ノートルダム女学院で生まれている<新しい学びの経験>(2)NDナレッジ・カフェOPEN!
★ノートルダム女学院は、今回の一斉休暇の時間を使って、教師の学び合いが行われてきました。それぞれの教師がオンライン授業やグーグルクラスルームなどを創意工夫して生徒と学びを行っている合間や、成績処理の業務などの合間で、集まって、4月からのさらなる未来志向型授業をアップデートする準備をしていたわけです。
★2020年の3月11日は、9年前の3・11と今回の新型コロナウィルス感染拡大防止の現状を重ね合わせながら、生徒の未来に祈るように思いを馳せました。このような予測不能な事態は、今後も起こりうるわけであり、そのとき生徒が自分で状況をつぶさに把握し、他者と協働しながら自分のとるべき行動を判断し、社会課題を解決する貢献活動を構想できるソフトスキルをどのように身につけていくのか、その<新しい学びの経験>の環境の着想について<対話>しました。
★この対話の会合の名称は<NDナレッジカフェ>です。マスターは霜田先生。未来志向型教育チームのリーダーの1人です。未来志向型教育チームはもちろんNDのチームですが、同時に霜田先生は、世界市民のための未来志向型教育のチームのリーダーでもあります。最先端の学習理論のみならず、哲学史に造詣が深く、それをベースに、最先端の哲学の知とテクノロジーを活用して学びの環境を創っています。
★9年目の3・11に、<NDナレッジカフェ>がオープンしたのはたいへん意味のあることです。この意味の深さは、今後のナレッジカフェの活動によってさらに堀り下げられていくのだと思います。先月から、この日のためにプレオープンの準備がなされてきました。
★グーグルクラスルームの効果的な活用方法についてのセミナーを行ったり、ここ数日“Most likely to succeed.”の上映会を行ってきたのもその一環です。
★ナレッジカフェオープン第1回目のメニューは、HTHの映画を見て、NDの<新しい学びの経験>のアップデートの意義を深めるワークショップでした。最初は、映画の内容の情報交換をしていき、記憶を掘り起こす対話をするところからはじめていました。アイスブレイクですから、正確な内容の分析ではなく、あくまで、どんな内容が気に入ったとか気になるとかというそれぞれの想起するシーンを結合していくアクティビティでした。
★そのあとで、マナボードに1人ひとりお気に入りのキーワードを書き込み、プレゼンしシェアするアクティビティにシームレスに移行していきました。
★生徒1人ひとりの才能を見出すことに興味を持っている先生、モチベーションの重要性に注目していた先生、定期テストも教科書もないPBLの在り方に関心を抱いた先生など様々でしたが、大事なことは全員で互いの興味関心を共有するところです。自己開示の足場づくりが着々と進みました。
★その後、自己開示しながら対話するときに、TOKの知見である<共有知識と個人知識>あるいは言語の思考スキルである<ファクトとオピニオン>を分けて話し合ってみるという分析アクティビティを行っていました。
★HTHで考えられている社会の見方、産業進化の見方、教育の在り方の見方など共有されている知識が何であるか整理され、それぞれにHTHにかかわる生徒や保護者がどう感じているのかどんな不安をいだいているか分析が深まって行きました。
★2チームに分かれて対話をしていったのですが、それをさらに参加者全員で統合するところまでいきました。
★というのも、2つのチームは、この整理の仕方に微妙な差異があったからです。間主観と主観という分け方と客観と主観という微妙な差異。
★さすがは、哲学マスター霜田先生。統合する過程で、この差異に気づくという弁証法的アクティビティを挿入していました。
★この差異が、ものの見方の違いを生み出すということに気づくことは、正解が1つでない問いを発見し、取り組むときに大切な視点です。この差異を無視すると、最適解以外を認めないという対話になってしまい、生徒1人ひとりの才能開発にストップがかかってしまいます。
★対話の中で、先生方は、HTHの先生と生徒の対話の仕方が、創発的な理由を探ることになったのは、この弁証法的アクティビティが契機になっていたと思います。
★そして、改めて、では自分はどうなのか?HTHの映画によって気づいたことを自分事に落としていく対話がなされました。あっという間の90分が過ぎました。<NDナレッジカフェ>は、教員研修ではありません。出入り自由のカジュアルな学び合いスペースです。生徒の成績を上げるためとか、生徒指導のミッションをつくるといった仕事として会議でもありません。
★閉店の時間がきたらお開きです。ゴールにいたるかどうかは問題ではないのです。気づきを自分ならどうするかを日常に持ち帰るかどうかも自由です。
★とはいえ、そこはマスター霜田先生。デザートはちゃんと用意してありました。グーグルクラスルームでアンケートをとりました。
★参加者一同がQRコード撮影会をやって、アンケートフォームに入っていきます。そして回答するや、集計されます。
★今回のカフェで気になったことベスト3をチェック。すると、多様な反応に当然なるのですが、それをシェアすることで、コンパションという互いの興味関心及び痛みを共有することになりました。コンパッションアクティビティというすてきなデザートを食して閉店となりました。4月からのそれぞれの授業アップデートがどうなるのか楽しみです。
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