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2020年3月28日 (土)

ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(8)高橋一也先生 新しい教師を育てるビジョン。

★高橋一也先生と言えば、2016年に日本人初!の 「教育界のノーベル賞」ファイナリストになった超有名な教師です。世界中の教育ノーベル賞のファイナリストのネットワークをもち、それゆえ日本の教育界の重鎮や教育産業のCEOとのネットワークも広く深いのです。文部科学大臣とも語り合うほど日本の教育界では頼りにされている教師であり、大切な人物です。

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★2015年に工学院に着任し、平方校長と21世紀型教育をひっぱりました。ラショナルでラディカルで世界課題に対するコントリビュ―ションを重視している教師ですから、多くの先生方が憧れたし、真似もしました。もちろん、今でもそうです。

★おそらくその時期から、最年少民間校長とか、最年少教頭とか、教育領域でパラレルワークをしながら活躍したいという教師などが爆発的に増えたのは、間違いなく「教育界のノーベル賞」のファイナリストになった高橋先生の言動です。本人は、控えめにそれは時代の流れで、その中の1人ですよと言いますが、間違いなくインパクトはあったと思います。

★しかしながら、一方で、憧れや真似は、表層的な人間の感情的な動きですから、表面的に同じようなことをやったら、高橋先生に追いついたと万能感まるだしのスピーチに悦に入っている愚かなリーダーもたくさん生みだしたことも事実でしょう。

★理性という名の抑圧主義、共感という名の同調主義を拡散したのです。ずいぶん多くの人が感染しました。

★この理性とか共感とかの衣装をまとい抑圧主義や同調主義を広めていっている当の本人も感染者も自覚症状がありません。何せ自分の顔は自分で見ることができないのですから、当然です。

★高橋先生は、多くの世界的なネットワークや異業種のネットワークをもっているし、慶応大学や世界の大学の同僚とのネットワークももっているので、そのような抑圧主義や同調主義とは距離を置こうとします。しかし、あちらはニコニコしながら近づいてきたり、相手にしてくれないと思い込み憤慨しながらからんできたり、そこは有名人の辛いところです。

★また、距離を開けていることをいいことに、教育で金もうけをしようという校長も現れるし、社会課題に目をつぶる安心安全シェルターをつくっていく新興宗教的教師も現れました。

★高橋先生は、このままでは日本の教育は本当に閉鎖空間での教育に陥り、生徒の未来はだいなしになると痛みを感じているのでしょう。この道徳主義や感動主義、簡単に言えば根性主義は、第二次世界大戦へ向かった日本の二の舞だと感じているのではないかと思っています。ここらへんの感覚は新世代の気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルと共通するところですね。ガブリエルは、日本だけではなく、世界が今そこに戻ろうとしていて危険だと認識しています。

★ともあれ、そんなふうに感じたのは、例によって独断と偏見の私見にすぎません。というのも、そこまでつっこむ対話の時間は、さすがに今日このタイミングなのでなかったわけです。ノー3密を配慮しながらすぐに別れました。というわけで、あくまで私の推理にすぎません。高橋先生と会って対話をしているうちにそう感じたのです。

★理性が抑圧主義に感染しないように、共感が同調主義に感染しないようにするには、どうするか?高橋先生はデータと自由で日本の教師のアップデートをすることによって応えようと考えています。データがなければ、自由もいつの間にか不自由に囲まれています。自由なきデータは優勝劣敗主義や決定論を生みだします。そこをそうならないように突破しようと。すごいことを考えていますね。

★私自身は、もう年寄ですから、高橋先生と何かいっしょにやれるかというとそれはできないし、高橋先生もそうは思わないでしょう。しかし、かつて21世紀型教育を創る会を設立した当初からお会いしているので、その一期一会を大切にしたいと思います。

★高橋先生の教師の言動の意義を、そしてその未来への価値を、みなさんと共有していけたらと思っています。

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