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2020年3月21日 (土)

首都圏模試「思考コード」2021(13)A軸思考(知識・理解)とB軸(適用・論理)思考とC軸思考(批判・創造)の関係性を考える②武蔵のお土産問題

★武蔵の中学入試における理科の最終問題は、いつも決まってお土産問題。今回は受験生が袋の中から取り出したものは二つの同じドーナツ型の磁石。その二つの磁石がどのようにくっつくのか、実際にやってみて、すべての組み合わせをスケッチし、どうのように組み合わさっているのか<説明>する問題でした。

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★このお土産問題として、受験業界では人口に膾炙されていて、毎年どんなお土産が提示されるのか、業界人は楽しみにしているわけですが、なぜ楽しいかと言うと、話題性という側面ももちろんありますが、単純で誰もが取り組みやすく、それでいてなかなか難しいB3思考をフル回転する問題だからです。

★問いのねらいは、おそらく、<対象=客体>を多角的に観察して、それを<絵>と<言葉>に<置換>える能力があるかどうかでしょう。「観察」する構えは、社会科学であれ自然科学であれ重要です。先入観を排除しながら、みたままをありのまま理解し再現できる能力。再現する時には論理が必要です。

★なぜこのお土産問題がB3かというと、とにかく多角的アプローチが大切なのです。毎年、手にとり、触りながらいろいろな角度から見ながら≪眩暈≫がするような第二の脳(手はそう言われています)で未知の体験をしていくのです。

★したがって、実はここはC軸領域ですね。ただ、創造的作品を創るわけではなく、分析で終わるので、最終的な採点段階では、B軸だと受験業界ではとらえられうでしょう。それで構わないわけです。受験生もそのような対策をしていきますから、創造的な思考を行っているとはもはや感じていないということもあるでしょう。

★しかし、袋を開けて未知なるものを手に取る瞬間は、C軸思考が発動するトキなのです。そこから、しかし受験モードになって、トレーニングしてきたように、お土産は、物体ですから、3Dの構成要件にしたがって、考えていくでしょう。

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★今回の二つのドーナツ型の場合、くっつくパターンは、接するところが、どのような面になっているのかそれとも点になているのか、それとN極とS極があるので、その関係を組み合わせてカテゴライズ<分割・統合>していくわけです。

★たしかに第二の脳<手>を使うだけでもできるのですが、それではもれなく観察したかどうかわからないので、思考スキルを活用して最終的には第一の脳を発動するわけです。ですから、C軸思考は背景に退き、B軸思考が前面に出てきます。

★この問題が、A軸思考ではできないのは、出題者側が、いままで経験したことのない問いを考えるからですね。ここでワクワクできるかどうかも大切です。好奇心は、科学者のもっとも大切にするモチベーションですから。

★それにしても、このシリーズでご紹介した武蔵の社会の最終問題といい、理科のお土産問題といい、ハザードマップとか二つの磁石とか、リサーや観察したことを<言語化>する<説明>とはなんでしょう。

★社会科学や人文科学では、理由<因果・相関>スキルを発動しますが、自然科学では<具体と抽象>の<置換>スキルを発動します。

★自然科学では、なぜ?ともちろん問うのですが、それは「~だから」という表現ではないのですね。具体的に「こうなっている」そしてそれはなぜ?と問うても「それはこういうシステムになっている」と置き換えていくのです。

★ですから、根拠やエビデンスといたっとき、「~だから」という構文にこだわっていると、自然科学の発想の芽が摘まれてしまう子供がでてきます。人間はなぜ存在しているのか?「人間は~だから」というのは、証明のしようがないのです。もちろん、論理的な整合性として物語としてはどれがすてきな最適な物語かで、そこに参加している共同体のメンバーが納得すればそれが根拠やエビデンスにあんりますが、違う共同体では認めれないということが多々あります。というかこの論争の連綿とした時の流れが人間の歴史あkもしれません。

★ところが、自然科学だと、「人間は~というシステムになっている」という仮説の検証過程こそが根拠やエビデンスです。

★つまり、理由とか根拠とか言ったときに、構文的理由・根拠とシステムとしての理由・根拠の2通りで私たちは対話しています。論争や感情のぶつかり合いが起こるのは、その意識をお互いにしていないからです。

★でも意識できるようになると、主体としての自分は相互主観だし、相互主観が見ている対象はいろいろな角度からみた視点の相互客体であることがわかり、その相互関係は無限に続きますから、その無限の流れに凛として立ちながら相互主観とお相互客体の統合をジェネレートする相互存在としての自分を見出すことができるでしょう。

★鏡に映してこれが自分だと思っているところに自分は実はいないわけです。鏡に映っているこれが客体だと思っている対象も相互接点の関係によって見方が変わってきます。鏡には映っていない相互客体があるわけです。

★鏡にその客体をもっていっしょに映った私も客体も、実はその背景にある相互の編集によって生成された物語の中にいるわけです。その物語を共に編集する生成するinterbeingとしての私たちは、まだ顕在化していません。世界が平和になるには、この物語の共編集、共生成が大事ですね。

★これがA軸思考から解放されなければならない本当の意味でしょう。

★二つの小さなドーナツ型の磁石を観察する生徒の構えの中に、そんな大切な真理が隠されていたわけです。武蔵が名門校といわれるゆえんは、東大の合格者の数云々ではなかったということです。

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