第4回新中学入試セミナー PBLと新タイプ入試が生み出す<自己変容型マインド>(了)2021年度中学入試が、日本を変える。ドネラさんの意志を継承。
★2019年度の21世紀型教育機構の加盟校の主催する最終セミナーは、和洋九段女子で開催されました。そして終わりは始まりです。2021年度中学入試に向けて、その新しい価値が生まれ、その価値実現のための新しい活動の企画が生まれました。
★セミナー終了後、3時間くらいリフレクションしました。リフレクションと言っても、何か一つのテーマで議論するというより、1年間のセミナー開催のための準備活動やここまで実施してきたフォーラムやシンポジウムを振り返り、今回のセミナーが集大成になったことについてなど、感じたことや気づいたことなど想いをランダムに対話するリフレクションです。
★一人一人が遠慮せず、言いたいことを放つ拡散型なのですが、どこかのタイミングでそれならうちでもできるなあ、これもできるなあ、すぐにでもできるなあ、やってみようか、生徒が一番やりたがるなあとか、折り返します。
★<折り返す>。まさにリフレクションですね。折り返すとは往来です。外延と内包の往来が何回も行われていく。再帰的で入れ子のイマジネーションとロゴスの渦が起こります。いわゆるブレイクスルーってやつですね。
★それで、北氏ともその雰囲気が共振して、意気投合し、新市場に与えるインパクトあるじゃんとなる。応援するから実施したら情報交換しましょうと。ある程度魅力が受験生や保護者に共有できるようだったら、取材もありかもなどと波及していきます。
★そんなとき、北氏が私にボゾッと「2021年中学入試は、日本を変える」というのは現実味を帯びてきたのではないかと。北氏のジャーナリストの勘がピンと働いたようです。
★たしかに、今回は登壇者やパネリストの教師や生徒も全員がPBLを行えるメンバーだったし、新タイプ入試に直接かかわっていもいるし、なんといってもコアにはSDGsに立ち臨み、その活動の担い手であるパラダイムジェンレーターでした。
★<PBL―C軸思考―SDGs―パラダイムジェネレーター>の共起語の循環がセミナーの対話とワークショップを貫いていました。北氏にとって、この一貫性が新タイプ入試に色濃く広がっていくと新市場の意味や価値が極めて重要なブレイクスルーを起こすと洞察するのは難くないことだったでしょう。
★1972年に、デジス・メドウズ教授がリーダーとなりローマクラブに委託された「成長の限界」を世に出しました。ここからグローバル・イシューに光が当てられ、強欲近代社会がもたらした環境破壊の警鐘が鳴らされ始めました。環境破壊は自然のみならず、社会の格差も作り、人間の精神も破壊してくほどの大きさになっていきました。
★もはや世界はリスク社会になってしまったのです。しかし、その警鐘を受けとめなんとかしようというのに時間がかかりました。それでも、“Sustainable Development”という言葉が、1987年に誕生しました。1984年に、「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」が設置され、委員会は、1987年、報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」を発表して、これまでの議論やリサーチのまとめを報告しました。このときのリーダーがノルウェーの首相のグロ・ハーレム・ブルントラントさんです。
★首都圏では中学入試が一気呵成に広がる時期です。このときは、まだ中学入試はまだ、この動きに敏感ではありませんでしたが、国際理解教育というベースのある学校の入試問題や麻布や武蔵の創造的思考力を要する問題の中で、この地球規模の根源的な問題が取り扱われていったののです。それは当時は骨太問題として一部の学校の特徴的な問題でした。しかし、それが今や新タイプ入試の中にどんどん開花しているのです。この勢いは2021年はもっと大きくなるでしょう。
★それにしても、「成長の限界」の主著者は、ドネラ・メドウズ教授でした。このレポートをまとめる調査委員会のリーダーであるデジス・メドウズ教授の妻です。ドネラ・メドウズさんと言えば、「世界がもし100人の村だったら」のアイデアを出した方です。2001年に亡くなられたので、本書の扉は、ドネス・メドウズさんに捧げると刻印されています。
★いずれにしても、今日のSDGsの流れを創発して持続可能にしたのは、この2人の女性でした。世界の痛みの中に投げ込まれていた女性がその根源的な痛みという問題を解き明かし、世界を巻き込んで解決する契機をつくったことは確かです。そして、その意志を継いでいるのが、和洋九段女子のZ世代の生徒だったというのが、ワークショップでみな体験したわけです。
★しかも、ドネラ・メドウズさんの研究方法は「システム思考」でした。自然と社会と精神の循環を探究する創造的思考の土台は、このシステム思考です。ドネラさん亡き後、大親友のあのピーター・センゲが「学習する組織」の1つの柱としてこのシステム思考を埋め込みました。
★この「学習する組織論」こそ、私たちが実践しているPBLのプロトタイプです。21世紀は女性の時代です。21世紀は教育の時代です。21世紀は強欲資本主義を解消するAI共創を生み出すC軸思考=システム思考の時代です。SDGs、PBL、C軸思考=システム思考が、すべて今回のセミナーで出遭ったのです。
★そして、このSDGs×PBL×C軸思考=システム思考が一塊になって新中学市場に広がるのです。
★北氏の瞬間に見抜いた洞察力が拓く世界は、パラダイムチェンジメーカーたちが協働し合う社会なのではないのでしょうか。みなさん、いっしょにそういう世界を創りましょう。新中学市場は偏差値競争社会ではなく、ドネラさんの考案した共創社会の構想力を生み出す場となるのでしょう。共に!
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