品川翔英の国語科の挑戦(1)PBLの<構造>デザインの共有 普遍的かつ独創的な構造の発見へ
★前回の記事でも紹介しましたが、品川翔英の記事のアクセスランキングは高く、新中学市場で注目されることが予想されます。「感染症に対応する都市機能の変容能力(14)品川翔英 新しい都市創りに新旋風を巻き起こす予感。」は4位、「品川翔英のために 柴田哲彦先生副校長に就任」は27位です。27位と言っても、後者の記事は、昨年の7月7日の記事ですから、名称変更、共学化、柴田先生の就任という情報に対する関心度がいかに高いかということがわかります。
★そして、その期待に応えるべく、今、同校の先生方は新中1、新高1を迎える準備に奔走しています。未来へ飛翔する土台はいかにしたら創れるのか、日夜創発対話と制作活動に没頭しているのです。
★チーム国語科のダイナミックな活動もその例外ではありません。4月から校長に就任する柴田先生と国語科主任の西山先生は、哲学者レヴィナスは自分の顔は自分で見ることができないと言っていますから、国語科の挑戦しているカリキュラムプランやPBL、ルーブリックなどについて、第三者的に眺めて欲しいということでした。
★レヴィナスは、あの過酷なホロコーストを生き延びた哲学者で、その倫理学は自らの想像を絶する世界の痛みの原体験の中から生まれています。国語科の生徒の存在の本質に迫る覚悟が伝わってくるお話に、共感するのは当たり前です。二つ返事で了解しました。
★先日は、カリキュラムとルーブリックとPBLの関係について考えていることについてまず対話になりました。そんな中で、プランの立て方を微分積分の考え方でやってみようということになりました。全体のカリキュラム配列を考えたり、コンテンツベースで表を書く前に、一回一回のPBLの構造を分析しようということになったのです。つまり国語科の教育活動を微分化しようと、その次に全体を見渡す積分をしようということになりました。
★PBLの基本的な考え方やデューイの時代のPBLが、1989年や1995年以降に現代化される経緯や、MITメディアラボのチャレンジについて対話が弾みました。湯川秀樹の科学者と詩人の共通点について美しい対話もありました。ひとしきりそんな対話をしたあとで、それぞれのPBLへの想いをさらにキーワードで微分化しました。1情報1ポストイットという条件で、たくさん書き込んでいって、今度はチームでそれを統合していきました。国語科の先生方は、通常の言語活動の中で、<具体と抽象スキル><カテゴライズスキル><因果・相関スキル><比較・対照スキル><置換・変換スキル>などを暗黙知として自在に活用しているので、実に対話が豊かに進行していきました。
★分析、つまり微分化の手法は、U理論で活用されるスクライビングをアレンジした創発型スクライビングで行っていきました。コンテンツのスクライビング→フローチャートとしてのスクライビン→構造化としてのスクライビングと何度も対話しプレゼンしていきました。
★そして最終的に、先生方の内側にコンコンと湧き出ている暗黙知としての<思考スキル>を言語化をしていきました。これによって、品川翔英流儀のMIR分析という方法論が生まれました。なんて創発的!
★そのMIR分析がいかなるものかは、現段階では企業秘密です(笑)。
★分析手法を世界標準の理論から生み出していったので、普遍的かつ独創的に自分たちのPBL授業を分析する準備ができたのです。そこから一気呵成に、先生方1人ひとりは自分のPBL授業の案を組み立て、スクライブ手法でフローチャート化してプrゼンしました。
★そして、自分の顔は自分で見ることができないので、他の先生方がMIR分析でそのフローチャートをさらに分析していきます。すると、そこにPBLの構造がくっきりとあることが浮かびあがってきたのでした。
★ほかのチームとミーティングをしていた新校長柴田先生もやってきて、エールを贈りつつ、質問して自らも学ぶ態度を示しました。はやくも学習する組織創りが始まっているな!と実感しました。
★そのあと、他の先生方のフローチャート分析とMIR分析をしてきました。
★それぞれ、単元も授業の場面も違いますが、PBLを構成する要素はきちんと埋め込まれていることが共有されていきました。
★こうして、微分化しないながら、PBLの柔軟な構造が見えてくると、それぞれの要素ごとに再び深い議論が始まります。要素還元主義ではなく、関係総体主義的な発想こそ実はPBLです。
★この要素分解をして統合すると相乗効果が生まれるという気づきを共有していきながら、その要素ごとにICTをどう利用するかという対話にも発展していきました。1+1は2ではなく、3にも4にもなるわけですが、実はICTが入ると指数関数的に相乗効果が生まれます。
★もちろん、その相乗効果が生まれるようなICTの活用方法を生み出す必要がありますが、次回は、PBLとルーブリックの積分をするときにICTもいかに活用するか実践交えて対話をするそうです。楽しみですね。
★そうそう、ルーブリックですが、その作り方の肝は、実は構造にあります。その構造はMIR分析によって見つかりました。
★ルーブリックは、目の前の生徒の発達段階や最近接発達領域を発見しながらつくっていきますから、品川翔英の国語科の先生方のように普遍的かつ独創的な構造を自ら見つけな限り、絵に描いた餅になります。
★そういう意味で、本物志向のルーブリックが品川翔英で誕生しそうです。日本の教育史上、画期的な出来事です。
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