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2020年2月15日 (土)

八雲学園 さらに進化する教育の総合力 生徒の無限のポテンシャルが生まれる複合的なPBL(了) 衝撃感動の波のうちに

★高1の数学の授業を見学したときのことです。なんと7年前にインタビューした八雲生がそこにいるではないですか!もちろん、数学科教諭豆塚先生として。あの当時から、数学の教師になりたいと語っていましたが、自己実現を果たしのです。凄いなあ。一つ目の衝撃感動の波が押し寄せてきました。授業見学しながら涙腺をゆるめていたら変人だと思われるので、こらえるのが大変でした。

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★八雲学園は少人数ですが高校募集も開始しています(来年の募集からは、いよいよ男子も募集します)。中高一貫の中に混合するスタイルですから、進度の違いを補うために高入生の取り出し授業を行っているのです。

★そのため、授業は終始対話型で、ある意味チーム学習になっていました。授業の最初の20分は、朝テストの解説でした。テストの時間は7分間ですから、かなり丁寧な解説でした。

★解説というより、問答形式の対話です。テストは大きな問題が2つ出題されています。1つはパターンや公式ですぐに解ける問題。もう一つは、パターンや公式を機械的にあてはめようとしてもできない問題です。豆塚先生によると、「この見極めの<判断力>を、このような問いの設定によって、試行錯誤しながら、徐々に鍛えて、直観的に選択判断できるところまでいけるとよいと思っているのです」と数学的思考力についてさらりと語ってくれます。

★同行してくれた衛藤先生も、「三角比の問題は、幾何と関数の間をいってきたりする思考過程が大切ですから、やはり切り替えの判断力はポイントになります」と。数学の問題を解くということの意味は、判断力と転換力とか、そのような数学的思考力を背景に有しているのだと気づかされました。まるでルビンの壺を見たときのように、2つ目の衝撃感動の波がやってきたのです。

★残りの時間は、統計学の世界です。分散グラフから相関などを読み取っていく問題です。豆塚先生は、数学を解くことは思考力を必要とするのは当然だけれど、思考力を使っているという意識をする分野が、新学習指導要領では注目されているからと、読み解きの根拠を語り合いながら授業を進めていきました。実に丁寧な授業展開です。

★しかしながら、一見するとPBL授業がさらに進化して展開しているとはすぐには気づきませんでした。むしろ、衛藤先生の教え子らしく、丁寧に対話をしながら問題を考える姿勢を形成していく授業をちゃんと継承していると感動していました。そういう意味では、Parfect Mastery based Learnigがここでもなされていたのです。むjしろ、これが近藤理事長校長が日ごろから語ている、私立学校はファンミリーが創っていくものだということの具現化だと3つ目の衝撃感動の波が押し寄せてきていました。

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★授業終了後、衛藤先生と豆塚先生と少し対話ができました。そして、大きな衝撃感動の波に包まれることになったのです。衛藤先生が豆塚先生の丁寧な授業を評価し、ほめているところは、まるで生徒に声掛けをしている時の姿そのままなのですが、そこから一挙に対話は深くなりました。自分の世界観を深堀するというのが八雲学園の教育の根底にはありますが、その教育理念がここにまで浸透していたのです。

★豆塚先生は、数学教師になるために超難関国立大学の数学科で研究してきました。応用数学というより純粋数学だったようです。ですから、あの丁寧な授業実践の背景には、きちんと数学のものの見方や考え方を理論化する視点をもっていたのです。

★PBLというと憧れの最近接発達領域(ZPD)という考え方がベースにあると言われていますが、豆塚先生の丁寧な対話型の授業もそれは同じですか?と聞いてみると、間髪入れずに、「はい。というよりも、数学の授業はもともと最近接発達領域をとても大切にしています。特に八雲学園の数学の授業はもともと伝統的にそうです。生徒によってわかる領域と可能性の領域までの距離が違いますから、難しすぎても簡単すぎてもうまくいきません。それに生徒によってそのギャップは違いますから、問題設定の段階で、ある程度仕掛けますが、生徒全員に出すので、必ずしも全員にその領域がマッチングしているわけではありません。だから、解説のときには対話を通して、それぞれの最近接発達領域を見出し共有するのが大事ですね。」

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★すると、衛藤先生が「たしかにそうです。大事にしてきました。しかし、最近接発達領域という言葉を使ってはこなかったですね。それは実践の中で暗黙知として実施されてきました。でも、豆塚先生のように、そこを言語化できると、生徒と共有もできるので、数学が解けるようになるだけではなく、苦手意識をもっていた生徒も数学的思考を学ぶ意欲を持てるかもしれません。卒業生が戻って来てくれて、新しい知を持ってきてくれます。私たちも学び直しをしようと思います」と、控えめな姿勢がすてきでした。美しい師弟愛がそこにはありました。

★八雲学園の教育の進化は、世の中の流行りの教育方法をパッケージとして取り入れることによっては生まれません。そのことは、幾度か述べてきました。あくまで、生徒自身が内なるニーズを先生に表現したとき、教師は動き始め、創意工夫します。進化の原動力は生徒の魂とそれに共感する先生方の創意工夫なのです。

★今回も卒業生という元八雲生の魂が、教師の心にまたまた火をつけたのです。

★そうそう、豆塚先生に、吹奏楽部の部長をずっとやってきて、今また顧問をやっているそうですが、それって数学と関係するのですか?と聞いてみると、「直接数学と関係があるというより、私にとっては、2つは両立するという考え方ですね」と。

★そして、そのあとすぐに、衛藤先生と目が合って、「つまり、正の相関」というフレーズを交わしていました。数学的思考で語り合う八雲学園の数学教師チーム。やっぱり涙腺はゆるみそうになりました。

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