ノートルダム女学院で生まれている<新しい学びの経験>(1)多様な<対話>が生まれる。
★3・11の朝、京都で過ごしています。9年前、慶応義塾大学湘南藤沢(SFC)キャンパスで、新しい学びを私学の先生方と創ろうというイベント準備で訪れていました。そして、あの東北の大地震。東京・神奈川エリアにも影響を及ぼす凄まじい地震でした。私学の先生方と一夜を共にし、そこからそれぞれいろいろ動き始めました。私は<21世紀型教育機構>の前身である<21世紀型教育を創る会>を発足する動きを仲間の先生方といっしょにしました。復興にどう寄与できるのか、フクシマという世界へ影響を及ぼす痛みを感じながら、どんなイノベーションが考えられのか、SNSの急激な普及にICTをどう活用できるのか。ストラスブールの仲間たちが、EU議会の広場でエールを贈ってくる会を開催してくれ、グローバルな市民社会とどうかかわれるのか、学校という場で、何ができるのか議論が始まりました。
(HTHデザインの時代背景と教育の過程のドキュメンタリー映画“Most likely to succeed”の上映会を2日間実施。先生方が参加しやすい柔軟な時間設定を霜田先生はしていました。なぜ未来型の教育なのか、今一度時代背景やビジョンをシェアしよういう話になったということです。)
★準備に2年弱かかりましたが、2013年にお披露目をしてスタートしました。世間からは、何がC1英語だ、PBLって何なんだ、ICTを教育になんて大学合格実績はどうなるんだ、思考力入試なんて謎の入試やってどうするんだという攻撃を陰に陽にうけましたが、それは想定される非難で、むしろエネルギーにしました。同士校が本格的に21世紀型教育を授業の中で実施するのは、2014年ですから、6年後の2020年、つまり2021年の3月には、それなりの成果を出せると確信を持っていました。
★ところが、実際にはプレ改革期の2013年の生徒が、多いに活躍して2020年の春を迎えています。ここまで来るのに、大学入試改革やSDGs、第4次産業革命、ソサイエティ5.0などAI社会に向けた動きが社会を牽引しました。21世紀型教育機構の理念の一つに、ファーストクラスからクリエイティブクラスにというフレーズがありますから、それらの動きは当然想定内で、同士校は様々な外部ネットワークと結びつきウネリを創ってきたと思います。
(上映会が終了した時に、主催者である霜田先生から、今回の一斉休暇の間に、生徒とオンラインで対話しながら生徒がどうやって思考を深めているのかシェア。先生方は、生徒によってこんなに違うのかと改めて生徒の成長の姿に思いを馳せていたようです。)
★そして、GAFAとは違う新しい哲学的な動きが欧米から生まれてきました。21世紀型教育機構は哲学的な授業も取り入れているので、そこに接続する可能性は見えていますが、ここに結びつくには、学内に哲学対話を行えるコーディネーターが必要になります。21世紀型教育機構の次のステージはこのウネリをどう吸収するかですが、マーケティングは優秀な経営陣だけれど、その中に哲学シンキングを有しているメンバーがいないので、しばらくブレイクスルーには時間がかかるでしょう。若手先生の中には、もちろんいますからしばらく待てばよいのです。それでも市場的には、大学合格実績が右肩あがりになり、海外大学の進学者数も出ますから、注目を浴びて、学校経営に問題はないという経営の安定と教育のハイクオリティーだけれどプラトー状態という事態がしばらく続くと思います。
(参加できなかった同僚と対話して共有するシーンが多発していました。)
★さて、そうはいってもこのクリティカルマス(臨界点・分岐点)まで見えているのに、動かないというのが、日本の教育の今なのかと少しもどかしさを感じていたタイミングで、ノートルダムの先生方と出会いました。出会った瞬間内なる閃光が走りました。なんと、クリティカルマスを乗り越えるポテンシャルが凄いではないかと。
(三井先生が参加できなかった今までの様々な対話やワークショップについて霜田先生が対話しながらシェア。私も聞いていましたが、U理論まで活用していたのかと驚きました。)
★しかし、この潜在的なものが現実態になり、つながったり、共振を起こすのはいかにしたら可能なのか?そう思いもしましたが、2月の半ばから急激に動きがウネリだしました。梅下先生や松谷先生、霜田先生、中村拓先生、三井先生をはじめとしたNDの先生方が対話的行為を始めたのです。哲学的・科学的・歴史的・数学的・マインドフルネス的対話アクションが授業に展開し始めたのです。<対話>ベースの動きですから、共感共鳴共振の渦があちこちで生まれてきたわけです。
★そんな折に、今回の新型コロナウィルスの感染拡大防止が世界同時的に起こっているわけです。3・11から9年経ちました。政治経済、軍事、教育、日々の生活へのダメージはだんだんすさまじくなってきています。一斉休校の折、霜田先生方はますます動かざるを得ないコンパッションを胸に秘め対話的アクションを起こしています。とはいえ、動き方が教師一丸となって強いミリタリーリーダーシップで動くということはないのです。コンパッションは、共振して、それぞれが動くのです。
★今日も、NDのEスペース(PBLができるイングリッシュルーム)からは、生徒がいないのに、生徒の声が鳴り響き、先生が授業を行っている声が廊下に響いています。オンライン授業を実施しているのですね。ノートルダム女学院は、教師も生徒もタブレットを持っていますから、先生によっていろいろ創意工夫をしています。
(昨日上映会に参加した三井先生とお互いの授業のどこでHTHのコンセプトが活用できるか霜田先生は対話。大いに弾みました。)
★ノートルダム女学院の霜田先生は、21世紀型教育や未来志向の教育を推進するリーダーの1人で、ファシリテーターとかリーダーとかいうよりもジェネレーターとして、先生方といっしょに世界を創る対話的なアクションを始めているわけです。
(私も参加して、ミニ「創発型スクライビング」手法をいっしょに実施。すると、クリエイティブ&コンパッション&コレクティブ&コード・オブ・シンキングなスクライビング=4Cスクライビングになっていることに気づきました。ありがとうございました!)
★今日も先ほど霜田先生と廊下ですれ違ったとき、昼から何かやるらしく、忙しそうでした。
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