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2020年2月 4日 (火)

2020中学入試 4つめの動向 東京の共学校の渦を通して

★首都圏模試の出願倍率速報(2月3日現在)で、東京の共学校の出願状況をざっと見ると、昨年より応募者総数を増やしているところは、次の通り。

 郁文館
上野学園
穎明館
桜美林
かえつ有明
啓明学園
工学院大学附属
国学院久我山
駒込
桜丘
実践学園
品川翔英
淑徳
淑徳巣鴨
順天
城西大城西
聖徳学園
成蹊
玉川学園
中央大附属
帝京
帝京大学
帝京八王子
東海大菅生
東京都市大等々力
東京立正
東洋大京北
ドルトン東京学園
新渡戸文化
日本工業大学駒場
日本大学第一
日本大学第二
日本大学第三
八王子学園八王子
文化学園大学杉並
武蔵野大学
明治学院
明星
目黒日本大学
安田学園
立正大立正

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(昨年の順天のグローバルウィークのシーン。世界の作り方ワーックショップのファシリテーターとして私も参加。理事長も生徒とともに学ぶ学習する組織が広がる学校です。参加メンバーの自己変容力の豊かさに感動しました。)

★これだけの数の共学校があの手この手を尽くして、がんばっています。中学入試の活性化を生みだしているのは、共学校の広報の先生方といても過言ではないかもしれません。

★もちろん、写真にある順天のように、毎年しっかり定員を満たしたうえで、なおかつ今年も募集を増やしているという手堅い共学校もあれば、募集は増やしたけれど、定員を満たすのはこれからという共学校もあります。

★また、渋谷教育学園、広尾学園、三田国際、宝仙理数インター、八雲学園は、このラインナップにははいっていません。総応募者数は増えていなくても、定員は満たせるという共学校もあります。隔年現象とか、敬遠とか理由はいくつか考えられます。どの学校も、破格のプログラムを持っていますから、チャンレンジングな生徒が挑戦しますから、特色ある応募者に絞られてきたということが大きい理由だとは思います。

★また、共学校はほとんどが新タイプ入試の機会を増やしますから、新タイプの入試が拡散し、そこで応募者を集めていた学校がそこを減らしています。

★この共学校のせめぎ合いの意味をどう読み取るかが、2020年の中学入試の4うめの動向でしょう。

★残念ながら、この動向を読み解くデータはまだいくつかのシンクタンクで作っている最中でしょうから、今のところははっきりしたことはわかりません。

★ただあくまで仮説として読み解くと、どうやら女子受験生のタイプが明快に2種類に分かれたということでしょう。これは3つ目の動向である進取の気性に富んだ女子受験生が選ぶ女子校が増えたとうことに関係しているように思えます。

★ロバート・キーガン教授(ハーバード大学)の3つの知の成長段階説を、強引かもしれませんが、あてはめてみると、環境順応型の素養の生徒、自己主導型の素養の生徒、自己変容型の素養の生徒うち、自己変容型の素養の女子受験生の誕生ということではないでしょうか。

★中学受験勉強をするとき、指示待ちで、長い者には巻かれろという感じの環境順応型素養では、なかなかうまくいきません。自己判断力や自立した自己管理型のしっかりものである自己主導型の素養でなければ難しいでしょう。

★おそらく今までの入試問題は、この自己主導型の素養でうまくいっていたのです。しかし、新タイプ入試が現れ、世の中が多様性にシフトし、自己管理が自己固執になる瞬間をそのつど自己変容していく開放的な精神が必要になってきました。

★男子受験生と違うのは、その自己変容型の素養は、きちんと自己主導型の素養に裏付けられている女子生徒が多いということです。男子生徒は、自己変容型素養はあるのですが、どうも自己主導型素養が希薄な生徒も多いようです。それが性差なのか精神年齢的な差なのかわかりません。単なる実感です。

★今共学校が凌ぎ合っているのは、単純に応募者なのではないのです。G-STEAMをめぐるプログラムの質の競争なのです。男子受験生は、ここのところはワクワクしてしまいます。女子生徒には、そこには一歩ひく自己主導型と前のめりになる自己変容型に分かれます。

★たとえば、八雲学園は女子校時代は、無意識のうちに自己主導型と自己変容型の生徒が応募していました。しかし、今はその破格なグローバル教育に、しっかりものだけではなくイエール大学の女子学生のように世界も巻き込む自己変容型知性に明快に憧れる自己変容型女子受験生が多く応募するようになったのです。共学による八雲学園の変容です。

★宝仙理数インターは、しっかりものの自己管理型生徒というよりは、変化を楽しむワクワク型の自己変容型知性をもった男子生徒と女子生徒がすでに集まって来ています。それがはっきりしてきたために、自己主導型の女子生徒は選択しなくなっていく可能性がでてきたのです。

★ロバート・キーガンの人間知性の成長段階は、大人対象の話ですが、実は18歳までに自己変容型能力を持っていなければ、もう成長はないという従来の説を覆すための論で、前提には、18歳までに自己変容型知性にまで成長しておこうという話があるのです。

★日本の20世紀型教育は、指示型人間ではなく自己マネジメントが出来る人間へで止まっていましたから、21世紀型教育への動きの時に、自己変容型の素養を見出すことを中学入試市場がうっかり忘れていたようです。

★このことが、共学校の凌ぎ合いの背景にみえてきたということなのです。

★4つめは、自己主導型をベースにした自己変容型素養をもった女子生徒の誕生ということでしょう。そのことを今まで進取の気性に富んだ女子受験生と呼んできたわけです。自己変容型素養の大切さを多くの女子生徒と共有することによって、中学入試市場はさらに活性化するでしょう。

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