京都のノートルダム 動き出す(4)徳と知の現代化ワークショップ。好奇心・開放的精神・なぜ?が広がる授業体験。
★チャレンジノートルダムは、おそらく日本で初のスタイルの体験型説明会だったと思います。というのも、子どもも保護者も学びの体験をするワークショップに参加できたからです。
★総合企画室課長の高谷さんの明朗快活な総合司会は、講堂の保護者に授業の世界に連れて行きます。小学校5年生になりましょうと巻き込んでいきました。そこに梅下先生が登場です。
★小学校5年生の理科の授業の体験です。わずか20分くらいの体験ですが、未知の知識への好奇心の立ち上げ、対話による開放的精神の開き、なぜなに?という疑問が生徒の内側から湧きおこってくる体験が展開していきました。好奇心・開放的精神・疑問の湧きおこりこそ、「徳と知」の授業の反映です。
★この「徳と知」が、予測不能な時代に対応した先進的にアップデートした授業に反映しているのです。まず、梅下先生は、保護者とスマホでやりとりできるか練習するところからはじまりました。もちろん、練習なんて無粋なことは言いません。ナチュラルにはいりました。私は何の教科を担当しているでしょうと。
★QRコードでグーグルクラスルームに招待しました。パッといっせいにスマホが立ち上がりました。まるで撮影会のようです。ふだん生徒はタブレットで同じように授業に臨みます。この段階で、保護者は一体何が起こるのだろうとワクワクしたことでしょう。生徒と同様マインドセットからはいることになたったのです。
★グーグルクラスルームのプラットフォームにはいると、コンセプトテストという選択肢があります。未知のものに対し、思い巡らし、予想するという<推理>の過程が始まります。選択肢を選ぶと、上記のように、リアルタイムでデータで現れてきます。梅下先生の印象は、理科教師、体育教師の順に多くなりました。タブレットを使って授業のワークショップを説明会で行うのだから、理数系だろうと推理したのか、元気が良いのと身体ががっちりしている(学生時代ラグビーの選手でした)ので体育だろうなどと推理したのでしょう。自分なりに条件を考えて推理する過程が大切です。
★今回はミニワークショップだったので、そこはショートカットしましたが、このあとデータを見て対話して、もう一度選択します。すると、データの分布が変わります。対話によって推理をブラッシュアップしていきます。体験から獲得した知識や知恵を、未知なるものに適用し、互いに違う点を焦点化して対話していくっことで、推理の修正をしていきます。ピアジェ派の学習理論も背景にあります。
★このようなよくある初印象をどう感じるかという現象も、梅下先生にかかっては、学びのマテリアルになってしまうのです。この入り方は実はハーバード大学の物理学のマズール教授が“PI:Peer Instruction”として開発したもので、京都大学で行われた教育者のための研修会に教授は招かれて多くの先生方が体験したものです。私も参加しましたが、たんなる知識問題だと思った問いが、深い学びへの入口、好奇心・開放的精神・疑問の湧き起こりを誘発する体験にわくわくしたのを今でも覚えています。
(昨秋の梅下先生の理科の授業シーン)
★梅下先生を始め、ノートルダム小学校の多くの先生方のは、ふだんから電子黒板やタブレットを有効活用して授業を展開していますが、たんなる調べ学習やプレゼンのツールだけではなく、知的好奇心が主体的に立ち上がる方法はないかと昨秋模索していました。アップデートは先生方の生きがいだと言います。研修会や文献リサーチなどでマズールの“PI”に行き着いたのでしょう。
(PIの開発に先生方が協働しているシーン)
★しかし、マズール教授が当初開発した時には、グーグルクラスルームはなかったので、ICTの道具や環境はあまり使い勝手はよくなく、しばらく日本ではトレンドにはなりませんでした。しかし、梅下先生方は、このクラスルームのプラットフォームを自在に使えるので、すぐに“PI”をマスターし、もっと先に飛んだようです。
(松谷先生の社会科の授業のシーン)
★その先進的な授業を通して、「徳と知」という普遍的な精神を、保護者は、20分のミニワークショップで体験できたのです。
★しかし、そうはいっても、準備は涙ぐましいものがあったに違いありません。学校の教師は何せ忙しいのです。仲間に支えられながら、合間をみて、ブレストミーティングも繰り返したことでしょう。
(自分たちが行っている授業のクオリティを共有するブレストミーティングのシーン。暗黙知が言語化されつながるときブレイクスルーが起こります)
★私もファシリテーターとしてときどき参加しましたから、先生方の情熱と子どもへの想いに共感し、背筋が凛としたのを憶えています。(つづく)
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