2020年中学入試 新タイプ入試の意味あるいは価値
★中学入試の市場が、思考力型入試、適性検査型入試、算数一科目型入試、特色型入試などの新タイプ入試の支持をし始めました。このことについては、すでに次のブログで書いていますので、ご参照ください。
2020年中学入試の新タイプ入試の動向 東京エリア
2020年中学入試の新タイプ入試の動向 神奈川エリア
2020年中学入試の新タイプ入試の動向 埼玉エリア
★2011年ころに始まったばかりのころは、公立中高一貫校の受検生の80%は合格できないので、その生徒の受け入れ先として適性検査型入試が開始されましたが、今は生徒募集人数確保のためももちろんありますが、2科4科では鍛えられていない脳マップを広げている生徒を受け入れる入試としての意味が濃厚になっています。
★2科4科信奉者は、中学入試段階では知識と論理をしっかり勉強してくれればよいと語ります。あとは中高でというわけですが、入試問題は学校の顔ですから、結局はカリキュラムも知識と論理で終わって、難しい問題にチャンレンジして、高偏差値の大学に合格する進学準備教育となります。
★それはそれでよいのです。学歴社会や塾歴社会を結果的に強化してしまうという社会的問題はありますが、それは別に教育だけのせいではないともいえるからです。まあ、それいいのかという気もしないではないですが。。。
★しかし、一方で、グローバル教育が拡大しクオリティも高くなってくると、海外の生徒との交流も深くなります。当初の頃は異文化理解や心の交流、英語研修というのが中心でしたが、最近では対話や議論や創造が中心になり、SDGsやSTEAMのプログラムが展開し、クリティカルシンキングやクリエイティブシンキングベースのシステム思考が必要となってきました。
★こうなってくると、知識と論理をベースにした進学準備教育では、国内向けにはいいですが、国際的には通用しなくなてきているという現状を実は生徒自身が認識するようになったのです。
★そして、思考力入試など、入学時は偏差値が高くないけれど、入学後成績もトップクラスになり、海外大学に合格していくという生徒も現れてきました。この事実は何を意味しているのでしょうか?そもそも思考力入試だけで合格する生徒は、中学入試勉強をしてこなかったので、偏差値がきちんとでるはずがないのです。最近の帰国生に増えてきた偏差値などは眼中にないという傾向もでてきました。
★もしかりに世界のエスタブリッシュスクールの生徒に2科4科の中学入試問題を解かせたら大して偏差値はでないでしょう。でも、彼らはハーバードやMITやオックスブリッジに進めるのです。
★誤解しないで欲しいのは、2科4科入試を否定していのではないのです。ただ、生徒の才能を測る道具として、絶対的な意味を持っているわけではないと相対化しているのです。
★そうはいっても、一方通行型の講義で十分であると考えている方の脳は固まっているので、相対化すること自体が難しいかもしれなません。日本社会は偏向主義、隠蔽主義、抑圧主義、根性主義が習慣化してきました。組織文化の闇の部分です。いまその闇の部分は一掃しようという流れがでてきたのは、多様化、公正化、共感化、システム思考をベースに人材育成をし、組織マネジメントを転換しようとしているからです。
★白い巨塔だった医療や看護の教育分野でも、今ではチーム医療とコミュニケーション能力を高める教育がなされています。まだまだ古い文化もあるでしょうが、確実に変化しているのは、国立医療センターで治療をうけている私自身が経験しています。ときどきお世話になっているお医者さんとそんな話もします。ブルームのタキソノミーの認知的側面、情意的側面、精神運動的側面をトータルに学び、チーム医療やコミュニケーション能力向上に役立つか検証しているところもあるという話は、ちょっと驚きです。
★もはや学校といえどもその例外ではないのです。
★新タイプ入試は、多様化、公正化、共感化、システム思考が育つカリキュラム環境を開発していることの象徴です。もちろん、全部がそうではないでしょうから、説明会などで自分の目で検証することは必要です。麻布のように4科目の中に新タイプ入試の要素をはじめから埋め込んでいる学校もあります。
★2科4科だけだから保守的で、新タイプ入試も行っているから革新的だと分類するのは早計です。ただ相対化してそういう傾向にあると仮説を立てて、説明会などでリサーチをすることは有益でしょう。
★図のように、偏差値が高い学校は4科目入試で、そうでない学校は2科4科選択入試ですが、そもそも、そんなレッテルを貼られるのは学校としても本意ではないでしょう。それゆえ、新タイプ入試が始まったという側面もあります。しかし、今や高偏差値の学校も行うようになってきたのです。
★選抜の道具としての入試の多様化は、工業化時代からポスト工業化時代、ポスト工業化時代から脱工業化時代へとシフトしている現状と照らし合わせれば、当然の流れでもあるのではないでしょうか。
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