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2020年2月27日 (木)

京都のノートルダム 動き出す(14)ND庭園という知の空間 欧米が憧れた知の宇宙空間そのもの。

★日本に初めて近代建築を伝えた外国人工学建築学教授はかのジョサイア・コンドル。鹿鳴館のデザインを威風堂々ではなく、アールヌーボー的センスで創って、時の権力に解任される。その後岩崎家に頼まれ、今の三菱地所のルーツの設計事務所を任される。銀座周辺をロンドンさながら赤レンガの館で埋め尽くす。その赤レンガを供給する工場を深谷市につくって一儲けしたのはさすがの日本の資本主義の父渋沢栄一翁。三菱一号館は現在復元されています。

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★丸の内の赤レンガの東京駅も再現されていますが、コンドルの弟子の辰巳金吾によるもの。彼は日本の1級建築士第一号。

★そんなジョサイア・コンドルが、日本の文化をヨーロッパに伝えたのが、大名庭園。その中にある茶室も。また本人は、自ら画鬼と呼ぶ河鍋暁斎(「ぎょうさい」ではなく「きょうさい」と呼びます)に弟子入りするほど日本の文化にほれ込みました。河鍋暁斎から暁英という号を授かっているほどです。

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★このコンドルがみた大名庭園は、レッチワースの元祖環境都市である田園都市のモデルになりました。日本の最後の国土計画のガーデンアイランド構想のコアコンセプトでもあります。明治開国当時、日本を訪れた外国人は江戸を埋め尽くす大名庭園をみて、理想郷と呼んだそうです。

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★ノートルダム女学院も、かつて京都の豪商が住んでいた大名庭園だったのでしょう。その面影があります。近代建築を超えて、新しい知のインスピレーションを生み出す空間として庭園は大切な日本の文化リソースです。そこで、ND生徒は学んでいるのです。

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★渡り廊下の右下には「和中庵」があります。庭園は崖があるスタイル。根津美術館や五島美術館は、まさにその典型。根津美術館は青山の崖地を巧みに活用、五島美術館は国分寺崖線をやはり巧みに活用。

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★ノートルダム女学院の庭園も、崖が巧みに作庭されていて、そこに立つとインスピレーションが湧き出てきます。

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★お茶会もギャラリーにもなる空間。

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★贅沢な小宇宙空間です。

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★グローバル教育をやっていて、海外の方々を招くと喜ばれる空間でしょう。

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★ノートルダム教育修道女会の創設者マザーテレジア・ゲルハルティンガーはドイツ出身です。京都のノートルダム女学院を創設したのは、米国のノートルダム教育修道女会からやってきた4人のシスターです。ドイツも米国も、森の中の生活は大切な意味を持っています。自然と社会と精神が共生できる理想的な環境がそこにはあるからです。

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★ノートルダム女学院の大名庭園は、崖地を活用していますから、森の中の生活にも思いを馳せられます。建学の精神を呼び覚ます空間であると同時に、SDGsを考えるヒントにもなるでしょう。

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★ご自身のPBL授業に手ごたえを感じている社会科の森兼先生と対話をしながら、ノートルダム女学院の宗教の学びはIBのTOKのような取り扱い方も可能だし、宗教社会学や宗教文化人類学的なアプローチもできるのではないかと思いました。森兼先生も時代に対応した新しい宗教行事や宗教探究ができるはずだと語っていました。

★あらゆるフェーズでブレイクスルーが起こり始めているようです。

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