アサンプション国際 希望の私学として第二幕を開きます。
★アサンプション国際は、2017年に、校名変更、共学化、21世紀型教育を導入しました。校名変更は、変わりますよというアテンションのためには必要でした。共学化は、創設当時の女子教育の本質は、やはり当時弱者としての女性の存在のバリューを高め、公平公正な社会にしていく必要性があったわけです。共学になっても、いやならざるを得ないのは、21世紀になって予測不能な混迷の中で戸惑い不安に陥る小中高生の光になるという本質が変わらないからこそでした。女子のみならず今度は男子にもアサンプション教育を広げなければ、その本質を実現できないからです。
★何より、<トランスフォーメンション=変容>という言葉は、アサンプションが伝統的に最も大事にしていますから、この変容は必然的だったのかもしれません。理事長であるシスター宮本先生は、神様の計画ねと微笑みながらよく語れています。
★そして、21世紀型教育。C1英語の環境、PBL型授業、ICTの活用という道具立ては、アサンプション国際の教育力と教師力のポテンシャルを時代の要請とマッチングさせて、効果的な現実態に変容するために導入されました。C1英語は、イマージョン教育に結実し、PBL型授業はSDGsをベースにする探究がハブとなって、各教科の授業に波及しています。そして、ICTは、授業ではもちろんですが、教育活動全般における情報や想いの共有のためのプラットフォームを形成しています。
★こうして、高校改革1期生が今春卒業し、未来に羽ばたきました。そして、今年からいよいよ中学改革1期生が高1に入学します。小学校では、小学改革1期生が4年生に進学します。
★アサンプションの大きなアップデートとして第二幕が開くのです。改革は草創期の1,2年は、ガムシャラに進みます。混沌ともしています。そのたびにいろいろな問題が起こります。しかし、改革の大きなベクトルはそれらの問題発生は想定済みで、一つ一つ解決していくことで、改革の大きなウネリが整っていくのは、世の常です。
★そして、3年以降は、キャズム(溝)という難所が再び現れてくるのも、マンジメントやマーケティングのイノベーション理論として確立されています。アサンプションも例外ではなかったでしょう。
★アサンプションの改革は表舞台は2017年からですが、準備期間を含めると2016年からでした。ですから、21世紀型教育の旗を振る校長江川先生が就任して3年が経って、任期を全うされた後、2019年4月からは、丹澤校長が就任しました。小学校の副校長は三宅先生です。お二人ともOGです。丹澤校長は英語の教諭、三宅先生は音楽家教諭です。そして、情報の岡本先生が中高の副校長に就任しました。
★21世紀型教育は、C1英語×PBL×ICTからグローバル教育とSTEAMに変容していきますから、4年目は、G-STEAMの波を受けとめられる準備に変容したということでしょう。
★しかし、大事なことは、もう一つあります。そのような道具立ての時代は、ひと段落したのです。第二幕は、教育力と教師力のポテンシャルが新時代にマッチングした現実態になったときに、新時代に合うコアバリューの意味の再認識もしなければなりません。意味は不変でも、その意味を<共有>できる名づけが必要です。名づけの作業こそ普遍的/不変的意味の掘り起こしにつながります。
★そんなわけで、同校のルーツであるフィリピンのアサンプション修道会からシスター・マージョの応援も頼んでいるそうです。フィリピンのアサンプション姉妹校は、すでに21世紀型教育は先取りしています。そして、何よりコアバリューをPBLスタイルで共有してフィリピンが抱える様々な問題解決に社会的インパクトを与えています。その実践者であり、理論家であり、もともとフランスのアサンプション本部で重要な仕事をしてきたシスター・マージョの応援が得られたわけです。
★コアバリューとPBLをつなぐものは何か?それは今までの日本の教育ではあまり重視されて来なかったダイアローグ・メカニズムです。対話は、欧米においては、会話とは違って、日常の中で気づかれない、あるいはあえて見逃してしまう防衛機制が働いている部分に気づき、核心に触れた問いを生みだし、共有し、ともに解決するアクションを創り出すメカニズムです。
★このダイアローグ・メカニズムの重要性については、岡本先生は、アサンプションの教師はすでに気づいていると語ります。SDGsの取り組みをベースにした探究を2017年以降模索してきた中で、生徒自身が深い学びのための問いをいかにして発見できるかは、重要なことなのでそれこそ対話が絶えないそうです。
★実は、その2017年の1月に、当時の江川校長と私は、新高1になる有志の生徒と「哲学対話」を開きました。江川先生から今は道具立てが優先するけれど、あるところからは、本質が重要になってくるはずだ、その準備というか、そのときにできるかどうか手ごたえを感じてみたいと相談を受けました。
★「哲学対話」はPBLの根源的泉ですから、有志を集めてやってはいかがですか?フィリピンのスモーキー・マウンテンの背景にあるフィリピンの社会課題を共有できるか、そしてそれを解決することがSDGsにもいかに関係するかなど、問いを立てられるかどうかやってみましょうよと。
★江川先生は2つ返事でやろうと、。そこで、プログラムの対話を何回かして、立ち臨んだのを思い出します。その当時の有志で参加してくれた新高1生こそ今春卒業した生徒のみなさんです。当時同校サイトに掲載された写真をみると、女子生徒ばかりが参加しています。それはそのはずです。2017年の1月は、改革前夜でまだ女子校だったのですから。
★2016年のプレ改革時代の卒業生とも対話する機会がありました。彼女はSFCに進学していたので、対話の重要性について大変興味をもち、アサンプションの教育活動や授業の中に取り入れることはとてもよいことだと、しかし、最初はきっとカタチだけになって、なかなか難しいのは、アサンプションだけの問題ではなく、日本の教育問題でしょうねと見抜いてました。
★また、哲学対話に参加していた生徒は意識が高く社会課題に自分の進路過程の中でどのように取り組んでいけるのか考えていました。中でもアートに関心がある生徒は、アートで社会課題を解決する新しい学部ができた大学を見つけてきて、そこにAO入試で進学を決めていました。
★長期留学をして、その経験から、アサンプションの教育アップデートの行方を評価しつつ、新しいアートの領域を見つけてきたわけです。その生徒とは、哲学対話ですぐに共振共鳴共感しましたから、3年後の姿を見て、感慨無量でした。
★3年前の手ごたえは、そのまま結晶化したわけですが、実はこの哲学対話は、有志の生徒との実験であって、参加者も限られているし、何より一時的なもので継続はしていなかったのです。ですから、結実するには、すべての生徒を対象にする深い学びの開発・実践が必要だったのです。
★それが、岡本先生を中心とする探究開発のウネリだったのです。2016年の準備期間中に、すでに岡本先生は、SDGsと探究を絡めることを考案していました。もともとICTを活用した創造的思考を育成するプログラムを実施し、公のセミナーで発表もされていたので、PBLとは親和性があったのだと思います。
★ですから、2019年に副校長に就任してから、道具立てのPBLから本質を生み出すPBLに変容させる動きにシフトしていったのだと思います。昨日お会いした時も、探究をコアにして教科にアップデートしたPBLを広めていくチームワークを随所につくっていきたいと静かな情熱を燃やしていました。
★アサンプションは希望の私学として、いよいよ羽ばたくときが来たののです。
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