12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト③
★今回の私立中コラボフェスタは、実に新しい局面があらわれました。社会のパラダイムの転換がはっきり示されたのです。それは、「自己アピール・得意科目型入試」(北鎌倉女子 日本語4技能入試、聖セシリア グループワーク型読解表現入試、関東学院六浦 自己アピール型入試、共立第二 サイエンス入試、聖和学院 プレゼンテーション入試)のパネルディスカッションと「個性派オリジナル入試」(湘南学園 湘南学園ESD入試、聖園女学院 総合力、相模女子大中学部 プログラミング入試、聖和学院 プログラミング入試、八王子実践 プログラミング入試)のパネルディスカッションで起こりました。
(石田教育情報研究所の代表石田温則氏による丁寧なパネルディスカッション「個性派オリジナル入試」のシーン)
★いったい何が起きたのか?その1つは、男性の教師の情熱的プレゼンテーションに対し、その全部を包み込む圧倒的な寛容性の要求をパネリストにさりげなくムチャブリするしゅとcommu学校サポーター市川理香氏のモデレーターぶりでした。
★自己アピール入試にしても、プレゼンテーション入試にしても、ワークショップ型入試にしても、たんなる独りよがりな自己主張ではなく、周りを巻き込んで自身の生み出す世界に連れて行く表現力を求めているということが明らかになった段階で、突然、市川氏は、パネリストに、もし自分だったら他校のどの新タイプ入試を受験したいと思いますか?と問うたのです。
★一瞬パネリストも会場の保護者も、何を聞いているのだろうと時間が凍てつきましたが、パネリストが次々と自分の興味や関心からこの入試を選びますと回答し始めたため、すぐに氷解し、急に場は温かくなりました。互いの学校の入試をリスペクとしている姿を見ることができたからです。
★市川氏は、新タイプ入試を行う先生方は、自分の学校だけよければよいではなく、みんなが<One Team>でしょうと競争型男性中心社会目線よりも、協働型人類愛社会目線の重要性を確認したのでしょう。新タイプ入試の本意はSDGsやその中でもジェンダー問題を解決する使命を持っているのだという宣言だったのです。
★その宣言があったので、最後の「個性派オリジナル入試」は、すべてが、協働型社会や循環型社会、AI共生型社会を目標とする教育のエッセンスが反映しているということが了解できました。湘南学園のESD入試はまさにSDGsがベースにあります。聖園女学院の総合力は、教科横断型であり、それはあらゆる領域どうしの壁を越境する視点を大切にしています。相模女子大中学部、聖和学院、八王子実践のプログラミング入試は、AI共生社会を大切にしています。
★いずれも、競争型男性中心社会目線を払拭しています。ああ、本当に塾歴社会から塾歴解放区は鮮明になってきたと鳥肌でした。
★ところで、3つの学校のプログラミング入試は、それぞれ特徴があったのも新しい発見でした。
★相模女子大の場合は、サイエンス・マスが前面に出たプログラミング入試でした。机の上を落ちないように、右左前進などのアルゴリズムを丁寧に組み込んでマインドストームのロボットを動かしていました。
★八王子実践は、テクノロジーが前面に出たプログラミング入試体験授業を行っていました。動きも360度回転ダンスや声もアウトプットできるように本格的プログラミングでした。
★聖和学院のプログラミング入試の体験授業は、残念ながら見逃しましたが、パネルディスカッションで、聖和学院の栢本さゆり先生のプレゼンテーションのインパクトが、聖和学院のプログラミング入試の特徴を浮き彫りにしました。
★それはプログラミング入試であるにもかかわらず、アートとしての「愛」があふれた入試だということです。ここでいう愛は、友情や恋愛、憐憫の情の話ではありません。「愛」は、聖和学院の理念の一つですから、聖書に由来します。聖書でいう「愛」はアガペーと言われ、「人類愛」のことを指します。
★ヨハネの福音は、はじめにロゴスありき、はじめに光があったから始まりますが、栢本先生のプレゼンは、明晰な言語の力と会場中を包みこむ圧倒的な「愛」の光を放ちました。
★市川氏といい、栢本先生といい、私たち男性の情熱を丸ごと包み込む大きなマインド。それは2科4科時代の中学入試が競争型男性中心社会を反映していたのに対し、新タイプ入試が協働型人類愛社会を反映している入試であるというポジショニングを明快に示したのです。中学入試の大きな変わり目の本意は、この社会のパラダイム転換を示唆していたのです。感動!しました。
| 固定リンク
「中学入試」カテゴリの記事
- 大妻中野 新思考力入試を廃し、そのエッセンスを全教科入試に移植することの意味(2024.11.01)
- 全国私学教育研究集会で エヴェリット・ロジャーズのファントムに出遭う・・・(2024.11.01)
- 富士見丘高校1年生 生成AI研修始める その意義(2024.10.31)
- 鴎友学園女子 政策から選挙を考える授業(2024.10.29)
- 八雲学園の副校長近藤隆平先生に会いました。生徒の成長が飛躍するグローバル教育のリーダー(2024.10.25)
最近のコメント