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2020年1月 7日 (火)

自由と市場と組織と国家(13)創造主義志向の意志が生まれる:工学院の田中歩先生チーム・麻布・八雲・首都圏模試①

★リスク社会という新しい概念を創ったウルリッヒ・ベックは2015年に他界。言語哲学者佐藤信夫は1993年に他界。ネオプラグマティズムのリチャード・ローティは2007年に他界。日本の新しい世界を生み出す思想的梃子として重要な人物でした。しかし、生前、学問的な世界から日本の市民にまでその影響は浸透していませんでした。それゆえ、死によって、日本ではテクノロジーのリスクを超えて新しい社会を生み出すスコープ、外延と内包の相乗効果による新しい表現、デューイを巡る新しい哲学的転回を思考する展開は停滞しています。

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★それゆえ、日本の「自由と市場と組織と国家」のアップデート環境は現状大学にはあまり期待ができません。その象徴的動きが、現状の大学入試改革の停滞ですね。

★しかし、世界に目を向ければ、テクノロジーのリスクを超えて新しい社会のスコープを生み出す大学はたくさん生まれているし、アートの世界では新しい表現をどんどん生み出しているし、カント的な近代以降の主体と客体の関係を無化する新しい思弁的自在論てきな発想が広がっています。それは、文化人類学が建築学・芸術・考古学・哲学を結合する新しい学問が生まれ広まっているし、若手の哲学者がイギリス、アメリカ、フランス、ドイツで新しい哲学のグローバルコミュニティをつくっているところから了解できます。

★テクノロジーやエンジニアリングも、高度思考力と結びついていて、思考なき技術や技術なき思考の段階の日本の大学とは全く違います。何を言っているのか?とお思いでしょうが、USニュースなどのコンピューターサイエンスの大学世界ランキングで、中国、シンガポール、韓国、イギリス、アメリカの大学が100位内にたくさんひしめいているのに、総合的なランキングで100位内に入っている東大も京大も100以下で、100位内に入っている日本の大学は一つもないのです。

★だから高度思考や高度技術そしてアートが当然融合しているのはあたり前という景色が日本にはないのです。そしてこれが英語教育のレベルの低さに起因していること、アートマーケットが小さいこと、啓蒙思想的な19世紀末以来20世紀社会と対峙してきた哲学や社会学、文化人類学のアップデートが捨て去られているところに気づいていないのですね。世界の新しい景色を見ても、それを見ることができるメガネをもっていないのですから当然です。

★では、日本には希望がないのでしょうか?いやあるのです。それはどこにあるのか?中学入試のマーケット30%にあります。その30%のコアになるのが、工学院の田中歩先生チームであり、麻布の入試問題であり、八雲学園のRSグローバル教育であり、首都圏模試の思考コードと思考スキルで形成的評価をシステム思考の切り口で生み出しているところにあるのです。

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★なぜ麻布と工学院、八雲、首都圏模試なのか?偏差値層が違うではないか?と一蹴する方は受験業界の中には少なくないでしょうね。ところが、首都圏の私立中学に入学する人口は、日本全体の同年齢の人口(要するに小学校6年生)に対して、3%です。このエリアをいつもズームアップして微差異を針小棒大に表現してきたのが、学歴社会の罠だったわけです。

★ここに挑戦して新しい社会に挑戦する創造主義志向の意志が育つという意味では、田中歩先生チーム(以降チーム田中と呼びます)、麻布、八雲、首都圏模試、新しい文化人類学、新しい哲学は共通しているのです。この共通する視点は、中学入試内の偏差値の高低では測れません。思考コードというメガネで覗いてみる必要があります。そして思考コードを理解するには、外延と内包のダイナミックな置換ループを思考することができることも必要ですね。外延と内包のダイナミックな置換ループとは、福原将之氏の言葉でいえば、要素還元主義とシステム思考の融合・統合ですね。さて、ここら辺を、次回もう少し詳しく考えていきましょう。

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