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2020年3月 4日 (水)

感染症に対応する都市機能の変容能力(5)ノートルダム女学院霜田先生方と生徒 休校中も哲学する学校

★新型コロナウィルス感染防止のための一斉休校の中、オンライン上の生徒の多様な学びが各メディア、SNSの中で紹介されています。ノートルダム女学院の休校中の学びもまた、オンラインを活用していますが、問いのやり取りがおもしろいですね。どうしても、オンライン上で学びを操作すると、ドリル系の学びが多くなるのですが、たっぷり時間があるのですから、読書をしたり、深い思索に想いを馳せたりする時間に使うのもすてきです。

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(昨年夏に霜田先生のPBL授業を拝見した時の1シーン)

★霜田先生をはじめ同校の多くの先生方は、日ごろから、授業本番でも、授業の事前事後の学習でも、グーグルクラスルームを活用しています。したがって、今回の全国休校の事態になっても、普段使いで生徒とサイバー上で対話をしています。この間こんなメッセージを生徒に送信したそうです。

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★直接書いていませんが、生徒たちはピンときます。ここで語られている「右往左往する大人たち」というのは、今の政治や経済を牛耳っている面々のことだと。でも個人非難をしても仕方がないので、冷静に何が問題なのか相対化するメタ視点を発動します。これは、日ごろの霜田先生や同校の先生方の哲学ベースや対話ベースの授業が培ったもので、休校になってからだと間に合いません。

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★そして、メタ的に俯瞰するだけではなく、さらに気づいた問題がどこからやってくるのか問いかけるクリティカルシンキングを使ってねというのです。世の中はメタ認知とクリティカルシンキングを同じだと考えている節があります。もちろん、同じ意味の時もあるのですが、メタ認知はあくまで相対化に力点がおかれます。そしてクリティカルシンキングは、その相対化された事態がなぜ起きたのか、多角的なアプローチで思考をしていきます。

★目の前にある問題の背景にその問題を生んだ構造があるはずです。その構造を文化人類学的アプローチ、哲学的アプローチ、科学的なアプローチ、SDGsからのアプローチ、経済学的なアプローチ、民主主主義や人権的なアプローチなどで構造を明らかにしていきます。ここらへんの問いの構造のデザインが哲学対話で培われます。

★IBのTOKもそうなっています。実際霜田先生は、IBのTOKの研修にも参加したり、自身でも研究実践しています。哲学科で研究してきた蓄積とTOKや多くの学習理論をインテグラルしながら、PBL授業を生徒と共に深めています。

★グーグルクラスルームは、1人ではそのアプローチが固定的になるのを参加者で共有することで多様に開っくのに便利なんですね。つまり、リアリスティックでマルチプルなリフレクションができるわけです。これが相対化やクリティカルシンキングで起きている生徒の思考行為です。日本の今までの教育では反省や内省はあったんでうが、リアリスティクでなかったし、マルチプルでもなかったのです。PDCAサイクルが大好きなのはそういうわけです。また模擬試験や定期試験もリフレクションするのタイムラグがありますね。

★それでは、熱エネルギーとして思考エネルギーがどんどん減少していきます。熱効率がわるすぎなのは、自然界におけるエネルギーの状況と同じです。ところが、霜田先生の対話は、リアルスーペースであれ、サイバースペースであれ、瞬間的にまた多様なリフレクションを内蔵しているのです。これがハイクオリティな対話になっている奥義ですね。

★ともあれ、こんな不断の授業実践を通して、哲学対話のやりとりが当たり前になっている生徒だからこそ、グーグルクラスルームでやりとりができるのです。この前提がないと、こういう突然の事態では、ドリル型学習になりがちです。

★さて、霜田先生は、今話題になっているネット上の「イタリア新型コロナ:休校中の校長が生徒に送った手紙が秀逸!と話題」という記事を紹介して、こんな問いを生徒に投げかけました。

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★感染症によるパンデミックは古くから歴史があります。それを知識としてではなく、今置かれている生徒だからこそ、歴史的パースペクティブに興味をもつはずだという問いが投げかけられていますね。調べながら、文明史の知識や文明の光と闇の構造上の通時的な関係も考えることになります。歴史のダイナミズムの中に自分をマインドセットする問いから始まるのです。

★マインドセットというと、自己啓発セミナーや最近はやりのワークショップのように、置かれた状況とは関係ないマニュアル的なエンカウンター的なというか心理学的なマインドセットがなされがちです。わるくはないですが、自分事といていながらそうはならないで、ただ楽しいでおわりがちです。今目の前の事態や状況の背景にある壮大な問題の海にダイブする霜田先生流儀のマインドセットがナチュラルでいいですね。

★そして、自分だったら、パンデミックになったらどう対応するか、パーソナリティとしての個人ではなく、倫理的な相互存在としての自分としてどう考えるのか問うわけです。これには、ふだんから自由とは何か?他者との関係とは何か?を考える授業がなされているからこそ投げることができる問いですね。

★最後に、そうした自分が、じゃあ今ここで何ができるのか問うのです。自己変容への道を見つける善き機会として休校中の時間を使っていこうといわけでしょう。

★おそらく多くの学校では、このようなハイクオリティな問いを生徒と考える空間としてサイバー学習空間を活用していると思います。もしそうならば、そこをメディアが取材をすると、一気につながって、学びが社会に貢献する状況を創っていることを共有できるでしょう。免疫学的には善き情報の共有は、マインドフルネスへの道でもあります。この情報ワクチンをぜひ摂取できるようにメディアで発信して欲しいものです。

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