2021年に向けて~ホンマノオト21から見えるクリエイティブクラスの社会的動向の0.6%の一片。
★首都圏の私立中学入試に挑戦する小6は、日本全国の同世代小学校6年生の3%です。このうち20%は富裕層で、80%はアッパーマスとミドルマスの層です。あくまで推計ですが。いずれにしても、ダブルインカムも含めて、年収1000万以上の世帯が多数占めていることは確かです。そういう意味で、佐藤学先生や苅谷剛彦先生は、私立学校はお金持ちの行く学校だからと明言していて、研究対象にしてこなかったのでしょう。もっとも、制度上、私立中学は、教育委員会の所管にないので、国立大学の教育学部は、主たる研究項目になれなかったということが本当のところでしょう。
★そんなわけで、だったら、「私立学校研究家」(宮台真司さんがこのタイトルおもしろいと言ってくださったので、ずっと使っているんですが。日本では唯一無二のタイトルです^^;)をやってしまえとホンマノオトを書いてきました。前職のNTS教育研究所(このサイトは、研究所解体後、削除されていますが)のころから書いています。1999年から書き始めましたから、もうすぐ四半世紀を迎えますね。とはいえ、全然体系的ではないので、あくまで市井の研究家として、これからもライフワークで細々といこうかなと思っています。
★ということで、私立学校を受験という一点ではなく、入学システム、カリキュラムシステム、進学準備教育のシステムの全体をウォッチしています。そして、私立中学を選択する家庭層は、よいわるいは別にして、日本社会や世界を牽引するメンバーですから、社会的動向と学校選択の結びつきは、教育の世紀である21世紀においては極めて重要で、なぜか産業や経済の要素がホンマノオトには入ってきてしまうのはそういうわけです。
★特に、文化人類学的成果と社会学的成果と法哲学的成果を交えて描くので、わけがわからないということになるでしょう。最近わかりやすいと言われるようになってきましたが。「私立学校研究家」の方法論は、PBLを先生方といっしょにつくりながら、フィールドワークやインタビュー、思考コードによる学びの分析、アクティビティの分析などしながらその痕跡をホンマノオトに描いていくということです。フリーのブログなので、いずれは抹消されるのですが、学問的価値というより、リアルタイムのリフレクションを先生方や私立学校選択者と共有するというのが目的です。
★大学で客員教授もやらせてもらっていますが、なかなか授業のアンケート調査では学生から高評価で、私自身驚いているのですが、研究者としてではなく、PBL教育という側面での評価にすぎません。講義よりPBLの方が知的好奇心が湧いてくるというのが大きな理由のようですから、ある意味PBLの有効性を一部分だけれど証明したことになるかもしれません。
★小学校の3,4年生のクリエイティブワークショップも実践する機会もいただいて、それはもう自由に生徒とやっています。ヘルマン・ヘッセの未完の書「ガラス玉演技」という知的世界の悟りの境地を描くつづきを継承している感覚で楽しくやっています。
★こんな感じの自分のポートフォリオ的なホンマノオトなのですが、共有してくださる方も多く、心から感謝している次第です。この間中学3年生でホンマノオトを読んでいると声をかけられて、ものすごく驚き、超嬉しかったですが、遅すぎますが、もうちょっと責任をもって書かなくてはと背筋が凛としました。
★ホンマノオトの性格は、そんな感じなので、共有してくださる方々の価値観も実はぐっと絞られてきます。偏差値至上主義者はまず読まないでしょうし、歯牙にもかけないと思います。ですから、ある一定の水準の年収層の方々でどのような仕事で活躍している方々が訪問してくださるかは、個人的な興味もありますが、社会的な動向を感じるのに役に立つのではないかと思うのです。もちろん、全体なんて見えません。あくまで一片です。
★なにせ、3%のミドルマス以上の集団の中のさらに20%(ホンマノオトの訪問者の推計割合)、つまり日本全体の働き手の0.6%のメンバーの価値志向性の話ですから、それはそうでしょう。
★しかしながら、この集団が日本や世界に影響を与えるプレイヤーだとしたらどうでしょう。この中から正のシナジー効果を生みだすバタフライ効果を見出せるかもしれません。あくまで超仮説にすぎませんが、希望を発見できるかもしれないのです。
★そんなわけで、首都圏中学入試のピークである2月1日から入学者説明会がほぼ終わり、入学者が決まる15日までの間に限定し、アクセスしてくださった方の業種別割合を上記のグラフに示しました。
★今は訪問者の60%がスマホでアクセスされるので、パソコン経由のデータにさらに絞られた結果ですが。
★大学と小中校合わせて38.5%です。大学と言っても、東大と京大をはじめとする国立大学以外は、附属系列ですから、大学のプロバイダー経由で小中高の先生方がアクセスしていきていると思われます。したがって、30%は小中高の先生方が訪問されていると推定しています。
★メーカーで活躍されている方が次に多いですが、マスメディア、サービス業、情報通信を合わせると、36.5%です。ここで活躍されている方は、第4次産業革命時代、あるいはソサイエティ5.0時代において、クリエイティブクラスと呼ばれる方々です。
★20世紀末にリチャード・フロリダ教授によって提唱され、産業構造を転換する第4次産業の出現ということで、一時話題になりました。そしてその延長上に第4次産業革命とかソサイエティ5.0が構想されていったわけです。
★高い階層の中で、ファーストクラスとクリエイティブクラスに分岐する時代ということです。このクリエイティブクラスがファーストクラスが構築してきた強欲資本主義を創造的資本主義というフラットでフェアーな市場を創るのではないかと、ビル・ゲイツなどは世界フォーラムで語っているのですね。それが正しいかどうかはわかりません。
★しかし、経済学の世界でも、人口成長論による経済発展を描くのではなく、<新しい学びの経験>を生み出す内生的経済成長論を提唱する経済学者が、ここ数年ノーベル賞を受賞していますから、新しい経済社会への希求は膨らんでいるのでしょう。
★この希望を生成する可能性が高いのがクリエイティブクラスです。ホンマノオトにアクセスしてくださる教師もクリエイティブクラスです。内生的成長論を提唱しているポール・ローマ教授がその先生方の授業をみたら、これこそ<新しい学びの経験>の開発ではないないかというでしょう。
★メーカーの方々の中にも、ものづくりという創造性を横断的に異業種と結びつける、社内クリエイティブクラスの方々がいます。おそらくその方々がアクセスされているのでしょう。
★SDGsの企業内の動きの一部には、このクリエイティブクラスの影響も大きいかもしれませんね。
★公共機関からもアクセスがありますが、意外と医療系が多いのです。そして、もう一つ。そこがどこかは想像におまかせいたします。
★そんなわけで、ホンマノオト21は、クリエイティブクラスの超ゆるやかなネットワークの共振に一役ではなく0.6%買っているのではないかと推定しています。Well-beingの社会がアッパー層自らが解体する逆説的な動きによって生まれてくる。佐藤学先生も苅谷剛彦先生もスルーしてきた針の穴からしか見えない領域に実は大きな契機があるのかもしれませんね(^^)。私立中学入試において新タイプ入試が支持される新市場の創発は、まさにそうでしょう。本ブログが、クリエイティブクラスの化学反応の一触媒にでもなれれば幸いです。これからもよろしくお願いいたします。
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