第4回新中学入試セミナー PBLと新タイプ入試が生み出す<自己変容型マインド>(4)中込真校長のパラダイム転換の講演
★今年の入学手続き者が前年対比150%の和洋九段女子。その成功要因は、もちろん生徒募集戦略・戦術の新たな開発だったのですが、それ以上に教育的価値が新中学入試市場で支持されたということが、和洋九段女子にとって、とても重要であり、同時にそれは2021年以降の新中学入試市場の価値観を示唆しているのです。
★その重要性について、和洋九段女子の校長中込真先生は語りました。テーマは、「未来を拓くグローバル教育×PBL」だったのですが、スピーチの90%はPBLの話でした。実はこれが極めて重要なことだったのです。
★というのは、今まで、そして今でも、女子校は「グローバル教育」を前面に出して説明会を行います。しかし、和洋九段女子は。もちろん破格のグローバル教育を行っていて、海外大学進学準備教育も着々と実現の道を拓いています。
★グローバル教育を前面展開する説明会は、たしかにプログラムの宝物「壺」として王道です。しかし、和洋九段女子は、対話やディスカッションをベースにしたPBLという人と人の存在を大切にする教育、つまりグローバル教育をはじめ多様な教育活動に通底しているマインドを前面に押し出したのです。まさにルビンの壺よろしく、図と地をひっくり返す発想の転換をしたのです。
★PBLを学内に全面的に展開して4年目、その成果は、教師も生徒も多様な外部とのネットワークを広げ、そこでの対話による多くの気づきを学内に浸透させる“Connected School”になったのだと、中込真校長は明言しました。
★グローバル教育は、このネットワークの重要なNODE(結節点)です。中心は和洋九段女子ですが、その中心はPBLで、そのまた中心は生徒です。この入れ子の教育組織体が、質を高め同時に深めます。この「入れ子」の事を、言語学的には「再帰性」と言います。リベラルアーツのレトリック論では、「外延と内包の往復」と言います。
★シンギュラリティが起ころうとも、当面AIで判断できないのが、この人間の生み出す「入れ子」「再帰性」「外延と内包の往復」だと言われています。これらは、リフレクションシステムです。つまりリフレクションは、AIが判断しようとするとショートしてしまうのです。
★科学者である中込真校長の鋭い着眼点は、AIに判断できない最重要なPBLが形成する生徒たちの存在を前面に出したのです。
★というよりも、生徒自身が自発的に前面に出てきたのです。自分たちの興味と関心が学内だけではなく、外部と結びつき、それが外部の痛みというNODEにつながったために、今度はそこをどのように解決するかそのためにはどことつながるとよいのか新たなNODEを探究します。そして、そのためには、実は自分たちに魅力がなければ連携してくれないということに気づきます。
★自分たちの創意工夫。クリエイティブなソフトパワーを全開していくわけです。すると、今度は外部から生徒たちと連携しようという逆の動きがでてくるのです。外延と内包の往来が生まれます。この外延と内包の往来こそ「詩」の命です。ファンタジーの「魂」です。ここに人が集まるマインドフルネスの場が開けます。湯川秀樹は、科学と詩はシンクロすると言いました。ハイデッガー的に言えば、外延的な現存在が喪失していた内包としての根源的な魂の存在者を見出す場が開いたのです。場は、魂に共感する人々が集まってくる居場所となるのです。住むための物理的空間ではなく、精神が住まう空間としてとハイデッガーなら言ったでしょうか。
★論より証拠、それを実現したチームの1つである中3生6人が、中込真校長のスピーチの後、SDGsスゴロクワークショップを披露してくれたのです。
★中込真校長は、「PBLは学校のすべてを変えます!教員も生徒も自己変容」と高らかに謳ってスピーチを終えました。かっこよすぎます!いつか私も言ってみたい名言として記憶しておこうと思いました。
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