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2020年3月 4日 (水)

感染症に対応する都市機能の変容能力(4)神崎先生と多面的アプローチによる対話②SFC×マルクス・ガブリエル と「主体」問題

★昨日の神崎先生との対話の中で、今年の慶應義塾大学環境情報学部の問題の特徴について話題になりました。いつもの創発問題=C軸思考問題であることに変わりはないけれど、例年はロボティクス、環境問題、AI社会、ICT、諸政策など客体に対してどう考えるかというテーマが多かったが、今年は、その客体としての環境とのかかわりで「人間性」とはどう変容していくのかしていかないのか、「主体」がテーマだったと。ずばり「人間とは何か?」というお話。これは偶然なのか、それとも何か転換の兆しなのか?といった対話になりました。

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★ちょうどNHKで新世代の気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルのNYドキュメント「欲望の時代の哲学2020」も放映されている昨今なので、そう感じたのかもしれません。昨夜ちょうどだ第2話をやっていました。決定論と意志の自由の葛藤を乗り越える主体がテーマでした。

★ガブリエルは、ドイツ観念論と京都学派の親和性を語っている哲学者です。しかしながら、戦後はドイツはアメリカナイズと距離を置きながらあくまで、「主観」を大事にし、日本はアメリカナイズをシミュレーションし尽くし、「客体・客観」を大事にしたと。

★ハイデガー×西田幾多郎で、新しい「主体」、つまり「新実存主義」の流れを創れるのではないかというのでしょう。昨日は、哲学の教科書みたいな決定論と自由意志の論点を整理していましたが、NYマンハッタンと渋谷のスクランブル空間を想起するような映像の中で話しているので、「客体・客観」も物語であるということが暗に込められていました。資本主義はショーであり、決定論的にこうなっているわけではないのだということはわかりやすかったですね。

★しかし、それがガブリエルの「新実存主義」とどう結びつくのかまでは、編集されていませんでした。それはみなさん考えてねということでしょう。

★で、神崎先生との対話に戻りますが、この「人間性」とか「存在」とか何かについて、SFCの問題は社会変動論に関する大量の資料を分析(この分析の仕方はというか要約は図式化OKで、なかなか斬新です)しながら、どのようにとらえていったらよいのか問うわけです。

★SFCの問題、つまり神崎先生に言わせれば、SFCの研究者たちが今立っている知の最前線の反映ですが、その知の最前線とマルクス・ガブリエルの新しい実在論や存在論のガイスト(社会通念上の「心」以上の何か。ドイツ語。「精神」と訳される。)に着目しているコトがシンクロしているということでしょう。

★もちろん、SFCは、「人間性」をパーソナリティではなくヒューマニティとして考えてという条件を付けているので、ガブリエルとは違う視点もあるでしょう。まっ、そこがおもしろいところです。

★新コロナウィルス感染拡大防止のための休校中に、上記のガブリエルの本とSFC環境情報の問題をスクランブルエッグに料理して食べるというのはいかがでしょう。EAT THINKING!クッキング。クックパッドさんどうでしょう(笑)、このネーミング。

★免疫学上、身体の栄養は食べ物のみならず、善き情報も頼りになるということです。

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