2021年中学入試を読み解く準備(6)基礎情報⑥東京男子校の帰国生入試。海城の躍進理由と東京大学の本音。
★今年の東京大学の合格者数で注目されるのは海城。東大の入試は数学と英語が難しかったために、数学は差がつかず、英語に力を入れている女子校や共学校が東大を増やした。英語と言ってもグローバル教育の話だから、日比谷などの公立高校も増やすことはできなかったということらしい。
★つまり、男子校は振るわなかったということなのです。しかし、そんな中、海城からは59名が合格し、昨年よりも13人増。高校入試を廃止して中学の帰国生入試を行い、グローバル教育に力を入れてきた成果がでたと評判です。
★もっとも、海城の場合は、グローバル教育だけではなく、ICTも取り入れた先進的教育を行っており、いわゆる御三家のようなカリキュラムは意識していないわけです。IBやAP、Aレベル、海外大学の研究をして、世界のエスタブリッシュスクールに肩を並べようとしています。ですから、東大だけではなく、ハーバード大学にも進学しています。医学部医学科も30名以上合格していますが、桜蔭や灘のように100名を超えるような文脈は有していません。
★医学部に大量に入れる学校は、ある意味特殊事情があります。現状の医学部人気に挑戦するには、あまりにも世界とは異なる受験勉強をしなければなりません。海城はあくまで、世界標準だし、リベラルアーツをベースにした学びで進学態勢をつくるので、日本の医学部に偏った受験勉強の構えはとらないということでしょう。
★ともあれ、帰国生入試の応募者数は、海城はたいへん多いわけです。男子校における帰国生入試は、どちらかというと、東大合格者の人数を出すことを目的として最初行われました。
★しかし、その中で海城と聖学院は、帰国生の現地校での豊かな学びの体験をそのまま生かせる環境を構築しているわけです。ですから、聖学院もワシントン大学(世界大学ランキング30位以内)に今年進学します。
★したがって、ここまでくると、東大のねらいは、たしかに女子生徒を多く獲得したかったという表のねらいもありますが、本当のところは帰国生の入学がもっと欲しかったといことでしょう。
★なにせ、帰国生は例年の英語入試だとほぼ満点をとってしまうからです。帰国生の創造的思考とクリティカルシンキングと世界的視野の広さ、英語力の凄まじさは、東大自身が実施している帰国生入試で実によくわかっているのです。
★だから、日本の学校に帰国した帰国生を一般入試でどう回収するか当然考えたわけですね。
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