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2020年2月19日 (水)

首都圏模試「思考コード」2021(1)

★首都圏模試センターのリサーチフェローとして同センターの「思考コード」についてそろそろ深めていきたいと思っています。開発当初からかかわっていますが、同センターの教務陣とは思考スキル分析まで議論して深まっているのです。

★しばらくは、わかりやすさを優先して「統一合判」にマッチングするように議論してきました。

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★コードごとにデータの振り返りもするようになり、作問者と分析者のマッチングの精度は上がっています。しかしながら、授業する側とのマッチングはこれからです。とはいえ、なぜか学校やいろいろなところで使われ始めてもいて、ちょっと独り歩きしすぎかなあと思う時もあります。コードの分析はデータサイエンスと質的リサーチの両方のカップリングが必要で、あまり理念的な活用の度が過ぎると使い方を間違ってしまいます。

★あくまでエンパワーメント評価で、C3に到達しなきゃいけないみたいな対話は学習者とはしないのですが、そこに飛ばなきゃとか、いやB2が大事だとか言っている方もいます。インフルエンサーとしてありがたいと思いますが、多様な生徒と学び方の成長の媒介項として活用するだけで、大事なのは生徒の存在そのものです。

★フェローというのは、あくまで外部の目ですから、首都圏模試センターの教務陣とはズレがあります。このズレがあるので、対話になります。ですから、多くの人とも結局ズレがあるので、できればズレがあるのをダメだと否定せず、認めるところから対話ができればありがたいのです。こうでなきゃという構えがあると、なかなか対話が広がりません。

★しかしながら、それはゆくゆく対話していくとして、私なりの考え方を書いていこうと思います。実際にデータをみながら教務陣と話したり、今後ますます増えると思いますが、授業担当者や生徒・保護者とも対話していくことになるからです。

★まず、思考コードは私たちの脳とか神経系のイメージなんです。脳や神経系はそれぞれの機能に応じて部位に分かれ分節化されています。だからといって分断されているわけではないのです。実は互いに対話をしていると言われています。

★だから、障害が起きたときに、ある程度のところまでは他の部位がカバーするということもあります。

★思考コードも同じで、領域を9つに分けてはいますが、それは試験問題の問いのカテゴリー分けをしているだけで、それに合わせているのです。しかし、学びや思考は、入り口はある一つの領域からかもしれないし、幾つかの領域からかもしれませんが、そこから入ったらあとは全部つながっているのですね。それは説明するまでもないでしょう。単純な掛け算はたしかにA1の問題ですが、A1から思考に入り込むと、それは微分積分の考え方と結びつきます。微積の考え方は、思考のスキルや働きにさらに延長しますね。

★ですから思考するには知識が必要だからまず知識だとか、知識がなくても思考はできるのだとかいう考え方にあまりこだわらないくてよいのです。

★そうはいっても、子供たちの多くは、入り口あたりでとまっていて、思考全体の海にダイブしようとできませんね。入り口で興味とか関心とか問題にされますが、ダイブしてはじめて面白さがわかってきます。この勇気のないのをダメだというのではなく、どうやったらダイブできるのか対話するのがエンパワーメント評価の肝です。

★だから、学びは面白いだけではダメなんだとかもあまり意味のない言葉です。

★とにかく、子供の学びの方法について、いろいろな表現があるのですが、ほとんどが学びのシステムの結節点一つを取り扱って、それがすべてだみたいな言い方をして、それが壁になって学び方は成長しないし、結果的に子供の成長が阻害されるということがあります。

★脱偏差値も気持ちはわかるし、私もそう思いますが、偏差値そのものは高校数学でも学ぶ統計としての関数関係の話ですから、そんな言い方は不安を煽るだけになりがちです。

★まあ、そういう先入観や固定観念や誤謬をクリティカルシンキングを備えて崩しながら、真理を追い求めるようになればよいわけですが、さすがに子供はクリティカルシンキングをすぐに発動できるわけではありません。学び方の成長とか変容とかは大切です。

★その速度は個人によって違いますが、放っておくと、一つの領域にフィックスした学び方を大人になってもし続けるということになることも多いのです。やはり、すべての領域がつながるようにあるいは化学反応を起こすようにダイブするシステムが大切です。それが子ども一人ひとりの<最近接発達領域>を対話によって共有するというシステムです。これを本当の意味での個別最適化といいたいのですが、世の中は、たんに一人一人違う問いのマッチングをすることを指しているようです。

★いずれにしても、脳のすべての部位が大事なのと同じように、思考コードの領域はすべて大事で、思考の働きの関数を記号で可視化したものだと了解していただければと思います。このもごとを点でとらえるのではなく、関数関係としてとらえるのが構成主義なのですが、結構構成主義を唱える方で、社会現象や自然現象を関数関係で捉えることをしない方が多いですね。ここは対話によってシェアしたいところです。

★便宜上、思考コードはテストの評価の時に使い、授業では別の思考コードでいくと言ってはいます。しかし、それは思考コードの縦軸を難度という外延的あるいは定量的な区分けとしてみなした時にそうなるだけなのです。上記の表を見ていただけるとお分かりいただけるように、実際にはもう少しメタ的な視点でデザインしています。模倣操作から変容運動という他律から自律へと次元をあげるようになっています。

★実は横軸はメタ認知の軸で、縦軸はメタコンピテンシーの話なのです。ですが、そこから始めるとわかりにくいので、解答反応率(正答率とか解答率とか呼ばれています)としてでる難度としての縦軸と限定的な内容を考える行為から非限定的な内容を考える行為にシフトする横軸というように、最初はメタ的な発想が包摂する具体的な結果や動きを取り出して作問と分析をマッチングさせていったのです。

★しかしながら、教務陣と麻布や武蔵の問いや年々増える新タイプテストの問いを分析するようになると、どうしてもメタ的な次元が必要になってきます。2020年は、すでに具体的な次元とメタ的な次元を行ったり来たりする分析に進展しているのです。2021年に向けて新しいステージが見えてきました。

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