ポスト・コロナショック時代に、新しい教育活動を開始する私立学校(3)第3の私学のポジショニング。
★第3の私立学校は、環境中心の生活世界(自然と社会と精神が循環している生活世界)を生み出す教育を行っていきます。SDGsについてコメントしない私立学校はそうないと思いますが、かりにSDGsについて言及したり探究していても、その拠って立つところが経済中心の生活世界(自然と社会と精神が分断されている生活世界)を常識としてあるいは前提にしていると、それは抑圧的世界の中での競争関係、優勝劣敗の陥穽にはまっていきます。
★第3の私立学校として前回紹介した聖パウロ学園、聖学院、和洋九段女子、八雲学園、ノートルダム女学院、工学院、品川翔英、かえつ有明は、共通して共感的世界を創っていこうという気概が学内にあります。
★もちろん、現実社会はまだ抑圧的世界です。麻布のようにこの中にあって、いかに自由を論じ自由を確保し、さらなる次元の自由の突破口を見出すか議論し続ける私立学校もあります。しかし、麻布の歴史は、日本という国の抑圧的世界にあったし、共感的世界が現実態ではなかったのですから、それはしかたがありません。
★ただ、麻布は明治国家ができるとき、もう一つの近代化路線を考えていた可能性が大です。しかし、それを遂行しようとすると、明治政府に圧力をかけられるし、つぶされるリスクも高かったのです。それゆえ、現実社会である抑圧的世界でのポジショニングを獲得する動きをしていたのだと思います。東洋英和からの離脱はそれを意味すると思います。
★今では、生徒獲得も十分であるし、自由なカリキュラムによって、大学合格実績もでているので、新しい生活世界を学校当局として働きかけることはないでしょう。それは卒業生がやることです。
★しかし、第3の私立学校は、抑圧的世界でポジショニングを得るには時間も資金もありません。別次元でポジショニングを獲得するしかありません。ただし、その局面で、戦略的にこの第3のポジショニングを選んだわけではなく、建学の精神とリーダー教師が、NY国連のギャラリーに掲げられているノーマン・ロックウェルのモザイク画「黄金律」というコンパッションをベースにした共感的コミュニケーションと他者のための個人マインド(コミュニタリアニズム)を理念としているために、必然的にそこにいきついたのでしょう。
★この第3の私立学校は、それゆえ、社会に存在するコンサバ、リバタリアン、リベラリスト、コミュタリアンを統合するマネジメントをしていきます。つまり、複雑適応系組織創発となるのです。それゆえ、コンパッションが重要です。だからこそ、ドラスティックな改革は難しいのです。ダイナミズムは働くのですが、それはゆったりとウネリます。時熟が必要なのです。
★そして、ポスト・コロナショックという転機のタイミングで、その使命に期待がかかり注目されるようになるのです。
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