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2020年2月 6日 (木)

2020首都圏中学入試 東京と埼玉が勢いがよかったわけに、大事な動向が隠れている。

★2020年首都圏中学入試のピークはあっという間にすぎ、2月11日の麻布、開成、武蔵、駒東、栄光、筑駒の同時入学者説明会によって、大きな範囲で繰り上がりがおこるかもしれないという状況になっています。総応募者数の集計段階からいよいよ実数及び歩留まりが学校当局では気になる日々でしょう。がんばってください。

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★ここでは、まずは首都圏中学入試における総応募者数の前年対比(データは、日能研倍率速報「サマリー」を加工しました。2020年2月5日現在)を見てみましょう。埼玉、東京、千葉の順番で増えています。神奈川と国公立は減っていますね。

★総応募者数が増えたからと言って、受験人口が増えたかどうかは、確かに別です。総応募者数が減っても辞退者が少なく実数は昨年よりも多かったという学校もいくつもあるからです。

★したがって、総応募者数が多くなったというのは、入試日変更や入試回数増加や新タイプ入試導入など創意工夫、つまり入試イノベーションにチャンレンジしたという革新性を示唆しているでしょう。

★千葉が微増したのは、東京の学校の勢いと塾がシンクロして、その勢いで、1月受験に、東京の受験生が多数挑んだからでしょう。一方埼玉は、千葉と同じ状況ももちろんあったでしょうが、学校自体が入試改革イノベーションにチャンレンジしているからでしょう。

★そして、この入試改革イノベーションは、従来のように生徒の数を掘り起こしをしているのではないというのが、今年の中学入試動向の最も大切な未来をチェンジするエネルギーが巻き起こっているのです。

★残念ながらこれを証明するデータ的なエビデンスは今のところありません。しかし、それはそのようなイノベーティブな学校の広報の先生方や<新しい学びの経験>を開発している創発型の教師と対話を続けることによって見えてくることもあります。

★実は、そのような文化人類学的なアプローチこそ隠れた真実を射当てるものかなとも思う今日この頃ですが。

★いったい何が真実か?実は最近あまり中学受験業界などでは語られなくなったのですが、1985年から1998年までは、男子校中学受験は投資型で、女子校中学受験は、消費型であるという見方がされてきました。実際経済学の分野でも人材投資型経済理論は一世を風靡していました。

★このような女子中学受験の在り方を消費型と表現したのには、その当時はバブルが膨らみはじけいよいよデフレ突入という時代で、ポストモダンが大流行りでした。東大の教育学部でも佐藤学教授がポストモダンイムズ時代の教育を大いに語っていた時代でもあります。

★しかしながら、バブルがはじけ、1998年・1999年に大企業や金融業の倒産が起きて、デフレに突入するころ、内生的成長論が謳われはじめました。この経済理論で2018年にノーベル賞を受賞したのはポール・ローマ教授ですが、日本ではほとんど日の目を見ませんでした。

★今も続く新自由主義が圧倒していたし、産業界も工業化時代にあぐらいをかいていました。学校現場も20世紀型教育が今も頑強なのはこの時代がまだ日本では終焉していないからですね。

★しかし、世界はコンピュータサイエンスというテクノロジーとその価値を見出す新しい哲学が生まれていました。イノベーションの時代です。日本はこの分野で、テクノロジーはなんたおか追いつけそうですが、その価値を生み出す新しい哲学は存在していません。それゆえ、世界のコンピューターサイエンティストに日本は哲学なき教養なきテクノロジーだけど、大丈夫?と心配されている程ですね。

★ところが、この新しい経済と技術に対して、まだ無意識ですが、敏感に反応している私立中高一貫校が、東京エリアと埼玉エリアに多く出てきたのです。

★消費型でも投資型でもない第三の人材論がおそらく見えてきていると思います。これはロバート・キーガン教授の組織マネジメント論にもヒントがありますが、このような書を読んでいる私立学校の先生が多くいるのも東京エリアの学校に集中しています。

★それは<新しい学びの経験>を開発し、そのカリキュラムポリシーをアドミッションポリシーに反映させている<新タイプ入試>の機会を増やしているからです。

★この教育活動が意味しているものは、投資型キャリアデザインでも消費型キャリアデザインでもないのです。では何と呼ぶか?それはすでにいくつかの学校の先生方とは話題になっているのです。今京都に滞在していますが、昨日ノートルダム女子大学の総合経営企画室の方々とミーティングをしたときに、盛り上がりました。東京でももちろん、工学院の平方校長や田中歩教務主任、聖学院の児浦広報部長とこの点に関してはいつも大いに盛り上あがっています。この間の八雲学園の菅原先生や近藤隆平先生とのやりとりで、八雲学園の女子受験生の何かが変わってきたという話も何かを予感させます。順天や和洋九段女子の生徒と語り合ったときには、ああこの生徒のみなさんは今までとは何か違うぞという直感を得ました。

★一言二言しか話したことはないのですが、桐蔭学園理事長の溝上慎一教授のトランジションの理論は、それを支える理論かもしれません。溝上先生のプロジェクトはいずれエビデンスを出すでしょうから、第三の人材論の裏付けがやがてとれるでしょう。

2020年中学入試は、新しい人間論の誕生のメタファーを映し出しているのかもしれません。

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