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2020年1月13日 (月)

自由と市場と組織と国家(23)聖学院と工学院の思考力入試の新市場創出の革新性 麻布と東大帰国生入試の知のフラット化へ立ち臨む ②

★たぶんザッカーバッグも、私たち日本人も首都圏、特に東京に私立中高一貫校が200弱集積している事態を知らないでしょう。そしてこのことの未来への歴史的意味を考えることもあまりしないでしょう。実は毎年、東京の私立中高一貫校(高校からの入学はここでは除きます)最低でも250億円が注がれています。6年間だと1500億円が投資されています。各私立学校もそのことを意識はまだしていません。

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★なぜなら、大学合格実績ランキングという優勝劣敗主義の暗黒面に足元をすくわれているからです。本来は柔らかい理念共同体というのが私立中高一貫校の特徴で、それぞれの理念や校風の精神が私学のコアマインドで、その差異で生徒や保護者は学校を選んできました。もちろん、それは戦後新自由主義へ収束するリバタリアン社会では通用しないので、地と図をひっくり返して、大学合格実績を図として前面にだし、精神を地として背景に沈めました。

★そんなことをやっているういちに、すっかり暗黒面に支配されるようになりました。そんなとき、聖学院が光と共に現れたのです。

★また、本間は妄想を語るのか!と一蹴されるかもしれませんが、ちょっとだけお時間をください。上記の昨年の東京大学文Ⅱの問題をまずみてください。エッ!東京大学ってこんな問題を出題していたのと思うかもしれませんね。昔から出題していたのです。でも東大にたくさんいれる学校の先生方もスルーしてきたでしょう。

★なぜなら、これはいわゆる帰国生の入試問題だからです。帰国生はこのような思考力問題にむけて学ぶ環境があるわけです。しかし、一般生は、今までなかったのです。

★この問題は、IB(国際バカロレア)のDPプログラムを経て東大にチャンレジしてくる生徒を意識して東大は作成しています。このような問題に向けて学ぶ経験をする生徒は、日本の同世代(全国の高3生)の0.01%です。これは麻布の入試問題を学ぶ環境を中学受験時代に体験している生徒もやはり同世代の0.01%です。この0.01%の中からさらに選抜されるのです。

★今、公立中高一貫校などでもIBコースを創ています。その他IBコースを持っている学校も含めると140校弱ですが、IBのDPコースで学んでいる生徒はやはり同世代の0.02%くらいでしょう。

★そんなところをだれが関心を持つでしょう。余程のエスタブリッシュな家庭でなければ見向きもしないでしょう。実は私立学校同士でも、麻布の入試問題をみてみようなどという教師は存在してこなかったことでしょう。だって、0.01%でなくても、2%の生徒が選択する学校ですから。危機感ないですね。大学合格実績ランキング競争をしていればよかったのです。

★ところが、やはり20世紀末から黒船はやってきたのです。日本人のタンス預金をねらって、海外大学が進出しようとしてきました。なかなかうまくいかなかったのですが、諦めません。

★1989年以降、グローバル社会の浸透力が広がるのにしたがって、日本にやってくる留学生も、紆余曲折ありましたが、増えています。同時に海外で活躍するグローバル企業が増え、帰国生も増えています。

★日本の各大手塾が、焦って、海外で塾を開設し、帰国生を中学入試に接続しはじめたのも、21世紀になって激しくなりました。2010年ころまでは、帰国生であるにもかかかわらず、日本の学歴社会になじもうと、海外で日本の受験システムの延長上で学んでいました。というか、それは塾予備校の囲い込み戦略です。

★ところが、9.11やリーマンショックや3.11が起こるにつれて、日本のシステムでいいのかというクリティカルシンキングを発動する帰国生やグローバルな家庭層が増えてきました。

★そうはいっても、海外でずっと暮らすわけではない帰国生家族が大半ですから、上記の東大の問題を考える論理的・批判的・創造的思考力を学べる新しい環境がある私立中高一貫校がないか探しはじめました。21世紀型教育を創る会(現「21世紀型教育機構」)が発足したのも2011年でした。

★また、海城が高校生募集を廃止し、その30人分を中学の帰国生入試に切り替えたのもこの年でした。

★ここから、帰国生の中には、偏差値をあまりきにしない生徒・保護者が増え始めました。偏差値を気にしても、現地校で学んだ思考力をベースにした学びの環境のある海城学園のような学校を探しはじめました。

★そしてあれから10年経とうとしていますが、海外大学へ進学する傾向はいろいろな私立学校で増えてきたのです。湘南白百合や海城からもハーバード大学進学者が出るようになりました。しかし、聖学院や工学院からも世界大学ランキング100位内の海外大学に進学する生徒が輩出され始めたのです。

★このことが意味していることは何か?なのです。実は昨年の春の聖学院の思考力入試問題と麻布の社会の入試問題は、上記の東大の帰国生入試問題と同じテーマを扱い、同質の問題が出題されているのです。

★この意味は、0.01%の生徒にしか関係なかった思考力の学びの環境をフラット化させるダイナミズムを聖学院が生んだということを意味します。もちろん、工学院もそうですが、特にここにきて、聖学院の思考力入試はそのことを鮮明に表現し始めたのです。

★もし、このことをザッカーバーグが知ったら、なんだ思考力プラットフォームを私立中高一貫校で創って、1500億円を有効活用したほうがいいんじゃないというでしょうね。そんな知の集積場と資金集積場が一致している場所は、世界でも類例を見ないのだから、もったいないでしょうと。

★いわれるまでもなく、聖学院の児浦先生と内田先生は活動を開始しています。工学院の田中歩先生とも協働しながら。新タイプ入試の中でも「思考力入試」のミッションは、私立中高一貫校のコアマインドを理念だけでなく、大学合格実績だけでなく、「高次思考と共感的コミュニケーション」マインドでプラットフォームを創る次の次元に移行することであり、「思考力入試」にこだわってはいませんが、広く新タイプ入試をコアシステムとして首都圏中学入試の市場の新しい価値を見出そうとしてしている首都圏模試センターとシナジー効果を生みだしているのです。

★実は聖学院も工学院も首都圏模試センターもそれぞれ独自の「思考コード」を作成し、形成的評価ができる準備もしていますから、なおさらです。

★そんな馬鹿な?0.01%の話だろう?と言いますかね。もう捨てませんかそんな視野狭窄的なものの見方。世界のエスタブリッシュな学校やカナダのBC州の公立学校、フランスのリセなどでは、上記の東大の帰国生入試のような思考力入試問題、つまり麻布の入試問題、聖学院の思考力入試問題むけて学ぶのは、あたり前の学びです。

★それでも、まだまだエスタブリッシュな話ではないか?と言いますかね。もうよしませんかそんなルサンチマン。フィンランドの教育がいいとか、シリコンバレーのHTHがいいとか、言っているくせに、なぜ日本の教育を直視しないのです。フィンランドの総人口は600万人もいないのですよ。

★日本は少子高齢化と言えども、まだ一学年100万人はいるでしょう。この100万人全体が0.01%の知を共有できるシステムを創る動きをしたほうがよいのではないでしょうか。日本は昔から物理的資源がないから人材育成だと言われてきました。その人材育成を高次思考力と共感的コミュニケーション育成にアップデートしましょうよ。

★どうやって、児浦先生と内田先生、田中歩先生などとプラットフォームを創出すればそれはできます。権威者や偉い人を集めるプラットフォームは旧態依然としているからスルーしたほうがよいですね。文科省や経産省も、無駄な税金の使い道を細工するのではなく、どーんとこのプラットフォームに投資したほうがよいですよ。具体的にどんな案がるのか?まずは視察するところからははじめるのをおススメいたします。

★もっとも、クックパッドなど民間がすでに動いていますが。

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