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2020年2月 1日 (土)

本日、首都圏中学入試ピークに!新しいウネリか混迷のウネリか予想不能な真っ只中で。

★本日2月1日(土)、東京エリアと神奈川で中学入試スタート。首都圏中学入試はピークになりました。そんな折共同通信は、「英国がEU離脱、加盟国初 歴史的転換点、混迷に終止符」という記事を掲載。何の混迷に終止符を打ったのか疑問ですが、日本時間8時に、イギリスはEU離脱を果たしたのです。ちょうど中学受験生が各校に集結している真っ最中の時間帯です。

★そして、今年は例年にもましてマスク着用の受験生が多くいるように感じたのは、WHOや米国などで新型肺炎の拡大に対し緊急避難宣言を出しているからかもしれません。2021年から開始されるはずだった大学入試共通テストの民間英語試験導入や記述式問題なども見送られたり、今年の中学受験生にとっては、新しいウネリなのか混迷のウネリなのか予測不能な真っ只中での中学入試となったのです。

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(2020年2月1日午前 三田国際学園の中学入試風景)

★しかし、そんな中だからこそ、2020年度の中学入試動向は、明快な動きになりました。中学入試市場が支持した私立中高一貫校の男子校の出願の勢いがよい現象と三田国際のようなパーフェクトなイノベーティブ教育を実践している学校の出願の勢いが良い学校の2つの価値観が明快に市場に反映されました。

★つまり、中学入試を考えている家庭層のうち男子校に流れたように、この世界の動向はすぐには影響しない。すくなくとも基礎学力をうけて東大、早稲田、慶応、医学部といった最難関大学に進学すれば、自分の子どもが42歳になる2050年になっても、なんとかサバイバルしているだろう。そのポジショニングはまだ危険水域に入らないと考える価値観です。シンギュラリティがくるはずがない。AIが人間を超えるにはまだ時間がかかるし、かりにそうなってきてもアッパー層のポジショニングをゲットしていれば、コントロールする側にたてると。これはこれで、極めて現実的な判断でありでしょう。

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★イギリスが、ドイツ、フランスいい加減にせいよ。ドイツ神秘主義や観念哲学、フランスのネオプラトニズムの衣装をまとったカトリック主義の幻想である1なるものは多であり多であるものは1であるという1つのヨーロッパ主義はイギリスにはなんの利益ももたらさないのだ。イギリスはやはりニュートン近代科学主義とアダムスミスやヒュームの経験主義で行かせてもらいますよ。

★コンピュータサイエンスなどイノベーションのリベラルアーツの事情は日本のリベラルアーツなきプログラミング教育とはイギリスはだいぶ考え方が違うのですが、まあこういう実際主義的というか現実主義的な価値観は否定すべき理由はありませんね。

★また一方で、三田国際のように、日本の教育に欠けているものは、自分たちで創ってしまえばよいというアラン・ケイやジョブスのようなネオプラグマティックな考え方をする学校に大いに価値を見い出し、支持するプレイヤーも中学入試市場には現れたのです。三田国際は、このようなイノベーティブな教育を開始して今年4月に6年目を迎えます。

★つまり、インタークラスによるイマージョン教育がすべての学年で行われるようになるのです。3分の1以上がこのクラスに所属しています。三田国際の国際生入試が英検準1級を持っていても合格できないケースが続出というのは、受験英語を超えて、海外のエスタブリッシュスクールがなぜか用賀の地にあるといった感覚です。

★やがて、本格的なMSTクラスも全学年完成します。そうなってくると、本科クラスはより一層リベラルアーツ教育の色が濃くなります。最初の頃は眉唾だといっていた塾予備校もあったようだし、ルサンチマンよろしく影口を流す同業者もいました。三田国際をずっと注目し、6年前から2月1日の午前入試を定点観測している私などは、提灯記事を書いてと揶揄もされました。

★しかし、今そういう方はあまりいないでしょう。というのも、実はこの間、大学合格実績も伸ばしていて、そういう揶揄する方々はいいこと言ったって大学合格実績がでなければと馬鹿の一つ覚えのように言い続けるものですから、その口を閉じなければならざるを得なくなったわけです。しかも、かれらが信じている大学合格実績校が次々と海外大学にも輩出するようになってきたのですから、ますます口を封印しなければならないわけです。三田国際からすでに世界大学ランキング200位以内になら、多くの生徒が飛び立っているからです。

★せいぜい、彼らは、馬鹿の壁よろしくハーバード大学でなければというのでしょうか。だとしたら呆れてしまいます。いずれそういう生徒が速めに三田国際でもでるのは必然ですからね。

★しかしながら、このネオプラグマティズム信奉者は、なかなか厳しい評価視点をもっていて、中途半端なイノベーティブ教育は斬り捨てます。三田国際に入らなければ、どうするか。渋谷教育学園渋谷や麻布を狙います。イノベーティブ教育と大学合格実績の二兎を追うけど、その環境がなければ、大学合格実績を優先し、少しでもイノベーティブな進取の気性に富んだ学校ということになるのでしょう。

★三田国際とは違うイノベーティブ教育を行っている聖学院や八雲学園、かえつ有明も出願の勢いはわるくないですが、それはイノベーション×破格のマインド教育があるからです。ただ、三田国際と共通点は、米国教育の影響を受けているという点です。聖学院と八雲学園は、もともと建学の精神が米国にあります。かえつ有明は、4年前まではイギリスでしたが、今はシリコンバレーやMITの流れをくむマインドフルネス教育を土台にしています。

★これらのいいとこどりを全部した怪物が武蔵野大の日野田校長です。彼自身シリコンバレーの文化で生きていましたから、いいとこどりをしているんだけれど、本物なのです。実に不思議ですね。日野田校長のような期待値で生徒を集められる巻き込みプロデュース力の持ち主は他にいないでしょう。

★要するに、「基礎学力+最難関大学の合格実績」の実行力を果たしている学校か「破格のイノベーション教育とグローバル教育進学実績の期待値」が大きい学校かのふたつの価値観が市場に反映しているのでしょう。

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(上記の表には、今年の国際生入試の応募者数はまだ公表されていません。ということは、このままいけば、最終的にはまた総応募者数は3000人を超えるということでしょう。)

★そして、中途半端な「基礎学力+大学合格実績」の学校や中途半端な「イノベーション教育と大学合格実績」の学校は選ばれなくなります。ただし、前者ははっきり判断できます。大学合格実績を出していない学校がいまさらそれを目指しても、学歴社会のシステムを無視することはできないのです。学歴社会のシステムは強固です。そう簡単にはぶち破れません。

★しかし、「イノベーティブ教育×国内外の進学準備教育」は、日本の学歴社会システムを超えているというか別次元に位置していますから、ぶち破ることはしないですが、超えることはあるいは回避することはできるのです。だから、まだ芽がでてないからといって中途半端とは限らないのです。たとえば、和洋九段女子のように徹底的にPBL授業を研究し実践している女子校は、実際注目され始めています。

★工学院などは、八王子というハンディーがある地理的条件では目立ちませんが、すでに高校入試では大注目を浴びているし、中学入学者の入学後の創造的才能開花ぶりは、各メディアで取り上げられています。

★それにすでに昭和女子大のように大人気の女子校もあります。昔の躾第一主義的なイメージは今はもうありません。グローバルサイエンティストの生まれる21世紀の女性の意味を歴史的に決定づけるのではないかと思えるイノベーションを起こしています。

★いずれにしても、中途半端では、選択眼がより厳しくなったというか、すでに家庭がかなりグローバルあるいはハイクオリティの学問や仕事をしているので、選ばれなくなる時代です。私立中高一貫校が、どちらの道を歩もうとも、中途半端な構えを捨てなければならないエポックが2020年ということでしょう。中途半端を捨てるクオリティ向上の時代がやってきたのです。

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