« 京都のノートルダム 動き出す(10)<ND哲学カフェ>ND生と人類の子どもたちへの架け橋。 | トップページ | 京都のノートルダム 動き出す(11)通奏低音とポリフォニーの響き 共感と対話と思考と寛容と行動と技術。 »

2020年2月26日 (水)

2021年中学入試を読み解く準備(2)基礎情報②東京男子校の実受験者率に教育の未来の予感。

★今年の東京エリアの男子校は、受験市場のプレイヤーにとっては、いわゆる最難関校・難関校・準難関校の応募者増に身震いし、実際合格はなかなか厳しいという結果になったという実感が濃厚でした。また、有名大学付属校の人気傾向も続き、芝浦工大附属、法政付属校、日大付属校も厳しかったという声を聞きます。

Dsc09322

★実際に、首都圏模試センター調べのデータの「実質倍率」をみるとその実感は裏付けられるかもしれません。

20_20200226101901

★複数回数の入試が多いので、今回は2月1日の入試に絞って出してみました。東京>男子中高一貫校>2月1日入試志望者数・実質倍率という具合に。そして、実質倍率の前年対比を出してみました。

★やはり、昨年より跳ね上がっています。2月1日の男子校の71%の実質倍率が跳ね上がっています。実感に適合する数字だとみなせるかもしれません。昨年の実質倍率の前年対比も出して、今年との差を出して、跳ね上がりの幅の大きな順に10校を並べてみると、次のようになります。

 1:芝浦工業大学附属 (第1回)
2:佼成学園 (第1回・一般入試,2科)
3:暁星 (一般入試・第1回)
4:東京都市大学付属 (一般入試、第1回・Ⅱ類,4科)
5:攻玉社 (第1回)
6:巣鴨 (第Ⅰ期)
7:日本大学豊山 (第1回)
8:高輪 (A日程)
9:佼成学園 (第1回・一般入試,4科)
10:早稲田 (第1回)

★実感通りです。4科目2科目入試中心の男子校で、大学合格実績がアップまたは有名附属大学の保障がある程度あり、かつ入試改革や攻玉社や巣鴨のようにグローバル教育に力を入れているような男子校ばかりです。

★だから、男子校の応募者増の勢いはたしかにあったのだと思います。

★しかし、この4科目2科目入試の男子校受験者数増が、全体の首都圏中学入試増に大きく寄与したかというと、それは必ずしもそうではありません。

★たしかに、今回調べた東京エリアの2月1日の男子校34件の総応募者数は、13,637人で、前年対比105%です。しかい、一方で、ニューウェーブの共学校の人気が高止まりしたのが今年の特色でもありますから、そこから男子校にシフトしたと考えられてもいます。

★また、前述で実質倍率の前年対比が増えた男子校は71%と指摘しましたが、これは昨年も同じように71%だったのです。増えた学校減った学校のランキングの入れ替わりは起こっていますが、4科目2科目入試の全体の傾向はそんなに大きく変わっているわけではないのとみなすこともできます。

★だから、首都圏中学入試の受験者数増加分=男子校応募者数増加分というわけではないでしょう。

★ただ、4科目2科目入試をベースにしている男子校が何もしないで、この状況を生みだしたわけではありません。芝浦工大附属中学はICTや建築分野で人気の高い工業大学の附属校で、中学自身も共学化を予定しているなどキャンパス移転、新校舎につづく改革を矢継ぎ早に実行しています。そういうところに人気が集まれば、質的な面から言えば、4科目2科目入試ベースの男子校に注目が集まているのではないかという感情が高まるのは当然です。

★日大豊山男子の人気も、昨年は日大問題がありましたから、その反動と同時に、大学定員厳格化政策で、大学入試が難化しているという情報が中学受験市場でも浸透していますから、有名大学付属校の人気傾向に乗っているわけです。

★攻玉社はもともとですが、巣鴨がグローバル教育にも力を入れるカリキュラムの革新化を行っていますから、大学合格実績とグローバル教育の両要素を有した難関男子校はやはり人気です。算数一科目入試を行う入試改革などで注目を浴びた世田谷学園も大学合格実績とグローバル教育の両要素を備えています。

★そんな4科目2科目入試ベースの男子校の中で、思考力入試でも注目を浴びている聖学院が上記の表のランキングに食い込んでいます。実質倍率前年対比増の2月1日男子校入試24件の内唯一聖学院の<ものづくり思考力入試>だけが、多様化入試ベースの男子校としてランキング入りしているのです。

★この男子校の状況は、おそらく中学入試全体の傾向の縮図ではないでしょうか。

★4科目2科目入試ベースの男子校と多様化入試ベースの男子校も、これまでは、偏差値VS脱偏差値という図式で見られてきましたが、以上のように見てくると、両者の人気の要因には、なんらかの革新的な動きという共通点があるとみなすことができます。

★この革新的動きが、入試改革のみならず、カリキュラムの革新化という質的変化にまで到っているというコトでしょう。

★すなわち、中学入試市場で、塾・受験生・保護者は、入試改革(入試日変更、手続き日の変更など入試要項に関する改革)や大学合格実績などわかりやすい量的変化の動きをみているだけではなく、各学校のカリキュラム革新化の質的変化にも着目するようになったということでしょう。

★4科目2科目入試ベースの男子校の応募者数が増えているその背景には、入試改革とカリキュラム革新化の両方を行っている中学に人が集まっているということでしょう。そして入試改革に新タイプ入試という多様化入試が全面的に加わることによって、4科目2科目入試準備以外の思考力ベースの学びに集中してきた新たなタイプの受験生が中学入試市場に参加してきたということでしょう。

★教育の質の高い芝中学が、実質倍率前年対比増のグループにここ数年入っていないことは、少し心配ですが、そのカリキュラムの質を発信する改革を行うだけで、すぐに回復するということが、今年の傾向から予想できます。

★偏差値VS脱偏差値の構図が、新タイプ入試という多様化入試改革とカリキュラム革新化によって、相対化され、偏差値や大学合格実績も評価軸の一つという冷静な見方が中学入試市場に広がる動きがはっきりしてきたのが2020年中学入試の傾向だったのではないでしょうか。

★偏差値は学校選びの指標というより、4科目2科目入試の合格戦略をたてるときの参考データです。

★新タイプ入試という多様化入試は、思考コードとシンクロするルーブリック評価が活用されています。したがって、「思考コード」という多面的評価は、新タイプ入試、とくにその中でも実施率の高い適性検査型入試の合格戦略をたてるときの参考データです。

★<思考コード>が、新タイプ入試のルーブリックと大きく違うところは、A軸領域は偏差値の指標が含まれているということなのです。ですから、今後合格戦略を立てる時、4科目2科目入試も新タイプ入試も<思考コード>によって多面的な評価軸に対応できるということになります。

★2021年以降は、多面的評価軸である<思考コード>が広まるということであり、中学入試市場は、多彩/多才な才能を有した生徒が参加する新しい学びの場として変容していくということでしょう。

|

« 京都のノートルダム 動き出す(10)<ND哲学カフェ>ND生と人類の子どもたちへの架け橋。 | トップページ | 京都のノートルダム 動き出す(11)通奏低音とポリフォニーの響き 共感と対話と思考と寛容と行動と技術。 »

中学入試」カテゴリの記事