京都のノートルダム 動き出す(8)ノートルダム女学院中高の哲学カフェ。
★銀閣寺から哲学の道を歩いていると途中でノートルダム女学院への道に続きます。
★京都の歴史の名所はたくさんありますが、京都大学の近代日本の文化を醸成することへの貢献もまた大切なリソースです。
★20世紀末まで大学入試問題でも扱われてきた現代思想にも西田幾多郎をはじめとする京都学派の影響は大きかったのですが、21世紀に入って同時多発テロやリーマンショック、3・11をはじめとする世界で起こっている自然の猛威、環境破壊による以上地球規模の異常気象などに急襲されている私たちの生活の変化に現代思想は一時期ムーブメントは去ったかのようでした。
★しかし、ICTやSNSの急激な進化とAIという人工知能の出現によって、もはや自然も社会も生徒たちを取り巻く環境はあまりのリスクとその制御の難しい予測不能な時代を迎え、学者や思想家の考えを理解する程度の学びでは生きて行く道を自分の力で歩んでいけない不安が膨らむようになってしまいました。
★そこで、世の中は再び<哲学>が求めらっるようになり、新学習指導要領でも「主体的・対話的で深い学び」が採用されるようになりました。ただし、ここで求められている<哲学>は、哲学者などの専門家による哲学用語を使ったものを学ぶのではなく、市民や子供たちが自分たちの生活していく言葉で語り合い考えることを意味しています。
★<子どものための哲学>ワークショップや<哲学カフェ>は各地で開催されるようになり、そのリーダー的存在で、今では大学入試問題の素材として採用される程人気になった立教大学教授の河野哲也さんは、たてば豊島岡女子中高でも講座を持つまでになっています。
★哲学カフェで大切にされるようそは「相互尊重」「共感」「対話」です。そしてそれを「行動」の糧にすることですが、実はこの要素はルソー、カント、ヘーゲルと続くフランス革命前後の近代哲学の精神と共通しています。そして「ノートルダム教育修道女会」の創設者マザーテレジア・ゲルハルティンガーもその洗礼を受けています。「尊重」「共感」「対話」「行動」は、ノートルダムのミッションコミットメントでもあるのです。
★ノートルダム女学院中学校・高等学校においてもこのことは当然なのですが、それをもっともっと教育活動の中で実現していこうと、思考型授業として21世紀型スキルを活用するアップデートがなされているのです。その一つの実践のケースが「哲学対話」をベースにした「哲学カフェ」授業です。
★保健体育の三井先生と宗教の山川先生によるコラボレーション哲学授業が展開していきます。
★教科横断型で、正解が規定されないビッグクエスチョン(BQ)について、いろいろな角度から対話されていきます。対話する時に思考が止まりそうになったら、そこをサポートする21世紀型スキルの1つである「思考スキル」も用意されています。
★国際バカロレアのプログラムの1つTOK(知の理論)にも共通するBQや思考スキルが使用されていますが、IBのように選ばれた人間が学ぶプログラムではなく、同質の思考や対話をノートルダム女学院すべての生徒が学ぶことができるプログラムです。
★この哲学対話の授業は、ある意味PBLや探究のときにも必要な知のアプローチの基礎をつくるとも考えられます。極めて重要な授業です。ノートルダム女学院の生徒が全員学べるのです。オール哲学授業は、ノートルダム女学院の際立った教育活動の1つになるでしょう。(つづく)
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