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2020年3月11日 (水)

2020東京大学合格発表の季節(3)良くも悪くも近代官僚知を形成してきた東大。日本の学歴社会格差とジェンダーギャップの象徴が変わるか?脱優勝劣敗へ!?

★東京大学合格者を輩出する高校の序列の変化ウオッチは、タックスペイヤーとしてはチェックしやすい指標です。東大は良くも悪くも、日本の自己像の大きな一面である学歴社会とジェンダーギャップを形成してきた近代官僚知文化生産拠点です。私たちの多大な税金をつぎ込んで、それを受けいれてきたある意味共謀共同正犯が成立する私たちであるわけです。エッ!そんなことは考えたことがないというでしょうね。せいぜい共謀同調過失犯くらいがちょうどいいとかいうことでしょか。

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(優等生の東大の自己変容反省なき近代化論?)

★いずれにしても、戦後の歴代財務事務次官の出身大学の95%は東大出身者です。しかも89%は東大法学部出身です。あとは、京大法学部2名、一橋大学経済学部1名ですね。

★これが近代官僚知を東大知がコントロールしてきた大きな証です。エビデンスが必要だと論じる教育学者が多いですが、こういうエビデンスをどう解釈するのでしょうか。

★この財務事務次官の東大出身者が多いということが、異常だと感じるセンサーが働くかどうかが民主主義度にかかわってくるはずです。だいいち、市場の原理が正しく働く正義を経済学的視点でマネジメントするのではなく、法学的視点でコントロールするようでは、強欲資本主義を是正することはできないのです。

★というのは、市場が合法的に非対称性を生み出す結果をつくるのは、現状の法実証主義的官僚法学的視点では避けられないのです。この非対称性は市場から生まれてくるのではなく、生産過程から生まれる配分の正義の機能不全から生まれてくるからですが、これについては、現状では法制度上立ち入ることができません。

★生産過程のマネジメントも本当は市場の原理の正しい正義が働く必要があるのです。

★エッ!<正義>という言葉が、市場原理や組織マネジメントででてくるのは、ちょっと変じゃないと思われるかもしれませんね。それが法実証主義の価値観です。正義は実定法上排除される道義上の視点だというのです。こうして、明治政府は、民主主義の理念の自然法論やその理論的根拠の啓蒙思想を露骨に排除し、優勝劣敗価値観を生みだしたキャッチアップ型近代社会進化論を驀進してきたし、それは根底で今も変わりはありません。

★それはジェンダーギャップを生んできた過程とも重なります。今でも東大生の女性比率は30%いっていないわけです。民主主義国家としては異常としかいえません。

★というわけで明治政府のこのコントロールに対抗してきたのが啓蒙思想を連綿と継承してきた≪私学の系譜≫ですね。女子校の存在がその象徴的な光を今も放っています。しかし、この≪私学の系譜≫のマインドは、最近弱まっていました。学歴社会競争に巻き込まれ、あたかも加担しているように表現されてきたからです。私学自身にそのリフレクション機能が劣化してきた部分もあります。

★そんな流れの中で、再び≪私学の系譜≫の息吹をと気概をもって事を起こすことを目論んだ21世紀型教育を牽引してきた学校が私学の中から興こったということは歴史的重要事件です。それゆえ、2020年は、ある大きなエポックになるかもしれません。学歴社会が崩れる可能性、そして中学入試における気概ある女子校の復権という動き。

★21世紀型教育は2011年に一部の私学の仲間が奮闘努力して、その後世間の批判を浴びながらも満身創痍で進んできましたが、その影響は思いのほか大きかったです。C1英語×PBL×ICTという創造的才能や高次思考、コンパッションを生み出す装置は、私立公立問わず相当拡大しました。

★この2011年に立ち上がった重要な理由は、もちろん3・11です。そして2020年同じ時期に起きた新型コロナウィルスのパンデミック模様は、この21世紀型教育の拡大が東大の合格校の序列を変える駆動力になる可能性を結果的に後押しすることになるかもしれません。

★東大の自己変容。もう一つの近代化路線(≪官学の系譜≫ではなく≪私学の系譜≫。法実証主義から新自然法論への転回。)の回復が行われる希望がみえてきたわけです。良くも悪くもといったのは、これだけの税金をつぎ込んできた回収をしなくてはならないので、東大に代わる大学をさらに新たに創りましょうという話ではなく、東大の自己変容をタックスペイヤーとして望むというコトなのです。

★そのうえで、東大が自己変容すれば、知の東大植民地化が進んできた他大学もどんどん変わっていくということです。日本には、700校強も大学があります。それらが序列から解放されることは、新しい知の解放が同時に爆発的に起こるということです。人口成長論的強欲資本主義が内生的成長論=ソフトパワー重視のAI資本主義にシフトがおこるでしょう。おそらくベーシックインカムに相当する仕組みの経済社会の到来です。

★宇宙船地球号の乗組員でありタックスペイヤーである私たちとしては、東大を始め各大学の自己変容をもっと要求したほうがいいんですね。合格させてもらうのに、そんな強気発言はできませんというのでは、すでに学歴社会に取り込まれていますよ。偏差値が低いと言われてきた大学が、東大と対等の知の共創を行っていくようになればよいだけです。

★でも、そうするためには、中高も創造的才能と高次思考とコンパッションを養えように自己変容する必要がありますね。3年でそれはできるということが、すでに21世紀型教育校のモデルが物語っています。

★そうはいっても、まだまだ意識改革はすぐには進まないでしょうから、海外の先進的な中高の動向や海外大学の動向の情報を共有することは重要です。中高の留学や海外大学進学の大きな流れが最もインパクトがあるでしょう。今回の新型コロナウイルスの影響でオンライン学習がオンラインデミックスを生んでしまうので、それは加速されるでしょう。脱優勝劣敗へ!ということですね。(9年目の3・11を京都にて)

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