装しつつ、社会貢献をみんなでいかにしていくかクリエイティブシンキングを発動する時が来てしまったのです。

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2020年4月26日 (日)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(60)ノートルダム女学院のオンライン≪Transform lives, transform the world≫を体現

★ノートルダム女学院の変容ぶりの勢いは凄まじい。同教育修道女会創設者マリア・テレジア・ゲルハルティンガーの精神≪Transform lives, transform the world≫をまさに体現している最中です。

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★同校サイトを開くと、緊急事態宣言発令第一弾前夜からバタバタとしかし根本を忘れないように思索と祈りを続けながら、短期間のうちにオンライン学習の環境を整えていったのがわかります。もちろん、それができるには、もともと同校独自の21世紀型教育をプロジェクトチームを立ち上げて行ってきたというカリキュラム実践があったからです。

★それにしても、昨日25日からWeb学校説明会やオープンスクールを開始し、オンライン個別相談まで行うようになっているのです。

★毎日のオンラインHR及びオンライン授業の適用をすればよいのですから、そこにシフトするのは、技術的にはそんなにハードルは高くなかったでしょうが、同校のWeb動画学校説明会は、プログラムのパーツごとにできているので、参加者が見たいものをみればよいという選択制です。

★この制作によって、広報チームは改めて自分たちの学校のいまここで進行している教育力の俊敏力と奥行きの深さをリフレクションできているし、学内でも共有でき、ビジョンの共有が行われるという密度の高い時空が流れているでしょう。

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★ノートルダム女学院のカリキュラムリソースは、なんといっても<対話>です。オンライン学習の準備が始まって以来、ZOOMミーティングが頻繁に行われていますから、いかに<対話>を大切にしてきたか可視化されました。自分の顔は自分で見ることはできません、他者との対話を通して気づくわけですが、ZOOMなどのアプリやデバイスという最新のメディア媒介項によってそれができたのは、同校の進化に弾みをつけることでしょう。

★この<対話>は、<正・反・合>という<弁証法>によるものと、<守・破・離>という<道>によるものの2つがノートルダムにはあります。<正・反・合>という<弁証法>は、ヘーゲルが有名です。京都学派も大きな影響を受けています。しかし、ヘーゲルはもともと、キリスト教を哲学的に捉え返す挑戦から<弁証法>を考察しました。根っこはキリスト教です。

★また、<守・破・離>という<道>は剣道などの武芸の修行の方法だと思われがちですが、根っこは千利休の<茶の道>にあります。茶室は実は庭園とセットです。ノートルダム女学院には<和中庵>という茶室が庭園と共にあります。<茶室>だけなら私立女子中高一貫校ならたいていどこにでもありますが、<庭園>とセットになっているところはそうありません。

★シリコンバレーにあるHTH(ハイテックハイスクール)は最先端のテクノロジーとエンジニアリングを駆使したPBLを行っている学校で、世界から注目されていますが、それだけでは足りないとGAFAと共にHTH自身が語ります。

★ソサイエティ5.0や第四次産業革命のベースにはスマートシティとかコンパクトシティとかがあるわけですが、この新しい都市創りのルーツは、19世紀末から20世紀初頭に一世を風靡したユートピア都市計画です。それを実践して現存している都市はイギリスのレッチワースにある田園都市です。ここに着想を得て田園調布ができ、東急電鉄が創設されたわけですが。

★レッチワース構想は、今でもドイツ各地のエコ都市づくりやフランスのストラスブールのエコ都市づくりのモデルの1つでもあります。

★そのレッチワースに影響を与えたのが、19世紀末ウイーンで盛り上がっていたジャパノロジーです。このジャパノロジーで紹介されて大いに話題になったのが日本の庭園であり、その中に含まれている茶室や茶器だったのです。

★今でも、ストラスブール大学の日本学研究所では、この研究のセミナーなどが行われていますね。

★そして、その影響はGAFAにも与えていて、最近流行りのマインドフルネスのルーツがここにあります。

★今、ノートルダム女学院では、こんな<対話>が先生方と行われているのです。宗教科の教師、社会科の教師、数学科の教師、保健体育科の教師がときどきZOOM越しで話していると思います。おそらく<弁証法>と<道>という2つの<対話>の融合は、量子物理学者ボームの「ダイアローグ」という考え方に近いと私は思っています。

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★そして、アートや哲学の分野で、再び京都は注目を浴びていて、京都学派のリーダー西田幾多郎の哲学の再考が話題になっています。西田幾多郎は、数理哲学を京都学派に導入したいと考え田辺元を招くのですが、それは、まるで、宗教科の教師と社会科の教師と数学科の教師と保健体育科の教師が<対話>している同校の雰囲気とシンクロします。

★しかもマルクス・ガブリエルが英語のマインドではなくてドイツ語のガイストを重視したいといったとき、ノートルダム教育修道女会創設者のマリア・テレジア・ゲルハルティンガーの言葉である<ガイスト>と交差します。

★ガブリエルは、ヘーゲルの<弁証法>を脱構築しようとしていますが、ゲルハルティンガーの生きた時代に、今日のようにコレラのパンディミックが長引き、ヘーゲルはそのコレラで一命を落としています。今日、私たちはガブリエルを通してヘーゲルのガイストを脱構築しようとしています。その契機をゲルハルティンガー自身が持っていたというのは実に不思議です。

★歴史は繰り返します。パンデミックや革命は100年周期のダイナミズム過程があると言われているぐらいです。

★今回もゲルハルティンガーの生きた時代と共通構造を持ちながら、当時の第一次産業革命とは違う次元の第4次産業革命を生きているのです。ノートルダム女学院の教師は、京都という地政学的なリソースと京都の文化的リソースとゲルハルティンガーという欧米のリソースを、生徒の未来に適合するように創意工夫しているのだと思います。

★今年の春、京都大学も2名合格しています。京大の教養リソースも巻き込みながら、ますます世界変容型学校として唯一無二の得難い価値ある教育の拠点となっていくでしょう。

★徳と知というゲルハルティンガーの精神は、全国の学校が一斉休業下にあっても、新しいオンラインツールを使って、今も祈りと思索という日々の教育の中に生き続けています。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(59)聖学院のオンライン学習 自己×世界の変容スキル実装 3Tのシナジー効果あふれる。

★魂の聖学院が、生徒のみならず教師の自己変容、およびそれが世界変容に直結するスキル実装を着々。昨日25日オンライン学校説明会を実施しました。

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(写真は、広報部長・21教育企画部長・国際部長児浦先生から)

★聖学院の学校説明会は、リアルな時空で行われている時からその豊かな表現力、参加する保護者の心と響き合う柔らかいマインドであふれていることで有名でした。臨場感という点で、オンライン学校説明会はどうだろうと思っていたのですが、やはりそんな心配は杞憂でした。

★人間のことばの力や表現力というのはメディアミックスによって、リアル以上の迫力やイマジネーションを生みだします。優れた詩や小説がそうなのと同じです。歴史なんてちょっと考えれば誰も過去を見たことがないのに、その歴史物語にのめりこんでしまいます。

★化学記号や地球物理学もそうです。実際には元素記号など、目に見えませんし、重力も見ることはできません。それなのに、化学反応に驚き、宇宙の壮大な無限の広がりに思索を馳せます。

★聖学院のオンライン学校説明会は、そんなイマジネーションが爆発するシナリオになっていたようです。

★それにしても、緊急事態宣言が発令されるやオンライン授業用の動画を300本創っているわけです。しかもオンライン説明会で流されたその授業のオムニバス動画は圧巻でした(児浦先生にそっと見せてもらいました)。

★いきなりTEDばりの化学実験から始まります。そうかと思えば、DJイングリッシュの軽快なポップ授業、迫力があります。深い哲学的な思考スキルをメタ認知する国語の授業ややはり人間の魂は何にも勝ると実感させられるユニークな社会科のマインドフルネス授業。こんなのが300本あるとは!まさに授業はドラマ。生徒も魅了されるのは当たり前です。

★なるほど、オンライン説明会に参加した保護者が次のように語るのは了解できますね。

<オンライン説明会とても楽しかったです。オンライン授業の様子を拝見して熱意のある個性的な先生がいらっしゃるんだなと思いました。外出を気にせずできるようになったら、学校へ伺いたいです。思考力セミナーに子どもが興味を持っていたのでぜひ参加したいです。  >(児浦先生のfacebookから)

★そんなふふうに感心しながら見ていたところ、突然、グーグルフォームで対話しながら収集した生徒の回答を、AIで分析するような革新的な授業シーンが目の前に繰り広げられた時には、あっ!聖学院はテクノロジーの側面も大進化したのだとハッとしました。

★今年ペンシルバニア大学に進む山本くんの2分間インタビューも説明会で流されました。なるほどPBLやタイ研修、カンボジア研修で世界変容への価値観を内面から生む環境があることがわかりました。今回の新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言下でも、聖学院の教師の柔らかくたくましいマインドと創意工夫した授業で、また新たな聖学院の顔を見ることができるでしょうと山本くんは語っていました。すばらしい教師と生徒の信頼関係があることも了解できたわけです。

★リアルなホールで行う説明会でも在校生や卒業生のトークはあるのですが、オンラインだとその表情がはっきり見ることができ、目は口ほどにものをいうではないですが、その表情から語っていること以上の奥行きを知ることができるのには驚きました。それに2分間インタビューは、考えてみれば、海外大学に進学する生徒は徹底的にトレーニングされています。TOEFLのIBTやミネルバ大学のオンライン思考力入試(もちろん英語でです)などでは、必須のコンピテンシーです。

★英語の授業では、ネイティブスピーカーの先生とのインタビュー授業があります。その先生はラテラルシンキング(水平思考)のプロフェッショナルですが、こういうところにちゃんと生きているなあと腑に落ちました。

★それにしても、同校のサイトを見て驚きましたが、世界大学100位以内の海外大学をはじめ多くの海外大学に合格している生徒が続出しています。

 University of Pennsylvania(米)【11位】
University of Toronto(加)【18位】
University of Washington(米)【26位】
University of California, San Diego(米)【31位】
University of British Columbia(加)【34位】
University of California, Davis(米)【55位】
Boston University(米)【61位】
University of Southern California(米)【62位】
Carleton College(米)
Grinnell College(米)
Fordham University(米)
Syracuse University(米)
Art Center College of Design(米)
Lake Forest College(米)
北京外国語大学(中)

★強烈ですね。

★そうそう、話は、AIをはじめとする教育テクノロジー実装の話でした。このような聖学院の世界変容のマインドに教育テクノロジーが加わり、それは足し算ではなく、掛け算としてケミストリーが学内で生まれているということが見えた瞬間だったのです。

★どうりで、Apple経由のデイザイン系の広告代理店のスタッフから、本間さん聖学院さんすごいことになっているんですって、なんか今までの人気校を圧倒するトルネードが生まれているらしいじゃないですか、詳しく教えてくださいと聞かれるわけです。

★そのときには、えっ?すでに起きているじゃないですか?それ以上何が起きているの?と逆に聞きました。すると、エっ?本間さんも知らないんですかとドヤ顔された覚えがあります。緊急事態宣言発令の前の話です。

★今、なるほどと実感しました。児浦先生にメールで具体的に何が起きているか聞いてみましたが、もう少しお待ちくださいということでした。でも、もう少しお待ちくださいということは、学内でトルネードが起きていますよという暗号です。解読はお任せしますということでしょう。なんかワクワクします。

★聖学院の教育は、Talent×Tolerance(才能×寛容)の土台は豊穣でした。そして、今回オンライン授業のオムニバス動画から見え隠れする教育テクノロジーによって、3T=Talent×Tolerance×Technologyのトルネードのシナジー効果がさく裂しているのでしょう。

★3Tはクリエイティブクラスという、新しい産業構造を生み出す人材誕生の条件だと世界の社会学や文化人類学の学問領域では以前から語られています。あのGAFAもTalent×Technologyは揃tっているけれど、Toleranceはなかなかと。そこでマインドフルネスを研修などで取り入れているのでしょう。

★こうして、聖学院は最新の教育イノベーションと豊饒なマインドが、生徒の創造的才能を生み出す最強の教育を創り出しているということでしょう。いったいそれはどうやって?そこはもう少し待ちたいと思います。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(58)品川翔英のオンライン学習 急激に進化

★今月、名称変更、共学化した品川翔英は、出港するや新型コロナウイルスの嵐に巻き込まれました。新入生を迎える新しいカリキュラムやPBL型授業の準備に先生方が一丸となってがんばっていたのですが、いきなり今年一年かけてやろうとしていたことを、いますぐにやらなければならない局面にぶつかったのです。

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★しかし、だからこそ、先生方だけではなく生徒も保護者も一丸となって立ち臨んでいこうyという機運がふくらんでいます。

★柴田校長は、毎日同校サイトに先生方と生徒の遠隔授業の試行錯誤をオープンにしています。

★柴田校長が見守る中、最初のうちは、配信がうまくいかないどうしようという生徒の質問に丁寧に応える段階から、スムーズに遠隔授業ができるようになり、先生方もテレワークが定着し、オンライン会議までできるようになっています。

★それにしても、その現在進行形の状況を軽やかに毎日発信している柴田校長の存在は、他校と全く違うリーダーシップを発揮しているわけです。

★ある意味、先生方とフラットな関係でありながら、温かく見守り、責任を自分が引き受けたというチーム品川翔英のキャプテンシーを発揮しているのです。何せ、構えずに、日々のブログの中で、さらりと、次のようなメッセージを発信しているのです。

<品川翔英の生徒諸君へ

今、世の中で起こっている大人たちの戦いの様子をしっかり見て、記憶に刻んでください。
そして、今もし自分が30才だったら、40才だったら、50才だったらどのような形で社会に貢献しているだろうか?家族や自分をどう守っているだろうか?と考えてほしいと思います。
現在の社会状況は大変厳しいものですが、皆さんにとってはたくましく生きていく上での貴重な体験、人生の教材となります。
転んでもただで起き上がってはいけません、何かを掴んで立ち上がるのです。そして将来、医師となり、研究者となり、政治家となり、保育士となり、どのような役割でもいいので、社会の一員として、地球人の一員として、世の中を支える人になってほしいと願います。

国家百年の計は教育にあり」という言葉があります。

この状況下、私たち教育職に携わる者ができるせめてものことは、この言葉の意味を改めて噛みしめ、青年たちの教育に当たる責任の重さを形にして社会に還元することだと思います。>

★勇気ある先生方に安心と頼りがいを感じます。先生方もそんな自分に存在価値の尊さを実感していることと思います。まさにGrowth Mindset Schoolのモデルです。

★前任校で、あのトヨタやJR東海のトップ陣とやりとりをした経験は、たしかに他校の校長にはない経歴です。日本のトップ企業の経営者の感覚の酸いも甘いも知り尽くしたうえで、先生方と共に走りながら難局を乗り切る細やかさや気遣いは、新しいリーダーだと思います。

★大きな椅子にドカッと座って指令を出している旧態依然としたリーダーでは、たしかに、この難局は乗り越えられないでしょう。

★1年後品川翔英はどのように成長しているかという期待以上に、日々刻々とアップデートする姿に身震いさえします。

★首都圏の学校の中で、遠くを見据えながら、いまここで自らSNSで発信しながらリーダーシップを発揮していく校長は柴田先生をおいてほかにいないでしょう。

★オンライン学習をかわすか真正面から真摯に受ととめるかで、学校の進化や成長の大きな差がでるということを実感させられる前向きの品川翔英の教育出動力に感動です。

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2020年4月25日 (土)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(57)中高一貫校のタイプ 3つの脳野と海外大学進路指導の要素の組み合わせで。

★オンライン学習は多様なフェーズでデザインされていますが、それによってポスト・コロナショック時代の中高一貫校のタイプが分かれます。オンライン学習は、リアル時空とサイバー時空のハイブリッド時空での学びですから、今まであまり意識にのぼってこなかった「上頭頂小葉」の脳部位に注目が当たると考えています。時空の位相はこの部位で活性化しますから。それについては、前回記しましたので、そちらをご覧ください。

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★したがって、個別最適化と他者理解の両方を混合あるいは融合あるいは統合するなどのレベル差はまだわからないのですが、上記の世界変容型学校の出現が重要になってきます。ただし、それと人気が出る出ないは別問題です。

★GAFA型学校は個別最適化を徹底します、そのための学びの環境は日本の大学には、ないと断言して、この2つの要素をデフォルメします。要素が2つだけなので、わかりやすいので、みんな飛びつくでしょう。

★高偏差値にこだわる学校もグローバルな軸を準備するかあくまで東大と医学部にこだわるドメスティックな軸を保守するかでわかれます。オンライン学習は海外大学を意識しているかどうかで、差が付きますね。

★海馬のトレーニングは、GAFA型と同様に特にしないのですが、上頭頂小葉を大切にするマインドフルネス型学校もあります。大学も国内外の境界線はありません。ここは自己変容が極めて重要で、結果的に世界は変容するで、そこへのミッションは学校が明言することはありません。そこも生徒が意思決定すればよいのです。ミッションを持つことがストレスだと感じる価値観です。

★海馬のみにこだわる頑迷固陋な伝統校もありますね。たぶん、このコロナショックによる経済衝撃のダメージを真っ先に食らうでしょう。

★世界変容型学校は、個人のマインドフルネスをもちろん大事にしますが、結果的にではなく、そのことが世界変容につながるミッションを明快に共有する学校です。だから、有機的学びのシステムをつくります。

★どのタイプを学校が歩むのか、どのタイプの学校を選択するのかは、私事の自己決定ですが、世界変容型学校やマインドフルネス型学校はそう多くはないのが現状です。

★ポストコロナショック時代は、この両タイプが増えていく予感がするのですが、世の中がGAFA型学校をまず選ぶでしょう。オンライン=GAFAという欲望資本主義の欲求はなかなか手ごわいです。そこと高偏差値型学校の覇権争いになるでしょう。メディアはそうシナリオを描くでしょう。

★本質は常に気づかれないものです。世界変容型学校やマインドフルネス型学校は、静かな情熱を持ち続け、欲望資本主義の波が引いたときに急に現れるでしょう。幸せの青い鳥なのです。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(8)オンライン学習が思考コードに隠された領域を開く 3つの脳野のシナジー効果

★首都圏模試の「思考コード」は、中学入試問題を解決する思考のマップであるので、脳野(脳部位の地図)と重なるところがあります。A軸の「知識・理解」思考は、側頭葉の内側にある海馬に関係します。B軸の「応用・論理」的思考とC軸「批判・創造」的思考は前頭前野に関係します。

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★しかし、オンライン学習をやっていて、たとえば工学院や聖パウロ、ノートルダム、和洋九段女子、新渡戸文化の挑戦をみていて、上頭頂小葉の脳部位を活性化しているだろうなあということに気づきました。

★もちろん、脳の機能は部位ごとにきっちり決まっているというよりは、互いにネットワークを組んでシナジー効果を出しているというのが本当のところでしょう。

★しかし、中学入試、特に2科4科だけの問題をみていると、あまり上頭頂小葉はつかっていないなあと。実はこの部位は立体図形や空間の回転の問題を解くに時に活性化するのですが、中学入試の算数の問題では、立体の問題は、2次元に変換して、認知的働きで解いていきます。

★ですから、霊長類にとって最強で新しいそれゆえ進化のまだまだ過程にあるといわれている脳部位である前頭前野で思考していきます。

★おもしろいのは、自己認知も前頭前野らしいのです。

★ところが、他者理解は上頭頂野だというのです。

★つまり、共感的コミュニケーションは、特に上頭頂小葉というところらしいのです。

★これは、前回ご紹介した池谷裕二教授が語るメンタルローテーションの作用が活性化する脳野です。

★身体的なメンタルローテーションと情動的なメンタルローテーションと時空のメンタルローテーションが関係しているようです。

★おそらく、脳にとっては、ローテーションという行為が、身体的なものなのか、情動的なものなのか、時空的なものなのかは差異はないのだと思います。

★ただ、自分の視点を変える、自分の場所を動かして洞察するという行為が大切なのでしょう。前頭前野の自己認知はあくまで、自分軸を動かさないで視ていくわけでしょう。

★池谷さんは、上頭頂小葉で、物を動かしながらメンタルローテーションするのと、自分が物のまわりを動きながらメンタルローテーションするのとでは、自らが動く行為(もちろん脳内イメージですが)のほうが洞察時間あるいは解決する時間が速いと言っているような気がします。気がしますというのは、脳科学は全くのドドドド素人なので、わからないことが多いので、たぶん自分の視点に引き付けて我田引水に読んでいるからです。

★しかし、共感とは、この他者の立場にたてるというコトは大事でしょうから、共感はこの上頭頂小葉で活性化している可能性があります。

★思考コードのC軸「批判的・創造的思考」は、2科4科の中学入試問題を対象にしているときは、前頭前野におけるC軸思考が働いているだけなのですが、新タイプ入試やオンライン学習でオンライン授業以上に重要なオンライン面談においては、この上頭頂小葉の働きを意識するようになっているということです。

★これが、先ほどあげた学校が取り組んでいることです。中でも、工学院と聖パウロ、和洋九段女子は、ルーブリック(思考コード)を生徒と共有しようとしていますから、前頭前野、海馬、上頭頂小葉という3つの脳野のシナジー効果を生みだしていく可能性が大です。ルーブリック共有はメンタルローテーションの働きを共有することを意味します。

★聖パウロは、さらにルーブリックに感情コードを加えようとしています。

★新渡戸文化のクロスカリキュラムは、明らかに3つの脳野のシナジー効果が生まれています。思考コードのようなメタモニタリングルーブリックができれば、さらにパワフルになるでしょう。

★ノートルダムも、今動き始めたばかりですが、オンライン学習の意味という点では、3脳野のシナジー効果を出すビジョンがみえます。

★この5校に共通する点は、教師の役割の足場が、上頭頂小葉にあるということなのです。海馬を足場にする教師は、未来創りの行動はしないので、オンライン学習も双方向のモノはあまりやりたがりませんね。学習課題を出して済んでしまいます。

★前頭前野を足場にする教師は、有名人が多いし、どうだ自分の授業はすごいだろうという自己認知はめちゃくちゃ高いですが、他者である生徒との共感的コミュニケーションは不得意ですね。一般メディアはこのような教師を持ち上げるのが常套手段です。売り上げ部数を稼げますから。NEWSPICKSとか、その編集者は違います。そこを見抜いています。

★ところが、共感的コミュニケーションを行う教師は、ルビンの壺でいうと地に控え、図に生徒をマインドセットします。前頭前野はストレスに弱いので、自分のせいではないと多様な転移を生みだします。見ていて辛いです。言い訳という転移言動がすさまじいですね。賢い人に多いのは、まさに前頭前野に足場をおいているからでしょう。

★上頭頂小葉は、マインドフルネスを生み出す脳の働きをもともと有しているらしいので、おそらくストレスを変換できます。共感的コミュニケーションの感度が高い教師の面談に立ち会うと、生徒の上頭頂小葉の働きを活性化する対話をしていきます。

★それゆえ、生徒が落ち込んで、逃避言動や諦めやる気がないなどの転移現象を醸し出しているのを、逆転移に向かう契機を共創していきます。

★実に得難い教師です。コンパッション対話と好奇心開花対話とメンタルローテンション対話のケミストリーを生みだせる教師ですね。もちろん、コーチングも大得意です。海馬や前頭前野を巻き込む共感的リーダーですから。

★かくして、思考コードのC軸思考には、メンタルローテーション型C軸が隠れていたわけです。というか、本来このM型C軸が図のはずですが、2科4科型入試が求めているのが、どうしても前頭前野型のC軸思考だったわけです。

★今後、オンライン学習によって、つまりオンライン面談やZOOMのブレイクアウトルームの同期型対話、グーグルフォームをつかった非同期型対話を通じて、上頭頂小葉の働きの重要性に気づくことになるでしょう。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(7)オンライン学習がメンタルローテーションが機能する上頭頂小葉を活性化する。 保健体育科と家庭科はもはや副教科ではない。

★オンライン学習は、いったん二次元やデジタルの情報をバーチャルな脳内空間でアナログ化します。2Dを3Dにローテーションします。つまりメンタルローテーションを活性化するわけです。脳部位でいけば、上頭頂小葉を活性化するようです。21世紀になってから注目され続けている気鋭の脳科学者で受験脳やディスカッション授業の脳効用についても執筆していた池谷裕二教授の本を読んで、これは今後考えていかなければならない重要なテーマだなと感じています。

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(メンタルローテーションをトレーニングする問題はトリックアートさながらです)

★池谷さんの「メンタルローテーション」の本は、その脳の働きをトレーニングする問題集ですが、第1章は短いですが、メンタルローテーションの3D的な能力以外に心的な回転の話もでてきていて新鮮です。

★しかもこの働きが強く作用する「上頭頂小葉」という脳部位は、実は身体運動を活性化する部位だそうです。それとリフレクションや内省などのメンタルローテーションが関係しているという話です。

Wikipedia

(図はWikipediaから)

★これは、ますます保健体育科や家庭科が重要になってきます。

★それと、池谷さんは、神経細胞はアナログ入力をデジタル出力する「アナログ→デジタル変換素子」であるという通説を覆す発見をしているというのです。神経細胞によってデジタル変換された信号が、アストログリアの働きで、アナログ的に変調されるという発見をしたというこおです。

★神経伝達物質は、イオンの電子活動ですから、まさかアナログ変調されるとは思っても見ませんでした。計算通りのアウトプットがなされるのかと思ったら、そうではない可能性大なのですね。考えてみればイオンの活動電位は、量子力学的に考えれば、因果関係が一義的な発想でないことは素人でも推察できます。どうやら、意思決定論は脳科学論的にも崩せそうですね。

★しかし、私が興味があるのは、リアル時空とサイバー時空とバーチャル時空は、いよいよ区別しなければならないことがオンライン学習で明らかになってくるということです。

★私たちはリアルな経験とサイバーな経験の二項対立で考えています。そしてバーチャルな時空は、たんにサイバー時空の置換表現に過ぎないと思っているでしょう。

★どうやら、リアルなアナログ経験もサイバーなデジタル経験も、シナプスとニューロンの間を神経物質が通過する時にアストログリアという細胞経由になり、そこでアナログ変調されているということのようです。

★ということは、リアルな経験をしてもサイバーな経験をしても、アナログ変調された認識や感じ方をしているわけです。このアストログリア経由で現象する認識や感情や身体運動の統合されたアナログ的存在がバーチャルな存在ということでしょう。

★私たちの認識や感情や身体運動感覚は、どのみちバーチャル以外の何物でもないということになります。今までは、バーチャルなアナログ変調は、リアルな経験を通して作られてきました。

★しかし、今回のオンライン学習でそのリアルな経験が少ないままアナログ変調されていく可能性がでてきました。アナログ変調による物質や現象や自分のアイデンティティを規定する経験がリアルなものだけではなくなった場合、いったいどうなるのでしょう。

★完全にここは未知の世界です。

★いずれににしても、このアナログ変調は、メンタルローテーションによってチェックしていく必要がでてきたわけです。メンタルローテ―ションは内省やリフレクション、マインドフルネスにかかわる電位活動だからです。

★しかも、それが身体運動関係の分野でもあると言うわけです。

★体温計や血圧器や栄養学のカロリー計算などによってメンタルとボディーのコンディションを整えてきたように、上頭頂小葉のコンディションを整えたり、脳神経アナログ変調を行うアストログリアのモニタリングを行っていかなければならなくなるということでしょう。

★保健体育科と家庭科は、今は不遜にも副教科と言われていますが、このオンライン学習によってメイン教科になるでしょう。もっともメインとか副とかいうくだらないラインが消えるのもオンライン学習の効用だと思いますが。

★いずれにしても、バランスを欠いたときに、人間の神経系がどうなってしまうか、新しい世界リスクも生まれるのだということを忘れてはいけませんね。

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2020年4月24日 (金)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(56)聖パウロ学園のオンライン学習 コンパッション×トランスフォーム

★聖パウロ学園のオンライン学習も着々と進化しています。今回の事態は、まるで教師も生徒も互いに別々の宇宙空間に投げだされて、いっしょに着地する新しい星をみつける探索を行っている雰囲気になってきました。

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★互いがつながるツールは、ZOOMあるいはグーグルクラスルームです。世の中多様なアプリが出回っています。その情報を獲得しつつも、シンプルな武器を自在に使いこなす方が実は学びの循環がうまくいくということに気づいたと先生方は語っています。

★結局、「教科的な考えるスキルアップ」と「面談によるマインドセット」ができるかどうか。「オンライン授業」と「生徒が自由な時間を創意工夫しながら思索にふけるセルフマネジメント」のハイブリッドな遠隔学習をどう作り上げていくか。日々アップデートという感じです。

★しかし、そんな中、レポートの提出とそれに対するフィードバック、面談による対話の質こそが極めて重要だと主幹の小島綾子先生は語ります。

★先生方の面談を遠くで眺めていると、スキルトレーニングの方法をどうするか生徒と語り合うコーチング、この新型コロナショックの理不尽な事態を自分がどう受けとめ、どう意味付けしていくのか、歴史の中の自分、世界の中の自分、そして歴史に影響を与える自分、世界に影響を与える自分ということについて、教師は生徒の話を聞きながら共感していきます。

★これらの過程は、問いの深まりと自分の新しい姿の発見を紡ぎ出しています。

★共に喜びも悲しみも受け入れ、いっしょに乗り越えていくにはどうしたらよいか。教師も初めてであう未曽有の経験です。自分だってわからないから、いっしょに考えてみようと互いに弱みを共有するところから面談ははじまっています。

★生徒が自ら学び方を学び、学びのプランを立てながらも、なかなかうまくいかない。うまくいかないとき、実はイライラする。外で思い切り身体を動かせないから、ますます鬱屈してくる。

★そんなとき、教師と語る。教師もみんなと直接あって話をしたいし、みんなの前で授業をやりたい。それが自分たちの価値だと思ってきたのに、それは今はできない。新しくどうやってとらえかえせばよいのか考えているのだと、晴れやかになれない気分を生徒と共有したり、体育科の教師の体操の動画に生徒は画面越しに大いに喜んだりする毎日です。

★一回の対話で晴れやかにはなれないし、一瞬勇気と自信をもっても、持続可能はそう簡単ではない。互いに違う宇宙に放り出されていても、日々つながっている、悲しみも喜びも共有している。そして諦めない。今までにない情況だから、今までにない新しい自分や世界を創ろうよと語り合い続けているのです。

★小島綾子先生は、聖パウロ学園の教師の対話の柔らかさと深みを改めて感じる毎日ですと。afterコロナでは、今感じている対話の質をさらに持続可能にするメカニズムをつくっていきたいと。

★たしかに聖パウロ学園の対話は、あのオープンダイアローグというケアフルな面もあるし、好奇心を引き出していくコーチング手法の対話もある。メンターとしての対話もあるし、創発するという対話もある。

★しかし、物理学者ボームではないが、高邁な何かが通奏低音として一貫して鳴り響いています。いったいそれは何か?それは教師と生徒が感じ取っている何かです。ここで明かすのは野暮というものです。

★いずれ、レポートやデータで先生方自身が言語化することでしょう。その成果は、今はだれも持っていないものです。これからの教育に貢献するものとなるでしょう。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(55)日比谷もオンライン授業準備着々。これで全国の公立高校に波及する勢いになるか?

★ここのところ文科省やシンクタンクが調べて、全国の小中高のオンライン授業が5%程度だったりとか、都内では港区しかやっていないとかというのが話題になっています。そんな中、都立日比谷高等学校が、同校サイトで5月7日以降に本格的にオンライン授業体制を進めらるように今は準備していますと発信しています。発信日は4月9日です。

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(写真は同校サイトから)

★同校の「オンライン授業実施に伴う環境整備について(お願い)」は、5月7日以降もパンデミックは終息しないことを予想して書かれています。そのため、家庭でデバイスやWifiなどの通信環境を整えて欲しいということをお願いする文書です。

★公平性や効果や生徒のメンタル及びボディヘルスなど問題は多様です。HTHやフィンランドの教育省のように、完璧なオンライン授業ができるかどうかが問題ではなく、そこに向かう過程が大事で、共に未来を創っていきましょうという話でよいのだと思います。

★出来る学校からやっていくと同時に、各自治体ができないところをできるだけ支援するというやり方を早急に進めることです。良し悪しはともかく、日比谷が動けば、他の公立高校も動くでしょう。すでに、都内では10校弱の都立高校がオンライン授業を行っていますから、拍車がかかるでしょう。

★ただ、共に未来を創っていきましょうとはっきり教育現場が語れない理由はなんでしょう。生徒一人ひとりの未来を創るサポートはしますとははっきりいっている学校はたくさんあります。

★その理由は実はとても大事な問題です。ソサイエティ5.0という未来。本当はone of themなのに。それしかないような雰囲気が日本の教育にはあります。明治維新が、多様な近代路線の議論があったのに、他を巧みに排除し、優勝劣敗主義を強引に政府が抑圧的に推進しました。そのときから、日本の近代国家の土台はあんまり変わっていないということかもしれませんね。

★オンライン授業を組み立てていく過程で、そんなことにも気づき、新しい地平が出現するのを期待しています。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(54)HTHの≪Distance Learning≫はすてき。まだ追いつけない日本の教育。でもHTHは、日本の発想に次を見ています。なんて逆説的な!

経産省から多くの学校や企業・団体までが注目しているHTHですが、そのHTHの≪Distance Learning≫のプランは、シンプルだけれど、基本生徒という人間存在と民主主義的なコミュニティの在り方のフレームがきちんと確認され、デザイン・実行されています。さすがです。すてきです。この人間存在と民主主義的コミュニティの両方を目配りしている学校やそれを支援している自治体や企業は、まだあまりみられません。私が知っているのは8校くらいでしょうか。

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★さて、HTHのコンセプトは次のように書かれています。

This framework for Distance Learning is guided by our design principles of equity, personalization, authentic work and collaboration. We ask all of our community to remember why we became educators: to support children and the communities they (and we) live in. We aspire to craft distance learning experiences that continue to encourage community, connectedness, personalization, academic growth, and equity. When Distance Learning is activated due to a community crisis requiring school closures, we must also be mindful of and responsive to the diverse challenges that our educators and families may be experiencing. 

★日本の場合、生徒の存在に注視する素敵な学校はたしかに先述しましたが、8校くらいはばっちりです。ただ、民主的なコミュニティの在り方についてフレームを決めるところは明快にはないんですね。

★企業やNPOもそこは難しいんです。なんででしょう。芥川や漱石が悩んだところを個人的なことがらやメンタルの部分にのみ縮減的置換をやってきたからですね。

★しかし、その19世紀末から20世紀初頭は、たとえば、モリス、ベラミー、そのあとウェルズが汲み取っていた個人と世界の問題があったのです。「自分事」が「コミュニティ事」に発展していくMindologyな教育がポスト・コロナショック時代だというのが、HTHの試みを通して学ぶことができますね。

★そうそう、HTHだからといって、プラットフォームはZOOMとグーグルクラスルームが基本です。

★それから、HTHは、人間存在と民主主義的コミュニティの両方の動的平衡を考えていますが、一つ足りないと認識しています。こっちのほうは、日本の文化にむしろあるんですね。HTHも欲しがるリソースは、私たちの身近なところにあります。幸せの青い鳥は間近にいるなんてすばらしい。

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2020年4月23日 (木)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(53)ノートルダム学院小学校のオンライン≪Transform lives, transform the world≫を体現③

★ノートルダム学院小学校の梅下先生から、次のようなメールをいただきました。まだ1週間ほど前のことなのですが、ずいぶん年数がたったような気がする今日この頃です。

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お疲れ様です。
本日より4年生、iPadデビューしています。しかし、さすがデジタルネィティブ、はじめてのロイロでのアウトプット提出。
先週までは在校生様ホームページで、PDFの、課題からノートに、本日からはとうとうオンライン課題。
初日の記念すべき課題は公園のベンチ問題。
初ロイロの提出から、入力や手書きにチャレンジし、自分の考えをアウトプットした素晴らしい提出物に本日もたくさん出会えました。
子どもたちって、考えているんです。一人ひとりの考え、違ってもいいなぁと、課題に対してチャレンジする姿勢、小さな子どもたちかもしれませんが、侮れません。刺激になりますね。大人もアフターコロナに向けて!と改めて思えました。

★小学校4年生は、本当にデジタルネイティブで、たまたま私も小学校4年生と5年生の思考力講座をZOOMでやっていたところなので、梅下先生と情報交換・共有させていただいていたのです。

★「公園のベンチ問題」は、著作権の問題もあるので、ここでご紹介できませんが、ビジネスマンの頭を柔らかくするために書かれている論理思考問題の1つだと思います。

★でも、小学校4年生は自分の頭で考えて取り組んだようですね。

★もともと、普段から梅下先生は、グーグルクラスルームとロイロノートを活用して授業を行っていますから、生徒はリアル空間でありながらサイバー空間にもいるというハイブリッド時空に慣れています。

★今年からは4年生も担当されるということで、いきなり今まで行ってきた高学年のハイブリッド時空のオンライン授業をやったら、さすがはデジタルネイティブできてしまったということですね。

★ある意味、今はハイブリッド時空ではなく、完全にサイバー時空なので、授業の時間の制約がない分、じっくり考えるという思索の時間をとることができるのでしょう。思考問題を毎回投げていくようです。

★知識がないから考えられないという感じではなく、考えながら知識を調べたり紡いだりしているということのようです。

★このことは、中高だとなかなか理解が難しいのですが、小学校では腑に落ちやすいのです。

★なぜかというと、体験を重視しているノートルダムですから、生徒は体験を通して気づきが多く、そこから知識を発見して憶えていくわけです。

★梅下先生のメールを読んで気づいたことは、思考も小学生にとっては≪体験≫だということです。リアルな時空での体験と思考体験の次元の違いはありますが、≪体験≫から≪知識≫や≪法則≫を見出し、未知の≪体験≫に適用して、ズレていたら、修正していく新たな≪体験≫をしていくという螺旋的な学びをくり返していくわけです。

★まったく、これはピアジェの学習理論そのものです。

★これが、中高になると、リアルな時空での体験よりも、テキストやデータなどの二次的な体験から出発することが多いので、いつのまにか体験から知識が生まれてくることを忘れ、テキストやデータを憶えたり理解したりするところから出発せざるを得ないので、思考にはまず知識が大切だという話になるのでしょう。

★この思考しながらあとから知識が連鎖してくるという発想は、中高だけの環境にいる教師にはなかなか理解が難しいようです。

★しかし、ノートルダムは小学校と中高の教師の連携も生まれ始めているので、根源的な知や感情の話になります。

★困難に直面しそれを超える時、真理という根源に立ち還ることが自由の翼をえることだというマインドは、聖書の想いですから、カトリック学校はそこに素直に降りていくことができるのでしょう。

★梅下先生を始め、ノートルダムの先生方は外のセミナーやシンポジウムで学んでもいます。開かれた知的好奇心。これも徳と知という同校の理念と結びつくことなのでしょう。

参考)→「ベン図で比べる魚の違い&「ふりこ」の綱渡り 梅下博道先生(ノートルダム学院小学校)
[ロイロ超スクールをのぞいてみよう!] #シンキングツールの授業実践事例」

ロイロノート・スクールの主催の「勉強会」で梅下先生が発表した記事です。ぜひご覧ください。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(52)ノートルダム学院小学校のオンライン≪Transform lives, transform the world≫を体現②

ノートルダム学院小学校のサイトを開くと、各学年の担任の先生及び担任団が、実際に会って授業ができない辛さとにもかかわらず前に進む希望の光を自らともしながらオンライン学習をデザインしている姿勢が伝わってきます。

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(写真は同校サイトから)

★それにしても驚異的なのは、小学校2年生や小学校3年生に対してもリモート学習にチャンレンジしていることです。同校は体験を大切にする学びも行っています。それは多くの小学校でも状況は同じでしょう。それゆえ、オンライン学習は小学校ではなかなか難しいし、まして低学年はもっと難しいだろうと思っていました。

★ところが、小学校3年生の担任浜田先生は、サイトにこう記しています。

 ノートルダムでは、先週から子ども達には、ご家庭のご理解とご協力を得ながら、
ロイロノート、グーグルクラスルームなどで双方向性の授業の準備をしています。
私も これまで、全く知らなかったツールを使って他の先生方のアドバイスをいただきながら、
なんとか学年で課題を発信しています。

そして、課題について、子どもたちの手でかかれたことばや絵がとどくと、

まずは、どんなことをかいたのかなとわくわくしてひらいています。
距離はあっても、子どもたちの存在や個性がいきいきと伝わってきて、つながっている嬉しさをかんじます。
もちろん、一日も早く、元の平穏な子どもたちの顔をみて話ができる日が戻ってくることを祈りつつ、
しばらくは、ICTで子どもたちとつながり、学習指導していけるように邁進していきたいと思います。

★ICTを通して、子どもたちの存在や個性がいきいきと伝わり、つながっている喜びをうけとめています。もちろん、実際に会える日が戻ってくることを祈っているわけです。この挑戦と祈りの気持ちがあふれでているのが、ノートルダムのオンライン学習なのでしょう。

★小学校2年生の担任団は、こうサイトに記しています。

 先週より2年生の子ども達は、ロイロノートの学習を始めました。
早速子ども達は、お家での様子を絵日記にかくチャレンジをしました。
絵を描いたり、文字を打ったり、描いたものを写真を撮ったり、工夫して表現してくれました。
日頃使っている鉛筆や色鉛筆、絵の具やペンで描くのとは違って、とても難しかったと思います。
一つの表現方法として活用していけるようにどんどん練習していきます。

★ノートルダム教育修道女会の創設者マリア・テレジア・ゲルハルティンガーは、当時としては最先端の技術を女子の教育にどんどん取り入れていきました。生徒たちは「目が覚めるような経験」をしたのだと語っていたそうです。

★ノートルダム学院の小学校2年生も、絵を描くとき、色鉛筆や筆で描くだけではなく、タブレットという新しい道具を使うわけです。そのチャレンジは、まさに「目が覚めるような経験」でしょう。これがノートルダム学院の気概ですが、それにしても小学校2年生とは、驚きです。

★しかし、これができるのは、リアルな時空での体験を大切している学びの自信と必ず再開できるという祈る気持ちがあるからこそできるのでしょう。(つづく)

 

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(51)ノートルダム学院小学校のオンライン≪Transform lives, transform the world≫を体現①

★ノートルダム学院小学校が、オンライン授業を実施しています。最近の文科省の調査によると、オンライン対面指導を行っている学校は、全国小中高25,000校の5%だそうです。その中でも小学校はオンライン授業を行うのはなかなか困難でしょう。ですから、ノートダム学院の小学校の挑戦は、日本の初等教育の希望のランターンになるでしょう。

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★同校のサイトを開けば、トップページに「人が変われば、世界が変わる」というメッセージが流れています。ノートルダム教育修道女会の創設者マザーテレジア・ゲルハルティンガーの言葉です。英語だと≪Transform lives, transform the world≫となっています。≪TRANSFORM≫という言葉は、OECDのFUTURE EDUCATION2030の構想のキーワードでもあるし、数学や言語の根源的な思考スキルです。

★要するに、人間の根源的な存在を生成する能力なのでしょう。ノートルダムの先生方は、このTRANSFORMを胸に、日々PBL型授業をはじめ、グローバル教育やICT教育を開発してきました。そして、それがこの不測の事態に直面し、それらを一気呵成に<オンライン授業>にTRANSFORMしたのです。

★MINDとMECANIZMとMANAGEMNTの日ごろの三位一体がモノを言っている感じがします。

★それにしても、マザーテレジア・ゲルハルティンガーが生きた時代というのは、革命と戦争にヨーロッパ中が巻き込まれていました。マザーが幼少期に、目の前が火の海だったぐらいですから、命の危機と重要性を身をもって感じていたに違いありません。そして、実は1820年から1830年くらいまでは、アジア、アフリカからヨーロッパにコレラの感染が拡大していた時代です。

★あの哲学者ヘーゲルもベルリンでコレラによって亡くなっています。

★歴史は繰り返すではないですが、実はゲルハルティンガーが修道女会を拡大し、日本にまで到達したのは、この戦争と感染症などの世界リスクから子供たちの命を教育の力によって守るために活動してきた結果だからなのです。

★ですから、今、ノートルダム学院小学校、そしてノートルダム女学院中学校高等学校が、オンライン授業へと変容≪TRANSFORM≫するのはミッションでもあるわけです。

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2020年4月22日 (水)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(50)工学院のオンラインは教育の枠組みを超え始める <顔>を感じるというコトへ

「工学院のオンライン③」が同校サイトにアップされました。オンライン授業を行って2週間目になりますが、その様子を丁寧に記述している教師の<顔>がここいは確かにあります。しかし、それはもちろん見えないのです。でもあるのを感じます。

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★<顔>問題にダイレクトに触れる論考になっているのが、凄いなあと。オンライン学習は、ある意味あらゆるものを越境していきます。たんなる教科横断なんてことはもはや問題でないくらいあらゆる領域を軽々と超えていきます。そんなことを感じさせるカジュアルだけれど深い論考になっています。

★ZOOMなどのオンライン授業は実は<顔>問題を私たちに提出しています。哲学者レヴィナスは、自分の顔を自分で見ることはできない。自分の顔を見るには他者との対話が大切だという話なのですが、そのときの<顔>とは何を意味しているのか?<自分>とか<他者>ㇳは何を意味しているのか?そもそも<対話>とは何を意味しているのか?

★そういう哲学的な問題を突き付けられますね。

★それから、ZOOMでは、自分の顔を出して話さないようにとか、顔を出さないで参加してもよいとかいう話題が頻繁に起こります。心理学的な繊細な問題がここには横たわっているのでしょう。リアルな時空で視線を合わせながらとか言われていることとは、真逆の話が語れれているわけです。いったいこれはどういうことでしょう。工学院でも2週間かけて、そこの判断は生徒が自らしていくようにゆったりしています。

★このときの生徒の選択判断のメカニズムとは何でしょう?

★また、リアルな時空の時よりも、きっちりデータが1人ひとりでてきますから、ある意味それは一望監視装置=パノプティコンだし、個人の提出物をみんなで一気に共有できてしまうわけですから、多くの人による少数者の監視=シンプティコンという社会学的あるいはメディア論的な問題も提出されます。

★この、ギリシャ哲学以来何千年もかけて議論されてきた専門家たちによる問題を、オンライン授業を共につくる教師と生徒が実践的にクリアしていくという歴史的事件が記述されているのです。

★どうクリアしていくのかは、共感的コミュニケーションやコンパッションを共有する人間関係の結びつきによって行っているのですが、そんなことは、そう簡単にはできません。

★おそらく教育の枠組みでは、このような話は個人的な教師の内面的な悩みとして見過ごされてしまいます。ですが、工学院はその枠組みを超えて語り合う場をつくる共感的なメンターチームが存在するということでしょう。

★共感的メンターチームのマインド×メカニズム×マネジメントという<顔>というか<柔らかい聡明で優しい表情>がオンライン体制を包み込んでいますね。

★この3Mについて、次回から少しずつ考察していきたいと思います。とにも凄いことがここでは起きています。それを注目するのは、本当は大学の先生やメディアの方々の応援を頼みたいのですが、自分が何をやったかを語る人が多すぎて、というよりそれが仕事なのだからしかたがないのですが、この工学院の論考を書かれている先生(いったい誰なのかは今度調べてみます)のように、他者の実践を見守る眼差しで書くことはなかなかないのです。その先生の<顔>はすてきですよね!きっと。

★とにも、私なりに気づいたことを引き続きメモしていきたいと思います。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(49)新渡戸文化学園のオンライン授業 Happiness Creatorの拠点

★新渡戸文化学園のオンライン授業が半端ない。その授業の中の1つオープンクロスカリキュラムの授業に参加させていただきましたが、従来型のリアルな授業と新渡戸文化学園のオンライン授業の違いが一目瞭然でした。一目瞭然というより、一身瞭然、いや一心瞭然という感じでしょうか。

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★参加者は中1~中3までの生徒と先生と外部の大人でした。100名を優に超えていました。大人と言っても、場所も国内外様々だし、それゆえ背負う文化も多様でした。専門領域や仕事も違います。まったく、フラットだし、フリーで、フェアーな関係でした。

★1989年ベルリンの壁が崩れたときに同時にWWWが開発されました。それから、情報革命はしばらくたちます。3Fだなんて言われてきましたが、グローバリゼーションは決して3Fではありませんでしたよね。それはいまここで生きている私たちは身を持ってい知っています。痛いほど知っているでしょう。なんといっても今私たちがその困難な真っ只中にいるのですから。

★それが、90分という、歴史から見れば、一瞬ですが、3Fの世界が開かれていたのです。永遠の瞬間でした。

★ZOOMやPPT、ロイロなどのアプリが自在に活用されていました。ホストは、統括校長補佐の山本先生でしたが、安心安全なコミュニケーションや共感的なサイバー時空を形成することに専念していました。そのための<ことば>を浸透させるだけで、ハッピーな未来を、いまここで互いの困り事を対話しながら、化学反応がおきればよいという感じでした。そして気づきが溢れるとすてきだよなあという雰囲気で対話授業は進んでいきました。

★ブレイクアウトで2回のセッションが実施されました。最初は生徒2人大人2人、2回目は生徒1人大人1人でした。共同ホストの小林先生が10秒くらい降りてきたりもしていましたね。まさに予測不能な時代です(笑)。

★互いに自己紹介したりして、質疑応答の対話がありました。コミュニケーションはなかなか苦手なんだよねとみんなでいきなり弱みをみせるところから始まりました。自然とそうなるようになっていたのかどうかわかりませんが、そう言いながら、みな対話は自然体だったと思います。

★個人的な話がほとんどだったので、具体的には話せませんが、それぞれの困難は「ジレンマ」でした。「もどかしさ」と言ってもいいかもしれません。「もどかしさ」あるいは「ジレンマ」はただし、見方を変えると、乗り越える勇気がでてくる問題でもありました。

★解決を急がず、自分をぐるぐる見回して、あっ!自分では自分の顔を見ることができないので、オンラインという本当に自分の顔が見えてしまう対話の鏡を通して(それゆえ怖いので、山本先生は安心安全を気遣ったのでしょう)、考え方を変えたり、これでよかったんだと腑に落ちたら、先に進む勇気が生まれます。そこから出発する未来は、おのずとハッピーになるでしょう。

★同校では、今年から個別最適化の授業とクロスカリキュラムとチャレンジベースなPBL授業が行きつ戻りつするシステムとしての学びの構想があるそうです。3Cと呼ばれているようですが、その先には、Happiness Creatorになる未来が開かれているというわけです。

★4番目のCはまさにCreativityなわけですね。

★ともあれ、3Fですから、今目の前の小さな出来事が遠くの未来まで育つかどうかわからないけれど、がんばればなんとかなるかもしれないという脅されて刻苦勉励してきた授業とは違います。そんな時間的なラインはいとも簡単に越境してしまいます。まさにクロスカリキュラムですね。

★いまここでの想いがそのまま実現するにはどうしたらよいのか体験者のデフォルトを借りて、一気にワープしてしまえるワクワク感とドキドキ感でいっぱいの瞬間でした。

★世の中、そんな簡単じゃない、もっと苦労しろ、という声があってもよいですが、それがすべてではなく、一つの価値観にすぎません。それなのに、その価値観が支配してきたのだが、問題だったのだと改めて気づきました。

★もちろん、想っただけで、困り事がハッピーにすぐに転換はしないのは、生徒も百も承知ですよ。試行錯誤や模索は続くでしょう。しかし、それは刻苦勉励ではなく<Hard Fun>の道のりでしょう。

★そんな拠点が新渡戸文化学園にできつつあります。これだけのオンライン授業がスムーズにいって凄いように見えますが、それはもちろん、山本先生のホスト役が素晴らしいとともに、この授業を運営する<ラーニングデザインチーム>のバックヤードの働きの熱量がすごいということは言うまでもないでしょう。

★PassionとPlayfulとPreciseの三位一体が見事な教師が集結しているということでしょう。そういう人材が集まる魅力が新渡戸文化学園には生まれていると感じました。参加させていいただき、ありがとうございました。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(6)オンライン対面指導5%の重要性

★本日のNHKのニュース「休校中の学習支援 自治体で格差 オンライン対面指導は5%のみ(2020年4月22日 5時42分教育)」にこう記述されています。

<新型コロナウイルスの感染拡大で多くの学校が休校となる中、オンラインによる対面指導などを取り入れている自治体は全国で5%にとどまるなど、学習支援の取り組みに大きな差があることが分かりました。専門家は「学びの確保は喫緊の課題で、教育現場は一歩踏み出す必要がある」と指摘しています。>

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★Webや放送などの通信インフラを活用するのか紙媒体の教材だけ活用するのかを文科省は調べたようです。そして、Webや放送を活用する学びの中でも、オンライン授業のような対面型の指導は、25,000校の5%だったということです。

★上記のように表にしていみるとたしかに格差があり、問題だという考え方もあります。ソサイエティ5.0やスーマートシティやコンパクトシティに向かっている中、オンライン授業ができるだけ浸透することは望ましいのかもしれません。

★しかし、当面AIサイボーグ社会にはならないでしょうから、リアル時空とサイバー時空のハイブリッド時空で学びを形成していくことはいかにして可能かという挑戦だと考えれば、全体の68%は、とにかくWebなどの通信インフラを活用した何らかの学習支援をしているのだから、この動きは確実に未来に向かっていると考える方が自然でしょう。

★でも、いまここの格差はどうしてくれるんだといわれるかもしれません。それは、しかし、もし32%の生徒がWebの環境がないならば、そこはすぐに環境を整えればよいだけです。自治体は動こうと思えば動けるはずです。熊本県のような事例もあります。

★しかし、学校がその環境になければどうするんだといわれるかもしれませんが、生徒1人ひとりがWebにつながる環境ができれば、自分の学校でなくても、緊急事態なのですから、実施している学校のリモート学習(紙媒体の教材だけの学習を除く、学習課題配信からオンライン授業まで含めて)に参加できるように自治体が解放すればよいだけです。

★それにしても5%「のみ」とはちょっとNHKらしくないですね。何かオンライン授業に高い価値をおいているみたいではないですか。5%とというのは、ざっくり計算して、40万人くらいの生徒がオンライン授業を受けているのだと思います。

★京都市の人口が150万人くらいです。この40万人の生徒は、一つの都市を活性化するに十分に力があるでしょう。

★リモート学習に広げれば、500万人の生徒はその環境下にあります。フィンランドの全人口ぐらいの生徒がリモート学習を体験することになります。

★日本の教育のこの動きの理想と現実のギャップを早急に埋めることは、本当はそんなに難しいことではないかもしれません。リモート学習は地域を越境しますから、ものすごい力になります。国や自治体がいろいろな規制を外せばすぐにいろいろなことができるでしょう。

★そういう意味では、オンライン対面指導5%というファーストペンギンの希望の力は凄まじいと思います。

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2020年4月21日 (火)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(48)和洋九段女子 オンライン授業で創造性を生み出す!

★4月13日から<オンライン授業>を開始した和洋九段女子。はじめは、先生方は学校からオンライン授業を配信していましたが、デバイスやアプリの動作確認ができるや、2日後には、テレワークになっています。驚いたことに中1から早くも始まっています。

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(写真は同校サイトから)

★他校では、中1はデバイスの準備やオリエンテーションがなされていないため、かなりゆったりと進みます。しかし、一方で、入学したばかりなので、生徒も保護者も不安になりますが、同校はタブレット型PCをかなり早い段階で配布ができていました。

★それから、同校独自の思考コードであるルーブリックが出来上がっていて、学内で共有されているために、教師全員で、生徒の発達段階に応じた授業がデザインできます。<オンライン授業>もそのコンセプトに従ってデザインされますから、過去の経験を生かして、オンライン上で生徒と対話しながら、軌道修正してくのは、リアル時空におけるPBLでもサイバー時空におけるPBLでも同じなのでしょう。

★ZOOMとグーグルのG Suiteの多機能、たとえばJambordのようなサイバーホワイトボードを活用してサイバーPBL授業を行うことが可能なのです。

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★上記は高1の水野先生のオンライン授業の一部のスクリーンショット(写真は同校サイトから)ですが、序破急の奥義でオンライン授業が進められているのが推察できます。

★農業革命の歴史を、サイバー上でKJ法でやっていくのでしょう。ブレイクアウトルームでチームディスカッションが行われているといいます。狩猟→農業→産業→情報→afterコロナ→・・・という一連の革命がおこる共通のメカニズムを対話しながら考えていくわけです。

★もちろん、高1のこの時期ですから、このイノベーションの革命史の1つひとつの知識はまだこれからでしょう。あくまで、農業革命という一時期に限定された授業なのでしょうが、この限定を創造性を生み出す枠にするのが水野先生のPBL型授業の特徴です。

★その都度、生徒は枠をはみ出したり壊す体験を協働していくのです。この協働体験こそ創発体験なのですが、これは生徒とルーブリックを共有しているからこそできることでもあります。PPTの中に(B2)という表記がさりげなくありますが、これがルーブリックのコードです。

★生徒は、しかし、このルーブリックを明快に認識が出来ているわけではもちろんありません。あくまで、6年間通して自分なりに理解を深めていくのです。自分の学ぶ姿勢やモチベーションや知性をか鏡に映してリフレクションするのが主たるねらいなのでしょう。

★和洋九段女子のホームページは、日日のオンライン授業の様子がアップされています。優しい眼差しで記述されています。この眼差しが大切なのです。ともあれ、実はもともとICTはプロジェクトベースの活動を支援するツールなので、PBLを日ごろ行っている学校の先生方は、スムーズに授業を展開できます。

★一方通行型の授業をオンラインでやろうとすると、動画を撮って流すのと何ら変わらないので、教師は自分の存在意義に不安を感じざるを得なくなります。

★これも和洋九段女子がマス授業ではなく少人数のラウンドテーブル授業ができる環境を創っているからできるということもあるでしょう。afterコロナの時代は、どんどん1人ひとりにとって幸せな環境が整い、そのうえで互いに協働していく、自律分散協働系ができていく期待がもてます。

★一方で同調抑圧共同系のリスクも当然あります。それがイノベーション革命史で繰り返されてきたことでもあります。19世紀末のウィリアム・モリスとエドワード・ベラミーの議論は、これからも続きます。この議論は、なぜか東大の帰国生入試で扱われています。一般入試ではそういうテーマはでないのに、なぜか帰国生入試では出題されるのです。

★そんな東大のデストピアとユートピアのカップリングされた世界とはまた一味違うのが和洋九段女子なのでしょう。このユートピアとデストピアの議論の突破口を生徒といっしょに考え創っていくのでしょう。そんなイメージが同校サイトの記事から思い浮かびました。生徒が明るく賢くコンパッションのマインドで創造的思考を開いていく学びの場に希望を感じました。

★どうやら、<オンライン授業>をやるにしても、PBLかそうでないかは、かなり生徒の成長に違いがでてくるということでしょう。デストピアを生み出すか新しい世界を生み出すかという大きな違いが。

★リアルな時空での議論は、デストピアかユートピアかの議論に決着をつけられなかったのですが、サイバー時空とのハイブリッド時空で学ぶことによって、デストピアとユートピアの表裏一体の議論、つまりつねにダブルバインド状況に陥っていたエッジを乗り越えることができるのかもしれないということです。その飛躍の局面に、和洋九段女子はいると思います。

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2020年4月20日 (月)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(47)工学院のオンライン学習の組織創りがすばらしい

★工学院大学附属のエッジの利いたそれでいて豊かな先進的教育は、どんなにすばらしくても、同じ東京であっても都心から遠く、地理的条件はよくないと言われてきました。中学受験人口が都心に比べて少ないからということでしょう。もし、工学院が都心にあれば、三田国際同様大人気校だったに違いないと言われる程に先進的教育を実施しているのです。

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(日々五アップデート進化する工学院のオンライン学習。)

★ところが、今回の新型コロナウィルス感染防止のための一斉休校の状態が、地理的条件を無化しました。サイバー上ではまったく地理的条件の違いは有利にも不利にも働きません。

★むしろ、ICTを活用した学習組織の質の高さや機動力が重要になってきます。その観点からすれば、工学院は世界の名門校であるイートンカレッジやチョートスクールに肩を並べてしまいます。何せリアルな時空の制約がないのですから。

★現状国内ではどこでも、ZOOMやグーグルクラスルームなどのアプリやプラットフォームの使い方が喫緊の課題であり、学校全体でオンライン学習の価値を生み出すところまで手が回っていません。すなわち、通常のリアル時空と変わらないむしろまた別の質を維持できるように動く組織作りまで手が回らわないというのが現状でしょう。

★ところが、イートンカレッジやチョートースクールなど英米の名門プレップスクール校の動きは、まず組織創りと情報の公開共有がなされて進んでいるのです。その動きと工学院はシンクロしています。

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★上記の図のように、真ん中の教師は生徒とインタフェース越しでオンライン授業を行っていくのですが、それはいわば、生徒と共にこの困難な事態を共に引き受けコンパッションリーダーシップを発揮できる勇敢な教師の姿です。

★しかしながら、これができるのは、教師同士の相互サポート体制=学習する組織がしっかりできているからなのです。工学院はこの有機的な共感的な学習する組織をしっかりと構築しながらオンライン学習を進めているのです。

★広報チ―ムは、公開許攸情報を流します。これによって、生徒も保護者も自分たちが困難の状況の中でどこにいるのかどこに向かおうとしているのか知ることができます。もちろん、オンライン学年集会や保護者面談が行われますから、心のケアも万全です。

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★重要な点は、この心のケアも担当の教師が1人奮闘するのではなく、オンライン授業終了後、オンライン学年ミーティングを行いますから、そこで、情報交換・共有をしていきます。ふだんなら、キャンパス内を歩いて気づくこともありますが、サイバー上では、先生方が積極的に情報を獲得しようと動かなければ見逃すところもあるでしょう。

★このようなケアフルなシステムは、欧米では日本よりもシステマチックですが、工学院はその破格のグローバル教育によって海外の学校との交流も分厚いので、同じように動くようになっているのです。

★それから、テキストや教材やカリキュラムは教務のオンラインミーティングが頻繁です。

★また、世界リスクの情報とかICTの活用で困ったことがあれば、すぐにサポートできるチームもできています。

★生徒同士のオンラインコミュニケーションも盛んで、プロジェクトも進んでいます。

★様々なデバイスやアプリ、プラットフォームを活用していますが、グーグルクラスルームのフォームを活用したアンケート集計システムの活用の仕方は極めて巧みです。そして、思考コードの共有が予想以上に効いています。

★というのも、ミニテスト、記述解答、メンタル&ボディケア情報などを集計してスプレッドシートでデータ化しながら、評価をするときに思考コードはコンパスになっているでしょう。生徒がプロジェクトで活用するまでになっているのは驚きです。

★デジタルデータに基づきながら共感的コミュニケーションをマネジメントしていけるコンパッションリーダーが教師からも生徒からも生まれいるのが工学院の今の姿でしょう。

★おそらく、平常に戻っても、このオンライン学習の成果は継続されるでしょう。遠くの生徒は、必要な時にキャンパスに訪れ、そうでないときは自宅から参加できるからです。まさにハイブリッド時空キャンパスになるのでしょう。

★ソーシャル・ディスタンスがより質の高いコミュニケーションを生んでいるというパラドクスが生まれているのが工学院というわけでしょう。もちろん、こうなるにはスパーコンパッションリーダーの存在が欠かせません。柔らかくそれでいてやり抜く気概の持ち主。工学院の場合は、それも一人ではないのです。スーパーコンパッションリーダーもチームという塊で存在しているし、拡大しているのです。いずれそこは紹介しましょう。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(46)田園調布雙葉もオンライン授業を実施。

★田園調布雙葉学園も<オンライン授業>を開始しています。

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★まだまだ多くの学校で学習課題の郵送・配信を通して、臨時休業中の学びを実施している中で、双方向的な<オンライン授業>に挑戦しているのは、この事態が長引く可能性が大きいことを考えれば、世界リスクに対応する覚悟を感じます。

★そして、何よりすてきなのは、同校の先生の<オンライン授業>のデザインー実践ーリファインというブラッシュアップを日夜行い、授業のフローチャートを日々アップデートする構えと行動力です。

★何より学校を越境してSNSの教師仲間とその情報を共有している動きは、ポスト・コロナショック時代の新しい展開に合流し、そのウネリを大きな希望とすることに貢献するでしょう。

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2020年4月19日 (日)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(45)八雲学園 ラウンドスクエアと共に教育出動。

★八雲学園も授業動画配信を開始しています。まだ詳しい生徒の状況については聞いていませんが、同校のことですから、ふだんから行われているチュータリングがベースに動いていることは推測に難くありません。

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★そして、もう一つ興味深いのは、同校が加盟しているラウンドスクエア(RS:Round Square)と共に動いているオンライン学習です。RSは、世界50各国200校の私立学校が加盟しています。今回のパンデミックは、すべての加盟校に共通して降りかかっていることですから、加盟校に対しオンライン学習/リモート学習のサポートをしています。

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★RSは下記写真にあるように6つの精神を共有しています。

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★したがって、6つのそれぞれの理念についてBig Questionを提示して、それについて論文を書くメッセージを出しています。たんに問題を出すだけではなく、各加盟校の教師がオンライン学習やリモート学習で活用できるような素材や動画を準備しています。私は会員のアカウントを持っていないので、入れませんが、IBのTOKや、特に体験を重視する米国のプレップスクールのSignature Programのリモート学習と重なるところが多いと推察します。

★6つのBig Questionは次の通りです。( )内の私の訳は適切かどうかはわかりませんので、ご自身の訳を優先してください。あくまで、参考程度です。

〇In the Spirit of Internationalism, can we promote greater international understanding through exploring and sharing our cultural influences?

(国際主義の精神において、私たちは、文化的影響を探求かつ共有することを通して、より大きな国際的な認識をさらに有することができますか?)

〇In the Spirit of Democracy, do you consider free speech to be a help or a hindrance in times of adversity?

(民主主義の精神において、言論の自由は、逆境の時代において助けとなるますか?それとも妨害となると思いますか?)

〇In the spirit of Environmentalism, what impact does changing our behaviour in response to global challenges have on the environment?

(環境を大切にする精神に関してですが、地球規模の課題解決の挑戦として私たちの行動を変えることは、環境にどのようなインパクトを与えますか?)

〇In the spirit of Adventure, can you determine and describe what adventure means to you?

(冒険の精神についてですが、あなたにとって冒険の意味について決定し、説明できますか?)

〇In the spirit of Leadership, what do you think makes an effective leader during times of global adversity?

(リーダーシップの精神において、地球規模の逆境の時に効果的なリーダーはどうすれば生まれると思いますか?)

〇In the spirit of Service, in what ways can communities pull together in times of adversity?

(奉仕の精神に関連する問いですが、逆境の時にどんな方法でコミュニティを共につくっていくことができますか?)

★この6つのBig Questionすべてに挑戦してレポートを完了してRSに提出すると、「2020 Round Squareチャレンジ完了証明書」が送られるということです。RSのメンバー校はみなチャレンジしなくてはなりません。強制ではなく、この逆境において、RSの理念を自分事にしながら共有するコンパッションの精神を発揮する相互貢献をしていかんくてはならないからです。

★八雲学園のオンライン学習は、かくして世界につながる学習として新たな展開をしていくのです。凄すぎます。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(44)オンライン学校説明会で中学入試が変わる。佼成女子、聖学院、桐朋女子の動きがヒントか?「共感型入試」がスタートするかもしれない。

★昨日18日、佼成学園女子は、中学入試のオンライン学校説明会を行いました。すでに、第一弾としてメール個別相談は実施したようです。また、同校は13日からオンライン授業も開始しています。そのようなそれぞれの教育活動が有機的に結びついてアドミッションポリシーの局面、カリキュラムポリシーの局面が立体的に構成されています。

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★来週の25日は、聖学院がオンライン学校説明会を行います。やはり、オンライン学習を進めています。オンライン説明会もすぐにできてしまう体制が整っています。

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★おそらく、この動きは加速するでしょう。そして、恐ろしいことに、東京と神奈川の中学入試は、実質2月1日より前に決着がつくことになります。

★今まで、この両エリアは、入試は2月1日から開始するというのが紳士協定で決まっていたわけで、ずっとその慣習は継続していたのです。これは、もちろん今後も続きます。しかし、すでに帰国生入試は、11月くらいから始まっています。帰国生の学校の環境に合わせてそのような特例が認められてきたわけです。

★つまり、帰国生と一般生ではリアルス時空での相違があって、それが認められていたわけです。したがって、この差異を巧みに活用した学校が人気を獲得したという事実は否めません。

★そして、今回はオンライン学校説明会という、サイバー時空を活用できるようになるわけです。ということは、20名くらいのオンライン学校説明会を毎日のように行っていけば、よいわけですし、オンライン思考力セミナーもできてしまうわけです。

★応募者人数が少ないところだと、この動きがすぐにできてしまいます。

★入試自体は2月1日以降ですが、その間にオンライン学習面談などして、ルーブリックに合わせて、各領域はこのくらいクリアにしてくださいね。もし達していなければ、たとえば、知識の領域は、このテキストをやっておいてくださいねと。そして、そのテキストから確認のテストをグーグルフォームでしてしまい。成績をポートフォリオとして学校側は蓄積できます。

★知識理解領域に対して努力することができるとか、ここまでは理解しているということが、2月1日前に了解できます。あとは、書類を出して、2月1日に口頭試問を10分やればいいのです。ミネルバ大学方式でやれば、思考力入試がこれできてしまいます。

★知識理解領域の達成度やそれが仮に足りなくても努力度がわかります。書類では、基本SFCのAO入試のようなものだと、かなり生徒の才能や個性や生き様がわかります。未来も共有できます。そして、口頭試問では、クリティカルシンキングやクリエイティブシンキングの素養や何に好奇心を持っているのかがわかります。つまり、「選抜型入試」ではなく、「共感型入試」の誕生ということです。

★入試時間も、午前から夜まで、受験生の都合のよい時間に合わせられます。なぜなら、オンライン入試だからです。

★このオンライン入試について、どのように準備するかは、各学校がたとえば、桐朋女子の口頭試問のようなセミナーを開始することで可能です。

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★このような準備が、今回のオンライン学習をする学校は準備ができてしまいます。

★かくして、オンライン学校説明会―オンライン中学入試―オンライン学習のラインナップが出来上がるのは時間の問題でしょう。こうなってくると、新タイプ入試が爆発的に拡大しますね。しかも知識理解と論理的・批判的・創造的思考力まで総合的にトレーニングする場が中学入試市場で生まれるわけです。新しい局面ですね。

★もちろん、リアル学校説明会―リアル中学入試ーリアル学習のラインナップも存続します。

★ですから、ハイブリッド学校説明会―ハイブリッド中学入試―ハイブリッド学習というシナジー効果を生みだす私立中高一貫校の新しい学びのシステムが生まれるでしょう。

★ところで、ディプロマポリシーの領域である大学入試はどうなるのか。おのずと、AO入試が前面にでてくるでしょう。中学入試と同じように動くでしょう。学校の成績とかは気にする必要はもうないのです。

★オンラインAO入試ですから、必要なものは、グーグルフォームのアンケート機能で簡単に収集できます。ルーブリックで学部学科によってその偏りの判断は任されるわけです。

★差が付くのは、中高時代のSignature ProgramのようなSプログラムで、どんな探究を行ってきたか、それが研究にどう結びついて、世界貢献できるのかというところになります。

★オンライン口頭試問でいけます。ミネルバ大学形式ですね。もはや大学入学共通テストは不要ということになります。

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2020年4月18日 (土)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(43)チョート・ローズマリー・ホールのオンライン学習を通して日本のオンライン学習が注目を浴びる逆説的な転回。 工学院や聖学院の重要性高まるワケ。

★米国の超名門校ザ・10スクールにチョート・ローズ-マリー・ホールがあります。開成や成蹊が交流している超名門プレップスクールです。ボーディングスクール(寮制学校)ということもあり、年間学費は500万円くらいかかります。開成や慶応など高いですけれど、その5倍くらいの学費ですね。OBにケネディー大統領がいます。

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(図は、チョート・ローズマリー・ホールのサイトから)

★平均クラスサイズが12名ですから、あの有名なラウンドテーブルを囲んだソクラティックメソッドが有名な学習スタイルです。

★英米の有名私立学校と同じように、チョートスクールも、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、休校になっているわけですが、当然オンライン学習を行っていると、しっかりサイトで発信しています。ここまでの発信をどうして開成とかしないのでしょうか?工学院とか聖学院は発信しているのに。

★しかし、それはどうやら理由があります。開成などの御三家は、英米の名門校と比べて、学費が違いすぎますから、効率よく生徒の才能を東大に進学させて伸ばすという一石多鳥戦略でカリキュラムを組んでいます。それに寮制学校ではないので、それほどリモート学習をする必要もないのです。

★どういうことかというと、イートンカレッジもケイトスクールも、チョートスクールも、世界中から生徒が集まっていますから、オンライン学習は本当の意味でリモート学習でなければなりません。時差があるから、同期(リアルタイム)学習ができないことの方が多いでしょう。特に米国では、国内と言えども、たとえば西部と東部で時差があるわけです。

★日本国内では、オンライン授業と遠隔授業の違いは何だとか、実態は同じなのに、名づけにこだわる議論は多いですね。こういうと、実態だって違うとかやたらコンテンツの具体的な差異について突っ込みを入れてくる方もいますが、もっとざっくり時空の違いなんですよというのが世界標準の考え方でしょう。

★問題はしかしながら、オンライン学習やリモート学習をやっていくと、このリアル時空とサイバー時空がハイブリッド時空になっていき、この新しい学びの時空を基準にカリキュラムを考えていくと、学費の高い英米の名門スクールの教育の質に追いつくし、超えてしまうかもしれないという動きが今回日本の私立学校で起きているということなのです。端的には、工学院と聖学院が先鋭的です。他の学校もやっているかもしれないけれど、両校のように発信していないという点で、先鋭的ではないのです。

★英米の名門校だって、グループウェア―で学内だけで情報を共有すればよいのに、きっちり発信するわけです。それは危機の状況にあって、リソースを共有しようというコンパッションが働いているからです。社会貢献の姿勢ですよ。ただ、たんにそれを宣伝という意味で広報活動をとらえて、控えめが美徳だとか、この際だから宣伝しようというゆがんだ広報活動のイメージをもちすぎということで、世界標準ではないということです。

★ともあれ、御三家は、控えめにそんな効率の悪いことはしなくてよいと考えるし、工学院や聖学院はICT教育は限界費用ゼロ社会を持ち込むので、むしろ効率がいいんだという話になります。

★それで、何が起こるのかと言うと、英米の名門校が、一般的なアカデミック(教科学習のこと)だけではなく、スペシャルな専門的なプログラムを本格的に導入しているのですが、開成や御三家は、それはやらないのです。ところが工学院や聖学院はそれをちゃんとやるんですね。

★スぺシャルな専門的なプログラムとはIBやAレベル、APコースのことかというと、それはまだアカデミックな学びの延長なので、共通点もありますが、まだまだです。

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(チョートスクールのsignature programの選択肢。同校サイトから)

★チョートスクールなど米国の私立学校は、一般的なアカデミックな学習と私立学校の精神を現代化するsignature programを行っています。日本では、最近STEAMとかいわれているわけですが、そこの部分を教科の合間で行うのではなく、カリキュラムとしてどんと入れてしまうということです。それに、米国ではSignature Programは一大市場になっています。日本は細々とベンチャー企業が少しやりはじめてはいますが、アート市場と同じで、日本はまだ広がっていませんね。

★私立学校は、建学の精神によれば、グローバル市民のリーダーを輩出するミッションを有していますから、当然パブリックスクールで決められている学びもやるわけですが、それ以外にも特色あるプログラムをやれるわけです。やるのが本筋なのです。

★ところが、学習指導要領は、そんな特色あるプログラムはメインストリームではないし、大学入試に直接役立たないので、開成や御三家のように、教科学習の質を高めることで、結果的に特色あるプロラムを実施したことになるようにコンパクトに創意工夫されています。ですから、学費が、英米私立学校に比べて安くてもできるのです。

★しかし、工学院や聖学院のように、海外大学の進路指導もしてしまうと、signature programのように特別な創造的才能を豊かにする体験学習が重要になります。海外大学は、アカデミックなスキルと創造的才能の能力の両方を要するからです。

★ですから、工学院や聖学院は、開成や御三家に比べて学費が安いか同じくらいなのに、その両方をやっているのです。世界標準をあてがうとコスパが破格にいいのです。

★さらに、開成などの御三家(ばかりではなく、ミニ開成やミニ桜蔭を自称しれいる私立学校も含みます)が、英米の名門校のようにオンライン学習やリモート学習に熱心にならないのは、実はアカデミックプログラムだけやっているからです。プリント通信学習でも最低限いけちゃうでしょうから。それが本音でしょう。

★ところが、英米のプレップスクールなどは、その特別プログラムをオンラインやリモートで学ぶ環境を創らなくてはならないのです。それをやらないと、私立学校の精神の現代化教育ができなくなるので、存亡の危機なのです。

★というか、学費をこれまでのように高くとれなくなるので、財務基盤が崩れるからです。

★そこへいくと、聖学院や工学院は、開成や御三家と違い、私立学校の精神の現代化を進めるという意味で革新的だし、学費を抑えて欧米のプレップスクールの高品質の教育を行えるのです。

★これで、はっきりしたことは、アカデミックなプログラムでいくら革新的なことをやってもあまり意味がないのです。いいんですよ、アカデミックな学習は一方通行で。もしPBLをやりたければ、学費を倍以上とって、少人数にしてやるしかないのです。

★だって、既存のテキスト内の知識の格納想起思考と論理思考だけやるのに、PBLの必要はないでしょう。

★ところが、創造的才能を豊かにしよとするとsignature programのような特別なプログラムが必要です。探究がその領域に重なりますが、本格的ではないのが現状ですね。どうも教科学習の延長というのが探究の実態です。

★ともあれ、そうなってくると、PBLやオンラインやリモート学習は必要になってきます。工学院や聖学院がふだんから準備ができていたというのは、ふだんからこのSプログラム(Signatur Programなどの特別なプログラムをこう呼んでおきましょう)が充実していたからなのです。

★もちろん、極端な話をしてしまいましたが、アカデミックプログラムで、40人クラスでPBL型授業をコンパクトにやっておく必要は極めて実は重要なのです。もしこれをやったら、英米の名門私立学校ではできないことを日本はやっていることになるし、知識の概念を完全にコペルニクス転回へシフトすることになるからです。これは、最近の新世代哲学者が考えていることとシンクロすることになりますしね。

★とにかく、少人数だからできるという先入観をぶっ壊しているのですから、インパクトありありありです。

★そのうえさらに Sプログラムを本格的にやっている。

★聖学院と工学院がそのことを意識して行ってきたかという、それはわかりませんが、C1英語×PBL×ICT×STEAM×哲学という21世紀型教育を6年以上実践している中で、進化/深化していったことは確かでしょう。

★学費の制約、学習指導要領の制約、大学入試の制約というアドミッション、カリキュラム、ディプロマという3ポリシーをたてるうえで、それぞれのポリシーの局面で制約があるわけですが、開成などの御三家のようにこの制約内で効率の良い教育で成果をあげるのではなく、その制約をどのように越えられるのか挑戦して破格の質の教育に挑戦していく工学院や聖学院のような革新的学校が、この全国的なオンライン学習やリモート学習デザインの動きの中で注目を浴びることになるでしょう。

★そして、さらなる進化をする学校がまた出現してくるのです。2校ほどその兆しありだと思っているのですが。この工学院や聖学院の進化は、シリコンバレ―に位置するチャータースクールHTHが求めるエンジニアリングの次の段階である茶の道やマインドフルネスの道、ジョブスが見抜いていたZENなどのスマート時空の考え方なのです。宇宙船ですでに使われているミウラオリという白銀比の世界ですね。エンジニアリングは黄金比の世界ですから。

★聖学院の思考力入試セミナーでは、黄金比と白銀比の違いを共有するプログラムがありますが、さすが先見の明ありですね。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(42)イートンカレッジもセントポールスクールもオンライン学習。

★イギリスでも3月20日から一斉休校になっています。そして、4月16日には、外出制限をもう3週間延長すると発表しています。そんな中、イギリスの名門パブリックスクールはどうしているかというと、もちろん休校ですが、やはりオンライン学習を実施しています。イートンカレッジとセントポールスクールのサイトに入ってみましたが、きちんとその旨が発信されています。

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(写真はイートンカレッジサイトから)

★開成も、ZOOMを使うよという発信はしていますが、なぜ今オンライン学習なのかは積極的に発信していません。上記の2校は、ザ・ナインという英国の名門パブリックスクールです。

★そのようなパブリックスクールは、実は普段からオンライン学習も併用していて、創造性を養うとサイトで明言しているほどです。

★なおかつ、イートンなどは、食事ができなくて困っている子供たちのために、施設を開放したり、家族と離れて働く人々のために寮を開放したりまでしています。

★そして、なんといっても驚きなのは、この国家危機にあって、イギリスのすべての中高生に対して、イートンXというオンライン学習プラットフォームを無料開放していることです。フューチャースキルとしてクリエイティブライティングやエッセイライティングを身につけることを目的としたプログラムだそうです。

★日本の御三家がそんな行動を起こしたら素敵なのにと思いますが。。。もし社会貢献という理念やノーブレスオブリージュといった精神が学校にあるならば、そうしてもよいかもしれませんね。

★イートンカレッジのサイモン・ヘンダーソン校長は、<In this time of crisis it is more important than ever that we come together as a community by sharing our resources.>と語ります。

★危機的状況化において、これまで以上に大切なことは、私たちのリソースをシェアしてコミュニティとして共に歩みましょうというわけです。まさしくノーブレスオブリージュです。

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2020年4月17日 (金)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(41)米国でも大学、中高では教育出動。聖学院や工学院などが世界標準であることが明らかに。

★昨日、政府は緊急事態宣言を全国に拡大しました。東京の本日の感染者数も200名を超え過去最多になっています。本当に不要不急の外出は避けざるを得ない状況です。私も朝からZOOMミーティングを2つ行いました。これから思考力講座もZOOMで遠隔学習でやるところです。

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(Chadwickschoolのオンライン授業の写真。同校Facebookから)

★先ほどのZOOMミーティングでは、GLICCの代表鈴木氏とUCLAの研究者とポストコロナショックの時代の話をしていたのですが、米国の大学は2,3日でオンライン学習に移行しているそうです。向こうから日本を見ていると、オンライン授業の動きが遅いし、地方格差がありすぎるので、心配だけれど、そんな中で21世紀型教育を実装実行している世界標準の中高があるのに、希望を見出したと感想を語ってくれました。

★話しながら、ケイトスクールやチャドウィックスクールのサイトをみると、やはりオンライン学習とかバーチャル学習という言葉で学びを続けていました。

★そして、ケイトスクールなどは、伝統的なサマティブアセスメントは諦めた、ルーブリックで付けるから安心して欲しいとテストのことや評価のことまで発信しています。

★チャドウィックスクールも保護者とZOOMミーティングまで行って、メンタルケアについて語り合ってもいます。ケアは最も大切にされているというのが米国の名門校の特徴です。

★ケイトスクールとかチャドウィックスクールとかは、偏差値がないので、日本の中高のどの学校に重なるか難しいですが、スタンフォードやハーバード大学にたくさん進んでいるという意味では、いわゆる御三家クラスの学校です。全米でもかなりレベルが高いと評判です。

★PBL型授業とバーチャル学習は当たり前ですが、何より教育の理念は、経験と知的好奇心と貢献と創造力と社会実装と・・・という感じです。

★どうでしょう、日本の御三家レベルの中高は、このような世界標準の中高と比べて教育の質は高いと言えるのかどうか。それはみなさんで考えてみてください。正解はないのですから。

★ただ、海外の大学もたくさんはいっている工学院や聖学院が、本シリーズで紹介しているように、ケイトスクールやチャドウィックスクールと同じようなレベルでオンライン学習やバーチャル学習を行っているわけです。海外大学も入っているわけですよ。

★どのように評価しますか?特に、ポスト・コロナショック時代では、サイバースペースのグローバル空間では、学歴社会は何の役にも立ちません。それは、いまここで、私たちが身をもって知っていることではないですか?

★学びの認識を転換させて、みんなで世界標準の教育出動をするときです。そう思いませんか?

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(40)聖学院の新しい教育活動。SモデルはNモデルとはまた違う。

★聖学院が矢継ぎ早に新しい教育活動を展開しています。同校サイトをみるともの凄い動きになっているのが了解できます。

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★昨日、政府は緊急事態宣言を全国に拡大しました。多くの経済混乱や心的混迷が予想されますが、聖学院は予測不能な時代に対応する教育活動をしているために、世界リスクを乗り越え、世界をどうやって救うのか新しい教育出動を迅速に開始しています。

★授業は、オンラインによって行っています。教師は在宅勤務、いわゆるテレワークになっています。もちろん生徒もそうです。その様子は大学通信で紹介されてもいます。受験業界から注目を浴びているということですね。今後ますますメディアが注目していくことでしょう。

★そして、何よりすばらしいのが、同校の高1生がこのオンライン授業の有効性と今後の新しい学び方についてレポートを書いて、教師と生徒の評価を共有しているところです。まさにフラット・フリー・フェアーな学習する組織が出来上がっています。この3Fがいよいよ本格的に稼働しはじめたのです。

★1989年ベルリンの壁崩壊と時同じくして誕生したWWWですが、グローバルな動きがまだまだリアル時空がベースだったため、3Fは理念で終わっていたのが実際のところです。それゆえ、今分断世界が広がっています。しかし、このポスト・コロナショック時代は、サイバースペースのグローバル化が前面にでてきます。3Fが貫徹するスペースになっていくはずです。もっともそこでさえも制約・規制している国家はあるし、仮想通貨では今後もリアル時空との相克は続くのでしょうが。

★ともあれ、その高1生は、オンライン授業が、主体的な探究と自由な活動を広げるという点で、有益ではないかというのです。この緊急事態宣言がもしも5月6日以降も延長されたとしたら、学校はかりに再開したとしても、週の半分はオンライン学習で、のこりは学校でPBL型のワークショップ授業になるでしょうから、主体性と自由な動きができることと、リアルな空間での協働活動がデザインされていくことになるでしょう。このような動きを、その高1生は予言しているわけです。

★さらに凄いのが、オンライン職員会議をやってのけていることです。

★授業も職員会議もオンラインで行われることによって、新しい時間が生まれています。社会課題を解決するための自由な時空が豊かになっているのです。オンラインは時間が制約されますから、制約の中から創造性もあふれ出るはずです。

★すでにもうすぐ13,000人の生徒を抱えるような勢いのある通信制高校のN高校は、ネットコースができていますが、通学コースも用意されていて、通学する授業とネットで行う授業のハイブリッドカリキュラムになっています。東大をはじめ難関大学の大学合格実績も好調だし、なによりスーパーアスリートなどの才能者が活用する場になっています。

★聖学院も、一気呵成にN高校と同じ教育機能を整えたわけです。しかし、NモデルとSモデルの違いは、キリスト教ミッションがあるかないかと、哲学的学びがあるかどうかと、学習する組織というマネジメントがなされているかどうかです。

★なぜこんな違いがでてくるかというと、大規模か小規模かの違いによって生まれてくるのです。量は質への転換をもたらします。量がある臨界点に来た時に質が生まれます。

★Nモデルは生徒の人数が多いので、成長もデルが人口論的モデルに等しくなります。したがって、従来教育には不得手であった効率性、合理性、計算可能性、予測可能性が先鋭化される機能の質が高まります。

★一方S(聖学院)モデルは、小規模経営ですから、内生的成長論もデルが適用されます。1人ひとりの生徒にかける教育の時間の量が半端なく増えます。オンライン学習によって、時間を2倍速に回して学ぶ生徒がでてきますから、その量は半端ないわけです。そうなると、学びの質が高まります。

★それが、オンライン学校説明会という小規模人数に絞り切った双方向型説明会を開始する聖学院の動きに象徴されています。説明会は、アドミッションポリシーを共有する場です。カリキュラムポリシーが反映しています。まさに教育の質がさらに高まっている現状にピッタリ適合した説明会です。参加者にとっては、いまここで大切なものを共有する場となるでしょう。

★Nモデルは自律分散系の先鋭的な教育になり、1人ひとりの才能がさく裂します。

★Sモデルは自律分散協働系の先鋭的な教育になり、1人ひとりの才能と互いの協働才能というシナジー効果を生みだします。

★協働性が生まれると、そこにはミッションが生まれ、人間存在の真理を問う哲学が生まれ、学習する組織のマネジメントが生まれます。

★オンラインというサイバー時空がリアル時空と融合することによって、このそれぞれの量の質への転換を生みだすことになるでしょう。

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2020年4月16日 (木)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(39)聖パウロ学園 オンライン学習

★4月8日、緊急事態宣言が発令されるや、八王子の高尾の森に位置する聖パウロ学園は、教員研修を行い、オンライン学習やWebを活用した学びの実施について準備をしました。同校は、少人数体制の学校がゆえに、各クラスや生徒1人ひとりに応じた対応ができます。

★それゆえ、オンライン授業、オンラインホームルーム、オンライン面接など生徒の状況・状態に応じて多様な学習環境を共有しているようです。

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★都の発表によると、八王子市は、4月14日現在20名で、東京都の全感染者数の1%にも届きません。ですから、八王子市全体の学校の雰囲気はもしかしたらまだオンライン学習の緊急性を感じていないかもしれません。

★しかし、20の市町村からなる多摩地区は、感染者数は200名を超え、全体の10%に迫っています。町田市や八王子市も4日連続増えています。油断はできません。

★とはいえ、都立高校は、東京都教育員会が一斉にオンライン学習を行う決定はまだ示していません。中高一貫校の白鴎は独自にオンライン学習を実施しはじめました。白鷗のようにBYOD指定校7校は、同じように動くかもしれませんが、他の都立高校は、学校に任されています。

★広島や岐阜のように一斉にオンライン学習を行うということには今のところなってはいません。

★そういう意味では、聖パウロ学園は、教師のテレワークを始めています。学校には生徒はもちろん臨時休業ですからいませんが、数人の先生は順番にやってきていて、ノー3密の環境でオンラインを使った学びを実施してもいます。

★ZOOMを活用したり、GSuiteというグループウェア―などを活用しています。

★先述したように、都心と八王子では緊急事態の温度差がありますが、油断はできないのですから、都立高校もやがては動くでしょう。しかしながら、環境がまだまだ整っていません。企業のテレワークでさえも、シンクタンクによって違うとは思いますが、30%もいっていないという結果が出ています。80%人と接するのを抑えるという話がでている一方で、なかなか難しい現状があります。

★ですから、挑戦できるところからモデルケースを積み上げていくしかないでしょう。

★八王子では工学院大学附属と聖パウロ学園などが果敢にチャレンジしています。注目していきたいと思います。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(38)ノートルダム女学院のオンライン学習 困難な事態の向こうに前向きな見通しを共に立てる。

★4月7日、政府の緊急事態宣言が発令される直前に、ノートルダム女学院中学高等学校の学校長栗本嘉子先生は、「危機のさなかで新たな道を歩み始めるために」というメッセージをアップしました。このメッセージは、4月14日にフランシスコ教皇がTwitterに投げかけた次のメッセージと同期しています。

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(今年は4月12日が復活祭でした)

★<イエスの復活は、死が世界の終わりであることを示すのではなく、いのちこそが永遠の世界なのだということを示しています。キリストの復活は続いています。それゆえ、私たちの存在に降りかかるあらゆる出来事に前向きな見通しを立てられるのです。たとえ、その出来事が最も困難で辛く不確実な出来事であってさえも。>というようなメッセージでしょうか。

★新型コロナウィルスショックという出来事は、たしかに最も困難で辛く不確実な耐えがたい出来事ですが、にもかかわらず、それにも何か前向きな見通しの意味があるのだということでしょう。栗本校長が語る「危機のさなかで新たな道を歩む」と同様の意味だと思います。

★こうしたカトリックミッションのもとに、ノートルダム女学院の教師はすぐに動きました。永遠の世界であるいのちをまもるために、まずは生徒と教師のいのちを守ることです。そのために、先週はオンライン学習体制をつくる準備に入りました。

★そして、昨日15日、オンライン学習が始まりました。首都圏や大阪などと違い、京都はまだ緊急事態宣言の対象にはなっていませんが、独自の判断で動いています。

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★オンラインHRやオンライン授業がすぐに展開しているのは、同校にとっては当たり前のようですが、こんなに迅速に動けるには、やはりチームワークの力があるからでしょう。3密を回避するために先生方は別々の空間でオンラインを行うのですが、いつもとは違うやはり不思議な雰囲気です。この不思議さの意味について、先生方の対話が起きています。すでにテレワークに入っている先生方もいますが、来週からは在宅態勢に入るそうです。

★今週は、そのための調整期間のようです。生徒もオンライン環境に慣れることも必要だということです。オンライン授業が終わるや、先生方はリフレクションをしていたようです。今週の試行錯誤が、来週に活かされるわけです。

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(栗本校長自らオンライン学習に挑戦。)

★チームワークの力が強い同校ですが、そのベースにはやはりカトリックミッションがあります。オンライン学習態勢をつくるには、設計思考に基づいた技術やデータによってコントロールしていく組織の動きも必要ですが、一方で生徒と何を学ぶのが最重要なのかも考えて実行するマインド思考も大切です。

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★一般にこのマインド思考は、目の前の仕事が忙しくて組織として作動するのは難しいのが現実です。しかし、ノートルダム女学院はナレッジカフェというゆるやかなマインド思考を共有する場があります。こんなときにと思われるかもしれませんが、こんなときだからこそオンライン学習においても本質的な新しい学びの経験はいかにしたら可能なのか語ろうという動きがありました。

★14日(火)に2時間、ZOOMナレッジカフェを開催。20人以上の教師が参加して、ブレイクアウトルームで対話するところまで行きましたす。校長も参加し、自らオンライン学習を体現していました。

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★ナレッジカフェ開店前に、ZOOMのホストの霜田先生(ND教育開発センター長)から、共同ホストを依頼され、設定や簡単なリハの対話をしました。先生方の見えない部分、つまりバックヤードでの仕事の部分が実に丁寧で分厚いなあと感じ入りました。

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★ナレッジカフェ終了後は、すぐに高橋理事、栗本校長、高谷副校長、鳥山教頭、中村良平教頭がZOOMリフレクション会議をしていました。

★スキル研修、ナレッジカフェ、頻繁にZOOMリフレクションをしている経営陣の姿、オンライン学習開始の教師と生徒の姿を見聞し、3Mのパワーが明快に現われ、パワフルになっているのに気づきました。新たな道あるいは前向きな見通しがここにはあります。

★この3M=マインド×メディアミックス×マネジメントの新たな展開、つまり危機だからこそ見える新たな道については、もう少し多くの学校で行われているオンライン学習の様子をリサーチしながら考察していきたいと思います。

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2020年4月15日 (水)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(38)成立学園 見えない学力を見える化するオンライン学習へ

成立学園も13日からオンライン学習を実施しています。13日は、動作確認やデバイスの活用方法の最終的な共有のため先生方は学校勤務でしたが、昨日14日からはテレワークになっているそうです。

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(写真は、同校サイトから)

★成立学園のオンライン学習に注目したいのは、同校が見えない学力を大事にしているからです。Photo_20200415145101

★とういうのも、普段五感を使って、無意識のうちに感じたり考えたりしていることがあるのですが、オンライン学習は五感の制約があるため、無意識の感情や思考をあえて見える化しないとコミュニケーションがうまくいかないことがあります。

★オンライン学習を行うと、課題を配信して解答を返信してもらうだけでは気づかないコミュニケーションのもどかしさを感じると言われています。そして、そのもどかしさからなんとか解き離れたいという想いが、思わぬ創意工夫につながるというのです。

★これは教師の側にも生徒の側にも起こることなのですが、その創意工夫こそ普段の生活では見えない学力となっていると思われます。それが今回の同校のチャンレジによって見える可能性があります。

★果たしてどのように見える化されるのえdしょうか?しばらくしたら宇田川先生が、その気づきを発信するでしょう。それこそが、生徒の未来を創る力だと思います。未来は今は見えません。それゆえ、見えない学力こそが重要なのです。未来が成立学園のオンライン学習で見ることができるかもしれないのです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(37)工学院のオンライン思考は設計思考と野生の思考のハイブリッド!

★工学院大学附属中学校・高等学校は、同校サイトに、「工学院のオンライン」というシリーズ記事をアップし始めました。実に具体的な論考で、オンライン学習のやり方やその意味を探っている方に役立つ情報を公開しています。この情報公開・共有こそ同校の「挑戦・創造・貢献」の校訓の体現ですね。学校の公式サイトで、ここまで広く深く考えている情報発信をしているのはみたことがないですね。

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★学校は、どうしてもきっちりした論文や論考を研究会などで発信する以外は、サイトでは、事実報告レベルのものに終わりがちです。基本設計思考が中心なので、ブログのようにブリコラージュ的な表現、つまり「野生の思考」の表象はみたことがありません。

★校務分掌にあるように、ツリー構造という設計思考で、ブリコラージュのように横断的な野生の思考はあまり発揮されてこなかったのです。

★設計思考とは、料理のたとえでいえば、レシピ通りに材料や器具を用意して、手順に従って考えていくことです。ブリコラージュという野生の思考は、冷蔵庫にある材料や手持ちの道具などで自在に料理するちょっとしたアイデア料理を考えていくことです。

★工学院はPBL型授業を貫徹しているので、自ずとMITメディアラボのシーモア・パパート教授やレズニック教授の考え方の影響を受けています。その系譜はピアジェであり、レヴィ・ストロースです。ピアジェは経験から獲得した知識を未知の経験に適用していった場合、ズレが生じるから、その都度修正していく学びの発達段階を想定しています。これは、初めに設計しているわけではないですよね。

★レヴィ・ストロースは未開人を文化人類学的に考察して、彼らのサバイブ思考はブリコラージュで、そのような構えを「野生の思考」と呼びました。シーモア・パパートは、3R(読み・書き・算盤)から3X(探究・議論・発表)へという学びの転換を仕掛けたことで有名ですが、プログラミングも実はブリコラージュ的な発想が必要だと考えていました。

★いわば、これからは、デジタル・ワイルド・シンキング(DWT)が必要だというのでしょう。教授は、DWTという言葉を使ってはいないでしょうが、今回の新型コロナウィルスは、不要不急の外出自粛という状況をもたらした結果、学校にPBLの重要性やDWTを覚醒させていることになっているかもしれません。

★少なくとも工学院の教師も生徒もDWTが覚醒しています。

★ZOOMとTeamsとGoogle Classroomとedmodoなどのアプリやプラットフォームを使い分けて、あるいは自在に組み合わせてオンライン学習をデザインして実行しているのです。設計思考がなければシステムは動きませんが、多様な道具を組み合わせて活用するには野生の思考が必要です。両方の思考を変幻自在に使うハイブリッド思考(=設計思考×野生の思考)が動いているのです。

★この1週間は、オンライン環境に慣れる週間だと言いながら、この現状はなんてデフォルト(既定)値が高いのでしょう。

★ZOOMでホームルームを開き、互いの存在を共有する。まさに知育・徳育・体育の総合力をシェアしていくのです。そして担任の先生は空いたスケジュールで、面談を実施していく。全体の共有と個別の共有という複眼思考は設計思考だけでは機能しないでしょうね。共感的コミュニケーションはやはりブリコラージュの共同作業から生まれてくるのでしょう。

★そして、Google Classroomなどで、Q&Aを行っていく。選択肢の問題も記述の問題もスプレッドシートで一発集計しています。選択肢の問題はグラフで分布がすぐに出るから、ハーバード大学のマズール教授の実践しているPILが出来てしまします。

★論述・記述もできるし、集計も一発。それぞれの生徒がどんなことを感じ、考えているのか共有できるし、対話もできる。Google ClassroomのWordの共有機能を使えば、チームごと共同編集ができてしまう。日ごろからやっているので、すぐにできますが、オンライン学習では、この共同作業や共同編集が多くなるので、共感的コミュニケションが立ち上がるのが互いに実感できます。というか見える化されてしまいます。

★この機能は保健体育や家庭科の授業でも力を発揮しているというのも凄い情報です。というのも、この新型コロナウィルスに感染しないようにするためのボディーケアとメンタルケアを免疫学や公衆衛生学、栄養学などの観点からどう考えるのかどう実践するのか、今一番必要なサバイブ能力を鍛える学びを行っているのです。しかも双方向でかつ記述も交えながら。

★「オンラインに慣れる」のが今週の目的で、やりながら教師も生徒もbetterな使い方などを求めて試行錯誤していくのだと同校サイトには書かれています。すでに十分なデフォルト値なのに、このデジタルな野生の思考(DWT)はどこまで拡張していくのでしょう。「工学院のオンライン」記事はおススメです!

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(36)学校説明会が変わる 教育の質のデフォルト値格差時代へ

★4月1日以来、首都圏模試センターは、<コロナに負けるな!「中学受験生応援企画」第1弾~私学の「学校説明会」動画紹介!>というシリーズを実施しています。学校説明会ビデオが続々集まってきているようです。すでに40強の学校の説明会ビデオがアップされています。

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★首都圏私立中高一貫校の約14%の数です。経済は今は自粛ですが、だからこそ教育出動が加速しています。ポスト・コロナショック時代を見据えたある意味サバイブ能力とは何かを探っているのでしょう。

★この教育出動の勢いは、アドミッションポリシーの表現において、明快・簡明・感銘の三拍子を揃える編集技術を先鋭化することを意味します。しかも、動画には、広告代理店ではなく、学校の広報のチームが手作り編集しているものも出てきています。

★そして、この一斉休校の折、オンライン学習やWeb学習が広がっています。

★この過程の中で、学校の先生方のデバイスやアプリの知識やスキルがアップデートしています。当然双方向なので、生徒もシンクロします。いや、生徒の方がスキルは上で、教師がサポートされているのが現場の実態でもあります。

★この動きは、空間と時間の活用の仕方をガラリと変えています。リアルとサイバーのハイブリット時空になっています。

★サイバー上では、時空はある意味制限制約がなされます。資源の有効活用が否が応でも求められます。その分、リアルスペースではマインドフルネスであろうとする意識と行為が高まっても来ます。

★学校説明会も、この不要不急の外出をしない時期だけではなく、今後も動画は配信され続けるでしょう。今までは、この動画で配信されてきたことをリアルスペースで行ってきたわけですが、今後は、学校で行う説明会は、動画で配信した以上の価値ある情報を発信することになるわけです。

★個別面談も、オンラインで行うようにもなるでしょう。もちろん、リアルスペースでも行います。しかし、おそらくオンラインが主流になっていきます。経済低迷の折、ダブルインカムの動きに転じるでしょうから、どこからでもアクセスできるサイバー時空を活用する動きは勢いを増すのは必至です。

★そうなってくると、ハイブリッド時空を巧みにデザインできる能力が学校に必要になります。そして、その能力獲得の動きを通して、デバイスやアプリなどのテクノロジーやエンジニアリングに長けた教師と創造的な教師のシナジー効果が生まれます。それによってどんどんあらゆる領域の既定値=デフォルト値が上がってきます。

★デバイスやアプリを媒介にすると互いに時間マネジメントはしやすくなるし、活動のポートフォリオも痕跡を残せます。学校側のマーケティングもデータに基づいた戦略に変わっていくでしょう。一方で、コンプライアンスなどリーガルマインドのデフォルト値も上がらざるを得ないでしょう。

★そのような流れは、アドミッションポリシーの局面だけではなく、カリキュラムポリシーやディプロマポリシーにも拡張適用されていきます。

★そうなってくると、広告代理店も既定値をアップグレードせざるを得ません。ライター業も、同様です。

★学校が変わることによって、あらゆる仕事の質も変わります。逆に高いクオリティをリーズナブルに提供できる外部の力を学校は求めるようになるでしょう。

★そういう多角的な発想を持ちえるかどうか、そして必ずそれにはもれなくICT技術がついてきます。広報領域にも、カリキュラム領域にも、ディプロマ領域にも。すると、デバイスやアプリなどの情報テクノロジーのデフォルト値の高いところがも魅力的になりますね。

★偏差値からデフォルト値へ。これが、私立中高一貫校のポスト・コロナショックの第一段階です。

★そして、恐ろしいのは、あるいは歓迎されることなのかもしれませんが、第二段階は私立中高一貫校の実質的な再編です。

★法律の壁がありますが、それは突破されていくことでしょう。このデバイス値は、悪貨は良貨を駆逐するというグレシャムの法則をひっくり返します。その動きの始りが、この4月に起こっているということなのです。

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2020年4月14日 (火)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(35)カリタス女子 中1も遠隔授業スムーズに

★昨日、カリタス女子中学高等学校は、中1の遠隔授業を開始したということです。同校公式Facebook(fb)で発信されていました。同fbによると、<中1も遠隔授業に向けて動いています。1週遅れで、この金土日の3日間、遠隔授業の接続テストを行いました。チャットの入れ方や挙手のやり方を確認したり、ミュートを外して「はい!」と返事をする練習をしたりしました。全員、無事に完了です>と。

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(写真は、同校Facebookから。同校のキャンパスは美しく開放的でかつ学問的デザインがなされいる。図書館は圧巻。)

★このリハーサルへの先生方の努力と生徒の前のめりな姿勢に、不足の事態にも対応できる柔らかく強くそして実はその苦難を引き受ける心が現れていますね。心身に染みます。

★世界の痛みを共に乗り越えるカリタスの教師と生徒の絆は計り知れない強さなのだと思います。

★それにしても、サイバーオリエンテーションで、「カリタスにはAからDまでの階段がありますが、4階まで登ることができる階段はいくつありますか?」「自分の教室のホームベースに隣接する教室はなんという教室ですか?」と、キャンパスをモチーフに3D空間の問題を出すなんて素敵すぎます。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(34)工学院 オンライン学習の様子発信開始。

★昨日から、工学院大学附属中学校・高等学校は、オンライン学習を開始し、その模様を発信しはじめました。しかし、実際にはオンライン学習は3月から始めていたようです。同校サイトによると、「高校3年生は3月から様々な取り組みをスタートし、当初は参加率も得点率も低かったオンラインテストは、数日のうちにほぼ全員が受け、平均もどんどん上がっています。この状況になったことで、逆に自分を客観的に見ることができているのかもしれません。」とあります。

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(写真は同校サイトから。生徒の個人の顔は出ないように加工してある写真でした)

★どうやら、<知識・理解>のトレーニングも、ふだんからデータ化されていて、ポートフォリオになっているということですね。ですから、今回<応用・論理>レベルの思考問題にシフトしていったとき、それもデータ化されたり痕跡がのこるので、<自らを客観的に>見るリフレクションがかなりできる機会になるというのが、オンライン学習のメリットだと生徒と共有しているのでしょう。

★また、こうもあります。「在校生にとっては、これまでの経験からオンラインの確立はスムーズに行うことができます。そのアドバンテージを使い、学習面での遅れを不安としないよう、オンラインの確立と共に「学習について」が学年よりオンラインで配信されています。」と。

★ここでも、工学院のオンライン学習は、たんにプリントのやりとりをする学びではなく、オンラインという相対化しやすいあるいはメタ認知しやすい媒介項であるから、生徒が自ら学び方を学ぶ機会にできるのだということを共有しているのでしょう。

★工学院のオンライン学習は序破急のリスムで進んでいるようです。今は共感的コミュニケーションがオンライン上でできるように足場づくりを優先しているようです。そして、生徒が自らを見つめる鏡としての価値を見出す準備をしているのでしょう。

★きめ細かい戦略戦術をデザインし、実装しているわけです。とはいえ、複数のデバイスや多様なアプリやコミュニケーションツールを活用しているので、先生方も眩暈の毎日だと思います。結構ストレスも高いでしょう。

★ですから、生徒だけではなく、先生方も多様なツールの使用において最適な組み合わせになる動態平衡が生まれるように、最初は足場づくりと言うわけでしょう。

★オンライン学習は集中と拡散の動態平衡が絶妙に仕組まれていないと、苦しくなります。逆に拡散しっぱなしだと、映画を見ているようにくつろいでしまします。なかなか難しいのですが、この体験は、世界同時的にみな初めての経験です。いろいろな気づきがたくさん生まれてくるでしょう。オンライン学習に取り組むこと自体がサバイバルラーニングなのかもしれません。

★次回の発信を楽しみにしています。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(5)オンライン学習のシナリオは、モリスの系譜でいくか?ベラミーの系譜でいくか?新しい道でいくか?

★昨日から、首都圏や関西圏の各学校でオンライン学習やWebを活用した授業が本格的に動いています。企業もテレワークが本格化しています。もちろん、スターウォ―ズやスタートレックのような世界はまだやってきていないですから、100%そうなっているわけではなし、いやむしろ本格的なオンライン学習やテレワークは10%くらいが現状ではないでしょうか。

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★むしろ、エヴァンゲリオンの描く、昭和な気分の生活世界になぜか超未来型物語が併存しているという感覚の方がしっくりくるかもしれません。というか、私たちの社会はすでにGAFAによって超未来的な世界を実現しはじめている一方で、牧歌的な田園風景に憧れ、ツーリズムはたいへんな観光業になっています。がしかし、今やその両方が新型コロナウィルスによって危機にさらされています。

★医療崩壊だけではなく、このままいけば治安崩壊もあるし、そもそも電力崩壊もありえます。電力をコントロールしている最後の砦は今のところ人間です。しかも高度な専門知識が必要なので、たくさんいるわけではないのです。医療従事者と同じくらい重要な専門家集団です。

★しかし、新型コロナウイルスの威力はすさまじいわけです。電力崩壊は、医療崩壊も治安崩壊も経済崩壊も生活崩壊ももたらしてしまいます。それはすでに、私たちは多くの過酷な被災で経験しています。

★この凄まじい世界リスクに今多くの人が現場で壮絶な力を尽くしているわけです。

★そして、一般市民である私たちは、この情況を目の前にして何をすればよいのか途方に暮れるばかりです。

★最前線で高度な知恵を使い、体力の限界まで尽くしている人々に感謝と祈りを捧げながら、自分たちでもできることをやろうと。それは、不要不急の外出はしない、手洗い、うがい、ノー3密、マスク装着、健康管理、メンタルケアをしていくということだと言われています。

★何気ない行為のように思いますが、これができるようになるまで、多くの時間がかかったし、権利の闘争が積み重ねられてきたのを忘れてはいけませんね。膨大な歴史がこの生活世界形成の背景に横たわっているわけです。

★そして、いつもと違い思索の時間が増えるわけですから、どんな社会を自分は創っていくのか1人ひとり考える機会を与えられたということでもあります。

★世界リスクは、今はじめて起きているのではなくて、産業革命、宗教革命、民主主義革命、大航海技術革新が生み出した近代化の歴史は、リスクとの攻防史でもあったということは今や多くの識者が語っています。ですから、このリスクを回避する社会構想のモデルは、19世紀末に、すでにモリスとベラミーのユートピアにあると言われるゆえんです。

★GAFAを中心とするAI社会構想は、ある側面はベラミーの描いたユートピアという名のデストピアなのかもしれません。

★モリスの描いた田園芸術生活世界ユートピアは、ベラミー路線の陰に隠れて忘れ去られているように見えますが、私たちが田園都市線に乗る時、実はモリスのアイデアに乗っているのです。

★ベルリンに行ってバウハウスのミュージアムを訪れて、感動しているとき、モリスの構想に感動してもいるのです。

★ウイーン世紀末やその当時のジャパノロジーやアール・ヌーボーも同様です。ということは、赤レンガの東京駅を見たとき感じる気持ちも同様です。

★授業の中で生徒と宮沢賢治の作品の世界を共有しているとき、それはモリスの世界でもあるのです。

★HTHがエンジニアリングから次に行かなくてはと言っているとき、そこにはモリスの世界が横たわっています。

★京都の桂離宮に訪れたとき感じる心的世界はモリスの感性に重なります。

★ファインアートからスペキュラティブデザインに移行しようというアーティストやデザイナーは、モリスの世界とかぶっています。

★そしてクリエイティブシティやスマートシティといったとき、ベラミーのユートピアだけではなくモリスのユートピアも交錯します。

★戦後教育基本法や46答申に影響を与えたときの森戸辰男の精神は、極めてモリス的でした。もちろん、森戸のヤヌスの側面はあります。ベラミー的な教育行政も行っていて、批判も浴びています。実は、森戸のその輻輳路線は大学入試改革の発想にも接続してしまっています。

★芥川龍之介もこの両者のアイデアの狭間で苦悩しました。

★夏目漱石は、その苦悩の解剖をしていって感染してしまいました。

★モリスやベラミーの本を読むことはもちろんいいですが、私たちは、生活の中で、すでに両者の考え方の狭間で生きています。知識としてのモリスやベラミーは、興味と関心があれば歩んでみるのは大賛成ですが、一般には、自分の生活が両者のアイデアの間を往復しているとは気づいていません。そこにみんなでまずは気づ生きたいなあと思っています。

★この不要不急の外出をしないときに、両者のアイデアの間のどのへんを歩いたらよいのか、あるいは、全く新しい道があるのか想いを馳せる機会が訪れたということでしょう。

★そして、それを考えるトリガーになるのは、オンライン学習とテレワークです。ベラミー的な合理的マシーン的ユートピアとモリス的なの農村田園的なマインドフルなユートピアが交錯する議論が現場で実は噴出しているのです。まるで、スターウォーズの世界ですね。

★私もオンライン学習やテレワークに身を置きながら、行方を共に考えていきたいと思います。

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ノートルダム女学院の2020年度始まる。根源に立ち還り、新しい息吹を生成する。

★いよいよ、ノートルダム女学院の2020年度がスタートしました。同校の2020年度の新体制が稼働し始めたのです。

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★同校の管理職にも新しい顔が参画します。副校長には、高谷憲弘先生、教頭に中村良平先生が新しく加わります。高谷副校長は、社会科教諭でもありますが、元広告代理店でも活躍し、最近では事業構想大学院大学で、プロジェクトデザイン学も研究していました。予測不能な時代にあるにもかかわらず、生徒1人ひとりがかけがえのない存在価値を生みだし、その価値を社会と共有して貢献していける人間力を支える新しい学びの環境を構想しています。その実現力や外部との交渉力で辣腕を振るうでしょう。

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★中村良平教頭は、英語科教諭であり、同校のグローバル教育と21世紀型教育など未来型教育のリーダーを務めてきました。留学やSTEAMの外部ネットワークなど未来型教育の広がりを先生方とつくってきました。また、PBL型授業など同校が大切にする<対話>をベースとして授業開発も進めてきました。対話と尊重と共感と行動という構えを社会実装に寄与できる人間力育成の学びの環境をさらにアップデートしていくことでしょう。

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★その同校の未来型教育の開発室の室長は、今度は霜田先生が引き継ぎます。すでに、NDナレッジカフェのマスターとして動き始めていますが、全国の中等教育学校を見渡して、霜田先生程哲学に造詣が深く、それを社会実装するテクノロジーの達人でもある教師は見当たりません。室長としてカリキュラムや授業開発においても、<スペキュラティブデザイン>という世界では大きなウネリになっているけれど、日本ではまだ浸透していない新しい哲学の成果もヒントに画期的なかつ根源的な学びの提案を生み出していくと思います。

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★すでに、4月1日11時ごろから、保健体育科の三井先生と2020年度のシラバスのデザインについて対話をしました。同校の4Cや4Vの理念やビジョンをシラバスの中にいかに反映しつつ、生徒が自己と他者を心身の状況を客観的に知り、良好な人間関係をつくり、かつ自立/自律した自己を形成していけるのか、マインドフルネスのプログラムも導入しながらPBL型授業をデザインしていきます。

★自己は、感情と生理的状況、および知性が複雑に互いにフィードバックし合って成長していきますが、そのフィードバックには人間関係のさらなるフィードバックが影響し合います。心と身体の繊細な関係は、言動にも影響します。いかにwell-beingな状況をつくりだすかは、心身と環境の自律分散協働系で成り立つのでしょう。そんな話をしながら、シラバスのデザインの対話をしていきました。

★昼食後、宗教科主任の山川先生も加わり、<対話>とは何か?<人間関係>とは何か?<自己>とは何か?などについて思考していくことになる生徒とどのようにかかわっていくか対話していきました。山川先生と三井先生は、哲学対話の授業を協働して教科横断的に既に実施しています。同校の先生方と分かち合ってもいます。

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★お二人のテーマは、予測不能な時代というのは、自分が意図してもいないのに、要求したわけでもないのに、ふりかかる重大な局面にぶつかるということを意味しているようです。実に深いですね。すなわち、それをどう受け入れ、乗り越えていくか、その自らの心と身体全体を揺さぶる極限から思考して幸せをいかに見つけていけるのかという存在問題のお話だったと思います。

★まさに新型コロナウィリスの現状は、それに近いものがあるわけです。同校では、担任の先生方は、一斉休校中、オンラインホームルームを実施していました。山川先生は、担任もになっているので、オンラインで対話しながら、リアルなスペースと違って五感が制約されているために、逆にそれを補って対話を工夫しなければならないということについても話してくれました。テクノロジーと人間存在の問題を自問自答し続けてきたことを共有してくれたのです。

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★そんな話をしていたところに、数学科主任の中村拓先生が訪れました。新任の先生方と新年度の構想の打ち合わせをしていたそうです。はいってくるなり、今ヨブ記をアプリで読んでいるなんだけれどと問いを投げかけてきました。

★ヨブ記そのものが問いの存在なので、さりげなく中村先生がその話をしたのですが、そこは宗教科の山川先生、目を輝かせたのです。ヨブ記は、欧米では根源的な問いの魂で、宗教とはまた別に「知恵文学」と呼ばれ、手をかえ品をかえ受け継がれてきたというのです。

★ゲーテの「ファウスト」というメフィストテレスの物語もある意味そのパロディー(と言ったら叱られるかもしれませんが)です。音楽作品も多くの作曲家によって創られています。中村先生も、「ダ・ヴィンチコード」の中にでてくるヨブ記の一節がきっかけになって、読んでみようと思ったということです。ダ・ヴィンチコードの物語には、黄金比、つまりフィナボッチ数列の暗号が埋め込まれていますから、なるほどです。

★山川先生は、まさにこのコロナ禍の時だからこそ読むべき書ですねと。自らは正義を貫き、忠実に真面目に生きているのに、なぜあなたは私にこんな酷い禍をおしつけてくるのですか?これは私たち一人ひとりが対峙している問いであると同時に日常生活では回避している問いです。

★それゆえ、人間の根源的な問いとして、そして解なしの問いであるがゆえに、永遠の問いとして思い巡らされてきたのでしょうと。

★山川先生は、ヨブ記とエヴァンゲリオンとか、ヨブ記とスターウォーズとか、ヨブ記とマトリックスとか、そしてヨブ記とアンパンマンとかスクランブル哲学対話を思いつかれたようです。

★というわけで、私はノートルダム女学院に立ち寄ったときは、心ひそかに、<茶室MI(多重知能)>を開き、その亭主という役割を担っているつもりなのです。

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★MIとは、私が勝手に師と仰いでいるハワード・ガードナー教授の多重知能理論です。12年前に、レッジョエミリアの教育とカトリックの関係についてメールで教えていただいただけなのですが(そのときインターネットは、本当にグローバルブレインの神経系だと実感しました)、ガードナー教授の書籍から創造性の理論、リーダー論、組織論、なんといっても創造的才能開発のプロジェクト学習(クリエイティブラーニング)について啓発を受けました。レヴィ・ストロースとの学びの関係についてもガードナー教授の「認知革命」で学びました。

★私が10年前ボランティアで行っていた低学年対象の<本と絵の教室=クリエイティブラーニング>のロゴは上記のイラストです。今はfacebookのプロフィール写真になっていますが、じっくりみていただくと、ガードナーの教授のいう8つの知性が描かれています。内省的実存知をどう表現するかは難しかったですね。ともあれ、そんなわけで、あちらことらで、モバイル<茶室MI>を開いている今日この頃です。そこで出会った先生方のアイデア創発にお役に立てれば幸せです。

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2020年4月13日 (月)

2020年春の大学合格実績(3)鴎友学園女子

★鴎友学園女子の大学合格実績の高さは安定しています。たとえば、今春の実績は次の通りです。( )内は現役合格数。

東京大学合格者数7(7)名
京都大学合格者数3(3)名
一橋大学合格者数 6(6)名
東京工業大学合格者数 6(5)名
早稲田大学合格者数 80(75)名
慶應義塾大学合格者数 48(44)名
上智大学合格者数 50(50)名
東京理科大学合格者数 55(45)名
学習院大学合格者数 12(10)名
明治大学合格者数 112(94)名
青山学院大学合格者数 47(45)名
立教大学合格者数 72(71)名
中央大学合格者数 65(61)名
法政大学合格者数 58(48)名
(インターエデュ調べ) 

★上記の大学の合格者数だけで、621名。卒業生数に占める割合は、256.6%ですから、生徒が自ら描くキャリアデザインを実現する環境を持った大学に進む努力をすれば道は開かれる学び舎になっています。

★ディプロマポリシーは、同校サイトによると、次の通りです。

【鷗友学園のディプロマポリシー】
鷗友学園では、「慈愛と誠実と創造」の校訓のもとに、6年間の学校生活の中で学びを深めていきます。幅広い領域に対する知識・理解、思考力・判断力を身につけることを礎として、卒業時には次のような人間に成長することを期待しています。

他者との関わり合いの中で、相手をも自己をも尊重することができる思いやりの心を持つ人間。(慈愛)
バランスのとれた学習過程を通して、自己の可能性を発見し、豊かで自由な感性と自らの道を切り拓く強い意志を持つ人間。(誠実)
多様化する社会において、異なる価値観を持つ人々とも協調しつつ、平和な世界を創造する力を持つ人間。(創造)

★高校からはBYOD(Bring Your Own Device)という考え方にもとづいて、生徒は自由にデバイスを持ってきて授業から生徒会、部活にまで文房具のように活用する環境になっています。

★多様な海外研修や留学のプログラムも用意され、世界を視野に入れたグローバル教育も充実しています。

★ディプロマポリシーであり、校訓でもある慈愛と誠実と創造が、貫徹した結果、大学合格実績はでているわけです。

★誠実という校訓からは、伝統と革新のバランスも創り出しています。

★したがって、校訓は現代化されながら持続可能になっています。

★そのため、今回の新型コロナウィルス感染拡大防止のための全国一斉休校という事態になっても、オンライン学習ですぐに対応できるわけです。

★そして、鴎友学園女子は、スマートシティーならぬスマートスクールのモデルですが、あのHTHがエンジニアリングから次へ進まなくてはならないと模索している一つのモデルでもあります。このことは、もちろんHTHも多くの人も気づいていないでしょう。このモデルは他に恵泉があります。それ以外はまだ実践されていないかもしれません。

★結局、新渡戸稲造や内村鑑三の精神に影響を受けた時代に創設した鴎友学園女子や恵泉だからこそなのかもしれません。新渡戸稲造や内村鑑三は官僚的な近代国家路線とは違うもう一つの近代化路線を考え論じ行動していました。

★ポスト・コロナショック時代は、その当時のもう一つの近代化路線に活路があるのかもしれません。鴎友学園女子の時代が到来します。

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2020年4月12日 (日)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(33)聖学院 圧倒的な<教育出動力>。100本の授業動画一挙公開。

★この難局を乗り越える時、ガタガタ言わずに、四の五の言わずに、やらない理由を並べずに、圧倒的スピードで100本の授業動画を創り上げて明日13日から在宅の生徒に配信するオンライン学習を整えた聖学院。その圧倒的<教育出動力>に誰もが感服しないはずがありません。

★外出しないで、家にこもる状況をつくりあげることが命を守ることであり、それが世界を救うことになる。何が大事か。Only One for Othersの精神の発揮こそ最優先順位事項であると覚悟を決めたときの聖学院の動きは圧倒的。

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★それにしても、本当に思い切ったことをやったものです。生徒は驚きますよね。自分たちはこんなに授業を受けていたのか受けるのか。日々の積み重ねがいっぺんに見える化されてこんなに自分たちは学んできたし学ぶのだと。

★いつもだと、一週間のうちに、聖学院のキャンパスでは、中1~高3まで合わせて200時間くらいの授業が展開しています。積分するとすごい学びの活動時間が繰り広げられています。しかし、1人ひとりは、日々6時間くらいの授業です。微分的に暮らしていると、その凄さがわかりませんね。

★かりに計算しても、一学年だと、30時間強の授業ですから、生徒自身は聖学院全体で学びの活動量がどのくらいなのか意識することはないでしょう。ところが、今回は100時間の授業が画面に立ちあがるわけです。圧巻です。いつもだと同じ授業を3つ以上のクラスで行うでしょうから、リアル時空だと300時間以上回せるパワーがあります。

★しかも、生徒にとっては、おそらく他学年の授業を見ることができるはずです。そうなると、聖学院のカリキュラムは、今後自然と飛び級のようなシステムが生まれてしまいますよね。大学のように、単位を先にとれてしまうわけです。そんなことをやるかやらないかはわかりませんが、そのようなチャンスを開いてしまったわけです。

★だいいち、文科省も生徒が学習内容を理解したら授業不要と言っているぐらいです。ということは、動画授業でどんどん理解していったら、単位の先取りができてしまうということですね。あるいは、最初はゆっくりとって、エンリッチメントな学習をして、高2からアクセルをふむなんてこともできるわけです。

★生徒が自ら学びをデザインする場こそが聖学院ということになります。もちろん、以上は私の妄想ですが、聖学院ならやりかねないなあと。

★なぜなら、今回聖学院の教育出動が俊敏に行えたのは、先生方が一丸となったからですが、その一丸となる場面は動画作りだけではなく、そもそもカリキュラムのモデルチェンジを一丸となって進めていたからです。これは、新型コロナウイルス発生以前から準備してきたものです。どうやらこの<教育出動力>を生み出す教育エンジンが日ごろから着々と進化していたからなわけです。ですから、もしその準備なしに、さあ100本作ろうと旗を振っても、動けなかったかもしれません。リスクマネジメントには、結局日々精進が欠かせないということでしょう。

★というわけで、ただいつもの普段通り授業をやって動画をつくったということではないということでしょう。そのニューエンジン部分であるカリキュラムや授業デザインはどうなっているのか?それはいずれまた21企画部長・国際部長・広報部長というマルチインテリジェンスを発揮している児浦先生にオンラインミーティングでインタビューしてみたいと思っています。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(32)工学院 なにゆえにオンライン学習なのかを深く洞察。

★明日13日から、東京と大阪は本格的にオンライン学習を行う学校がでてきます。もちろん、ほとんどは、郵送か配信でしょう。配信にWebを活用しても、通信添削的なスタイルが多いと思います。生徒自身が学びの自立/自律が出来ている場合、なんら問題はないでしょう。しかしながら、そうはいかないのが生徒に限らず大人もそうでしょう。

★だから、オンライン学習をするかしないかは、実はこの緊急事態の時に何が最も大事かを世界同時的に考えるトリガーだと思います。そして、動かなければ、そのトリガーであることの大切な価値を得ることができないのです。

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(工学院田中教務主任は、複雑適用系組織づくりの動的平衡創出リーダー。難局を乗り切るときに最も重要な役割を果たす。)

★さて、オンライン学習実施について、最も速やかに動けるのは、工学院大学附属と三田国際です。というのもふだんから複数のアプリや複数のプラットフォームを活用してPBL型授業を実施しているので、多くの教師や生徒がリアル時空とサイバー時空のハイブリッド時空(HST)を学びの場としているからです。しかし、両校のサイトではあっさりと以下のように書かれているだけです。

工学院)休校期間中の学習(オンライン学習)について
月曜日〜金曜日の平日に実施します。詳細は別途ご郵送した「オンライン学習について」をご確認ください。
※土曜日(職員会議のため),日曜日,祝日は実施しません。

三田国際)・中2~高3は4月13日(月)からオンラインによるガイダンスおよび授業を開始いたします。
・中1につきましては教科書と一緒に学年ホームページのご案内をお送りしております。
 4月13日(月)以降の学習については学年ホームページでご確認ください。

★大騒ぎをしないのはさすが余裕だなと思い、日ごろからコミュニケーションをとっている工学院の教務主任田中歩先生にWebインタビューをしてみました。すると、余裕とかではなく、教師も生徒も原則在宅でオンライン学習をやっていくには、どんなリスクやケアが必要なのか教科と学年に分かれて精査し、整理していたんですよということでした。

★オンライン学習をやること自体は、確かに問題ないのですが、この局面が意味することは何か?この局面をみんなで乗り越えていくことによって今後どうなるのか?そんなことを議論していると、今までとは違う次元のコミュニケーションが必要だということに気づいたわけです。ですから、いつものようにそのままやればよいというわけではないのですということでした。

★以心伝心はたぶんきかないでしょうし、かといって精緻なスケジュールで縛るのは、この局面を感じ考えることを停止させてしまいます。どうしたらよいか?ミネルバ大学のアクティブラーニングフォームのようにというイメージもありますが、あれができるようになるトレーニングをどこでするかですよね。何万人もの中から選ばれた学生がアクティブラーニングフォームを使ってオンライン授業をやっているわけです。

★能力の問題ではなく、生徒の発達段階を考えれば、すべての教師と生徒がミネルバ大学のように行かないのはファクトです。その確認からどうやって進めていくか。でも、いいチャンスなのです。普段の通学のときには、五感で生徒の様子がわかるのですが、今回は五感は制限されていますから、生徒の様子をどうやって収集し、学年や教科で共有していくか、実は新しい組織に変容していかざるを得ないのです。

★オンラインHRも朝だけではなく、授業終了後もやります。これはチェックインとチェックアウトというメンタルヘルスを大切にする構えでもあります。単純に時間を区切って何をやるか、リアル時空で行っていたようにやってしまうと、暗黙の了解でできていたものが抜け落ちてしまう可能性があります。

★仕事や学びはやればよいというものではありません。いろいろなニュースでわかっていうように、仕事も学びもやり方によってはリスクがあるわけです。今回のような世界リスクは、生活を一変しますから、変わると新たなリスクが生まれます。このリスクの複雑系をどう調整するかは私たちには未知の領域です。

★それゆえ、オンライン学習を遂行するうえでの体制作りは必須です。とはいえ、誰かが絵を描いてこの通りやれと命令するようなものではすぐに崩れます。共感的なコミュニケーションをどれだけ合理的に科学的に密にできるかです。3密ではなくて、マインド的な次元での密度の高さですよ、もちろん。と。

★最終的には、生徒自身が自らの学びをデザインできるようになるように、多角的多次元的に環境を先生方と生徒と協力して創っていけるようになるはずですが、そうは簡単にいきません。ですから、教師と生徒のコミュニケーションツールやプラットフォームだけではなく、教師間のコミュニケーションツールやプラットフォームもつないでいますということです。

★具体的に走り出すと、いろいろなことが起こるでしょう。トラブルやケアもあれば、感動するようなことや新しい気づきもあるでしょう。それは、できるだけオープンにして、情報を多くの方々と共有していきたいと思っています。

★眩暈がするような事態は、当たり前ですが、すでにいっぱい起こっていますが、互いにオープンマインドになっていけるように動態平衡の状況を生みだせるように調整しているつもりです。オープンになるということこそ実は倫理だと思っていますと。

★現状、現場で田中歩先生の言動を拝見することはできないわけですが、Webを通して、すべてではないですが、歩先生の苦労を引き受けながら同時にやりがいを持って動いている様子が了解できたような気がしました。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(31)富士見丘 SGHからWWLへ

★富士見丘学園の理事長補佐・校長補佐である吉田成利先生からメールを頂きました。パンデミックの暗雲立ち込める今ですが、教育出動をするというお話です。3つのポリシーの話がメインでした。

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★ディプロマポリシーの成果として今春の大学合格実績ですが、本ブログで紹介したのは3月10日現在のものでしたから、あれからまた増えたということです。東京外国語大学3名、筑波大学1名、公立鳥取環境大学1名、早稲田大学14名、上智大学10名、国際基督教大学1名をはじめ、卒業生94名としては十二分な成果でしょう。詳しくは同校サイトをご覧ください。

★カリキュラムポリシーとしては、さらなる進化をしたということです。それは、文部科学省より「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築推進事業・カリキュラム開発拠点校」に選ばれたということを示唆しています。同校サイトには、こうあります。

 <富士見丘中学高等学校は、文部科学省より「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築推進事業・カリキュラム開発拠点校」に選ばれました。

この事業は、イノベーティブなグローバル人材を育成するため、高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働してより高度な学びを提供する体制をつくることを目指しています。先進的なグローバル教育を実践する全国の高校から2019年度に10校、2020年度に12校が拠点校として選定され、本校はそのうちの1校として文部科学大臣の指定を受けました。

本校は、2015年度から5年間、SGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校としてグローバル人材を育成する教育プログラムの開発を行ってきました。WWLでは、さらにそれを発展させ、「観光立国における海洋リゾート開発と環境汚染を考える人材育成」をテーマに先進的なカリキュラムの開発と高度な学びを推進する国内外のネットワーク作りを推進して参ります。創立80周年を迎え、「SGHからWWLへ」とさらに進化する富士見丘にご注目下さい。>

★要するに、日本版APコースを創るということだと思います。国際バカロレアのDPコースやイギリスのAレベル、米国のAPという制度は、日本とは違いかなり踏み込んだ高大接続システムです。高校段階で、大学1,2年のレベルの学びを行うわけです。

★もちろん、それぞれ特色があります。DPだと世界の大学との接続が広範囲に可能な優れた学びのプログラムだと高い評価を得ているし、イギリスだとギャップイヤーがあって、大学は3年間ですから、高校時代から哲学や経済学、ダンス、ドラマなど専門的な領域に踏み込む学びがなされています。他の国だと大学1年で行うような内容になっているわけですね。

★米国のAPは、そのコースの学びの単位をとると、大学に進んでから互換されますから、さらに先に進むことができます。当然、大学レベルのコースになっているわけです。どこの大学でもよいというわけではなく、コンソーシアムを組んでいる大学どうしでという条件がありますが、今はかなりの大学の数がメンバーになっているコンソーシアムができています。

★日本では、まだそこまでの高大接続システムはありませんから、WWLコンソーシアムの取り組みは、ここにチャンレンジするということになりそうです。名実共に未来を拓くモデル校の集団というわけです。富士見丘はその1校/全国22校に認定されたということなのです。

★そして、この新型コロナウィルス感染増大防止のために、全国の学校が休校になっていますが、同校はオンライン学習を行っていくということです。これについては、本ブログで紹介しました。そちらを参照してください。ZOOMではなく、Teamsを活用するそうです。

★アドミッション・ポリシーとしては、今春の生徒募集は大成功で、大幅に入学者は増えたということです。昨年までは、帰国生が国内の一般生より富士見丘の価値を知っていたのですが、少人数のハイクオリティ教育を実施し、破格のグローバル教育も展開し、慶応、上智、ハワイ大学などとの高大連携プログラムも充実していて、なおかつ国内外の大学合格実績がしっかりでるようになっているということは、国内でも広く認知されるようになりました。

★ますます人気が高まるのですが、少人数教育ですから、一気に難しくなる可能性もあります。ポスト・コロナショック時代に目を向ければ、大人数の生徒募集を行っているところは苦戦します。少人数だから、世界リスクに、今回のように俊敏に機敏に動けるということがあります。困難な時代だからこそ、富士見丘の果敢に挑戦する教育出動は得難いものになっていくでしょう。しかも、その実践はモデルとして、全国の中高に情報が提供されるという、貢献もしてしまうのです。

★自己利益より他者利益が、個人の力だけではなく協働力がますます大切になってくる時代の到来です。富士見丘の教師と生徒が、その地平で希望のリーダーシップを発揮していくことになるでしょう。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(4)緊急事態発令から5日間 その影響はアクセスランキングにも反映か

★4月7日、政府によって緊急事態宣言が発令されてから6日目に突入。発令後初めての週末を迎えています。各メディアは、渋谷や新宿、原宿、道頓堀など人の姿がない風景が流されるも、感染数の増加は止まらない状態です。それゆえ、8割おじさん西浦博教授や本庶佑博士の提言に耳を傾けることが重要だという認識もメディアやSNSでも広まっているような気がします。

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(満身創痍の「創」は、ここでは「きず」を意味します。「創造」とはコンパッションから始まるわけですね。)

★ホンマノオト21の7日から11日までのアクセスランキングトップ10を見ても、そのことがわかります。

1:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(30)桐...
2:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(27)東...
3:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(26)東...
4:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(21)聖...
5:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(24)東...
6:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(28)東...
7:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(2)オンライン学習時代だからこ...
8:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(23)光...
9:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(25)か...
10:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(3)オンライン学習時代はチュー...

★いつもなら、ロングテールというブログの特徴がありますから、数年前の記事でも幾つかは10位以内にはいっているものです。しかし、この瞬間は、ポスト・コロナショック関連記事がずらり並んでいます。当然と言えば当然です。

★11から20位までみると、次のようになっています。

11:2020年春の大学合格実績(1)かえつ有明
12:ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(1)ハイブリッド時空(HST)...
13:2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早...
14:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(22)和...
15:2020年春の大学合格実績(2)工学院大学附属
16:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(29)ノ...
17:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。: ホンマノ...
18:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(20)洗...
19:2021年中学入試を読み解く準備(11)武蔵野大学中高の迅速な対応 オン...
20:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(18)開...

★ポスト・コロナショック時代関連記事は50%になります。13位や17位の記事は最近の記事ではありませんし、今までは10位以内に入っていた記事です。

★個人のフリーのブログですから、これがなんだということでしょうが、いまここで世界リスクを感じ何とかしたいと思っている方々が、教育関係者の中にたくさんいるということがわかります。

★というのも、ホンマノオト21にアクセスする方は、教育や受験に関係している人がほとんどだからです。

★今後も現実とポスト・コロナショック時代の行方とのギャップをみなさんと洞察してユートピアとデストピアのシナリオのどちらを選択することになるのか見極めていきたいと思います。そして、デストピアに向かいそうだというときには、そうならないように、教育出動を中心に発信・行動していきたいと思います。

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2020年4月10日 (金)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(3)オンライン学習時代はチュータリング時代。対話がやっぱり大事。3スキルを実装しよう。

★3月にはいって、多くの学校の先生方と対話していて思うのは、1人の教師が同じ授業を幾つも行うというやり方は、今後不要という時代になるだろうということです。これは私だけではなく、多くの方々がそう感じているでしょう。

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★つまり、今ままではリアル時空に縛られていたのですから、サイバー時空とのハイブリッドになれば、その束縛から自ずと解放されのは自然な流れです。たとえば、簡単に上記のグラフのように、同じ授業を5つのクラスで実施してきた教師が、自分の一回分の授業を動画に撮っておけば、それ以外の時間、つまり80%は、個別対応つまりチュータリングができてしまうわけです。

★生徒の方も、好きな時間にビデオ授業を見て、課題シート(まさに桐朋女子の口頭試問形式ですよ!)をメールやプラットフォームに送信すればよいわけです。先生の方も、それにフィードバックして返していく。少人数だったら、メールのやりとりだけでかなり効果的です。

★人数が10人以上になると、やはりプラットフォームを経由するのが効率的すね。

★チュータリングは、チャットや場合によってはカメラ機能でオンライン対面でやればよいのです。

★ここでしかし、重要なのは、<ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(30)桐朋女子 口頭試問の授業風景公開 オンライン学習の本当の意味。>でも触れたように、生徒自身が、自分で感じ、自分で考え、判断し、創り出していく力を学ぶことです。この能力をいかに早急に育てるかですね。

★リアルとサイバーのハイブリッド時空を手に入れるわけですから、言動の自由度が高まるわけです。

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★それに、生徒自身も生徒がかかわる客体も解放されます。すべてがinterという関係性が付加されます。主体だと思っていたのは、inter主体の一部だったということになります。客体だと思っていたものがinter客体の一部だったということになります。ウェルビーイングとは、存在だと思っていたのが、実はinter存在の一部だということに気づき、interbeingが成り立つ自然と社会と精神が循環するコミュニティを創ることです。

★ですから、生徒も教師もすべての人々が、beingからinterbeingに変容していくということになるでしょう。

★オンライン学習が目的ではなく、そのような人間の存在の変容が大切なのでしょう。オンライン授業をやると言ったり、オンライン授業をやめよう、本当のwebの学びはこうだあ!とかいうのは、私は情報としてキャッチしていきますが、興味はありません。

★しかし、そういうまことしやかな議論的な話は、少なくともHTS(Hybrid Space Time)を開くような、新しい次元や地平が生まれる時に、同時に闊歩する山師たちや革命家です。歴史はそこは繰り返すのですよ。

★だからこそ、右顧左眄せず、人間の存在が抑圧と束縛から自由になれる解放区を創るビジョンを共有したいわけです。これまでが束縛と抑圧の時代だという認識が意外とないのが不思議ですが。

★いずれにしても、この新しい解放区には、一条校という法律がなくなるときでもあるわけです。だって、すばらしい先生の授業は共有財産として活用し、あとはチュータリングで教師も生徒の境界線もなくやりとりするわけです。

★それができるのは、1人ひとりが自律したインテリジェンススキルとメンタルケアスキルとボディーケアスキルという3スキルを実装した人間であり、その存在はbeingではなくinterbeingであるという新実存的認識が共有されていることがポイントです。

★教師と生徒の境界線がなくなると、何が残るかと言うと、それぞれが探究したい領域と同じ領域でも多様な価値観や考え方を持っている存在、先行している存在とそうでない存在などと多次元というラインだけが残ります。

★そのラインをつないでいけば、その探究領域の進化の歴史を共有できます。未来が見え続けますね。

★経済は、HTSという新時空においては、もうベーシックインカムというかベーシック経済になっているはずです。

★3スキルを実装したinterbeingどうしの活動は当然横断型になりますよね。協働は当たり前です。社会距離をセットしてほどよい関係を保ちながらパノプチコンやシノプチコン陥らないようにするテクノロジーは、インテリジェンススキルの中にも、メンタルケアスキルの中にも、ボディーケアスキルの中にも久美子有れる必要はあります。

★何せ、個人情報は知ろうと思えば、頭脳や心や体の隅々まで知ることができるようになりますから。カメラを見つめる目を通して簡単に各人の神経のダイナミズムを計算できるようになるからです。新しい倫理観も3スキルには組み込まれる必要がありますね。

★どうしてもThink&Mindをベースにした3スキルは、鍛え続けなければならないでしょう。それなのに、今まではそれは一握りの人びとに委ねらて来たし、委ねてきたし、奪われてきたのです。それが解放される時代が到来したということなのです。

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2020年4月 9日 (木)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(2)オンライン学習時代だからこそWSの価値が一段と高まる。

★聖学院の児浦先生から本を頂きました。ありがとうございます!NPO法人、企業、学校という異分野の「WSの魔法使い」4人が執筆した「今日から使えるワークショップのアイデア帳 会社でも学校でもアレンジ自在な30パターン」(翔泳社2020年4月13日)がそれです。

★言うまでもなく、そのWSの魔法使いというか忍者(笑)の1人が児浦先生です。

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★kindleで予約してあるのですが、このタイミングで、一足先に頂いてしまいました。「このタイミング」というのは、皆さんと新型コロナショックの苦難を共にしている真っ只中という重要な意味を示しています。

★今日も何人かの先生方とオンライン授業やその新たなシラバスのデザインなどについてメールやチャット、ビデオ会議をしていたのですが、不思議なことに、皆さんPBL型授業、つまりWSが得意な先生方ばかりなのです。

★ですから、リアル時空におけるいつものPBL型授業をどのようにオンラインでデザインできるのかという花が咲くのですね。

★そして、今後、もしかしたら休校状態が8月まで続くとしたら、かえってリアル時空でのPBL型授業やWSが待ち遠しいということになるのではという話に花が咲き乱れていくのです。

★ですから、本書はこの期待にさらに花を咲かせ、想いを育てる土壌を豊かにすることになると思います。WSの肝は対話に花が咲くことです。内側の深いところにある種が根をはり、芽を出して、葉が広がり、やがて満開の花が咲き乱れ、対話の受粉が行われて、実がなり、内省の土壌に再び還ります。

★そのためには、水や二酸化炭素や光が必要なのですが、それが本書の30のアクティビティやツールといったアイテムです。<30パターン>と表現されています。とにも、対話は言葉だけでは豊かにならないということに本書を読んで改めて気づきました。

★多くの人や情報、自然、困苦の社会課題などとどう結びつくのか?結びつくから対話が豊かになります。自分は何かしたいと使命が生まれてきます。リーダーシップを発揮します。チームワークを大切にします。共感を生みます。などなど膨らみますね。

★しかし、1人ではそれはできません。ここがWSの肝ですね。では、多くの人や情報、自然、困苦の社会課題と結びつけるのは何か?それが30のパターンなのだと思います。

★たとえば、<氏名と使命>なんてパターンはすごく大事ですよね。これって、でもオンライン学習でも大事ですよね。名づけはまさに魔法のはじまりですよ。

★<スピードストーミング>もオンライン学習でできますね。ロイロを使う先生方はこのパターンはすぐに活用しちゃうでしょう。創造が膨らむこと間違いなしですよね。

★<問題解決カード>という井庭先生のパターンランゲージを活用するパターンなんか実に創発的です。井庭先生がオンライン用のカードを発行してくれれば、いいんだけどなあと。

★<アクションコード>は、思考コードとも重なるところがあるので、オンライン授業ですぐに使うことができますね。授業デザインだけではなく、生徒自身が「私は何者か」に思いを馳せるのに最適ですね。

★<ハンドエンゲージメント>はオンライン学習ではチャレンジングです。実際に手をつなぐことができないからです。しかし、思いを馳せることによって、かえって内省的な温かみが生まれてくるかもしれません。リアルにつなぎたいけどつなげないというもどかしさが、どんなにリアル時空でのWSが大事なのか広がるのではないでしょうか。

★こんなふうに30のパターンをオンライン学習でどう使い、使うと何が変わるのか、考えるとワクワクしてくるし、実際に試行錯誤してみると新たなオンライン学習の道が開けてくるかもしれないと期待が大きくなります。

★4人の<WSの魔法使い>は、この困窮した状況に新たな意味を見出し、ポスト・コロナショック時代に希望の花を咲かせるのだと思います。

★本書を活用して、私も花咲か爺になるチャレンジをしたいと思います。

★児浦先生!すてきな本をありがとうございます!!

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(30)桐朋女子 口頭試問の授業風景公開 オンライン学習の本当の意味。

桐朋女子が2020年度A入試口頭試問の授業シーンを公開しました。今までは受験志望者限定だったのですから、画期的なことです。同校の口頭試問の授業シーンは、入試のためのものであると同時に、同校のカリキュラムポリシーを知るうえでも大いに役にたちます。そして、同校の合格実績がでる理由が了解できます。

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★今月7日、緊急事態宣言が発令して以来、東京の私立学校は教師も在宅勤務になっています。それゆえ、オンラインホームルームやオンライン学習の環境を早急に整えている学校が多くなっています。オンライン学習とは必ずしもライブ授業だけではなく、課題配信や小論のやりとりなども含めています。

★桐朋女子も当然オンライン学習を進めていますが、最も大事なことは、生徒自身が学び方を学ぶことです。考え方を考えることです。大事な問いを探索し続けることなのです。

★それを生徒が身に着けなければ、オンライン授業をやっても実はあまり意味がありません。というのも、サイバー上で教師と生徒は共にいますが、リアルには別々の時空にいます。したがって、常に教師が生徒を見守りつづけることができません。

★生徒は教師がそこにいようがいまいが、自分で感じて考えて自分で判断しなければならない局面が増えます。

★ですから、学び方を学ぶ機会を準備する必要があります。

★ところが、その準備がなかなかないのも事実です。そんなとき、この桐朋女子の口頭試問の授業シーンを見ておけば、学び方について学ぶ体験ができるのです。オンライン授業のシステムの方法やコツを学ぶ情報はあふれていますが、学び方を学ぶ体験ができる情報、しかもそれが動画になっているというものは希少価値とさえいえるのです。

★ふだん蛇口から当たり前のように使っている水が、世界規模になるとどうなるのか、自然と社会との関係でどんな価値があるのか、人口減少がどんな社会課題を生み出すのか考えていく動画になっています。トピックの「蛇口から出す水」を他のトピックに置き換えても、実は同じように考えていくことができます。

★学び方を学ぶことができる動画なのです。桐朋女子の口頭試問入試を受ける受けないにかかわらず、ぜひご覧いただきたい動画です。桐朋女子の今回の教育出動による社会貢献が、このようなところでも発揮されているのです。

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2020年春の大学合格実績(2)工学院大学附属

★2020年度の工学院の大学合格実績は、プレ21世紀型教育改革の学年として、成功だったと思います。海外大学へ11名、医学部医学科にも4人合格し、進路の多様性は広がりました。他の高偏差値校と比べ、いわゆる難関大学の人数が少ないと思われるかもしれませんが、4大学に合格した人数の卒業生数に占める割合は、約140%です。

★まずは、4大への進路保証の基盤はできています。そして、医歯薬獣医看理工系私立大学の合格実績の卒業生比は、48%です。工学院大学だけみれば、推薦制度もあり、23%ですから、他大学にも果敢に挑戦しています。

★C1英語、PBL、ICTの学習環境を基礎として、STEAMや探究、多様な海外プロジェクトなどの大学受験勉強以上の<新しい学びの経験>によって、生徒は未来を創る眼差し、世界の痛みへの共感力、世界リスクを解決するクリティカルシンキング・クリエイティブシンキングの実装を果たしていきます。その成果の一つとして大学合格実績の成果もでています。

★来年は、21世紀型教育改革一期生の出番です。今一期生は、彼らに降りかかっている難局を受けとめ、どう考え動くべきか考えながら、大学合格実績も結果的に出していくことでしょう。受験勉強としての学園生活ではなく、骨太の学びをおくる学園生活がいかに一生ものなのか感じながら卒業生は羽ばたいていきます。この文化が工学院の教育の良質の土壌として毎年堆積されていくことでしょう。

★さて、いわゆるGMARCH以上の今春の実績は以下の通りです。

【医学部医学科】4人
横浜市立大学
昭和大学
東邦大学
国際医療福祉大学

【海外大学】11人
Baylor University
Michigan University
Oregon State University
Rutgers University
Syracuse University
University of Massachusetts
University of Alabama
University of California,Davis
University of California ,Santa Cruz
University of East Anglia
University of Exeter

【国公立大学】9人
東北大学 1
東京都立大学 4
横浜市立大学 2
山形大学 1
静岡文化芸術大学 1

【早慶上理・GMARCH】48人
早稲田大学 2
上智大学 7
東京理科大学 2
学習院大学 1
明治大学 6
青山学院大学 4
立教大学 8
中央大学 2
法政大学 16

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2020年春の大学合格実績(1)かえつ有明

★かえつ有明が、同校サイトで2020年度の大学合格実績を公開。次のようになっています。

 【国公立大学】
東京大学1 一橋大学1 東京外国語大学1 千葉大学1 電気通信大学2 東京海洋大学1 国際教養大学1 弘前大学1 信州大学2 金沢大学1 福井大学1 滋賀大学1 長崎大学1 防衛医科大学校1 
(国公立 合計16)


【私立大学】
早稲田大学22 慶應義塾大学20 上智大学14 東京理科大学21 国際基督教大学(ICU)6 
(早慶上理ICU 合計83)


学習院大学7 明治大学22 青山学院大学13 立教大学16 中央大学10 法政大学21 
(GMARCH 合計89)


関西大学1 関西学院大学7 立命館8 日本大学35 東洋大学24 駒澤大学7 専修大学4 成城大学9 成蹊大学4 明治学院大学13 武蔵大学3 武蔵野大学23 獨協大学19 芝浦工業大学28 千葉工業大学10 立命館アジア太平洋大学1 津田塾大学6 日本女子大学2 …


【海外大学】
メルボルン大学(豪)1 ミシガン州立大学(米)1 カリフォルニアバプテスト大学(米)1 テンプル大学(米)1 クイーンズ大学ベルファスト(英)1 マンハイム芸術音楽大学(独)1 実践大学(台)1 静宜大学(台)1 
(海外 合計8)

★卒業生数は180人くらいでしょうから、いわゆるGMARCH以上の合格数が卒業生数に占める割合が100%を超えています。なおかつ海外大学の数も8名。特にICU6名はすごいですね。かえつ有明の生徒の進路の考え方を象徴しているかもしれません。

★国際生がたくさん入学する多様性とアクティブラーニングを全クラスに浸透させる教育の質がそのまま反映しています。いわゆる大学受験勉強を第一の目的にすることのない教育で十分に進路を拓くことができることの証明をしているといえます。

★教育の質で人気で結果もでる。つまり「教育の質」=カリキュラムポリシー、「人気」=アドミッションポリシー、「結果」=ディプロマポリシーといった3ポリシーが循環していることが了解できます。

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2020年4月 8日 (水)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(29)ノートルダム女学院 経済は自粛 教育は出動

★昨日政府は緊急事態宣言を発令。今日も東京の感染者は144名と増加。一方でまだ感染者がでていない静岡県の御殿場市では経済自粛の影響を受ける中小企業に迅速に上限100万円までの補償を出すことを決定。この不測の事態を、日本全体、いや世界全体の問題であると捉えるか捉えないかの認識や意識の差は、いろいろでてきています。

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★そして、本日、京都も緊急事態宣言に準ずると発表しました。大阪兵庫、愛知の間にあって、もちろん京都も他人ごとではないのです。そんな中、ノートルダム女学院中高は、昨日、自治体に先駆けて、オンラインホームルームとオンライン授業を実施していくことを決定したということです。同校サイトでもその対応策について詳しく発信されています。

★インバウンドで海外の外国人で大混雑していた京都は、今ではその気配がまったくないそうです。ホテルもタクシーも観光バスもその経済活動のダメージは、東京や大阪と同様なのです。もしかしたらそれ以上かもしれません。

★そして、今回の緊急事態宣言発令です。しかし、これは人の命を守るための経済活動の自粛です。今は耐えなければなりません。学校も休業に京都もやがて順次なっていきます。

★東京は突然緊急事態宣言になったので、学校は今目の前のオンライン学習をどうやるのかそこに集中していますが、京都は少し時間差があるので、オンライン学習の重要な意味を当事者の教師が考える時間がありました。この休業は、たしかに外出自粛の結果であるが、生徒の自宅での学習や教師の在宅勤務は、教育出動の機会ではあるわけです。

★自粛によって、経済的にはダメージが大きいのですが、学校はだからこそ教育出動を大胆に行い未来への学びの変容を生み出せるのです。もちろん、経済的ダメージは、やがて教育にも影響を与えます。だから、時間はないのです。でもただ教師も生徒も自宅待機しているわけにはいきません。その新たな時空で新しい学びの経験を生み出す教育出動をすることは可能だし重要です。

★経済的ダメージの忍耐のむこうに未来の希望を生み出すには、教育出動が重要なのです。しかし、毎日学校に登校してというわけにはいかないのです。いまここで、オンライン授業が必要になる本質的な価値は、ここにあります。

★ノートルダム女学院は、自粛と委縮は区別して、大胆にそして細心の配慮をしながら動き始めたのです。ノートルダム小学校も同時に動いていると聞き及びます。

★東京や大阪と違って、まだハイブリッド時空の活用の自由度は高いのです。新しいオンライン学習が試行錯誤しながらできていくことでしょう。具体的な展開が始まりましたらまたご紹介します。先生方とはオンライン対話になっていくでしょうから、いろいろインタビューしていこうと思います。

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ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(1)ハイブリッド時空(HST)生活世界市民へ

★昨日4月7日(火)緊急時代宣言が発令発行しました。あっという間に私たちの生活世界の空間と時間(時空)が変わりました。この新しい生活世界の時空を当面<ハイブリッド時空(HST:Hybrid Space Time)>と呼んでおきましょう。

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★このHSTは、もともと人間は持っていたものです。しかし、多くの人々は、リアルで生物的な時空に閉じ込められていました。その正当性は、合法的で合理的な法治主義によって担保されてきました。しかしながら、そのような法実証的な法治主義のともすれば監視の行き過ぎや規制の行き過ぎを議論する場としてリアル時空とマインド時空に倫理時空をつくって、チェックしてきたわけです。

★しかし、もちろん、常に全体意思との闘いがあるわけです。倫理空間では一般意思が作動しているうちはよいのですが、本当の世界リスクはここにあります。このことはいずれまた考えましょう。先に進みます。

★ところが、今回緊急事態宣言で、不要不急以外は外出を自粛という暗黙の規制によって、今まで一部の人に開かれていたサイバー時空とバイオ時空がつくりだす革新時空が市民全体に開かれました。

★中高生徒全員に1人1台デバイスが配布されます。今まではここは私事の自己決定領域だったのですが、もはやそんなことは言ってられないという話ですね。もちろん、ここにも監視体制の強化システムがもれなくついてきます。<市民>という意識を私たちは生活世界の中でよほど意識しなければならない時代がやってきたわけです。

★ともかく、同時にサイバー時空とマインド時空がつくる<創造時空>が生まれました。今まで規制時空に閉じ込められたいた人々も、いろいろなことを創造してよいのです。間のところ創造対価貨幣が発明されていませんが、仮想通貨の中でそれが生まれてくるのは時間の問題です。

★わたしたちは、まだ映画「マトリックス」のようい、脳内だけで生きて行く存在ではないので、この4つの時空を往来しながら世界リスクを回避したり解決したりしながら生きて行く生活世界が広がっていきます。

★残念ながら規制空間で収入を得てきた場合、その時空だけで通用してきた仕事はなくなります。この時空だけで通用してきた教育活動もなくなります。ハイブリッド時空市民になる学びを探究していかねばならなくなるでしょう。

★そして、このハイブリッド時空を法治主義の名で支配しようとする権力(もはや国家権力ではなく別の新手の権力にシフトするでしょうが)のHST生活世界市民への介入も出てくると思います。新しい市民にとっての人権とは何か、その実存も読み替えていく創造的思考力・批判的思考力が必須になっていきます。

★昨今のすべての学問の新しい動きが一気呵成に合流することを期待しています。もちろん、私もその流れに参加します。

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2020年4月 7日 (火)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(28)東京エリア塾もオンライン学習。 私学にもより一層影響か?

★緊急事態宣言がでると、特に東京エリアは、学習塾は休業要請対象になる予定となっています。もちろん罰則規定はないので、休業しないところもあるのですが、早稲田アカデミーは、オンライン授業を行うことを決定しています。四谷大塚は、オンラインで学べるシステムは既に持っています。SAPIXは、まず4月中の授業をいったん休みにし、代替活動を考えているということです。ということはオンライン学習になるでしょう。

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(オンライン探究について動画をYoutubeで見ることができる)  

★はやくからオンライン探究を配信している探究学舎のイメージで塾はオンライン学習を行えば、おそらくすぐに移行できるはずです。要は授業をそのまま映して配信し、自宅学習用教材で探究の時間を設け、それを循環させていくというやりかたです。上記の動画をご覧になればすぐにわかります。

★塾の場合、家庭のサポートを得られるので、実はやりやすいのですね。メンタルケアは保護者がしてくれるからです。

★塾の授業が一方通行から双方向に変わっていくし、自在にネット上のリソースを使いながらオリジナルの創意工夫もなされていきます。1条校という法律の文言がなくなれば、学校と塾の境界線がなくなる時代がポスト・コロナショックの時代ということかもしれません。

★したがって、この非常事態宣言をきっかけに、私学は塾の新しい動き以上の動きを見せなければヤバイということでしょう。

★教育業界は大転換の時代がきたようです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(27)東京エリア私立中高一貫校 緊急事態宣言発令直前のいま何が起きているか?さらに差が付くオンライン学習。

★本日4月7日、もし緊急事態宣言が発令されたら、学校はどうなるのか?休業なのは休業なのですが、生徒のみならず教師も在宅勤務になります。原則という条件付きでしょうが、すでに青山学院は在宅勤務宣言をしています。前回まで紹介してきた学校も、先生方は学校に来てそこでオンライン授業や学習をしてきました。

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(4月5日品川翔英の入学式、リアルな場には生徒はいません。もはや時空を超えたマインドフルな入学式となりました。新校長の柴田先生の覚悟と気概が凄い)

★この意味が極めて重要なのです。オンライン学習は結構トラブルがあります。ZOOMなど使っているとときどき落ちます。その教師が自分でホストをやっていないと、ホストに修復を頼んだり、テクノロジーやエンジニアリングに明るい教師に頼んで修復してもらったりということがあります。

★つまり学校勤務でオンライン学習を実行するのと在宅勤務でオンライン学習をするのとでは、教師のテクノロジー能力によってはうまくいかないい場合もあるのです。

★それゆえ、品川翔英などでは、昨日から急遽在宅勤務体制でもオンライン学習がうまくいくように準備をしているようです。教師一人ひとりがパーソナルテクノロジーを鍛えているわけですね。

★今までプリント配布をして、ときどき登校してもらって指導をしていこうと思っていた学校は、もう生徒の学びは自己責任になります。

★それはそれでよいという考えもあるでしょうから、それがダメだなんて言うつもりはないのです。

★ただ、品川翔英のように、PBL型授業でオンライン学習もハイブリッドで授業をデザインする準備をしてきた学校が、今度は完全オンライン学習となると、教師の役割が今度はファシリテーターからコーチに変わります。PBL×オンライン授業のデザイナーでもあるわけです。

★このポスト・コロナショックの時代において、緊急事態宣言前から準備をしてきた学校は、自ずと教師のファシリテーター、コーチ、デザイナーとしてのマルチな才能の腕が向上します。なおかつ創意工夫をしますし、テレワークで協働もします。いちいち管理職の判断を仰がずにやらなければならないこともあるでしょう。

★しかし、それは組織としてはあとからクラッシュする場面も出来てきますから、オンラインでの瞬間的な意志疎通ができるシステムづくりと共感的コミュニケーション能力の両方が高くなります。

★なんといっても、今回は生徒の命を守り、同時にそのことが世界リスクからすべての人の命を守る行動をしていることになるのだという実感を抱けます。組織から与えられたタイトルリーダーシップを発揮するのではなく、天から要請されたナチュラルリーダーシップを1人ひとりが発揮していける教師がどんどん増えるわけです。

★緊急事態宣言前から準備していた学校とそうでない学校では、チームワークの力と教師力のクオリティとパワーの両方の差がついてしまいます。

★さて、みなさん。偏差値の差を大切にしますか?それとも組織力と教師力のクオリティとパワーの差を大切にしますか?その回答の選択はもちろん、私事の自己決定です。

★いずれにしても、いまここでの「小さな差」が「大きな差」になるという微積分的世界が目の前に現れます。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(26)東京エリア共学校 緊急事態宣言発令直前のオンライン学習表明情況

★本日の緊急事態宣言発令のために、今各学校は準備と会議で様々なことが急転回になっていますが、現時点で学校サイトでオンライン学習実施の表明をしているところはどこかざっと見ています。この瞬間に確認しておくことは重要です。なぜならそのような学校は先見性を持っていることを示唆しているし、世界リスクに対応できる底力を持っていることも示しているからです。

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(4月5日、品川翔英の入学式。生徒と保護者はいないけれど、あらゆる困難を共に乗り越えていくマインドを共有する祈りに満ちた入学式になったようです)

★東京エリアの私立共学中高一貫各校のサイトをみていくと、<オンライン授業>を明快に行うと発信しているのは、

武蔵野大

かえつ有明

日大三中。

★オンライン授業とまでいかなけいれど、Webを活用した学習指導をしていくと表明している学校は次の通りです。順不同で記載していきます。

開智日本橋

広尾

八雲

ドルトン東京学園

駒込

文化学園大学杉並

聖徳

日大二中

★そんな中、工学院大学附属や品川翔英のように、サイトで表明していないけれど、行う準備をしている学校もあります。

★そして、大きく変わるのは、本日です。というのも緊急事態宣言が出されたら、教師も原則在宅勤務になります。そうなったとき、どうやって生徒たちの学びを持続可能にしていくのでしょうか?もはやオンライン学習をやる以外にないのです。

★プリント配布をしてあとは生徒の自己責任と言ってられるかどうか。今後学校の世界リスクの意味の受けとめ方や認識力の差は問われることになるでしょう。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(25)かえつ有明が変える世界 説明会も授業も 多様性と共感と存在と

★かえつ有明がまた先頭を走り始めました。4月4日、同校は、ポスト・コロナショック時代の教育の在り方とその意味を投げかけたのです。ちょうど1カ月前の3月4日、佐野和之先生(かえつ有明副教頭)と金井達亮先生(元かえつ有明教諭・現在東京大学大学院博士課程)と対話したことについて、ホンマノオト21に記しました。

参考)感染症に対応する都市機能の変容能力(7)佐野先生と金井先生と対話する。静かに大きくウネルとき。

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★その記事にはこう書きました。「ともあれ、社会インパクトを与える新機軸とはなんであるか、対話をしているうちに、すでに具体的な構想力に結晶していることが判明しました。その全貌の公表はもうすぐだそうです。乞うご期待。」と。

★その全貌を発信したわけでは、まだないのですが、その一端を発信しています。

★たとえば、広報チームは「今後、オンラインの学校説明会や個別相談の実施」をしていくと表明しています。説明会の動画を配信することは当然するでしょうが、共感的コミュニケーションを大切にしている同校です。双方向的なシステムを導入しないわけがないのです。そして面談もリアルにもやるでしょうし、オンラインでも実施していくでしょう。

★教務チームからは「休校期間中はONLINEによる授業、面談、ホームルーム等を随時行います」という表明がなされています。やはり双方向的なシステムをいれて、共感的なコミュニケーションをベースにした授業や面談、ホームルームを実施していくというわけですね。

★同校は今までは高校段階で、「BYOD」(Bring Your Own Device)というシステムを導入してきましたから、中学でも自分のPCやタブレットを持ってくればよいだけです。今回のオンライン授業開設で、デバイス環境が学校と生徒の間でより充実するでしょう。

★オンライン説明会とオンライン授業という俊敏な」動きはさすがなのですが、なぜこれができるかというと、アクティブラーニングが徹底しているからです。知識・理解レベルの情報収集や学びは、もはや動画や学習用アプリでよく、コーチングやカウンセリングの一部はオンラインでできます。

★だから、リアルにあったときは、すべてワークショップ型でいきたいというのが佐野先生と金井先生の想いです。共感的コミュニケーションや信頼は、やはり五感を研ぎ澄ましながら生まれてくるので、現状のテクノロジーでは、まだリアルスペースは大切です。ですから、ポスト・コロナ時代は、オンライン説明会やオンライン授業も継続しながら、知識と論理的思考とマインドフルネスの組み合わせは、ハイブリッド時空になっていきます。

★これによって、時空の自由度が生まれてきます。しかも、この生活世界は政治経済社会をも変えていくでしょう。

★かえつ有明の教育の新しい在り方は、そういう意味で社会インパクトがあります。それに今年の高1は、中1の時に全クラスアクティブラーニングを実施した一期生です。

★おそらく、このことをイメージすれば、すぐにかえつ有明の高校のカリキュラムや教育活動が大きな変化をもたらすことになっていることに気づくでしょう。このことは、5月6日以降に新たなシーンとして映し出されます。そのときまたご紹介しましょう。全貌が見えるはずです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(24)東京エリアの男子校でオンライン学習を表明している学校。

★どうやら本日7日、緊急事態宣言が発令されそうですが、昨日までにざっと東京エリアの男子校のサイトをみて、オンライン学習を表明しているところはどこか?調べてみました。

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(写真は、聖学院サイトから)

★高らかに<オンライン授業>を明言しているところは、聖学院と佼成学園。

★<オンライン授業>とまではいかないまでも、<オンライン>や<インターネット>、<WEB>を活用すると表明しているところは、開成、麻布、武蔵、足立学園、巣鴨、城北でした。

★3月2日には、すでに静岡聖光学院がオンライン授業を開始して、多くのメディアに取り上げられていましたから、もっと多くの男子校がオンライン学習の環境を整えているかと思いましたが、意外でした。

★ついこの間まで、男子校でICT教育をやっているところは偏差値が云々と言っていたある大手受験塾やそれに追従する一部のシンクタンクの功罪は、あとあと歴史を振り返ると大きいかもしれませんね。

★それに偏差値の高低に関係なく、オンライン学習の環境を進められるところは進めていたということも判明しました。

★この世界規模の感染拡大の危機の中で、オンライン学習なんてやっていたら大学合格実績がでないなんてどや顔で語る人はいないでしょう。今は言えないけど、そのうちにまた言えるくらいの感覚でいるのかもしれませんが、その機会はもはやないでしょう。行動変容は社会変容、世界変容を生み出すからです。コロナショックは、ローカルではなくグローバルな危機です。人々の行動変容も世界規模です。

★グローバルの功罪を身に沁み、その改修工事に世界が挑むことになるでしょう。グローバルな危機を救うのもまたグローバルな協働だからであるということを毎日多様で多次元なメディアで思い知らされ、日々の生活で身をもって体験してしまっているからです。

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2020年4月 6日 (月)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(23)光塩女子学院 佐野摩美新校長のメッセージに深く共感。

★今月4月1日、佐野摩美先生は、光塩女子学院中等科/高等科の校長に就任しました。佐野先生とは、幾度かパネルディスカッションなどで共にさせて頂きましたが、文学的に豊かな言葉で語り、同時に論理的かつ鋭敏に言葉の構成を組み立てる方です。そして何より基準を明快にしてそこから意志の光で真っすぐに物事を貫いていくのです。

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★今回の校長メッセージにも、それらの要素が満ち溢れていますが、光塩で育つ生徒の愛情と知性と言動力などのルーブリックのマトリクス表まで掲載されているというのはやはり規格外で痛快です。しかも、6年間だけではなく、入学前と卒業後の成長の目標が明快になっているのです。凄すぎます。

★このような基準がはっきりしているから、迷うことなく、困難混迷混沌とした事態に立ち臨めるのでしょう。すばらしいディシジョンメイカーとしてリーダーシップを発揮することは間違いないでしょう。

★佐野校長は、メッセジーの中でこう語ります。<甘えと過信を払拭して、私たち一人一人が責任をもって、「すべてのいのちを守る」という気概を持つことが肝要です。>シンプルですが強く響いてきます。いまここで私たちが共有したい気概とは、これです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(22)和洋九段女子 緊急事態宣言発令前夜の俊敏な動き。

★和洋九段女子の俊敏な動きに驚愕しました。明日7日緊急事態宣言が発令される可能性大というニュースが流れるや、新中1~新高2を7日中に集めて、学びの態勢を一気呵成に整えるという動きに出ました。

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★時差登校と分散登校の行動計画が、学年別に同校サイトに掲載されています。おそらく、緊急事態宣言発令に対する準備ができていたからできたことだとは思いますが、この俊敏力の構えは、同校の変容力を映し出していると言えましょう。

★特に、新中1は、オンライン学習のために、タブレット型PCを手渡さなければならないので、明日7日の登校は重要です。明日の新中1のプログラムは、< ①個人配付物の配付→②タブレット配付(起動確認のみ)→ ③提出物回収→④教科書配付→下校 >となっていますが、全体の時間は40分で終了というのです。

★学校の態勢もプログラムのデザインも、速度感があります。こういう動きができるというのは、学校組織が自律分散協働系でできているということでしょう。

★PBL型授業でもインプロ型の展開が自在にできることが肝なのです。同校の新高1生が行っているSDGsすごろくのワークショップもそのときどきに設定された時間に適合するようにデザインしています。

★野生の思考とかブリコラージュ的なデザイン手法が和洋九段女子の組織や授業の土台となっているということでしょう。この資質能力は、未来を切り開く最強の力です。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(21)聖光学院、栄光学園、横浜女学院、横浜創英、湘南学園、サレジオ学院、洗足学園 オンライン学習を表明。

★緊急事態宣言が明日出されるかもしれないという4月6日、中高のサイトでオンライン学習を行うことを表明しているところを紹介しているのですが、意外と少ないというのに驚いています。神奈川どうだろうとざっとサイトを見ていったところ、やはり意外。もちろん、サイトで公開していない学校もあるでしょうが、オンライン学習はある意味その学校の覚悟を示すことだし、不要不急の対応を共有しようというメッセージにもなります。つまり生徒自身の命を守り、他者への感染拡大を防ぐ覚悟。人類愛あるいは隣人愛の教育出動を意味します。

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(写真は横浜創英のサイトから。新校長工藤勇一先生のメッセージは、ソサイエティ5.0に対応する未来型学校をデザインするという宣言です)

★さて、神奈川エリアでは、<オンライン学習>という表現をズバリ使っているところは横浜女学院だけでしたが、インターネットやWebで学びを実施していくと発信しているところは次の通りです。

聖光学院 Webを利用した授業

栄光学園 インターネットで配信される課題などを中心とする自宅学習

横浜女学院 オンライン授業を開始します。クラッシー、チームスの利用が主となります。

横浜創英 本校の授業にもとづく学習課題に加え、ベネッセ「Classi」の動画コンテンツ等を活用し、学年・コースに合わせた学習動画を視聴するシステムを整えました。

湘南学園 休校期間中は、インターネットを介したテレスタディの形態での学習を求め、登校日は設けません。

サレジオ学院 休校期間中の学習は、郵送あるいはオンラインを通じて教材を配布し、指示を出します。

★こうしてみると、今まで紹介した学校もそうでしたが、ふだんから未来型教育に力を入れているところばかりですね。

★もちろん、オンライン学習礼賛者ではないでしょう。ただ、授業を教師の手中に収めることに対し相対化できる学校ということです。

★感染症拡大を防ぐために社会距離というのが今重視されていますが、実はこの事態に至っても闇部活を行っているという教師がいることが問題になっていますが、そもそも教師と生徒の密着距離から離れられないケースが過剰だったのが今までの教育でした。

★これは時々、同調抑圧感染を拡散する危険性があったのです。感染症を防ぐにも、抑圧感染を防ぐのも、実は社会距離は大事なのです。オンライン学習は、対面授業のように五感をフルに生かせません。足りない感覚を補うために、いろいろな工夫をするのですが、そうすると、生徒と教師のコミュニケーションの間に媒介物が設定されます。

★その媒介物は、呼吸は維持しながらウィルス拡散を防ぐマスクさながらです。見守る眼差し相対化する自由度が人間存在の成長には必要です。肥料も多すぎると種は芽を出しません。それと同じですね。

★子供の命と知を守ることができる学校はどこか。今こそそれが明らかになる時です。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(20)洗足、カリタス、恵泉、東洋英和、JG コンパッションのメッセージとオンライン学習

★洗足学園、カリタス女子、恵泉女学園、東洋英和女学院、JG(女子学院)のそれぞれのサイトを開くと、現状対峙している新型コロナウィルスの難局の意味を歴史的側面から格差社会の側面から多角的に考察をして、その世界の痛みを引き受け、みんなで乗り越える思索と祈りを大事にするようにとメッセージを投げかけています。

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(写真は、洗足学園のリニューアルスペースの壁に埋め込まれているメッセージ)

★桜蔭、雙葉、豊島岡女子、フェリス女学院などは、現段階では特にメッセージを投げかけていません。まして、オンライン学習をやるのかどうかも発信していません。もちろん、だからといって、学内の生徒にWeb上の連絡を行っていないわけでも、オンライン学習をやっていないということもないでしょう。

★学内向けのインターネット上の連絡網はしっかりしているはずだからです。

★ただ、メッセージは欲しいと感じました。なぜなら、これらの学校は、それだけ、影響力があるからです。小中高生が、何を考えていけばよいのか、どんな言動をとればよいのか、学校を超えてメッセージを共有していただければ、こんなに元気がでることはないと思うからです。もちろん、そんなミッションを押し付けるつもりはありません。ちょっと期待していたという程度です。

★さて、恵泉女学園の新校長本山早苗先生は、こんなメッセージを同校サイトで発信しています。

<学校は教科学習だけでなく、毎朝の礼拝、行事やクラブ・課外活動、信和会活動など様々な活動を通して、信頼や友情、互いを思いやる心など、人が生きていくうえでとても大切なものを学ぶところです。新年度を始めるにあたって、人と人との物理的接触を避けながら、どのようにして皆さんの学びを推し進め、互いの心の絆を育むことができるか、真剣に検討を続けています。休校期間中も様々な方法を用いて、皆さんとの信頼関係を構築し、学びを支援していきたいと願っています。>

★JGと同様に、思索と祈りを大切にしていることがわかります。オンライン学習になるかどうかは、明示していませんが、それはオンライン以上の学びについて思い巡らしているからでしょう。また、こうも語っています。

<さあ、新年度も皆さんの前には解決に向けて取り組むべき問題が山積しています。今年も皆さんの学びを通して、これらの問題に果敢に挑戦していきましょう。
 日々医療現場で奮闘してくださっている方々、困難な状況に置かれている方々の健康と心の平安が守られ、世界中の人々が一日も早く平穏な日常を取り戻すことができるよう、共に祈りを合わせていきましょう。
「わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望は私達を欺くことがありません。」 (ローマの信徒への手紙5章3~5節)>

★苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むというメッセージはとてもすばらしい言葉です。はじめに言葉ありきとはヨハネの福音ですが、まさに。

★そして、カリタス女子も東洋英和もオンライン学習も行っていく表明をきちんとしています。特にカリタス女子の先生方がオンライン学習の準備に余念がない姿が、同校facebookにアップされていて、その奮闘している姿に勇気づけられます。

★今医療崩壊がおきるかどうかのギリギリのところまできていて、医療にかかわる方々の凄まじい環境下での姿に感謝の意を表すると同時に、自分ができることは不要不急の外出をしないことでしか役に立てないことに無力さを思い知らされます。

★カリタスの先生方の姿をオンライン上ですが知ることで、改めて教育崩壊が起きないのは先生方のこの努力のおかげだと思います。先生方はどこかで、自分たちが頑張っていることを発信することを控えている部分があります。しかし、こんなに頑張っているんだということは発信したほうが良いと思います。ポジティブにタフにでも本当はとても大変なんだという姿勢を生徒と共有することは大切です。

★先生方の日々の忍耐・鍛錬・練達は、生徒の忍耐・鍛錬・練達の言動に共感・共鳴・共振するからです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(19)開成 <オンライン学習>の本当の意味は世界の痛みを引き受ける<探究>。

★今回の不測の事態はたしかに大変な事態です。しかし、あとから歴史を振りかえれば、幾度も降りかかってきた予測不能だけれどいつかは起こることを避けることができない世界リスクの1つであるということです。この局面にぶつかったときに、国や専門家や権威者だけが対応するのではなく、個人1人ひとりが対応しなくてはならない。

★それが世界同時的に起きていることが今までにない世界リスクであるわけですが、そうなってくると子供1人ひとりも、自分なりに考えて行動するスキルやテクノロジーを実装する必要が出てきたわけです。それを世界同時的に共感できる事態なわけです。この共感はコンパッション的な共感です。自分は何も悪いことをしていないのにある時当然降りかかってくる災禍にみんなが直面したのです。そして、それを1人ひとりの力と協働する力のハイブリッドで乗り越えざるを得ないと共感しているわけです。

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★そして、大事なことは、個人1人ひとりが対応できる力を生みだせない場合、共感力は同調抑圧力に変わるという瀬戸際に立たされるのもこういう時です。この瀬戸際の認識がクリティカルシンキングです。クリエイティブシンキングです。スペクラティブシンキングです。

★いま、世界同時的に不要不急の外出はしないという自粛要請以上のルールが発行されています。そんな中で、やはり世界同時的に子供たちが学びを続けるには、どうしたらよいか議論され共有されています。

★世界の学校で、オンライン学習と社会的距離を保ち手洗い・うがい・マスク装着などの公衆衛生学にのっとった分散登校・時差登校などハイブリッドな学習が必要とされています。

★この新しい学びの時空を通して、私たちは、子供たちと今何を考え行動するか共有すればよいのでしょうか?普段の学びをそのままこの時空に挿入すればよいというわけにはいきません。だって、いまここで最も重要な問いを引き受け思考しなければならないのです。そんなときに、思考するにはまず基礎知識が必要だ!から始めますか!?

★そんなことを思い巡らす局面に、私たちは立たされています。そんなとき、開成はサイト入学式の式辞で新校長の野水勉先生がこう語っています。

<今年は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、対面授業の開始は 5 月の連休明けが当面の予定になっていますが、開成の教育は、4 月 6 日から始まります。少なくとも、この 1 か月は対面授業ができませんが、開成の各教科の先生方が様々な工夫をして、インターネットを活用し、自宅で学習するための教材を準備しています。新しい試みも少なくないと思いますので、戸惑うこともあるかと思いますが、自分で考えながら、時には遠慮なく先生方に質問しながら、勉学に努めてください。5 月中旬には、中間試験が予定されており、自宅での学習成果が試されます。
ただ、皆さんも保護者の方も、学校の成績にあまり一喜一憂しないようにしてください。学力をもった生徒の皆さんが集まっているので、学力の差はわずかです。成績に一喜一憂せず、皆さんの好きな分野を見つけ出し、個性を伸ばしていただくことを期待します。得意な教科でも、運動でも文化活動でも構いません。保護者の方にお願いしますが、ご子息は中学生になったので、ご子息の自立を助け、個性を伸ばすよう、少し距離を置いて見守っていただくことをお願いします。「勉強しなさい」は、控えてください。>

★もちろん、オンライン学習で、ふだんの授業の内容も行うのでしょうが、この文脈は、何より自分の好きな分野を見つけ、個性を伸ばす<探究>が重要だといっている気がします。そのためには、保護者も「勉強しなさい」は言わないようにと。もちろん、これは教師にも当てはまります。

★開成の生徒は勉強できるからこんなことを言えるのだとすぐに思わずに、生徒1人ひとりの<探究>の構えを最優先できる状況を、今だからできると思ってみてはどうでしょうか。オンライン学習は、<探究>の構えを育成し、それぞれの創造的思考を開花する場であってほしいと思うのです。

★そして、その実現のためには、論理的思考も反復練習する模倣も大事です。この不測の事態としての世界リスクが目の前に現れている時間は長いようで短いかもしれません。今までと同じ学びに戻りたいという欲求があれば長いと思うでしょうが、潜在的創造的思考の開花となれば、時間は短いかもしれません。

★教科学習の後に<探究>が待っているのではなく、<探究>の構えがあって教科学習というか専門知識があれば、それはそれぞれの<探究>をサポートすることになるでしょう。

★入学式の式辞に、校長が5月連休明けに対面授業が再開され、5月中旬には中間試験があるからがんばれみたいなエールを贈るとはなんてユーモアがあるのだろうと思いきや、そのあとに、でもそこが重要ではないよと。わずかな学力の差に一喜一憂するのではなく、もっと<探究>を大切にするのだよと。その邪魔は保護者も私たちもしないようにしましょうと。

★教科学習は定期テストのスコアをとるためではなく、<探究>のサポートのための学びの機会だというのは、この不測の事態という文脈におけるオンライン学習だからこそということになるでしょう。どう考えても、いまここで中間テストのスコアの差を争うことが喫緊の課題とは思えないのは世界同時的に共感されることでしょう。

★それにしても、新校長の式辞にはちょっと驚かされます。開成が大きく変容する時を迎えたのだと感じないわけにはいきません。

<日本社会も、多様な背景をもった方々が急速に増えてきており、否応なくグローバル化の時代を迎えています。開成の生徒や卒業生の皆さんが、これらに臆することなく、外国語学能力を高め、多様性を充分に理解し、マイノリティー(社会的少数者)や弱い立場の方々を含め、相手の気持ちを思いやることに努めながら、日本や世界で様々な分野でリーダーシップを発揮して活躍していただくことを期待しています。もし、皆さんが新聞を毎日読む習慣がなかったら、一部で結構ですので、新聞(インターネットではなく)を読む習慣を身に着けてください。日本の動きだけでなく世界の動きを是非読み取ってください。>

★世界の痛みを引き受け行動するということに共感し、世界の様々な分野でリーダーシップを発揮することを期待すると表明しているのですから。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(18)開成・麻布・武蔵の<オンライン学習>をめぐる意味。

★本日4月6日(月)、緊急事態宣言が明日出される準備がなされているとニュースが流されている中、開成の入学式は始まりました。とはいっても、生徒の登校はありません。同校サイト上で、学園長・理事長、校長などの祝辞・式辞が公開され、式の代替としてシンプルになされました。

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(写真は、同校サイトから。)

★麻布と武蔵は、明日、明後日と入学式を縮小して行う予定でいます。が、仮に緊急事態宣言が出されれば、どうなるかはわかりませんね。開成は、5月6日までは登校はありません。シンプルな意思決定です。

★とはいえ、麻布も武蔵も登校日を決めて、分散登校・時差登校という社会距離を保ちながら、手洗い・うがい・マスク・体調管理など公衆衛生上の要素も学びながらということになっています。

★しかし、このような日々刻々と変わる社会情勢に対して俊敏に動けるのは、サイト機能の充実とフェアキャストというオンライン上の連絡網を日ごろから整備しているからです。

★また、先生方が独自のオンライン学習の創意工夫をしているからでしょう。開成や麻布、武蔵が1人1台のタブレットやラップトップを提供しているとは聞いたことがありませんが、生徒たちはデジタルネイティブのZ世代です。いいわるいは別にして、3校に通う生徒の家庭層はデジタル環境をもっていないということは、よほどのイデオロギーがその家庭にない限り、考えにくいですね。

★それゆえ、5月6日から11日くらいまで、学校によっては登校再開はまちまちだし、どうなるかわかりませんが、オンライン上で学びの環境を続けていくとサイトで発信しています。

★開成は「当面は、ICT教育(インターネットを利用した教育)にて、課題提出や遠隔授業などで、学習指導を行います。」と発信しています。

★麻布は「休校期間中は各学年会を中心に担当教員が一丸となって生徒諸君の支援にあたり、家庭での学 習教材の提供やインターネット等を利用した学習指導を行います。また、状況を見て安全性が確 保されるようであれば、分散登校による登校日を設けたいと考えております。」と発信しています。

★武蔵は「新年度もスタートしましたので、学習面を中心とした指導を順次進めて行きます。ICT の 活用など皆さんへの連絡手段の充実を図りながら、それらを通じて課題の指示などがなされる見込みです。」と発信しています。

★生徒や家庭がそれぞれICT環境を有しているという前提で発信がなされていることは明らかです。おもしろいのは、「ICT」とか「インターネト」という言葉を使いながらも、「オンライン」という言葉は、3校とも使っていないということですね。いつから、3校が使い始めるかそのタイミングは極めて重要です。そのとき、中学入試市場の方向性はガラリと変わるからです。

★「オンライン」というまだ定義も定まっていない、世間で習慣化していない言葉、文科省も使わないであろう言葉には、飛びつかないという姿勢が御三家です。その御三家が「オンライン」という言葉を使い始めたらマーケットも大きく変わるでしょう。

★とはいえ、前回富士見丘の記事でご紹介した<オンライン学習>=<オンライン授業+課題学習+自己探求>という学びは御三家でも進むと言うわけですね。

★ですから、中学入試市場の変容はもはや止められないわけです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(17)富士見丘をはじめ多様な<オンライン学習>が開発される。

★政府が緊急事態宣言を出すかどうかの話題が高まり、刻々と事態が変化しています。医療崩壊や治安崩壊など、メディアで報道されている以上の拡大があるのではないかという不安もSNSなどで飛び交っています。

★私立学校は、横のつながりで情報を交換しながら、最終的には、各私学が自分で判断して動きます。したがって、今回の世界リスクに対し、どのように対応して教育活動を持続可能にしていくのか、多様な在り方が生まれます。そこで学び続ける生徒の言動も、新たな学習の在り方を生んでいきます。

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★たとえば、富士見丘は、同校サイトによると、4月1日の教師研修で、<オンライン学習や課題配信などに対応>する挑戦をしています。同校は1人1台タブレット型PCを活用してPBL型授業を行ってきていますから、すぐに対応できるのですが、ここで、同校は「オンライン授業」を行うとは言っていないことが重要です。

★もともと、<自律/自立学習5×2>という探究学習を普段使いにしているベースがあるので、すべて<オンライン授業>で行う必要がないのです。おそらくそれが大学のオンライン講義とは違うところです。大学では、どうしても講義のコマ数が決まっていて、自在に分離したり融合したりすることが難しいのです。

★ところが、中高は、これは自在に組み合わせを換えられます。というのは、大学と違い<対話>のレベルが授業だけではなく、生徒指導という生活でも行われているからです。

★ですから、<オンライン授業>も行うけれど、<課題>を自宅で行うのも<反転学習>として<オンライン授業>の延長で捉えることができます。また、<自律/自立学習5×2>は、教師が指示しなくても自ら行っていく時間もカウントできます。もちろん、制度的な問題もあるのですが、それも時間の問題でしょう。

★したがって、<オンライン学習>=<オンライン授業+課題学習+探究>というシステムが富士見丘では行われていくことになるでしょう。しかしながら、これは普段の富士見丘の教育活動を見える化あるいは形式知化しているだけで、慌ててつくったものではありません。

★したがって、同校の教育研修では、普段学校キャンパスで行ってきたことをオンライン及び自宅というスペースに適用させる調整が主たる目的だったのだと思います。

★しかしながら、この見える化や形式知化は、いったんシステムになると、平常時になっても活用できます。富士見丘の教育活動が、世界リスクに挑んで創意工夫することによって、複雑適用系の豊かでタフな学びのシステムになっているでしょう。

★同様のことが他の学校でも起こるでしょう。そして、私立学校だけではなく、公立学校でも広がります。おそらく、多様な私立学校の動きの中から最もシンプルで効果的なシステムが活用されるでしょうが、ただ決定的に重要なシステムは、ケアシステムです。

★これは実に複雑で、そう簡単ではありません。共感的コミュニケーションをどうやってオンラインで創っていけるのか。共感オンラインコミュニケーションの必要性に挑戦するにはどうしたらよいのか。これが大事だこととなりましょう。

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2020年4月 4日 (土)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(16)文化学園大学杉並 オンライン授業がスムーズなわけ

★文化学園大学杉並の2年前までの学内課題は、DDコースとそうでないコースの<新しい学びの経験>の差があったことです。しかし、昨年その差はなくなりました。もちろん、DDコースのようにみんなが英語のC1レベルまで飛べるかというとそうではないし、世界大学ランキング100位以内の海外大学に行けるかと言うとそうではありません。

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同校サイトから、2018年~2020年度の海外大学合格実績

★しかし、C1英語の学びが、全生徒に開かれ、タブレット型PCも一人一台いきわたり、PBL型授業も浸透しているのです。したがって、国内の国高公立大学や私立の難関大学の合格実績が右肩上がりです。

★こうした21世紀型教育の環境を整えた結果、今回のコロナショックに対応するオンライン授業もすみやかに実施できるわけです。

★おそらく、多くの学校でもICTを活用したなんらかの学習は続けて行けるでしょうが、通常の授業と同じクオリティを保つ環境はまだまだでしょう。

★国内生ばかりか、帰国生も、文化学園大学杉並には、世界に通用する十分な学びの環境があることに気づき始めました。私の周りにも同校を志望し、合格していった生徒も出始めています。

★学校選びに偏差値という指標は無化されることが証明されるのがポスト・コロナショック時代ということになるでしょう。もっとも、文杉人気は、偏差値を押し上げるということになるわけですが。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(15)佼成学園の熱いオンライン授業 21世紀型教育の成果

★先ほどNHKEテレで、本年1月13日に催された「探究的学びと高大接続」シンポジウムの様子が放送されましたが、佼成学園も同シンポジウムに参加していていました。したがって、同校サイトによると、「本校の新しい学びへの取り組みと「21世紀型教育」について知ることのできる番組です。お時間があればぜひご覧ください。」ということでした。

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★2011年に発足した「21世紀型教育機構(当時は「21世紀型教育を創る会」)」の会員では同校はありませんが、独自の「21世紀型教育」を展開してきたその成果が開花しているわけです。

★そして、同機構の加盟校同様、新型コロナウィルスショックにすぐに対応できているわけです。同校の教育活動は、いずれをとっても熱いのですが、今回のオンライン授業もやはり熱い。その様子が同校サイトから伝わってきます。

★佼成学園のこのような言説や行動は、予測不能な時代に備えてきた21世紀型教育が、ちょっと複雑な気持ちではありますが、今回の感染爆発を防ぐ世界同時的な自粛態勢のときに、生徒の学びをとめない環境をセットできたことを証明してしまったことを意味します。

★今や一般化した「21世紀型教育」ですが、それがゆえに、「21世紀型教育」以上の教育に取り組んでいる学校がこれから現れてこざるを得ないということなのでしょう。

★これまで「21世紀型教育」なんて謎だとか偏差値の低い学校が何かやっていると揶揄してきた人々は歴史に評価を下される側に立つわけです。予測不能な時代の中で生徒がどのように自らの存在価値を見出し、共に多くの人と協働していけるかというビジョンを共有しているそれぞれの21世紀型教育を実践している学校は、今後ますます注目され、学ばれるということが今後起きてくるでしょう。

★この1年、佼成学園の21世紀型教育の展開に目が離せません。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(14)工学院大学附属中高 <共感実装>の通奏低音が響き始める。

★破格のグローバル教育、エンリッチメントかつ戦略的PBL型授業、先進的STEAM教育が恒常化している工学院大学附属中学校・高等学校。他の中高や大学ではオンライン授業をやります!と高らかに時代の潮流を我さきと公表しているにもかかわらす、工学院大学附属中高は、まだ公開していません。

★しかし、同校サイトの更新は頻繁で、動いていることは明らかです。それとも、オンライン授業は当たり前すぎて、同校では発信する必要性を感じていないのかもしれません。

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★なんといっても、サイトの更新の記事は、すべて主役は生徒です。様々な成果をあげている多くの生徒のニュースや3カ月留学を2週間切り上げて帰国した生徒の留学日記がどんどんアップされていました。

★時代がどんな方向に流れていくのか、生徒自身が身に染みてわかっています。そのことは、たしかに彼ら自身の未来創りにとって大事な意欲の契機です。なるほど、時代の響きに共感し、未来を創っていく<共感実装>という、工学院にふさわしいキーワードが思い浮かんできました。

★<実装>とは、一般的にはポテンシャルを現実化することを意味しますが、どうも工学やコンピュータサイエンスなどで活用されることが多いキーワード言説です。

★教師ががんばって<共感実装>しますよではなく、生徒自身がすでに<共感実装>している表現をしていく方が、たしかに未来を担うプレイヤーなわけですから、現実的だし、実用的だし、ミッショナリー的です。

★しかし、ということは、相当縁の下の力持ちとしての準備を先生方は行っているはずです。がまんができず、教務主任の田中歩先生にメールを投げてみました。

★すると、大丈夫ですよと即返信がありました。いろいろな準備はしています。しかし、大事なことはただやればいと言うわけではないので、カリキュラムの調整をしながらやっていきますよということでした。

★カリキュラムの調整とは、時間割の調整も、もちろん重要ですが、リアルな空間で行っていたPBL型授業を、デジタルな空間でそのまま行うことはできないのは百も承知なので、教材やテキストを普段通りにオンラインでやるわけではないのですと。

★学校のリアルな空間は当面使えないだろうけれど、自宅というリアルな空間とオンライン上のサイバー空間の両方を使えるカリキュラムのアレンジが必要だし、知識や思考の細かいレベル設定をして、そのレベルに応じたオンライン授業の種類もあるというのです。まさに個別最適化という完全マスタリー学習手法でもあります。

★デバイスやアプリも、普段から多様なものを生徒と共有しているので、そういうハイブリッドオンライン授業は可能なのですということでした。

★具体的には入学式以降明らかになるので、楽しみにしていてくださいということでした。

★ICTを活用するとデジタリアンやリバタリアンが活性化するので、その才能を生かしながらも、未来を創る共感実装のプラグマティックな場づくりのきっかけにしたいというSTEAM教育の根本を見据えた田中歩先生の洞察力に頭が下がりました。共感的な眼差しと鳥瞰的な眼差しのハイブリッド思考ができることの大切さに感服したのです。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(13)静岡聖光学院 全く新しい学び構築。哲学も教養も捨てよ!新しい哲学はG-STEAMなのだから!

★今、静岡聖光学院が全く新しい教育をデザインそして実施。教育の景色をガラリと変える動きをしています。3月2日、新型コロナウィルス感染防止のために、全国が一斉休校に入るや、静岡聖光学院はオンライン授業を開始。現在この方向が全国の動きになっていますが、それに先鞭をつけたのは同校。各種メディアで取り上げられています。

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(写真は、同校サイトから)

★そして、それは、「BIGIRION-Garage」という基地で、今までの教育を捨てる見たこともない教育を実践する序章に過ぎなかったのです。同校におけるSTEAM教育である「美・技・理・音」とアメリカの有名な起業家達が自宅のガレージで創業した逸話を踏まえ、創造的思考者を育てる思いを込めて命名された「BIGIRION-Garage」。

★ここから、プログラミング教育による新しい教育が始まります。同校は3年前に21世紀型教育を開始。C1英語、PBL、ICTの3つの学びの環境を導入しました。

★すると、C1英語は、とてつもないグローバル教育に変貌し、ICTは今やとてつもないSTEAM教育に進化したのです。合わせてG-STEAMですが、この両方をつなぐのが、PBLだったのでしょう。PBLはシリコンバレーやMITでは当たり前の学び方で、すぐにシンクロしたのだと思います。

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★これによって、かび臭い日本の教育における哲学や教養は一掃されました。エッ!カトリック学校が哲学や教養を捨てるのと驚愕されるかもしれません。

★しかし、そのように驚かれる方は、カトリック教育を見誤っています。カトリック教育は哲学やそれに基づいた教養は、はじめから捨てています。なぜなら、今日本の主流であるカント的な哲学やその教養は、そもそもカトリック神学に対峙していたものです。

★ですから、静岡聖光学院は根源に立ち還り、新型コロナウィルスをはじめ、産業社会が環境を破壊して生み出してきた近代化社会の矛盾を調整しようという哲学を思い切り捨てて、根源に立ち還りまったく新しい知性を覚醒しようとしています。もちろん、それが新しい哲学であり、新しい教養なのです。

★21世紀型教育という新しい哲学であり新しい教育は、新しい環境とカリキュラムにによってはじめて生かされます。新しい酒は新しい革袋にが、キリスト教の面目躍如なのは、多くの人が知っていると思います。

★新しい人に生まれ変わるという、自己変容論は、コリント人の手紙の中に刻んれ、大江健三郎が論じている程ですね。修正や改訂ではなく、古い枠組みそのものを捨ててしまうところから、変容は生まれるというワクワクするような、それでいて相当ストイックな力学が学内で働いているのでしょう。

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★具体的な展開はこれから明らかになっていくと思いますが、このSTEAM教育をサポートするエデュケ―ショナル・デザイン株式会社の記事が今後のビジョンを映し出しています。「STEAM教育を推進する静岡聖光学院と業務提携  -2020年度から当社コンテンツ・講師による情報授業を開始-」をご覧いただければと思います。

★<リスク世界の中のグローバル教育>はいかにしたら可能か?これが宇宙船地球号の乗組員である私たち一人ひとりに突き付けられているのが、いまここでです。それを突破するには、破格のG-STEAM教育という新しい哲学が必要なのです。古い哲学は捨てよ、つまり古い教育は捨てよ。学び=社会変容=社会実装=世界貢献というダイナミックな生き方が生まれる静岡聖光学院は、間違いなく今後の学校のモデルとなるでしょう。

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2020年4月 3日 (金)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(12)香里ヌヴェール学院 池田校長動く。

MBSニュース(2020/04/02 18:22)で、「大阪府は4月2日午後に開いた新型コロナウイルス対策会議で、府立学校の休校期間を5月6日まで延長することを決めました」と流されるや、香里ヌヴェール学院の池田靖章校長は、ご自身のfacebookで、「オンライン動かして、やります!学校のあり方が問われます」と宣言しました。

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★永続的で緊急の時に、自らに何を問うか。リーダーのディシジョンメイキングの力がわかる瞬間です。教育改革は、制度を変えるところから始めると、今回の大学入試改革のようになかなかうまく進みません。

★しかし、武蔵野大学の日野田校長、聖学院の角田校長、香里ヌヴェール学院の池田校長のように、俊敏に冷静に意思決定していく力、そしていっしょにやっていく先生方の力が、結局変えていくのです。

★制度は、そのあとに変わっていくのでしょう。本質的な構えが、世界を変える局面に私たちは立っているといえましょう。歴史的な永遠の瞬間です。

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ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(11)聖学院 オンライン授業開始!

4月1日、聖学院は、同校サイトで、オンライン授業を開始することを告知しました。東大も4月20日からオンライン授業を開始すると告知しています。今後、多くの中高、大学でその動きはでてくるはずですが、すぐに動けるかどうかは未知です。そんな中、聖学院はすぐに動けるのですから、一斉休校の時期に相当準備をしていたのでしょう。

★いや、ふだんからICT活用のPBL型授業を行っていますし、高校生の新クラスプロジェクトが学内で動いていて、このような動きが俊敏にできる新しい相乗効果が生まれているのかもしれません。このプロジェクトについては、いずれご紹介しますが、おそらく業界がアッと驚くことになると思います。

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★さて、新型コロナウィルス感染拡大爆発を防ぐためには、クラスターを発生させないことだと言われています。3密が危ないということですから、いくら気を付けても学校はなかなか難しい環境であるのはいうまでもありません。窓全開で授業するといっても、雨の日は?雪の日は?花粉の多い時は?など実際には無理な局面が多すぎます。

★聖学院は、預かった生徒の命を守るためのみならず、他者への感染を防ぐには、まず自らただそうという姿勢で臨んでいるから、オンライン授業の意志決定をすぐにしたのだと思います。

★同校サイトで、角田校長はこう語っています。

<米 国の黒人奴隷解放運動の指導者であった、M.ルーサー・キング牧師が次のような言葉を残しています。「人生で最も永続的で、しかも緊急の問いかけは『他の人のために、今あなたは何をしているか。』」 >

★3月18日の中学卒業式で語ったようですが、まさに聖学院オンライン授業は、同校の理念<Only One for Others>の体現です。

4/2(木) 21:18配信の毎日新聞によると、

「新型コロナウイルスの感染拡大で2日、東京都で過去最多の97人の感染が判明するなど計277人の感染者が確認された。1日の感染者数としては過去最多。クルーズ船などを含む感染者は計3481人。札幌市の50代男性、福井県越前市の50代男性ら3人が死亡し、死者は83人になった。大阪府では新たに33人の感染が確認された。京都府では、クラスター(感染者集団)が発生したとみられる京都産業大の学生2人の感染が新たに判明。福岡県では同じ介護老人保健施設で利用者ら8人の感染が判明しており、クラスターが発生した疑いがある。」

★全国の感染者数(クルーズ船乗船者含む)は、3,481人。首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)は、1,176人で、全国の34%を占めているも、感染者数は全国に広まりつつあるし、クラスターも各地で発生しています。この人数も、PCR検査などで確認された人数でしょうから、実際にはもっと多いのではないかとも言われています。いずれにしても、極めて緊急性の高い事態になっています。そして永続的な気配も感じます。

★今回の新型コロナウィルス感染の世界同時的な広がりは、とにかくはやく終息してほしいと祈るばかりです。しかし、この世界リスクは、感染症だけではなく、テロや戦争、環境破壊による異常気象など、残念ながら永続的です。私たちは日常生活においてふだんから「他人のために、今自分は何をしているのか」を問い続けることになります。

★聖学院のオンライン授業の教育出動は、いまここでそして未来へむけて世界リスクと立ち臨む存在の構えの重要性を教えてくれているのです。

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2020年4月 2日 (木)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(10)ノートルダム女学院 世界リスクにいかに挑むか?!

★朝から、学校法人ノートルダム女学院本部の総合企画室で、課長の高谷先生とブレストを行いました。新幹線はガラガラでしたし、法人本部のある大学キャンパスも最小限のスタッフしかいません。京都は東京に比べ感染者は少ないですが、緊張しながら対話しました。

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★ポストコロナ時代へ行く前段階の準備についてが中心でした。宗教改革・大航海時代・人権革命の局面を誘引あるいはそのとき覚醒したテクノロジーは何か?明治・大正時代を牽引したテクノロジーは何か?スペイン風邪当時の第一次世界大戦の時代のテクノロジーは何か?第二次世界大戦のときは?1989年は?1995年は?1997年は?2011年3月11日は?そして今は?と世界のリスク増大の局面ごとにどんなテクノロジーが生まれてきたか対話していきました。

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★また、カトリックが世界宗教になり得たのは、どんなテクノロジーを教会が生みだしたからなのか?など多岐にわたりましたが、ランチをはさんでブレストは続きました。

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★総合企画室のある法人本部は、大学キャンパスの中にあり小学校も同一敷地内にあります。大学のキャンパスは金閣寺に近く、中高は銀閣寺の近くにある別キャンパスですから、いったりきたりするわけです。小学校は生徒は来ていません。新年度準備のためにきている先生方しかいません。そんなわけで、ランチは大学のラウンジでとることもしばしばしです。

★私たちもラウンジにいくと、小学校の先生方も来ていました。そして、その中に梅下先生もいて、食事をしながら、ミネルバ大学のシステムを参考にしたオンライン授業のやり方や、ある論理的思考の本のWeb上での活用方法などについて多くのアイデアをお聞きし、わくわくそして熱くなりました。

★ランチ終了後、広報の新戦略と3ポリシーの連携や英語教育のシステムのアップデートの市場の反応など多角的に検討し、最後はシンプル・イズ・ベストなブレイクスルーになったので、今日はこんなところでと、お開きにして、法人を出て帰路に就きました。

★川端通の桜並木は満開でしたが、人通りはほとんどありません。京都駅の待合室もガラガラです。新幹線も同様です。

★それでもどこか緊張した雰囲気は、時代の空気ということでしょう。

★冷静に観察して判断して洞察してという構えは、緊張する感情を抑えることは難しいようです。世界リスクのたびに、私たちが学ぶテクノロジーとその都度乗り越えなければならないダブルバインドな精神状態。生徒に必要な資質能力やスキル、そしてマインドは、最小限でかつ磨き上げられた最強のものでなければなりません。それは何か?しばらく仲間との対話は続くでしょう。

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2021年中学入試を読み解く準備(11)武蔵野大学中高の迅速な対応 オンライン授業の潮流つくる。

★武蔵野大学中学校・高等学校は、4月13日から完全オンライン授業を開始することをサイトで公開しています。東大が4月20日からですから、それより1週間早く動き出します。この1週間の期間中に多くの中高及び大学がオンライン授業の告知をしていくことになるでしょう。

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★さて、同校の具体的な対応については、サイトをご覧いただければと思いますが、次の箇所だけ抜粋しておきます。

 ① 4月中は登校禁止とし、入学式・始業式は中止します。 学校からの連絡や校長メッセージなどは学校 HP に掲載していきます。
② 授業は「オンライン授業(Teaching)× 教員による質問対応(Coaching) 」とします。
・4月13日よりオンライン授業を開始する予定です。
・生徒は、(a) 朝拝・終礼は Zoom で全員参加すること。 (b) オンライン授業は指定の時間割で視聴し、質問はZoomで担当教員にすること。
・出席確認(履修状況)は、スタディサプリなどの受講状況から判断します。
・新入生に対しては、オンライン授業に関する説明会を事前に実施する予定です。
・保護者面談もオンラインで実施する予定で考えています。
※ 各家庭におきましては、Classi、スタディサプリ、Zoom などの使用のために、インターネッ トに接続できる環境を用意していただきますよう、お願いいたします。なお、詳細につきま しては「オンライン授業マニュアル・授業計画表」をご確認下さい。(4月 10 日配信予定)

★ここで大切なことは、複数のアプリを活用するということですから、おそらく実際には、ラップトップとタブレット(もしくはスマホ)の複数台を教師も生徒も活用して授業は行われていくことになるということが示唆されているということです。

★授業をやっている様子をそのままパソコンのカメラで映すと、ホワイトボードの文字などが反対に映ってしまうので、教室でも複数台のPC環境になります。

★いや、一台でできるよと言われるでしょう。もちろん、そうなのです。そうすると、実はテキストなどの作りこみが重要になってきます。授業展開の時間マネジメントが強いられるので、授業デザインがやがてはテレビ局なみになってきます。

★教師の授業力のとてつもない向上が強いられます。

★さすが日野田校長。機を見るに敏です。生徒の命を守り、同時に教師の授業技術とテクノロジー技術とソフトパワー技術の向上を図る。一石何鳥にもなります。

★しかし、もっと重要なことは、これは他校にも大学にもおいて起こることです。すると、

①教育改革や大学入試改革は、一気に進む。制度でごたごたしないで、環境を変えることで。

②小中高大の教師の質向上が進む。

③働き方改革が進む。

④ICT関連企業やアプリなどの企業の経済が活性化する。

⑤クリエイティブクラスがあらゆる産業で増加。

★などの効用がでてきます。ソサイエティ5.0は加速しますね。デメリットなのかどうかは判断しにくいですが、今までのキャンパスの精度体系を変更し、ハイブリッド学習空間が必要になります。これぞ、HTHが語る「エンジニアリングからガーデニングへ」というメタファーに沿うことになるでしょう。

★そして、このガーデニングには、マインドフルネスの動きが伴います。ハイブリッド空間は心身の新たなコンディションイグづくりに挑戦しなければならないからです。

★武蔵野大学中高の日野田校長はこのような世界変容をもたらす存在ということになるわけです。

★そして、ここまでは、GAFAの想定内です。

★一方で、反GAFAの動きも世の中にあるわけです。そこはまだ、どんな動きになるかみえていませんが、パーソナル・ライフテクノロジーへと変化するのではないかと。つまり、モバイルからウェアラブルへ。さらにいうと、モバイルから身体化(zomatization)へ。

★バイオビルダーの登場ですね。。。

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2020年4月 1日 (水)

2020年3月ホンマノオト21のアクセス状況から見える世界

★ホンマノオト21のアクセス状況から見える世界とはなんと大げさで、相当なバイアスがかかっていますが、ニッチな世界の一つの傾向ということでご参考まで、ご紹介します。

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★3月は刻々と変わる新型コロナウィルス感染爆発防止対策に世界が集中しています。この動きは今後もまだまだ続きそうです。私たちは、いまここでこの状況を乗り越えながら、ポストコロナショックの時代も考えつつ行動しているわけですが、3月のアクセスランキングベスト50のカテゴリー別の分布も、やはりそのような流れを映し出してはいると思います。

★例年は、東大をはじめ大学合格実績の記事が圧倒する3月なのですが、危機迫るときには、世の中はそこがポイントではないと価値づけるのかもしれません。それよりも、今後の生きる力とは何か?それが育つ学びの環境はどこか?が気になるのかもしれません。

★危機の局面でどの価値を優先するかで、本質が見てきます。世界は、今その本質を無視できない状況なのです。さて、ベスト50の記事を次に列挙します。

1:2020年2月ホンマノオト21のアクセス状況から見る2021年中学入試動...
2:2020首都圏中学入試 厳しい受験 vs 選択眼の質向上 SAPIX・早...
3:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。
4:2021年中学入試を読み解く準備(3)基礎情報③東京女子校の集まり方に教...
5:2021年中学入試を読み解く準備(5)基礎情報➄東京共学校の新タイプ入試...
6:【2019年大学合格実績04】世田谷学園の東大合格者躍進の意味。
7:2020神奈川の男子校 聖光学院・桐光学園・慶応普通部が突出
8:2020東京大学合格発表の季節(2)海城・西大和の躍進は序列を崩すか?
9:感染症に対応する都市機能の変容能力(14)品川翔英 新しい都市創りに新旋...
10:2021年中学入試を読み解く準備(6)基礎情報⑥東京男子校の帰国生入試。...
11:2021年中学入試を読み解く準備(7)基礎情報⑦東京女子校の帰国生入試。...
12:2021年中学入試を読み解く準備(2)基礎情報②東京男子校の実受験者率に...
13:三田国際 2020年中学入試を終え、目が覚めるような新機軸へ準備整う: ...
14:品川翔英の国語科の挑戦(1)PBLの<構造>デザインの共有 普遍的かつ独...
15:2020東京大学合格発表の季節(1)桜蔭⤴麻布⤵か?
16:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(8)高橋一也先生
17:2020年首都圏中学入試の学校選択(04)東洋大京北の場合
18:2020東京大学合格発表の季節(4)明らかになる東大の功罪?
19:品川翔英のために 柴田哲彦先生副校長に就任
20:2021年中学入試を読み解く準備(1)基礎情報①
21:2021年中学入試を読み解く準備(4)基礎情報④東京共学校の集まり方に変...
22:品川翔英の国語科の挑戦(2)シラバスの<構造>デザインをICTを駆使し共...
23:2020東京大学合格発表の季節(3)良くも悪くも近代官僚知を形成してきた...
24:【2019年大学合格実績02】東京都市大学附属等々力の躍進の意味。 五島...
25:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(2)第3...
26:感性症に対応する都市機能の変容能力(7)佐野先生と金井先生と対話する。静...
27:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(4)ノートルダム
28:2021年中学入試を読み解く準備(8)北鎌倉女子が注目される理由 新校長...
29:感染症に対応する都市機能の変容能力(9)佐野先生と金井先生との対話。なぜ...
30:感染症に対応する都市機能の変容能力(11)工学院はZ世代地球市民の才能開...
31:八雲学園の共感力 本当に大事なコト。節度と徳と賢慮が共感の響きを生み出し...
32:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(3)第3...
33:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(6)オン...
34:2020フェリスの国語の入試問題 東大の帰国生入試と同じ視座
35:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(5)聖学院
36:工学院 グローバルプロジェクトが≪Z世代≫1人ひとりのキャリアデザインの...
37:2020中学入試 3つめの動向。高い意識の女子受験生の誕生。
38:感性症に対応する都市機能の変容能力(6)さすがメディア水面下で動きはじめ...
39:感性症に対応する都市機能の変容能力(3)神崎先生と多面的アプローチによる...
40:感染症に対応する都市機能の変容能力(12)工学院はZ世代地球市民の才能開...
41:和洋九段女子のSDGsの活動 優秀賞受賞 その意味の重要性を改めて感じる...
42:感染症に対応する都市機能の変容能力(17)首都圏模試センター「八王子実践...
43:感性症に対応する都市機能の変容能力(5)ノートルダム女学院霜田先生方と生...
44:【2019年度首都圏中学入試(09)】 かえつ有明 アップデート 内生的...
45:【2019年大学合格実績01】聖光学院 東大+京大合格 100名!その意...
46:感染症に対応する都市機能の変容能力(10)工学院はZ世代地球市民の才能開...
47:2020中学入試 4つめの動向 東京の共学校の渦を通して
48:首都圏模試「思考コード」2021(6)A軸(知識・理解)思考を考える①:...
49:ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(9)哲学...
49:【2019年大学合格実績03】巣鴨の東大合格者躍進の意味。
49:アサンプション国際 希望の私学として第二幕を開きます。
49:2020年麻布の入試問題 やっぱり傑作!

★3位の洗足の記事は、2018年9月21日に掲載しています。それが今もアクセスされています。洗足は今や難関校ですが、1980年代はそうではなかったので、その成長ぶりが注目されているのでしょう。もちろん、その成長のエンジンとしての根っこが何か気になっているのでしょう。

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