八雲学園 さらに進化する教育の総合力 生徒の無限のポテンシャルが生まれる複合的なPBL(2)
★今年4月で、八雲学園の共学クラスが中1から中3まで揃います。タブレット型PCを1人1台活用している環境が毎年拡大しているわけですが、その共学クラスPBL授業がさらなる進化をしているというので見学させてもらうことにしました。そして、驚きました。中1の近藤嘉彦先生の社会の授業の景色ががらりと変わっていたのです。
★あの分厚い資料集はどこにいったのだろうか?まずそれを感じました。社会と言えば、あの分厚くカラフルな資料集。そう頭から思っていましたが、近藤嘉彦先生の手にはタブレット型PCがありました。
★生徒も1人ひとりタブレット型PCを活用しています。近藤先生を見つめ、話に耳を傾けながら、指はキーボードをたたいています。
★アーカイブなどの資料は、社会科のプラットフォームのデジタル資料室から取り出しています。近藤先生は、はやくからPBL授業を展開していました。グループワークを中心に、PCもチームで一台を共有して行っていました。
★しかし、今回は1人1台ということもあるのでしょうが、一見すると個人ワークになっています。定期テスト直前授業だからなのかなと思っていましたが、さらなるPBL授業の展開ということだったので、いや何かあると思い直し、焦らず授業観察をしました。すると、やはり私の浅薄早計な勘違いでした。定期テスト直前の学びであることに変わりはないのですが、その機会を利用して、クラス全体がONE TEAMとしてグループワークを行っていたのです。
★しかも、その学びの目的は問い作りでした。どういうことか?生徒1人ひとりが知識や技能を習得し活用するには、与えられた知識を憶えたり、与えられた課題を解決するだけでは不十分です。しかも、PBLは、学び方を学ぶ主体性を育むことも目的の1つです。したがって、与えられた側から自ら提案する側に転換するトランスフォーミング能力を必要とします。
★この転換し変容する能力を養うには、自ら問いを発見し提案する力が大切であると、ときどき授業の解説を河東田社会科主任がしてくれました。
★なるほど問いを自分で創れたら、それは思考力の扉を開き、自問自答とディスカッションを加速させることになるでしょう。だから、生徒1人ひとりが定期テスト対策として問いを創り、プラットフォームに送信して、それをONE TEAMとしてのクラス全員で相互に解き合っていたのでした。
★河東田先生は、「外から見ていると、個人ワークですが、プラットフォーム側からみると、グループワークになっているし、得点などを競い合っているのです。そとから見ている部分はParfect Mastery based Learningで、プラットフォーム側からみていると、Project based LearningかつPlayful based Learningになっているということでしょうか。デジタルネイティブの生徒にとって、リアルスペースとサイバースペースを複合的に活用することは当たり前です。逆にその学びの空間を一方にだけ限ると、集中力が続かなくなります」ということです。
★近藤嘉彦先生は、「共学学年の社会科は、どの教員もこのような複合的PBLを行っているし、もはやタブレット型PCは欠かせないですね。それから、ちゃんとグループワークもやりますよ。記述式の問いを考えたり、探究的な問題解決のフェーズになったときなど、学びの内容に応じて変幻自在です。ただ、知識や技能にしろ自由記述にしろ、プラットフォームで共有しますから、学びのプロダクトの量と質はシナジー効果があふれ出ます」と教えてくれました。
★つまり、ICTを使うことは目的ではなく、リアルスペースからサイバースペースに入って対話や議論をするときに、その扉がタブレットPCだったということです。たしかにこのデバイスがないと、プラットフォームに入れません。タブレットPCが欠かせないとは、カギがないと家に入れないと同じ意味だったのです。大事なことは結局は対話や議論を通して考えプレゼンするという学びだったのです。
★Round Squareでバラザミーティングを大事にしているというところにつなっがた瞬間でした。
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