聖パウロ学園 PBLと模擬試験の相乗効果。問題はデータ処理の時間。
★聖パウロ学園では、問答授業とPBL授業のバランスがよく、もともと<対話>ベースの教育だから、自分を成長させたいという中学生がたくさん集まってきます。
★2年前からグローバルコースも開設したので、4技能英語力も豊かなになり、2040年には、混迷した時代を日本は迎えるも、サバイブできる能力を養うこともできるという期待も高いわけです。
★ちょうど定期テストも終わり、先生方は成績処理にテスト返しの指導に、面談にと大忙しです。同時に、高校入試の相談会も解禁になり、びっちり入学希望者との面談も実施しています。
★高3生の一般入試に向ける準備も佳境と聖パウロ学園のみならずいよいよ日本は受験列島になっていくわけですが、そんな中進路指導部は、同時に高2の進路準備も並行指導していくわけです。もちろん、授業もあるわけですから、本当に教師の仕事はマルチロールプレイです。こういう時期に文科省は現場を覗いてみたらどうでしょう、もっとも、国が介入すると思われかねないので、なかなかそれもできないでしょう。
★それはともかく、聖パウロ学園はある模擬テスト会社の模試を活用しています。基本どこの学校も個人の成績表をもとに、個人面談をしていくわけです。主に担任の教師がそれは担います。
★そして、各教科では、正答率のデータから、カリキュラムの強み弱みをチェックしながら軌道修正していきます。その際、学年の教師と教科チームの<対話>が活性化するのです。
★進路指導部は、その学年のそれぞれの教科の出来具合を分析してメッセージを流していきます。学年の教科担当の教師は、生徒1人ひとりと対話していくと同時に、その学年の教科の特性を考慮して授業をしていくことになります。
★ここまでは、聖パウロ学園に限らず、どこの学校もいっしょでしょう。しかし、聖パウロ学園は、模試のどちらかというと、地域や全国との中でどういうポジショニングにあるかという性格をもつデータを中心に活用していくわけではありません。他流試合は独りよがりにならないためには必要です。しかし、生徒の多様な資質能力が成長していくためには、このような総括的評価だけではなく、形成的評価が必要になります。
★同社の模擬試験の生データは、データベースから活用できるようになっているので、それを加工して形成的評価を創ることができます。しかし、それぞれの問いが、分野別まではカテゴライズされていますが、思考コード(ルーブリック)のような形成的評価用の項目カテゴライズがなされていないので、加工するには相当時間がかかります。
★聖パウロ学園は、スモールサイズですから、データ処理の時間はある程度の時間でできますが、それでも、まるまる6時間はかかります。しかも、形成的評価風のものが限界です。とにかく、教師はそんなまとまった時間がとれる時間は実はないのです。
★試みに教師ではない私が実験的に進路指導の先生の近くの机で質問しながら対話しながら作業をしてみました。分野別でクラス別でデータを括っても、一見形成的評価にはならないのですが、そのデータに今幾つかの教科で作成している「思考スキル」と<対話のパターンランゲージ>を結びつけると、形成的評価に近い指導ができます。
★ただし、これは個人というよりクラス単位、つまりとチームの協働力を活用する形成的評価になり、PBL授業を行っていない場合は、必要ないかもしれません。
★いずれにしても、PBLで対話力や人間力、情意的能力を養うと同時に、いわゆる学力も強化することはこれによって可能になるはずです。キャリアデザインは、自分の探究したい分野を学べる大学を選べばよいのですが、現実は同じ学部や学科でも、研究の環境のアドバンテージの違いがあります。そういう意味では、学力を強化することも大切です。
★日本の場合、大学間格差や研究費の多寡の格差などがあるのが事実です。このような格差をなくす(もちろん高い水準で)大学の改革も含めて実行してくれれば、学校の教師の仕事も少しは軽減されるかもしれません。
★それにしても、模擬試験の生データはありがたいけれど、その処理は学校と模擬試験会社とではシステムが違いすぎ、まともにデータ処理に学校が立ち臨んだら、教師は寝ないで仕事をしなければならないでしょう。なんとかならないものでしょうか。
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