首都圏模試「思考コード」2021(8)B軸(適用・論理)思考を考える①結局レベルA3とB1が重要?
★経験から気づいたことが検証されて知識となっていく。このプロセスはA軸思考のレベルA3で入門的にできるし、この入門編の学びが実はあとから重要なのですが、なかなかそうはいかないですね。検証と言っても、言語的な整合性は入門編でできるのですが、自然科学的な検証となると、数式というか関数への変換が必要になるので、やはりB軸思考にシフトせざるを得ない。おそらくこの違いが博学知と科学知の違いになると思います。
★2019年の跡見の理科の入試問題で考えてみましょう。問1は、Aのばねが、おもりをぶらさげていないとき何センチになっていますか?という問いです。レベルA1で、グラフを見ればわかります。
★しかしながら、条件反射的にファイリング知識としてグラフの読み方が発動するまでには、なかなか複雑なプロセスを、私たちはたどります。しかもこれは、経験→言語化→グラフ化という変容過程をショートカットしています。つまりここのプロセスでの思考作用は、暗黙知化しているので、A1レベルで解答できるのです。
★かくして、ファイリング知識にコンパクト化される時に、多様な格納・想起チャンネルを含んで暗黙知化されていると、条件反射速度が速いわけです。これがなぜ起こるのか?おそらく脳神経学で解明するしかないでしょうから、ここはあくまで仮説にすぎません。しかし、教育や学びは、脳神経学で解明されていることはわずかですから、経験値による検証の連続によって話していくしかありません。
★さて、この多様な格納・想起チャンネルの暗黙知化には、A3レベルの学びが必要です。≪読書≫・≪自然との戯れ≫・≪社会のフィールドワーク≫ということです。
★そして、問2ですが、グラフにない100ℊのおもりをぶらさげたとき、ばねの長さがどうなるかという問いです。目の前にない現象はどうなっているのかということですね。
★グラフの表を拡大して、実際にグラフの線を引っ張ることによってできます。これは、目の前の現象が見えている枠内で考えるA軸思考の適用(応用)です。しかし、これはズレがあったりして、精緻化に欠くので、グラフの性質を式化して論理的に考えていくということになります。
★B1レベルのB軸思考が稼働するわけです。問3も同様です。
★しかしながら、これは日常生活で、ゴムなどで体験していることや、正比例のファイリング知識などを転用して理解していくわけです。受験勉強を通して、跡見の入試を受ける瞬間は、パターンという順序づけ知識がファイリング知識にショートカットしているので、なんなくB1レベルのB軸思考を発動できますが、首都圏受験生の正答率は80%くらいでしょう。20%は間違えるかわからないかどちらかです。
★なぜそなことが起こるのか?それはA3レベルの学びを丁寧に通過する環境がなかったからでしょう。
★しかも、A3からB1に飛ぶには、直接的経験から間接的経験に飛ばなくてはならないのです。私たちは目に見えない諸現象に包まれて生きています。水の分子記号はわかっても、水が分子結合している様子を見ることはできません。しかし、体験はしています。水をの飲むという直接的経験はしますが、水の分子結合を飲んでいるというのは<化学記号>を介在しながら間接的に経験することです。
★A軸思考とB軸思考の大きな違いは、直接的経験で情報を処理できる量が多いのか、間接的経験で情報が処理できる量が多いのかです。もちろん、きちんと分けるのは難しく複合的でしょうが、力点がとっちかということですね。
★前回までは<言語>を持ち出しました。今回は<グラフ>や<式>を持ち出しました。この<言語><グラフ><式>こそ、直接的経験と間接的経験をつなぐ優れた<媒介項>なのです。
★ということで、A3は<言語>、B1は<グラフ><式>を学ぶ領域ということになります。そして、この<グラフ><式>を学ぶマテリアルの優れものが<幾何>だったというわけです。
★この<幾何>をつかって、微積分を説明したのがニュートンです。そしてニュートンはまだユークリッド幾何学だったので、ポアンカレが非ユークリッド幾何学の応用編としてトポロジーを編み出したわけです。
★この微積とトポロジーが、近代経済学や新物質開発に大きなインパクトを与えていることはノーベル賞受賞の功績を見れば明らかでしょう。しかし、微積とトポロジーを学べばみな創造的にあんるかというとそうではありません。
★微積とトポロジーをアートと哲学で置換→変容→転換という複雑系コペルニクス的転回=ブレイクスルーを生み出すには、何が必要か?それが対話的存在者というわけですが、ここにいくまでにもっと思考コードの話を続けていかねばならないでしょう。
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