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2020年1月27日 (月)

工学院のPBL 生徒自身の「探究」行為をマインドセット(とりあえず了)

★今回のプログラムでは、セルフコンディショニングの目標を「入試に立ち臨む自分」に設定していました。時期的にわかりやすい設定を選んだのでしょう。議論も盛り上がりました。柴谷先生と片瀬先生は、目標の部分は他のものに置き換えてもできるというまとめをして終わりました。ミニワークショップなので、ちょうどよい時間で終了したわけですが、実はこの研究会はそれ終わりではないのです。

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★プロトタイプをリファインしたり拡充したりするところまで行きます。ですから、おもしろいのは、最初のワークショップのファシリテーターは柴谷先生と片瀬先生が行い、2回目のワークショップのファシリテーターは田中歩先生が行ったのです。ファシリテーターを多くの先生が出来る学校ってそう多くはありません。

★今回のセルフコンディショニングのプロトタイプを、参加メンバーそれぞれ自分だったらどう活用するかという議論にシフトしたのです。これによって、いろいろな場面で適用・応用ができることがメンバーの中で実感できました。田中歩先生の共感的コミュニケーションがこういうところででてきます。

★もちろん、数学科の先生からは、項目の立て方が主観がベースだから、数学にはなじみにくいという面もあるという意見も出ました。この意見は極めて重要で、数学の歴史における永遠のテーマであると同時に、近代社会の盲点を突く根源的な話なのです。

★数学者で哲学者でもあったフッサールは主観というものを相互主観と設定し、主観―客観図式を解消しようとしていますが、この議論は決着がついていなく、日本の教育ではあまり取り扱われません。国際バカロレアは、PYPからはじまってDPのTOKにかけて、この主観を多面的に多角的にアプローチし、主観をどんどん広げていく学習理論を確立しているぐらいです。

★こういう鋭い数学科の意見は、しかし世の哲学者が長い歴史の中で解決していないのですから、いま結論を出す必要はないでしょう。思考の根本問題として大切に抱いておくということに田中歩先生はしたようです。

★そして、プロトタイプの適用・応用ができるということはいかなることなのか、今回の柴谷先生と片瀬先生のプログラムの価値が問われました。

★セルフエンパワーメント、自分の器を広げる、パワーアップ駅伝というフレーズがでてきたわけです。

★要するには、自分とは何者か、自分はいまここで何をしているのか、自分は何をしようとしているのか、それがどんな価値があるのかという国際バカロレアの教育でもコアコンセプトになっている学習観ですが、そこから生徒自身が対話を通して始めるプログラムが誕生したということでしょう。

★ここからはじまる教科学習や探究の活動こそまさに「探究の行為」であり、PBLというメカニズムでしょう。IBやケンブリッジイングリッシュやCEFRベースのCLILなどは、みなここを核としています。

★日本の教育では、進路指導で強調されるぐらいで、ふだんの教育活動ではここは核になっていません。知識が核になています。生徒1人ひとりの想いを核にしない教育が、どんな社会をつくってきたのか、どんな社会を支えてきてしまったのか、それは、たとえばジェンダーギャップが先進諸国で最もあるような社会だったというのは、今やだれもが否定しないでしょう。

★工学院が多様な<新しい学びの経験>を積み上げてきた結果、到達したステージは、日本の教育の在り方を救うところまで来たといえるのではないでしょうか。このワークショップは、今後もさらにアップデートしていくということです。

★今後立ち会える機会がまたれば、子供たちにとって極めて重要な学びですから、またご紹介したいと思います。

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