ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(6)オンライン授業に期待!ダブルバインドを超えるために!
★新型コロナウィルス感染爆発を防ぐために、様々な挑戦がされています。一方で、塾業界の経済の持続可能のために、どうしていくのか?塾業界に限らず、今や世界同時的に感染対策と経済政策のパラドクスというダブルバインド状態をどう解くのか一人ひとりが迫られています。
★昨日首都圏模試センターでミーティングがありましたが、いよいよ本日から本格的にテレワークに移行できるところはしていくという話だし、同時に塾や受験生とオンライン化を進めていく流れは、学び市場では必須であるという認識で動いていました。
★ミーティングにはいるときも、アルコール消毒とマスク装着、換気を常に行うなど、ノー3密も徹底し、終了後も5人未満の少人数で広い空間で食事をしながら打ち合わせをして、はやめに解散となりました。しばらくの間、オンライン上でのやりとりになるので、その準備をしていたわけです。
★教務陣との創発会議が、メインでしたが、話題の中心は、思考コードの各領域の背景にある思考スキルの複雑系とトレーニングによってショートカットされて解答の時に使うメインの思考スキルをどうわけていくかという話でした。教務陣が作成した入試問題の思考コードと思考スキルの分析データに基づいてディスカッションしていきました。いわゆる氷山モデルのメタファーで対話していたわけです。
★たとえば、2020年の鴎友学園女子の算数の問題ですが、同校を受験する生徒は、2つの扇形の頂点の角度が120度だということがすぐにわかるので、あとは等積変形という<変換>スキルで斜線部は、円の3分の1ということになり、計算にすぐに移れるねというわけです。18cmも3の倍数であることから、計算で間違える確率は低いと。思考コードでいえばA2の問題だろうねというわけです。
★このくらいの問題ならオンライン授業でなんとかなるという話でおちつくのかと思ったら、それだと単に問題の解き方を伝授するに過ぎないから、結局わかる生徒はわかるし、わからない生徒は、ZOOMの向こうで集中力を切らしているよねと。
★結局、なぜ扇形の頂点の角度が120度なのか?扇形が接していることの意味は何なのか?なぜ角度や半径や辺に着目するのか?そこらへんがわからない場合どうするかですよねと。すると、正三角形や正方形、円、倍数などに戻るわけです。
★でも、その1つひとつは、ほとんどの生徒は受験生ならわかっていると思うけれど、統合となると難しいかもしれない。そこは、分割したものを統合したり、統合されているものを分割したりという類題をやることによって、<変換スキル>をトレーニングしていくことが可能だと。
★ここまでは、オンライン授業でも可能だねと。問題の解き方から→分割と統合の変換スキルという数学的思考の1つを体得できるなら、オンライン授業はなかなかいい感じになる。わからなかった生徒も、分割と統合のトレーニングに好奇心を持つ生徒もだいぶ出てくる可能性がある。
★でも、それでも全員がわかるどうかはわからないし、やはり好奇心が生まれてこない生徒もいるでしょう。
★それにしても、ここまでオンラインでできるのなら、塾や学校はこれからオンライン化が進み、キャンパスがいらなくなってしまう。まるで、ミネルバ大学の初等中等教育バージョンであるなあと。
★しかしながら、これでは、たんなる解法のテクニックではなく、数学的思考に飛べたとしても、数学に興味がある生徒だけの話で、そうでない生徒は集中力がきれる。
★そこのマインドセットをなんとかしてきたのが、リアルな空間での塾や学校の教室空間だったわけです。一方で、オンライン授業とリアルな空間のそれぞれの特性を接近させようという技術がどんどん開発されていくでしょう。すでにミネルバ大学のアクティブラーンングフォームというオンラインでアクティブラーニングができるように開発されているプラットフォームは、そのマインドセットを時間スキルの技術的応用で果たしています。
★そうなってくると、ますます、オンライン授業でいいやという話になります。しかし、その時間スキルの技術的応用は、結局は監視というコントロールになるから、内発的モチベーションは湧いてこない。デストピアに陥っていく。
★またしてもパラドクスかあと。
★いや、それは、本来鴎友学園女子のような問題は、C軸思考で考えていく場=トポスなのに、それを知識問題として処理させているとことにそもそも問題があるわけだから、いったんC軸思考を通過するというチャレンジをすればよいのではないだろうか。
★それには、五感がどうしても必要だから、ワークショップのような活動が必要になる。その場合はリアルな空間は必要になるね。
★将来的にはそれもかなりオンライン上でできるようになるわけでけれど、今回のオンライン授業の流れはそういうことも議論になるだろうから、ますますC軸思考である<クリティカルシンキング・クリエイティブシンキング>の必要性が染みわたるのではないだろうかと。
★いずれにせよ、生徒1人ひとりがもっている潜在的可能性の領域に立ち還り、それをカタチにする現実態を生みだす授業展開が必要。分割と統合は表層では、変換なのだけれど、深層では、シンプルに<置換>スキルでできてしまう。<比較・対照>スキルで<抽象化・一般化>すればできる。もちろん、差異の方が大事な場合もある。=か≠かがシンプルに了解できるという潜在的可能性が現実態に自らが変容できたとなると内発的モティベーションは高まるよね。
★そんな目が覚めるような学びの経験ができるには、まだまだオンライン授業だけでは不足しているかもしれない。いっしょに第二の脳を活用するワークショップは必要だね。
★しかしながら、今回のように、リアルな空間に集まることができない場合、どうするのか。VR使いながら、同じ学習道具を使ってやるしかないか。するとそこはまたまたAmazonなどが経済になるわけかあ。
★この業界の持続可能性は、オンラインになっても氷山モデルの深層と表層の<往来変容体験>が多様にできる環境ができるようになれば、それはありだねという対話が続きました。
★そういえば、今年の慶応湘南藤沢の国語の論述は、「お金」と「文字」の置換によって、「文字」の機能について説明する問題でした。この問題が楽しいと感じるのは、なるほど深層と表層の<往来変容体験>だったのですね。海底探検や洞窟探検やジャングル探検、宇宙探検のようにワクワクする学びの体験は、この<深層と表層の往来変容体験>だったということです。非日常と日常の往来といってもよいかもしれません。
★オンライン授業は、普段の授業と違い公開性が高いので、質についての議論が盛り上がります。そうそう、それにダブルバインド状況という表層で起きていることも、いったん深層に潜って再び帰還すれば、あるいはその往来を繰り返せば、解決の突破口を見出せます。それこそ探究だし、PBLの授業の醍醐味でしょう。
★身近な経験が大事だという人に限って、鴎友の図形問題のような問いを馬鹿にします。知識なんて!と。経験が大事なんだよと。でも、この問題を考えることも大事な経験なのです。だって、この問題から今のダブルバインド状態を解決する思考の方法を見出せるからです。
★学びを続けるとは、知識の問題を解き続けることではなく、次元を変えていくことです。問題の解法→数学的思考→往来変容体験→批判的思考・創造的思考へという具合に。この過程はそして、まさにU理論に相当しますね。鴎友のたった一問の図形問題でU理論が語れてしまう。子供たちと、U理論なんて学問的な話をしなくても共有できてしまうんです。
★知の森の探検、知の海底探検、知の宇宙探検、知の洞窟探検。。。知の冒険は多様な場で探検ができます。そして冒険にジレンマやパラドクスなどのダブルバインドの壁はつきものです。友人との出遭い、恋人との出遭い、賢者との出遭い、宝物の発見、アイテムの発見、自己成長、ミッション、そして暗黒面との闘い。ポスト・コロナショックの時代はまさに知の冒険物語なりましょう。みんなで希望に満ちた世界に変容しましょう。オンライン授業の動きはその世界を導く冒険物語の1つのゲートなのかもしれません。
★そんなことを感じながら帰途につきました。
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